上田紀行のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ東工大で教鞭をとる文化人類学者の作者とダライ・ラマがダラムサラで2日間対話をした記録。高校の時に仏教学校に通っていた僕にとっては仏教の授業で語られることは「理想高く、しかし実践はなんか形式的」という印象であった。大学進学後は、仏教のことはほとんど考えたこともなく今に至る。それが、近年、キリスト教的一神教思想と密接な資本主義の行き詰まりがいろいろな所で語られるようになり、親鸞ブームのように仏教の教えは見直されてきているように感じる。そこで、入門書代わりにこの対話を読んでみた。
まず感じたことは、真偽のほどは不明だが、仏教会も医師会などと同じで「官僚化・硬直化」しているという事実。確かに、世襲制 -
Posted by ブクログ
宗教学と文化人類学を専門とする著者が、「生きる意味」を失った現代世相を分析し、日本人が「生きる意味」を取り戻すために必要なことについて考察した本。どんなことも数値化して客観評価を行うことや、一人ひとりの個性や感情を無視してひたすら効率化に走ることが、均質化した「取り替え可能」な人間を生み出していることを指摘し、これこそが「生きる意味」を失うことの本質であると主張している。そして、この状況を打破するために、一人ひとりが自分にとっての「ワクワクすること」を見つけ、ときには「苦悩」しながら「内的成長」を遂げることで、自分自身の人生を取り戻すことを読者に促している。
本書で提案されている内容は、現代日 -
Posted by ブクログ
読み応えのある一冊。
日本の仏教に希望を持てず、むしろ嫌悪していたわたしには、目の醒めるような内容だった。
著者のように、ただ絶望するのではなく、真っ向から立ち向かい、行動することが、正しい生き方なのだと思う。そんな問題意識と知性を持つ日本人がいてくれたことに感動すらした。
そして、その著者とのダライ・ラマ法王の対話がとても本質的で刺激的。熱を帯びた、充実した対話の様子が伝わってくる。
ダライ・ラマ法王の本にありがちな、「ありがたいお言葉」を並べた文言集ではなく、生のダライ・ラマに触れることができた気がする。一歩も二歩も踏み込んだ内容。
このような出会いがあるから、読書はやめられない。
対談 -
Posted by ブクログ
自分は、チベットの現状、特に人権状況に危惧感をもっている。そのため、ダライ・ラマに対してひいき目があるのはいなめない。
それを割り引いても、ダライ・ラマの話は、仏教、宗教くさくなく、魅力的。
①ダライ・ラマ:社会不正をただすために闘うという場合には、その目的が果たされるまでその怒りは維持されるべきである。(p95)
ダライ・ラマは怒らないといった宗教者がよくいう弱い発言はしない。チベットの人権問題で闘うダライ・ラマは怒りを持ち続けているのだろう。
②上田紀行:神がすべてを決定しているのではなく、自らが世界を作り出していくというのが仏教の立場であること、仏教とは発想の出発点 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
仏教が葬式仏教と呼ばれるようになって久しい。
日本の「ホトケ」はほんとうに死んでしまったのだろうか。
思えば私たちは仏教に何の期待もしなかった。
期待がなければ志も力も育たない。
しかし、いま志のある僧たちが、いろいろな活力ある仏教の実践を行っている。
経理の公開、NPOの主催、イベントを通してネットワーク作りを行うなど、他者との関係性=「縁起を生きる」を求める僧たちの活動が続けられている。
右肩上がりの時代が終焉し、現代は個人のかけがえのなさを喪失させる時代だ。
様々な苦を抱えて生きる私たちは、仏教にいま何を期待すればいいのか、お寺が変われば私たちの社会はどう変わるのか、仏教の -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
なぜ日本人は幸福になれないのか。
世界有数の豊かさを享受しながら、いつも不機嫌で疲れきった顔をしている人びと。
他人の視線ばかりを気にする若者たち。
効率ばかりを求める大人たち。
誰もが目に見えぬ重圧に、生きづらさを感じている―。
