上田紀行のレビュー一覧
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池上彰さんの「教養のススメ」の中に、この本には仏教についてわかりやすく解説してあるとあったため(たぶん)興味を持って読んでみた。
読み終わって、そもそもの目的の「仏教について」がどの部分なのかわからなかった。本全体の内容が仏教に通じるのだろうか?それはさておき、なかなかいいことが書いてあった。
↓以下ネタバレです
たとえば、モノでも人でも、それだけ、その人一人だけでは「〇〇である」という意味は持たず、外側にあるモノや人との差で、「痩せている」「頭が良い」「金持ち」
「質がいい」「小さい」「大きい」「安い」「高い」などが定義づけられる。要するに自分の価値は外部との差で決定する。という -
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生き迷っている私に何らかのヒントが得られるかとすがるような思いで読んでみた。……のだが、以前読んだ『生きる意味』でもそこはかとなく思っていた思いをより深く感じた。どんな思いかというと、そのとおりなんだけど美しい話すぎてとても現実社会を生き抜いていく参考にならないってこと。
でもこんなこと思ってしまう自分が、この本でいうところの自分にとって自分がかけがえのない存在になれていなかったり、愛するより愛されたい人間だということなのかも。
上田氏の生い立ちの話がなかなかびっくりだった。ちょっと普通じゃないからこういう人になるんじゃないの、なんて前の段落の人間らしいひがんだことを感じてしまう。 -
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仏門に入りながら大学教授として世界を回り様々な宗教、人に触れながら仏教を探索する町田宗鳳。方や文化人類学を探求する大学教授上田紀行。二人が仏教について語り合う。ただ、この本は2006年にだされたもので、当時、町田が56歳、上田は48歳。まだ考え方が若いと感じる。町田は、修行を重ね出家しているだけのことはあり、モーゼ、キリスト、マホメット、仏陀などは、当時の世の中を変えるため出てきた宗教の改革者であり、仏教は爆発だというのも、多少過激だが理解できる。
上田は、今の宗教家の批判が多すぎる。それが、社会の中から、仏教を変えていくことを唱えて仏教ルネッサンスを唱えているが、やや若いかなと思う。
今、二 -
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もう20年近く前の本。新自由主義とか「構造改革」とかが台頭しつつある頃にあって、警鐘を鳴らしているような内容。それから20年近くがたち、まあ、まさに著者が危惧しているようなことが現実として落ち着いてしまっているように思う。
この本で書かれているべき論がそのとおりになれば、それはそれでよいのだろうけど、ちょっとアオいようにも感じてしまう。何を求めてこの本を読み始めたのかいまやおぼろだけど、この本を読んだところでやはり生きる意味はわからない。ただ、生きるって何があろうとひとまずは生きて(しまって)いるから生きているのだと思う。この本に生きる意味が書いてあるんじゃなくて、結局は自分なりの生きる意味を -
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本来、自由人であるためのリベラルアーツだが、現代社会には自由市民など少なくなり、社畜と揶揄されるような(あるいは自嘲するような)都合良く洗脳された労働の奴隷が、別の奴隷のためにリベラルアーツを学ぶ時代。現代社会の悲劇として語る上田紀行氏、東工大のリベラルアーツ研究教育院長の発言は非常に考えさせられる。
教育の名の下に奴隷を育ててはならない。しかし、そうは言うが、社会にとって有用な人材だから用いられるのであり、それが所謂労働ニーズになるなら、我々は奴隷たることから逃れられず、自由市民にはなり得ない。我々自身も社会からの期待を将来像に設定するから、とがった夢を見ることも叶わない。つまり、社会的動 -
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大学時代にゼミで課題図書となっていた本。
社会人3年目も終わりに近づき、自分のやりたいことに立ち返る、もしくは再構築すべく、改めて読もうと思い立つ。
バブル期、終身雇用社会など、皆が目指す豊かさの理想像を追っていれば幸せだった時代から、
個人自立型社会となり、個人の幸せを追う(追わないといけない)時代になった。
与えられることに慣れている人間が、自らレールを作っていくって難しいなという原体験がある自分にとっても刺さる内容が多い。
特に第5章の内容がおすすめ。
誰の人生なのか。何を大切にしたいのか(人生における濃淡をつけること)。
生きる意味は、自分が置かれた状況によって進化していくものなの -
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ネタバレリーダーの教養書
■教養がなければ「奴隷」
・人は自分の価値基準に照らして初めて、意見や考えが出てくる。
・自分が関わっている事象について、自分が自由に考えるための基盤は共用
・自分以外の誰かが決めた価値基準への充足を強制される状態は「不自由」
自分の頭で考え、自分の言葉でものを言うことが「自由」
・教養があればあるほど、人間は快適かつ思い悩むことの少ない生活を送れる
・教養とは、自分の好きなものを学ぶことに尽きる。ワクワクする事
■リーダーとは
・労働条件とは「上司」
・教養がなければ人生を楽しめず、職場も部下も楽しく過ごせない
■経営判断とは「論理的な革新」
・物事を単純化して、要 -
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だいぶ前に読み終わっていたが、何をどう書き残すかにややとまどって、遅くなった。
読みにくい本ではない。
文章は平易。
上田さん自身の体験を交えての議論は具体的でわかりやすい。
たしかに、今の社会の閉塞感を変えるには、積極的に愛することは必要かもしれない。
その愛は、プラトニックなもの、博愛みたいなものから、偏愛、性愛を包含する。
愛に区別をつけられないのはわかる。
どこかで線を引くという行為は、どうしても恣意性を帯びる。
けれど、DVを伴う関係にも愛を認めることはできるか?
では児童性愛は?
これらの場合、愛としては認め、行為としては間違っているとすればよいのか?
なんだかそこがどうして -
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ネタバレ愛する意味
著者:上田紀行
発行:2019年6月30日
光文社新書
1990年の著作で「癒やし」という名詞形を世に放った文化人類学者にして仏教徒である上田紀行の最新本。広辞苑第七版にも、「癒やす」はあるが、まだ「癒やし」は掲載されていない(「卑し」は載っている)。この本は、今時の日本の若者が気にする「愛されたい」感覚、言い換えれば、「愛されていないと不安症候群(北原が作った言葉)」に悩む人たちに、文化人類学というより、心理学の対人認知的な切り口でアドバイスを送る生きるための指南書。僕と同じ年のせいか、彼の主張はどれも当たり前に聞こえる。それだからこそ勉強になった。今の若者はそうは思っていな -
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途中まで。
■教養の定義
・人が他者に強制されず、自分自身で作り上げていく独自の「価値基準」を持っているということです
・自由でない状態は奴隷の状態
・自らの選択肢を増やしてくれるもの
・ワクワクして楽しいもの
知りたい、興味を持ったことを
その時に調べてみる、詳しい人に聞く
→岩盤に突き当たるまで徹底的に
→その積み重ねで教養が身につく
■品があるの定義
→欲望への速度が遅いこと
→→即時即物的にではなく抽象度をあげて物事を理解しようとする姿勢
→→マンションを買うまで、一年おきにどこがいいか家を転々としてから買った人の話
抽象度が高ければ高いほど実は実用的
→普遍的だから