五木寛之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
大阪は商売のまち―というのが現在の我々の認識だろう。しかし、大坂~大阪は宗教都市として発展してきた歴史がある。
大阪を南北に貫く大動脈「御堂筋」は、もともとは北に津村御堂、南に難波御堂という2つの寺院を結び付けていたことに由来する。また、道頓堀にかかる橋は戎橋や大黒橋など、神様たちの名前がつけられている。当初は大坂と呼ばれていたが、土に返るという字を嫌って大阪と改められたという。
16世紀に蓮如上人によって築かれた石山本願寺は、いまの大阪城の建っている場所にあったとされる。その周辺に寺内町と呼ばれる都市が形成されていき、現在の大阪の原型が出来上がった。寺内町には全国から訳ありの多様な人々が集まり、商業から文化芸能に至るまで、大阪を形成する要素が宗教都市のフレームの下に成立したのだ。
その後織田信長との10年に亘る戦闘を繰り広げ、信長と秀吉はこの大阪の活力を楽市楽座や河原者を文化人として扱うといった形で自らの経済力に吸収していった。結果として、徳川幕府のような東国の封建文化とは異なるフラットかつ闊達な大阪という独自の都市が形成されていった。