五木寛之のレビュー一覧
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ネタバレ人生をいろいろな時代に区分けすることがあります。青春、朱夏、白秋、玄冬もそのひとつですね。著者は登山と下山を人生になぞらえ、50乃至60までを登山(青春~朱夏)、それ以降を下山(白秋~玄冬)に例えてます。そして、一般的に登山に比べ、下山は軽視(無視)されがちだけど、下るということも、とても大事なプロセスと説いています。ゆっくり風景を楽しみながら歩きたいですね(^-^)
自殺者が13年連続して3万人超。そして、東日本の大災害と福島原発の事故。いま、この国は、登山ではなく下山の時に入ったと思う。(コロナ禍で、さらにその思いを強くしています) 五木寛之「下山の思想」、2011.10発行、再読。 -
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本巻では、越後に流刑となった親鸞の姿を、ドラマティックに描いています。
著者は、外道院金剛という法力の持ち主を登場させて、専修念仏を説く親鸞の姿が対比的に描かれています。エンターテインメント性の強い作風なのはもとより承知していたのでいっこうに気になりませんでしたが、鎌倉時代の信仰を近代的なヒューマニズムに切り縮めてしまうことには、多少の違和感を覚えてしまいます。
とはいえ、親鸞が7日間に渡るぶっ続けの雨乞いをおこない、そうした彼の信仰の姿勢が庶民の心を打ったという展開は、エンターテインメント性を重視する小説家としての努力も理解できるので、どのように評価すればよいのか迷うところです。蓮如が主 -
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面白いとは思う。60年代の若者たちが熱狂した理由もわかる。彼らは本書を読みナホトカ航路を目指した。当時の船上には何人のジュンがいたことであろう。
しかし御都合主義が過ぎる。本物のジャズを求める旅がなぜセックス三昧になり、ジュンは挫折もなくこれほど万能なのか。荒野が人工芝のように感じる。そうか。平凡パンチに連載されていたのか。謎が解けた。否定するわけではない。極めて漫画的なのだ。現代であれば子供だましのフィクションと割り切れるが、情報の少なかった60年代、本書が若者たちの放浪の後押しになったことを考えれば多少の無責任さを感じてしまった。期待値が高かっただけに。
破天荒な60年代はこれでよかっ -
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「人間・親鸞をめぐる雑話」というタイトルで、三回にわたっておこなわれた著者の講演をまとめた本です。
網野善彦の研究以来広く知られるようになった中世のアジールに生きる人びとに目を向け、体制の外で生きる彼らの間で親鸞の教えが受け入れられていったという、著者らしい解釈がやさしく語られています。
著者の親鸞解釈には、宗教的な次元をヒューマニズムに平板化してしまっているきらいがあり、個人的には納得できないところがあるのですが、それでも小説の『親鸞』三部作には人間としての親鸞の魅力が十分に描き出されていておもしろく読めました。本書には、小説のように物語の力によって読者を引っ張っていくような魅力はありま