あらすじ
馬糞の辻で行われる競べ牛を見に行った幼き日の親鸞。怪牛に突き殺されそうになった彼は、浄寛と名乗る河原の聖に助けられる。それ以後、彼はツブテの弥七や法螺房弁才などの河原者たちの暮らしに惹かれていく。「わたしには『放埒の血』が流れているのか?」その畏れを秘めながら、少年は比叡山へ向かう。
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浄土真宗を開いた親鸞上人を描いた大河小説。上人が仏教と向き合う苦悩だけではなく、歴史小説、ミステリー小説、冒険小説などあらゆる要素が詰まっていて、読み進むのに倦むことはない。
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(2010/5/28)
学生時代、歴史小説を読み漁った。
巨人の星(梶原一騎)、心技体(二子山勝治)に続いて人生に影響を与えた宮本武蔵を皮切りに、吉川英治の長編は全部読んだ。新書太閤記、私本太平記、新平家物語、三国志、新水滸伝、そして親鸞。
ついでに司馬遼太郎の坂之上の雲、竜馬が行く、国取物語、山岡荘八の徳川家康。
話がそれた。そう。学生時代以来の「親鸞」を五木寛之で読んだ。
ヒーローのいる小説と比べ、親鸞は理解しにくかった覚えがある。俗っぽいお坊さん、程度の認識だったかもしれない。「善人尚もて往生をとぐいわんや悪人をや」の意味も十分理解できなかった。
今回の五木親鸞はまず、楽しい。冒険活劇のように、まだ親鸞と名乗る前の11歳の忠範少年を活躍させる。史実ではないのだろうが、暴れ牛が目に浮かぶようだ。続いて比叡山で修行する29歳の範宴。俗から離れた僧のあり方に疑問を感じ、市中に身を置き始める。女性と出会い、、、ってところで上巻は終わり。
楽しく読ませてくれる。
下が楽しみ。
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五木寛之の本は初めて読んだ。歎異抄を読もうと思ったが、その前に親鸞とは何かを読んでおこうと思って。凄い本。怒涛の展開で一気に読んだ。平安から鎌倉という舞台でしかも仏教の話だから、退屈な展開かと思ったがとても引き込まれて読み進めた。親鸞の仏教に対する真摯さは分かるな。どんな分野でも同じような悩みはあるはずだ。突き詰めると狂っちゃうような。次巻以降も楽しみ。しかし人の命が軽い時代なんだな。
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発刊された時から読みたくて入手したものの、ながく手をつけずに寝かせていた一冊。
今が読むタイミングだったのだろう。
不思議とそんな気がする。
感想は下巻を読み終えてからとし、上巻では評価のみ。
説明
内容紹介
馬糞の辻で行われる競べ牛を見に行った幼き日の親鸞。怪牛に突き殺されそうになった彼は、浄寛と名乗る河原の聖に助けられる。それ以後、彼はツブテの弥七や法螺房弁才などの河原者たちの暮らしに惹かれていく。「わたしには『放埒の血』が流れているのか?」その畏れを秘めながら、少年は比叡山へ向かう。
内容(「BOOK」データベースより)
馬糞の辻で行われる競べ牛を見に行った幼き日の親鸞。怪牛に突き殺されそうになった彼は、浄寛と名乗る河原の聖に助けられる。それ以後、彼はツブテの弥七や法螺房弁才などの河原者たちの暮らしに惹かれていく。「わたしには『放埒の血』が流れているのか?」その畏れを秘めながら、少年は比叡山へ向かう。
著者について
五木 寛之
1932年福岡県生まれ。朝鮮半島より引き揚げたのち、早稲田大学露文科に学ぶ。PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門』(筑豊篇ほか)で吉川英治文学賞を受賞。81年より一時休筆して京都の龍谷大学に学んだが、のち文壇に復帰。2002年にはそれまでの執筆活動に対して菊池寛賞を、英語版『TARIKI』が2002年度ブック・オブ・ザ・イヤースピリチュアル部門を、04年には仏教伝道文化賞を、09年にはNHK放送文化賞を受賞する。2010年に刊行された本書は第64回毎日出版文化賞を受賞し、ベストセラーとなった。代表作に『戒厳令の夜』、『風の王国』、『風に吹かれて』、『百寺巡礼』(日本版 全十巻)など。小説のほか、音楽、美術、歴史、仏教など多岐にわたる活動が注目されている。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
五木/寛之
