【感想・ネタバレ】昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃のレビュー

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Posted by ブクログ 2013年01月06日

ファンなら読んでいて、
本書がある三島作品のトリックを導入しているのが、
よくわかることと思う。

こんなに沢山の人が事件について語っていたとは。
いやはや、著者の努力に頭が下がるばかり。

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Posted by ブクログ 2020年05月22日

今年は没後50年。この本が出てから10 年。
今も世の中に振動を与え続けるあの事件が、今年はどう語られるのか楽しみ。

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Posted by ブクログ 2017年11月22日

本書は三島を直接的に理解するための書ではない。三島が生きた最後の時代の雰囲気を、彼自身の死を通じて今に呼び起こす書となっている。
三島自決のニュースに直接触れたことのない世代にとって、三島は大変不思議な存在である。自衛隊基地での演説シーンが稀にテレビ流れるが、必ずといっていいほど具体的な解説はない。...続きを読む三島が大声で叫んでるな、でも聴衆から共感得てないぽいな、自衛隊決起を呼びかけるなんて極右の親玉みたいなものかな、そんな感想を持つ。一方で三島の著作を読めば、テレビで見た彼と同一人物が著したのだろうかと疑うほどの耽美的な文章が並ぶ。自分の中で矛盾する三島像をつくりあげ、いつの間にか「三島由紀夫問題」化していたし、またさせてしまっていた。でもそれは理解の努力を放棄しているだけで、我々からは想像できないほどに彼は極端に思想の純度が高かったのだろう。
本書からは三島の死について喪失感を語る者はあれど、深い共感を語る者はほとんどない。また、三島自決の報に触れた人々の思いと、三島の檄文等の温度差を見せつけられる。事実社会の空気はそのようなものであったであろうが、そこにこそ三島自決の直接的要因があるようにかんじる。戦中世代として戦前の空気とのあまりの差異に強烈な違和を感じている中で、自衛隊の「何か純粋さ」を見つけしまったことを想像する。彼にとって行動もまた肉体や服装や思想以上に美しくあらねばならず、世にはびこる欺瞞性に我慢できなかったのだろう。敗戦体験、文学、演劇、写真集、自衛隊体験、楯の会、自決と介錯、これらはきっと三島の中で逡巡しながらも一本の線でつながっている。

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Posted by ブクログ 2016年10月14日

三島由紀夫は単なる人気作家ではなく、あの時代のスーパースターだったようです。当時80万部の平凡パンチが1967年春ミスターダンディの読者投票をした結果(11万以上の投票)は、1位が2万票近くの三島由紀夫で、2位以下が三船敏郎、伊丹十三、石原慎太郎、加山雄三、石原裕次郎、西郷輝彦、長嶋茂雄、市川染五郎...続きを読む、北王子欣也だったそうです。中川右介氏の「昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃」、2010.9発行です。文壇、演劇・映画界、政界、マスコミ百数十人の事件当日の記録をもとにしたノンフィクション

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年06月30日

「1970年11月25日あの奇妙な午後を僕は今でもはっきりおぼえている」と村上春樹の「羊をめぐる冒険」は始まる。昭和45年11月25日がどんな時代の一日であったかを知るにはとても良いやり方で、この本は書かれている。100人以上の著名人が11月25日をどう感じどう過ごしたか、又その人が三島とはどのよう...続きを読むな位置関係にあったかを知る事で間接的に時代と三島を知る事ができる。先の村上春樹にも少なからず影響を与えたはず。そして読めば読むほど、三島は自身の信じる陽明学、「知行合一」の最後の実践者であると再確認することになる。それから40年、時は流れて今、時の総理は憲法改正、自衛隊の国軍化を目指している。右翼化する日本と言う人もいる。しかし三島の時代と比べてもどれほどの人が憲法や自衛隊の事を本気で考えているのだろうか?平和ボケもいいかげんにして欲しいと言いたくなる。与えられた物に満足していてはいつまでたっても本当の戦後は終わらない。三島の檄文をあらためて読んでほしい。

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Posted by ブクログ 2017年08月18日

事件自体はほんの数時間の出来事だった。しかし、その事件の発生は
各界に大きな衝撃をもたらした。

日本を代表する作家であり、ノーベル文学賞受賞の可能性も取り沙汰
された三島由紀夫は自身が主催する民兵組織「盾の会」会員を引き連れ、
自衛隊市ヶ谷駐屯地を訪れた。

三島と自衛隊は近しい関係にあった。だが...続きを読む、この日の訪問は穏やかには
終わらなかった。

東部方面総監を人質に取り、自衛隊員にクーデターの決起を促す
演説を行う。三島の演説には自衛隊員からのヤジが飛ぶ。

これだけでも充分な大事件である。その後、三島は自衛隊員が彼と
一緒に立とうとしないことを確認し、切腹という方法でこの事件の幕
引きをする。

その日、昭和45年11月25日。三島由紀夫と盾の会の事件は、当時の
著名人、またその後、世に出ることになる著名人にどんな衝撃を与え、
何を残したのかを時系列で綴ったのが本書である。

