あらすじ
大学では何をどのように学ぶのか? 高校までの〈勉強〉と何が違うのか? 大学で身につけるべき教養とは?….池上彰,磯崎憲一郎,國分功一郎,中島岳志,中野民夫,伊藤亜紗,西田亮介…東工大でリベラルアーツ教育に携わる気鋭の大学教員たちが〈学び〉の意味を論じます.これから大学を目指す人,いま大学で学んでいる人へのメッセージ.
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Posted by ブクログ
大学で何を学ぶか、学べるのか、学ぶべきなのか、という点に焦点を当てた本。
各章で異なる教授が、自身の経験に即して考えを述べてくれる。
中には参考になるものも多く、私が言語化できなかった一般の大学生に対するモヤモヤをストレートに言語化してくれている方もいて流石だと感じた。
特に学びと海の羅針盤と教養はどのような時に役立つのか、試行錯誤から学ぶの三つが印象に残った。
小説などの本を読むことを通じて、社会について学び、学んだことから得た疑問を解決することで・・・と言ったループの中で自分の興味があるものを見つけること、社会の中で辛い時、1%のひつじになってしまうときにこそよくわからないけど感動した文学作品が活きること、「役に立つから」「正しいから」学ぶのか、尺度が変わる世界と自分の中で選択することの難しさがあり、自分が納得できる選択をする必要があること。
この三つだけでも本書から学び取り、胸に留めておきたいと思う。
私自身は大学卒業間近に読んでしまい、読めば読むほど自分が「してこなかった」ことについて解説がなされ悔しく思った。私のような学生を少しでも減らすため、大学1,2年生の後輩に嫌われない程度にそれとなくおすすめしようと思う。
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大学に合格してから、早一ヶ月が経過した。合格したときのワクワクや大学生活が始まる事への喜びは最早薄れ、日々に忙殺されている。さて、大学は何のために行き、何を学ぶかという本書の問いは、答えが一つに定まることはないと思う。私は、大学で色々な挑戦をして、これまで見えなかった新しい世界を見てみたいと思う。単位を取るということも確かに大事であるが、それ以上に学びに没頭したい。
Posted by ブクログ
たくさん本を読めば納得できることがたくさんあるが、受動的な教育を受けてきた高校を卒業したばかりの学生が読んでも難しいかもしれない。大学卒業時に自分が大学を通してやってきたことが正しかったのか、確認するために読むといいと思う。
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東工大のリベラルアーツ研究教育院の13人の先生方が「大学でなにを学ぶか」また、リベラルアーツ(教養)とは何か、という問いに答えている。
13人もの先生の話なので、一つ一つが短くて読みやすく、入学式での校長先生のお話のような感じだったが、次の4月から大学生の私にとってはとてもためになることばかりだった。
教養の重要性について熱弁している先生もいれば、読者に寄り添ってやる気を引き出してくれる先生や、自らの大学生活、さらには大学教員生活での経験をたっぷり書いている先生など同じテーマだが十人十色で、面白い本だなと感じた。
すでに2度読んだが、何度でも読み返したくなる良い本だと思った。
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日本経済新聞連載コラム「池上彰の大岡山通信」
18歳プラス”読書で視野を広げる”という記事の中で紹介されていた本。
池上彰氏をはじめ、13名もの著名人、大学教授の方々がそれぞれの考えを学生たちに語り掛けるように書かれている。学者としての姿勢を貫きつつも、決して上から目線ではなく、学生たちの自主性を喚起させるかのように書かれている姿勢に好感が持てる。リベラルアーツについて考える良い機会になった。いずれにしても、学生側の学ぶ姿勢も大事ではあるが、大学側もより魅力的な教育機関になることを切に希望する。
Posted by ブクログ
東工大で教鞭を取っている研究者たちの
若者へのメッセージ。
理系トップ大学の先生方が
リベラルアーツを勧めている。
でも、これって実は難しい。
私も大学時代は、やっと好きなことだけできる!
と思って、文学系の講義ばかり取ってたなあ。
他の分野は最低限だけ取って。
今なら、もっと幅広に学ぼうと思うのに。
でも、今の自分がそう思える人間になったのは、
大学時代に好きなことばっかりやってたからだとも思う。
生徒にも、視野を広くしろと指導するけど、
高校のうちに分からなくても良いと思っている。
いつか彼らが自分で気付く時のための種蒔きを
していると思っている。
Posted by ブクログ
高校生までは、先生や親の言う通りにしておけば「良い子」として評価してもらえる。しかし、社会に出ると、その「良い子」は「言われたことしかできない、創造力がない人間」となり、仕事ができないと評価される。
私は経験からこのように思ってきた。
では、大学で何を学べは良いのか。
本書の先生方の答えをまとめると、「自ら考え、問う」ことである。
学費は高いが、学問以外にも、自分を見つめなおし成長できる時間を与えてくれるのが大学だと感じた。
Posted by ブクログ
大変革期のVUCA(Volatile, Uncertain, Complex, Ambiguous)な社会では「定型業務の専門家」ではなく「適応力のある専門家」が必要だ。この混迷期に適合した専門家は、具体的知識(クイズ的知識)ではない、より高次な知識(メタ知識)を身につけた人のことで、アクティブラーニング(既存の知識を整理しなおす学習活動)を繰り返し行うことで育成される。
定型業務の専門家−−<知識のメタ化>−−>適応力のある専門家−−<リベラルアーツ教育>−−>リーダーシップのある専門家
『「リーダーシップのある専門家」になるために』(室田真男)より要約
Posted by ブクログ
今年度、本格的にリベラルアーツの授業を受け持つことで、予備知識を入れておくために講読。リベラルアーツっぽいことを講義する自信はあったものの、あくまで自己流だから、専門家・経験者のご意見を拝聴できた。
結論を先に述べると、教育する側として、既に理解している章もあれば、再発見できた章もあった。前者だと、池上彰「自ら問いを立てること」、國分功一郎「問いを発する存在になる」などは、普段の専攻教育科目でも発しているとおり。対照的に、後者の章としては、中島岳志「教養はどのような時に役立つのか」が、これまで頭の中でぼんやりと考えながら教えていた理想を、文章で具現化してくれていたうえで、非常に有益だった。20世紀の批評家・劇作家である福田恆存のメッセージ、すなわち「「99匹」のための実学、「1匹」のための教養」を事例としたのが、本章および本書の主題を明らかにするために、的を射ていた。リベラルアーツで得た「教養」というのは、「何らかの形で人生の前提が崩れた時」にこそ意味を持つものであり、大きな躓きを経験した時、「引っ掛かりのインデックス」が多いほど、危機に強い人間になる(68-69頁)。この点を、まだそれほど大きな躓きをしていない大学生に伝授できることこそ、リベラルアーツの授業に意味が出てこよう。
他方で、有用だったとは言い切れないが、いかにもリベラルでおもしろかったのが、中野民夫「僕は大学時代、何よりも旅から学んだ。」と、多久和理実「「リベラルアーツなんてやりたくない」という人へ」。これだけぶっ飛んだ大学生活を送れる余裕を、現代の大学生にも持ってもらえると、本書の役割も大きかったと言えるのではないだろうか。