あらすじ
本書は白井松次郎と大谷竹次郎の「松竹」兄弟と東宝、宝塚を含む阪急グループの創業者の小林一三の物語である。劇場の売店の子と裕福な商家に生まれた慶應義塾卒という対照的な両者は看板役者、大劇場をめぐって数十年のあいだ、しのぎを削る。それが現在の松竹による歌舞伎の独占、阪急グループの東宝、宝塚の繁栄につながっていく――。膨大な資料を読み解いて描き出した、新たな演劇史。
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Posted by ブクログ
なぜ松竹が歌舞伎俳優を抱えているのか、
それはそれは不思議でならなかったが、本書を読み、すっきりした。
ライバルとしての東宝との対比で描かれてゆくが、
どちらが主役というわけでもなく、丹念に少しづつ紐解くようにして、
時系列に整理されていることもまたわかりやすい。
松竹と東宝に就職することを願っている学生は必読だと思う。
Posted by ブクログ
新書はほとんど読んだことがないのですが、新書にチャレンジしたく、興味のある演劇についての本を選びました。初心者には少し長く、多くの方の名前が出てきて少しだけ混乱しましたが、歴史を追体験しているような気分になり、とても面白かったです!
Posted by ブクログ
本当に面白い。
時代がいつであろうと「ゼロからイチを生む」話は本当に面白い。
この手の物語はどんな話でも共通項があるのが不思議だ。
それは、今までの世界を壊して、新しいことを信念を持って生み出すこと。
興行の世界はもちろん歴史があるし、その中でうまく循環している権益があった。
それを松竹兄弟はバッタバッタとお客様目線でなぎ倒していく。
さらに東宝の小林一三はまったくの異業種出身。
銀行から鉄道業へ。それが宝塚を生み出すことになるとは、本当に人生何が起こるか分からない。
この2者に共通することは、ものすごくシンプルだ。
・現存のシステムに疑問があり、変革することに大きな野望を持っている
・目の前の課題を一つづつ確実に解決している
大きな野望も一足飛びには決してたどり着かない。
一歩ずつ一歩ずつ近づいていく。
ここで大事なのは、目先のことだけに捕らわれてないことだ。
つまりは、大きな野望があるから、方向性を見誤らない。
やっていることにブレがないのだ。
これは本当に大事なことだと思う。
人はつい楽な道を歩きがちだ。
しかし、ゼロイチ思考の人には、そういう観点はない。
楽な道が大きな目標のゴールにたどり着かないと分かった時は、当然に歩かない。
そこに迷いがないことだ。
現代のエンタメの基礎を築いた偉人。
本当に素晴らしい。
(2019/6/1)