膨大な資料を駆使して120人の事件の受け止め方を描いており、
この事件を検証した類書とは趣を異にしている。

今、「11月25日」といってもすぐに三島由紀夫と盾の会事件と答える
ことが出来る人は少ないだろう。あの日に何が起きていたのかを
追体験するにはいい。

事件検証の資料は何冊か読んだが、結局、三島由紀夫が何を思い、
このような行動に出たのかは分からなかった。

もしかしたら、クーデターなんて当の三島自身も可能だなんて思って
いなかったのではないか。あの日、東部総監室の赤い絨毯の上で
切腹し、死に至ることは彼が夢見たナルシシズムの終着点では
なったのだろうか。

「三島は季節を間違えたな。桜の季節にやるべきだった」

寺山修二が「天井桟敷」のメンバーに言ったという言葉が印象的
だった。そう、何故、11月だったのだろう。桜の舞う季節だった
のなら、その死はまた違った印象を残したのかもしれない。

三島さん、いや、公威さん、おもちゃの兵隊に囲まれて、あなたは
自分の理想とする死に方で死んだのですか?

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Posted by ブクログ 2012年01月19日

死後40年に蘇る昭和45年11月25日。120人以上の、どこで、なにをしていて、どう感じたか、を時系列で再現することで「日本で一番夕刊が売れた日」を体感できます。本人の言葉とか新しい事実とか再評価とか次元の違う記述がないことで自分にとっての三島事件を考えざるを得ない構成です。一瞬で砕け散ったガラスの...続きを読む破片が当時のすべての日本人の心にそれぞれに突き刺さっているのは、そして今もチクチクさせ続けているのは、この事件が思想の事件とか制度の事件ではなくて個人の肉体の事件だったからだと思いました。首の上と下が別々になった肉体の物語を、われわれはその後、消費し続け、そしてまったく消化できずにいます。この事件は、われわれのアタマとカラダをも別々にしてしまったのかもしれません。

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Posted by ブクログ 2011年11月30日

三島由紀夫自決から40年を記念して出版されたらしいが、三島自身の言動を描いた作品ではなく、当時の三島を知る人々や、何らかの形で三島とかかわりがあった人たちの事件に関する発言なり出版物を中心に構成されている。

そうか、三島はこんな人たちとの付き合いがあったのか!とびっくりするような場面が結構あったよ...続きを読むうに思う。

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Posted by ブクログ 2011年08月24日

この当日の、百数十人の文壇、演劇・映画人、政界やマスコミ関係者などの記録を時系列に追いながら、三島由紀夫の自決事件の真相と意味を問うたノンフィクション。

大変面白い視点で、人々と三島との関係性のみならず、登場した多数の著名人その人たちもなかなかに興味深い。

全体を一読した後のあとがきがまた非常に...続きを読む面白く、著者が、この三島事件という彼の一世一代の「大芝居」は、1970年代であったから成り立ったもので、現代の風潮を考えれば、もし今同じことが起きてもこうは行くまいと言うのには、膝を打つ思いだった。

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Posted by ブクログ 2010年12月16日

 面白かった。
 三島由紀夫が自決した「その日」に焦点を当て、三島と交友の会った人物たちの「その日」を時系列順に並べ、「その日」を再現している。
 三島本人は一切出てこないが、エピソードの集積が三島の側面を点綴し描き出している。

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Posted by ブクログ 2010年11月27日

この本では、三島事件そのものを描くのではなく、三島事件に人々(百数十人)がどう反応したかが、ほぼ事件前後の時系列で並べられている。実際彼らは興奮、驚愕、絶望、失望、感嘆、絶叫、唖然、愕然、反撥、嫌悪、嘲笑、様々な反応をした。
当時20歳で多くの三島文学を読んでいた僕は当然彼らと同じように呆然とした。...続きを読むそして多くのものが饒舌になるか沈黙した。
この日が「日本新聞紙上、最も夕刊が売れた日」だそうだ。

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Posted by ブクログ 2010年11月17日

三島由紀夫の子供と同級生だったので、翌朝母から事件を聞いた記憶がある。
事件が世の中に与えた影響の大きさも改めてわかったが、三島の広く深い交友関係に驚いた。
第3者の言葉や記述で事件を浮き彫りにしているので、かえって臨場感が高まっている。
ただし、120人は多すぎるように思う。

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Posted by ブクログ 2010年11月15日

三島と全くかかわりのない人も多く登場して、事件のインパクトの大きさが分かる。なかなか意外な人もいて面白い。

当時、小学生であった私はまだ三島の作品を読んだことがなく、名前すら身近なものではなかった。したがって新聞に掲載された不鮮明な現場の写真も、理解の範疇にはなかったのである。

