中川右介のレビュー一覧
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「昭和45年11月25日」
この日に起こったことが何なのか、知らない人はいないだろう。というか、少なくとも私と親しくしている人で知らない人はいないと思う。もっと言えば「知らない〜」という人とは親しくなれない気がする(笑)
それくらい大きな事件だったはず。
私はまだ生まれていない時の事件だけれど、もちろん知っている。演説もTVで見たことがある。檄文はもちろん読んだことがある。「楯の会」(会の中身が昔と同じなのかどうかは不明)の集会のポスターも見たことがある。
この本は昭和45年11月25日に何が起こったかを、当時の人たちの回想や寄稿文などを集めたもので、三島の行動ではなく、そのことを知った人た -
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10人の中にアバドとラトルが選ばれていたので、この2人についてはしっかりと、他の8人についてはパラパラと読んでみた。
生い立ち、指揮者デビュー、その後の活動という流れで、偉人伝のような内容にまとめられている。
指揮した曲やオーケストラについては割と詳しく書かれているが、どのような演奏をしたのかには言及されていない。
歴史上の人物の勉強をしているようで、「その演奏を聴いてみたい」と興味をそそられるような記述がなかったのが残念。
多くの人もそうだろうと思うが、私も物心がついた頃にはカラヤンという指揮者の名前だけは知っていた。
テレビが庶民の家庭にも入り込んだ時代、皆が力道山を見たように、カラヤ -
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いわゆる「二十四年組」を代表する二人のマンガ家である萩尾望都と竹宮惠子が、1970年秋から2年間にわたって共同生活をおこなった「大泉サロン」に焦点をあてて、彼女たちが成し遂げた「少女マンガ革命」について論じた本です。
著者がかなりおおざっぱな解釈の図式をもち込んだためにある種の愛好家たちの憤激を招いた例は、すでに『歌舞伎―家と血と藝』(講談社現代新書)がありますが、本書もさまざまな毀誉褒貶を呼び起こしているようです。
著者のいう「少女マンガ革命」は、直接には増山法恵のことばにもとづいているようですが、手塚治虫や石ノ森章太郎らの影響を受けた新しい世代の作家たちが、旧来の少女マンガの硬直したス -
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いわずとしれた近代史に残る世界三大権力者の、組織内をのしあがっていく彼ら独特の出世学、まあ要するにこの場合自分に反旗を掲げるものを次々と粛正していくだけ、という身も蓋もない事なのだけれど、組織のトップになる道筋について非常に独特でユニークな考え方を持つこの三人の人生を考察することで色々学ぶこともあるだろう、という書。
そういう意味においては実に面白かった。決して褒められた行いをした三人ではないが、というかむしろ虐殺した規模においては人類史上最悪の部類に入る悪党だと言えるけれど、人類の歴史というのは極言すれば侵略の歴史であり、それに伴う大量殺戮の歴史であることを考えると、彼らもまた人類の負 -
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江戸川乱歩と横溝正史。ある程度以上のミステリー(この場合は探偵小説と言った方がふさわしいか)ファンならば、この名前に、ドキドキやワクワク感、あるいは畏敬の念といったものを感じるのではないだろうか、
と言いつつ自分は、角川文庫ブームのときに横溝作品に触れたものの、乱歩についてはミステリーの紹介者、啓蒙者の立場からの評論から読み始まり、「孤島の鬼」や「陰獣」にハマり、少年探偵団シリーズは比較的最近読んだという読書遍歴である。
本書は、作家としても編集者としても活躍した、友人でありライバルでもあった両者が時に交わり、時に離れた、その関係性に焦点を当てて描いた、二人の評伝である。
こ -
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少女漫画版「トキワ荘」として知る人ぞ知る「大泉サロン」については、確かこれまで完全な第三者による単著はないはずで、その点だけでも価値がある。ただし、「トキワ荘」と比較して資料が圧倒的に少なく、当事者のあいまいな記憶に依拠せざるをえないため、基本的な事実の確定すら覚束ない。同著者の『手塚治虫とトキワ荘』では徹底した史料批判で事実の確定に努めたが、依拠資料の少ない本書では、結局誰がいつ「サロン」に出入りしていたのかという問題すらはっきりしない。キーパーソンである増山法恵には取材したような記述はあるが、非協力的だったようで、他の関係者には改めて取材はしていないようなのも、叙述の精度を落とす結果とな