本書では、現代人が背負う「肩の荷」の正体を心理学、宗教学、文化人類学の見地を交えながら読み解く。
「肩の荷」とは、いったい何を、誰によって背負わされているのか。
どうすればおろせるのか。
人生の「孤独」と「癒し」の意味を問い直した思想的メッセージの書。
[ 目次 ]
序 なぜ「肩の荷」をおろせないのか
第1章 「自分」という重荷
第2章 「豊かさ」と -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
仏教とは、お布施を集め、暮地や駐車場を経営する宗教のことではない。
世間に縛られる凡夫を解放し、生きる喜びを与えてくれる宗教なのだ。
今こそ、仏教の原点に立ち戻るべきでは―。
本書では、元禅僧にして比較宗教学者と、“癒し”の文化人類学者が、日本仏教の再生について熱く討論。
「“悟り”と“狂い”は紙一重」(町田)、「仏教は人生をリセットする教え」(上田)など、宗教の本質を見抜いた独自の見解をぶつけ合う。
さらに、魅力あるお寺づくりや仏壇の復権についても提案。
現代人の魂に火をつける刺激的対談。
[ 目次 ]
第1章 仏教は爆発だ!―宗教の本質を考える
第2章 生きる意味を取り戻す -
Posted by ブクログ
この本を読んだ後は、なんともすがすがしい気分になれるのだろうと、すごく期待したのですが、難しい話が多く、考えさせられることが多かったような。それが逆に肩の荷になったりして自分の中でも矛盾になっているかも。
著者曰く、「やみくもに「肩の荷」をおろすのではなく、負っている肩の荷が自分にどんなメッセージを発しているのかを感じてみる、そのことが大切だと思います。」の一文にすべてが凝縮されているのかと。
「肩の荷」と思われることを具体例や過去の研究から説明し、それを取り払うのではなく、客観的に見極めたうえで、「肩の荷」を「自分そのもの」として定義し、生き方を見つめなおしましょうということが本書で得た結論 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
愛されるより愛する人になる。
私たちは社会の交換可能な消耗品、「使い捨て」ではないのです。
自分のかけがえのなさを取り戻し、社会の信頼を取り戻す。
愛されるよりも愛する人になる。
すべてはそこから始まります。
[ 目次 ]
プロローグ 交換可能でない「私」
第1章 ダライ・ラマの愛と思いやり
第2章 私たちは使い捨てじゃない
第3章 評価が、生きることの最終目標か
第4章 ネガティブなことに大きな価値がある
第5章 愛されるより愛する人になる
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ -
Posted by ブクログ
今週おすすめする一冊は、『「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ』。文化人類学者の上田紀行氏と、NPO法人自殺対策支援センター「ライフリンク」の代表・清水康之氏が自殺について語り合った対話の記録です。
日本では、1997年の金融危機の直後に自殺者が急増し、初めて年間3万人を超えました。以来12年間、毎年3万人以上の方が自ら命を断っています。一日に直せば80人以上。数字だけではなかなか実感がわきませんが、東京マラソンの出場者数がちょうど3万人と言われると、その数字がとたんに重みをもって迫ってきます。
でも、自殺について大っぴらに語られることはありません。自殺は忌むべきものであり、語られるこ -
Posted by ブクログ
いまの日本の社会は年三万人、一日三百人が自殺している社会。
確かに通勤電車が人身事故でよく止まるが自殺がこんなに多いとは。
日本より経済状況が悪い国が必ずしも自殺が多いとは限らない。
日本の社会特有の問題があるらしい。
日本の学校でイジメが起きやすい構造に似ているようだ。
日本の学校は、イジメが起きやすい環境。アメリカの学校では陰湿なイジメがめったに起きないらしい。アメリカの学校は人間環境が固定されていなくて《逃げ場》が出来る。
日本の学校は人間関係が1年間クラスで固定され《逃げ場》がない。
日本の社会も《逃げ場》がないから自殺に追い込まれしまう人が多いのではないか。
この不景気で自分自身も会