1932年福岡県生まれ。朝鮮半島より引き揚げたのち、早稲田大学露文科に学ぶ。PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、’66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、’67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞。’76年『青春の門』(筑豊篇ほか)で吉川英治文学賞を受賞。’81年より一時休筆して京都の龍谷大学に学んだが、のち文壇に復帰。2002年にはそれまでの執筆活動に対して菊池寛賞を、英語版『TARIKI』が2002年度ブック・オブ・ザ・イヤースピリチュアル部門を、’04年には仏教伝道文化賞を、’09年にはNHK放送文化賞を受賞する。2010年に刊行された「親鸞」は第64回毎日出版文化賞を受賞し、ベストセラーとなった。小説のほか、音楽、美術、歴史、仏教など多岐にわたる活動が注目されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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忠範の頃から比叡山に入って範宴となり、比叡山を出ると決意するまで。
難しい本なのかと思ったら、すごく読みやすいし面白いし、登場人物の魅力がすごくある!
下巻も楽しみ。
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ひょんなことから友達から借りた本。
何の気なしに読み始めたけど、第1章からものすごくテンポが良くて、次が気になる書き方。
ここまで次が気になった本はあまりないかも。
というわけで星5つです。
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自分の家の宗派が浄土真宗ということもあり、昔から気になっていたが、この前お坊さんの話を聞いて、さらに知りたくなり読んでみた。
親鸞という名前しか知らなかったが、彼がそこに行くまでの経緯。誰を慕っていたのかなど、過去に学校で学んだことが蘇ってきた。
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多分に創作も含まれるんだろうけど、なかなかに興味深い親鸞聖人の話。小学生の頃からその名前は知ってるけど、その生涯については全くの無知。暗い闇を宿した目とか、破天荒な人間との付き合いとか、意外に人間くさいところが色々と垣間見れて、楽しく読み進められる。しかし、”検非違使”って響き、久しぶりに聞きました。
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とても面白く読みました。はじめは、時代小説なのに文体は普通で違和感を感じていましたが、最後にはすっかりなれてのめり込みました。下巻が楽しみです。
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ずっと積読だった本を読みはじめた。さすがに五木寛之の本は面白い。平安末期から鎌倉時代にかけて多くの宗派が乱立するわけですが、今ひとつよくわからなかった。
この本は、そこいらへんのことを整理してくれる。
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「人はみな平等である。身分や職業の高下などない。この世に生きることは苦しい。心と体が痛む者を助けなければならぬ。よりよく生きる道をさがそう。そしてよろこびをもって生きよう。それ以外に何がある?いってみろ」河原者法螺房弁才の言葉に藩宴は・・・。
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フィクションの世界
山口晃画伯の挿画集と並行して読み進めた。
挿画とその作成過程が手助けになる。
親鸞と言う存在、浄土真宗の租が少しだけ分かる気がした。
その他はエンターテイメントだった全6巻。
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最終的に浄土真宗を広め歴史に残る僧となる親鸞、そうなることがわかってその幼少期や青春期を読むのがとても興味深い。あまり記録が残っていないとされているからほとんどフィクションの世界かもしれないが。
