有栖川有栖のレビュー一覧
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ネタバレ作者自身が選ぶどんでん返しをテーマとする6篇の自作品。
【綾辻行人「再生」】
既読の作品だったが、言われてみれば確かにこれはどんでん返し(笑)
【有栖川有栖「書く機械(ライティング・マシン)」】
これは究極の缶詰め状態。作家としては自虐的ネタだろうか。
【西澤保彦「アリバイ・ジ・アンビバレンス」】
アリバイ崩しの作品だが、犯人の行動は今一つ腑に落ちない。
【貫井徳郎「蝶番の問題」】
探偵役による手記の解読は鮮やかだったが、どんでん返しとなる結末はどうも・・・。
【法月綸太郎「カリバリズム小論」】
『法月綸太郎の冒険』収録作とのことなので、既読のはずだが、ストーリーをまったく覚えていなかった。「私」と向き合う綸太郎の態度がどうもおかしいことの理由が最後の最後に明らかになり、なるほどそういうことかと納得するとともに、空恐ろしくなった。
【東川篤哉「藤枝邸の完全なる密室」】
言うなれば二重密室という状況になるのだが、後半の探偵と犯人のやり取りがおかしくて、笑ってしまった。でも、もう一ひねりした結末を私は予想したのだが。 -
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ネタバレ鉄道をモチーフに綴られた怪談集。
王道の幽霊ものからホラー要素の強いもの、ファンタジックなものなどバリエーションに富んでいる。
それらに「鉄道」という共通項があるからか、不思議とまとまった印象の残る一冊だ。
中には大海原、船上が舞台に船の怪談話が語られる話もある。どこで鉄道とつながるのかと思ったら、ラストに登場したファンタジックでSFっぽくもあった。
思えば、幽霊という過去にとらわれたままの存在に時を超えて遭遇するのだから、怪奇現象も幽霊もSFの要素があるのかもしれない。
個人的に「最果ての鉄橋」の三途の川を渡るのに舟からフェリーになり、輸送力をあげるために鉄道になったという設定が好き。鉄道好きならではの発想だと思う。
建物が少なく、車窓からの景色もよくわからない夜に人気の少なくなった列車に乗っていると異世界に行ってしまうのではないかという気分になる時がある。
あの世や物の怪の世界など、鉄道というのは異世界とこちら側をつなぐツールとしてとても魅力的なのだな、と改めて感じられた作品だった。 -
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ネタバレ「先生の声が聞きたくて」気だるい日曜日、さしたる知り合いでもない男の電話。それが臨床犯罪学者・火村英生を血塗られた殺人現場へいざなう一報だった。双子の弟を殺めました、男は呻くように言った。明日自首します、とも。翌日、風薫る兵庫の高原で死体が発見された。弟と、そして当の兄の撲殺体までも…。華麗な推理で犯人に迫る二篇に加え、話題の異色作「ミステリ夢十夜」を収録!
謎としてはうーん、てかんじ
夢十夜
最初に読んだときはミヒャエル・エンデぽいと思った。
中の人バイトが切ない…
アリスはあまり夢を見ないって他のはなしで言ってたと思うけど、第二夜とかも普通に悪夢では
オノコロ島
仕事したくない病のアリスがちょっとした旅行を楽しんでて、地の文にもそれがにじみ出ていて面白い。
対して、解決しても推理もしてないと嘆く火村は余裕ゼロ。
野上さんがすごくいい。
フーダニット
珍しく火村を気遣うアリス。
この距離感がいい。
ただ、火村が犯人を追い詰めずに、自首を勧めた理由がよく分からなかった。
「探偵とは死者の声を聴くことができるもの」 -
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「夜半のちぎり/岡崎琢磨」
シンガポールの新婚旅行で奥さんが殺される。そこで元カノも結婚していて、彼と来ている。その彼が実は今の奥さんとも付き合っていて犯人というだけの話。
「透明人間は密室に潜む/阿津川辰海」
これは力作ですね。なぜか肌が透明になる人たちが現れてきて、そうなると透明人間は不便。人とぶつかるし、食べ物は見えるし、病院で患部の診察もできない。それでメイクを施すことになる。透明であることを利用して殺人事件を試みるのが出足。倒叙ということになる。身体に吸収したものは老廃物でも透明だがそれ以外は見えてしまうので爪の間の垢、歩いた時についた泥なども危ない。人通りの少ないところを探すのに数日をかける。殺す相手は透明化を直す薬を発見した博士。それなら助かるんではないかと思うが。慎重の上にも慎重に殺害を実行するが、夫にはバレバレで後をつけられている。殺人は成功するが、犯人がどこにいるか分からない。ガラスをばらまいたり、指し棒を無秩序に振り回すがいない。実は、死体の上に横たわってたいというアイデアが面白い。さらに動機。実は透明を利用して他の人になりかわっていたので、透明でなくなるとそれがばれてしまうというもの。透明人間のディテイルから、透明人間の殺害のあれこれ、動機まで腹いっぱいのアイデアが詰まってました。
「顔のない死体はなぜ顔がないのか/大山誠一郎」
顔のない死体とクビのない死体は違う。ともに通常は別人に思わせるためのトリックというのが定石だがそれを覆すアイデア。顔がないと身元が判明しないので、歯型から歯医者を探すことになる。どこの歯医者にかかっていたのか分からないので近くの病院に照会をかける。実は死体の女性はその歯科医と不倫していて、元夫の犯人は、自分の子がその歯科医の子どもなのではないかと疑い、彼のDNAを採取したくて企んだもの。なかなか面白い。
「首無館の殺人 白井智之」
これはひどい。殺人後雪が降っていたが足跡がないことから密室状態。本館から別館に移るのにロープはない。死体の腸をひっぱりだしつないでロープにしたというもの。
「袋小路の猫探偵 松尾由美」
袋小路で女性モノのハンドバックを持った泥棒の若者とそれを追いかける警官と会うが警官だけが消えてしまう。いかなるトリック?泥棒は警官姿で、警官が若者の格好だった。袋小路は泥棒の家があるところだった。シンプルなディスミレクション。
「葬式がえり 法月綸太郎」
ある場所で「杜若」を謳っている悪霊が出るという噂を逆手にとって悪霊のせいにして殺人を行う。
「カープレッドよりも真っ赤な嘘 東川篤哉」
カープのCのマークは外国の球団に同じものがあり、カープファンではなく、外国の球団だったというオチ。それがマニアックなチームの話で分かるというのもので、無知のワタシには面白くないが、そういうトリックもあるんだというところでは面白かった。
「使い勝手のいい女 水生大海」
元彼を殺したと錯覚する描写をさせて、実は違ってたというミスディレクション。文章表現のトリックが面白い。
山麓オーベルジュ『ゆきどけ』 西尾維新」
動機について、全く動機のない殺人がある。成績が下がって試験に落ちるのが嫌で、弟を殺す。その用事のために替え玉受験をさせる。替え玉受験のための殺人。
「ヌシの大蛇は聞いていた 城平京」
沼に死体をすてた犯人。どういう意図があったのか。警察にその沼をさらってもらいかった。沼の主、大蛇とのやりとり。
評論
「吠えた犬の問題 有栖川有栖」
出来不出来が激しい。これが今年のベストとは到底思えない。本格ミステリ作家クラブ選ということで限られたものだからかもしれない。