対象を二人にする...続きを読むことで作者との距離を明確にし、スタンスをぶれさせず客観性を提供するのがこの作者の手法だったが、この作品では一人の対象を多数の目で観察するという方法を採っている。

聖子と明奈、カラヤンとフルトヴェングラー、そしてこの作品といずれも楽しませてもらった。次の作品が楽しみ。

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Posted by ブクログ 2022年04月18日

「昭和45年11月25日」
この日に起こったことが何なのか、知らない人はいないだろう。というか、少なくとも私と親しくしている人で知らない人はいないと思う。もっと言えば「知らない〜」という人とは親しくなれない気がする(笑)
それくらい大きな事件だったはず。
私はまだ生まれていない時の事件だけれど、もち...続きを読むろん知っている。演説もTVで見たことがある。檄文はもちろん読んだことがある。「楯の会」(会の中身が昔と同じなのかどうかは不明)の集会のポスターも見たことがある。

この本は昭和45年11月25日に何が起こったかを、当時の人たちの回想や寄稿文などを集めたもので、三島の行動ではなく、そのことを知った人たちがどうしたのかを集めてある。

とてもおもしろい本だった。久しぶりに本を読むのに熱中してしまい、電車を乗り過ごした。

この事件は今だったら映像も流れないし、まして三島と森田の首の写真など新聞に載せるはずもない。1970年だったからだ。(岡田有希子の飛び降り自殺の遺体の写真は見たな。1986年だって)

当時は携帯もない、FAXもない。カメラもフィルムだしデカイし重いし。
でも1970年11月25日のことは何らかの方法でみんなその日に知った。

私の母は当時高校生で、ちょうど事件はお昼時だったので校内放送が流れたそうだ。
「三島由紀夫が市ヶ谷の自衛隊に立てこもって、割腹自殺した!」
情報が得られるのはきっとTVがある職員室くらいだから、先生が流したのだと思う。
そういう女子校だ。私もその高校の卒業生だからよくわかる。三島を読んでた人もたくさんいたと思う。

この本はオススメしたい。
とりあえず、私の親友が三島ファンなので、貸す予定になっている。

ただ、ひとつ納得行かないのは「あとがき」。
三島は戯曲もたくさん書いていた(評価も高い)し、役者もやっていた(こちらは評価は低い)から、演劇に触れることは当然なので、歌舞伎のことに触れるのも当然なのだが(三島の歌舞伎作品は今もよく演じられる)、その中の一文に「海老蔵の時代が来る」とあり、ここだけは全く同意できない。この著者はかなり歌舞伎も見ていそうだし、これだけの資料をバッと集められたくらいなので(手持ちの著書・資料だけで100人分くらいの三島について書かれているものを集められたらしい)、知識も見聞も広そうだし確かそうなのに、「海老蔵の時代が来る」だと?
初版は2010年なので、海老蔵と言ったら今の海老蔵だ。
私は海老蔵の時代は来ないと思う。
少なくとも、歌右衛門や玉三郎と並ぶようなことはあり得ない。私が親しくしている人で海老蔵を評価している人は一人もいない。冒頭と同じになるが、海老蔵を評価する人とは多分親しくなれない。海老蔵で評価できるのは「見た目」だけである。写真集ならいいかもしれない。でも動いたらもうだめ。下手くそ!と、大向うをかけたくなる。無駄に目をギョロつかせるし。
アレで團十郎襲名はホントに困ったもので、だいたい古典ができないから、当初一昨年襲名予定のときの演目見たら2ヶ月歌舞伎座でやるのに同じ演目。結局演れるものが少ないということでしょう。なのに市川宗家。頭が痛い。
そこだけはこの著者に同意できないけれど、この本は「買い」である。ちゃんと紙で持っていたい。そして時々見返したい。

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Posted by ブクログ 2021年05月01日

三島由紀夫クーデター未遂、割腹自殺事件の1日を膨大かつ幅広い関係者の証言を淡々と集めた著作。そのためエンターテイメント的な面白さはないが、事件の時代背景、世間に与えた衝撃が生々しく感じられる。著者があとがきで、“現在の日本で三島ほどの著名な作家が事件を起こしてたら、全ての著作は販売禁止になるだろう”...続きを読むとあったが、このような現在の風潮に少し暗い気持ちになった。

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Posted by ブクログ 2013年04月16日

三島由紀夫の文学論に直接触れるのではなく、時代を共有した諸氏100名以上の回想を述べることで、却って三島由紀夫がどういう存在だったのか、そして昭和45年とはどのような雰囲気の時代であったのか、断片的にとはいえ分かり、非常に面白かった。

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