平安末期から鎌倉時代の話とは思えないほど、現代と通ずるところもあり面白く読めた。
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上下巻を通しての感想。
簡単にいうと幼い頃から、親鸞という名に至るまでの話。
後白河上皇、平清盛やら歴史上よく知られている人物が登場し、末法の世としてその頃の世情が描かれる。
そんな中、世俗の民と心安く語らい、ツブテの弥七や法螺房など無頼の徒と出会い、彼らと固く結ばれる。没落貴族の出である幼い親鸞が出家を決意し、比叡山に登り、座主に贔屓にされる中、仏教を極めようとするが、途中から聖徳太子に導かれ法然上人の念仏に帰依し、比叡山を去る。そこで法然からも格別の期待をかけられ念仏にを進化させて行く。途中、紆余曲折はあるものの、法然から受け継いだ信念を曲げずにひたすら突っ走って行く。
最終的に弾圧され、京都を去ることとなるが、その際の妻のありようと弥七の別れの挨拶は何ともカッコいい。
親鸞そのものに焦点が当たっているので仕方ないのだが、周囲の弥七や犬丸、敵役の良善や平四郎も魅力的なキャラクタとして物語を盛り上げている。
物語として面白く読めた。
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伝説の人親鸞の、激動の人生。比叡山を降りる決心をするまでの上巻。生まれながらにして才能を持っていたとはいえ、幼少期での偶然の出会いが運命を大きく変えていく過程が丁寧に描かれている。ロマンス要素や大事な人の救出劇等、見所が髄所にある。身分を不要とし、動物がごとくものに執着しない心持は自分の生き方において指針になり得ると考えた。 人間本来が持つ様々な欲を抑制しつつ悩む過程は他の宗教偉人小説に必ず出てくる要素ですね。
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友情、勝利、努力、愛情、争い、裏切り、悲劇的な別れなど、色々あり大変スペクタクルで面白かった。まだ親鸞は親鸞ですらない段階ですが。
親鸞、とても優秀で努力を怠らない上に周りの人望も熱い割に世俗的な悩みに囚われていて好感が持てる。
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もっと坦々と語られるのかと思ったら、かなりドラマチックに親鸞の少年時代が描かれています。
「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」親鸞といえば……という歎異抄の一節ですが、小説もそこを軸に語られています。
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どこまでが実話?すべてが物語?よくわからないが、引き込む力はすごいと思う。これから、どうやって浄土真宗が興ってゆくのか先が気になるが、単なる青年僧の成長物語として読んでも面白い。
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『他力』(講談社文庫)や『蓮如』(岩波新書)などの著書があり、浄土教に造詣の深い著者が、若き日の親鸞をえがいた小説です。
のちに親鸞となる忠範少年は、八歳のころに両親をなくし、伯父である日野範綱の家に引きとられます。ある日彼は、馬糞の辻でおこなわれる「競べ牛」の見物に出かけ、河原坊浄寛という聖や、ツブテの弥七、さらに法螺坊弁才といった、個性の強い男たちに出会います。さらに、日野家の召使いの犬丸から、忠範には彼の祖父・日野経尹と同じ「放埓」の血が流れていることを教えられます。
そんなある日、犬丸が「六波羅王子」という異名をとる伏見平四郎に捕らえられるという事件が起こります。浄寛たちとともに六波羅王子の屋敷に向かった忠範は、戦いの末、犬丸を救出することに成功します。無事に忠範と再会した犬丸は、後白河法皇の命を受けて世間の動きを探っていたことを明かします。そして忠範は、犬丸の推挙を受けて、仏門に入り比叡山の慈円のもとで学問と修行をすることになります。
忠範は、慈円から範宴という名前を授かり、やがて吉水の法然の説法を聞いてくるように命じられます。そのとき、まだ範宴は、法然の教えを受け入れ彼のもとに推参する期が熟していませんでした。しかし若い範宴は、自分のめざす学問と修行は、浄寛たちのような闇に生きる人びとに救いをもたらすのだろうかという悩みをいだくようになります。そんなある日、弁才と再会した範宴は、弁才が病に苦しむ貧しい人びとのために尽くしていることを知り、自分の進むべき道について考えを変えることになります。
前巻では、若き日の親鸞の苦悩が描かれています。ストーリーそのものもおもしろいのですが、ここからどのようにして、親鸞の宗教的な思索が織りあげられていくのかということが、一番気になります。
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坊主エンターテインメント。初の五木寛之作品で、ほぼ装丁が気になって買ったので、読むまでどんなもんかと思ってたら、意外におもしろい。危機が意外とすんなり切り抜けられたりするけど、それはそれ。
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平安から鎌倉に変わる動乱期に、日野忠範として生を受ける。
御白河上皇の助けもあり、叡山に入山し、範宴として修行を積む。
そんな中、法然に出会う。叡山の修行は研究に似ていると思った。
黒面法師になぜ狙われるのか不明。ようやく山を降りる決意をする。
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「この世に生きることは苦しい」
苦しい上で、どう生きるか。
どう生きれば喜びを感じれるのか。
よろこびを探して、見つけていくということが「人生」というものなのかなと思った。
この本は親鸞の幼少期(忠範8歳)〜範宴29歳の時のお話。
親鸞周辺の登場人物が
主人公は浄土真宗の開祖ということで大変に有名な親鸞であるが、高名な宗教家を扱っているのしては、あまり抹香臭くない作品である。創作であるとは思うが、親鸞周辺の登場人物が大変に生き生きと魅力的に描き出されている。
しかし、現代と比べて人の命が門灯に軽かった時代だったんだなと感じた。
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1173年4月1日は親鸞上人の誕生日、と歴史カレンダーにあり、日本版宗教革命というべき人の事跡を読むにはこの古典か、と思い手にとった本。
9歳で出家した親鸞は、比叡山で20年修行を積みます。浄土教の先輩の法然も天台僧であったらしく、2人とも、比叡山で総合教学と各種の行を学んだ結果、念仏を選んだ訳です。特に親鸞については、底辺の人々の生き様に触れ、驚き、後の悪人正機の悟りに繋がっていく伏線が描かれています。
このような宗教者の小説にありがちなのですけど、宗教者としての足跡を追いかけようとするあまり、歴史小説としての考証が弱くなることがあります。宗教者の奇蹟と悟りなら、その教団が出す本を読めば良いのですから。
ということで、この上巻で一旦置くことにしました。自分の中でもう少し熟してから、むた考えようと思います。
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平家が廃れ源氏の世になろうとしていた時代
後白河法皇は武力ではなく歌の力で世を治めたいとしていたとか
忠範は口減らしで出家し、比叡山の僧となり、範宴となった。己の煩悩に悩み、仏とは何かという根本的な問いに悩み、今の仏道が弱き者の為にという本来の姿ではなく、貴族などの為にあることに疑問を感じていた。
比叡山を下り、世俗の中で仏道を、己を見つめ直すことにした。
意外と読みやすい。
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「念仏をとなえて浄土へうまれる」修業、学問、悟りを求めること不要と法然は説くのだった。彼は範宴(若き日の親鸞)と同じ比叡山で修業し、将来を約束されたがなぜ下野へ下ったのか、その教えが多くの民衆に受け入れられる意味とは・・・下巻につづく
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全2巻。
ただ、続篇で「激動篇」が2巻あり、
現在「完結篇」が連載中。
坊さんだけどそんなに抹香臭くない。
特に序盤の本著は、幼少時代から始まることもあり、
冒険したり仲間に助けられたり戦ったり、
素直にワクワク読み進められる。
吉川英治版より、より「冒険活劇」なイメージ。
ただ、執筆年数、物語内の年数ともに長いので、
序盤で活躍したキャラ、
キーになるだろうと予想されたキャラ達が、
どんどん影が薄くなり、
使い捨てられてる感じがある。
まだ完結してないので何とも言えないけど、
すっきりしない感じが残りそうで不安。
何はともあれ完結を待っています。