井上ひさしのレビュー一覧

  • うま――馬に乗ってこの世の外へ――

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     神曲そしてプラトンの作品と若かった頃は戯曲も読みましたが、このごろではずいぶんのご無沙汰です。ワタシは戯曲作品に入り込むのがかなり時間がかかりますが、いったん入ってしまえば本をひらけばすぐにその世界に戻ることができます。この作品もそんなふうに時間を忘れて読むことができました。
     ずいぶん悪党な太郎の生き方と無邪気で哀れな他の登場人物が大きく対比されていて面白いながらも悲しい作品でした。自分の置かれた環境とそれに対する自分自身の置き方、強く立つその立ち方について考えさせられる作品です。

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    2024年01月31日
  • 新釈遠野物語

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    軽快な語り口。巧妙なプロット。読後に味わう悲哀。東北の山水とそこに生きる人びとの奇譚。いずれも印象深い話だった。川での生死をめぐる話『川上の家』と『鰻と赤飯』の余韻は忘れがたいものだ。

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    2024年01月01日
  • 吉里吉里人(上)

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    この作品は物凄く混沌としている様に見えるよう作られている。読みにくいとか余計な脱線があるという意見もあるようだけれど、世の中、世知辛さ、情、抵抗活動、どうにもならないもの、無念、舞台は田舎であるし、秩序でできた煌めく小綺麗な文章でこの独立運動がもし書かれていたら、それは吉里吉里人の話ではない。
    現代のコスパタイパ思想に浸かってしまう学生時代に、この作品を読めて良かったが、社会人など時間に追われるようになると、この作品の無駄さ、豊かさなどは、味わうのは難しいかも。
    それと政治の諸問題をこんなに分かりやすくした物語は珍しかった。

    日本から独立するって話は、昔、村上龍なども書いていたように記憶しているけれど、きちんと独立して平和に世を治めたハッピーエンドの話は読んだ事がまだない。ライトノベルだと別世界を統治する系の話はよくあるようだけれど、日本が舞台で、政権を転覆させてそれをやるのは難しいのかしら。と、これを読んだ当時、思っていた。

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    2023年10月22日
  • 父と暮せば

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    井上ひさしの傑作戯曲。井上はこの作品を描くために広島に通い詰め、被爆者の手記を筆記したという。原爆に翻弄された父と娘のおかしくも哀しい物語を、父の幽霊と暮らすという舞台ならではの仕掛けで描く。

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    2023年08月28日
  • 父と暮せば

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    「ピカ」で愛する人々を失った若い女性。
    自分は幸せになってはいけない、そんな権利はない。
    一心に思いつめる傍ら、ほのかに恋をしてしまう

    思いは亡き「おとったん」の姿で現れ
    女性の背中を押す

    「わしの分まで生きてちょんだいよォー」
    父親の想いが悲しい

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    2023年08月09日
  • 吉里吉里人(中)

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    抱腹絶倒とにかく面白い。ジャンルを言うなら妄想小説R15指定。主人公のオッサンにイラッとしながらもぐいぐい引き込まれていきます。
     出会いは行きつけの大型書店。奇抜なタイトルが目に入って書棚から手に取り、表紙の絵に惹かれてペラペラ捲って見る。ルビが多い小説だと思ったらなんと東北弁訳。期待値マックスでレジへと直行でした。
     物語はと言うと・・・これが実にえぐい話なのです。小説が醸し出す独特の世界観に酔います。まずはご一読あれ。

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    2023年07月27日
  • 吉里吉里人(下)

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    抱腹絶倒とにかく面白い。ジャンルを言うなら妄想小説R15指定。主人公のオッサンにイラッとしながらもぐいぐい引き込まれていきます。
     出会いは行きつけの大型書店。奇抜なタイトルが目に入って書棚から手に取り、表紙の絵に惹かれてペラペラ捲って見る。ルビが多い小説だと思ったらなんと東北弁訳。期待値マックスでレジへと直行でした。
     物語はと言うと・・・これが実にえぐい話なのです。小説が醸し出す独特の世界観に酔います。まずはご一読あれ。

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    2023年07月27日
  • 吉里吉里人(上)

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    抱腹絶倒とにかく面白い。ジャンルを言うなら妄想小説R15指定。主人公のオッサンにイラッとしながらもぐいぐい引き込まれていきます。
     出会いは行きつけの大型書店。奇抜なタイトルが目に入って書棚から手に取り、表紙の絵に惹かれてペラペラ捲って見る。ルビが多い小説だと思ったらなんと東北弁訳。期待値マックスでレジへと直行でした。
     物語はと言うと・・・これが実にえぐい話なのです。小説が醸し出す独特の世界観に酔います。まずはご一読あれ。

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    2023年07月13日
  • 父と暮せば

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    この作品も収録されている、『戦争と文学シリーズ』を知りました。文学を通して、そこに生きた人達の心情までありありと伝わってくる。
    ただただ真実を受け止めて、知ろうとする事を続けていく。心に焼き付けたい。世界の向かう指針として。

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    2023年03月29日
  • 吉里吉里人(中)

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    上巻感想参照。
    中巻で600pという見た事のないボリュームだが、上巻から一切衰えない牽引力でグイグイ読ませる。

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    2023年02月01日
  • 新釈遠野物語

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    遠野物語をもとにしたと思われる短編集。これはおもしろい。
    遠野物語の原作を読んだことがないので、どのくらい原作に忠実なのかわからないけど、どこか胡散臭い犬伏老人の語る話は幻想的な話や怪奇的な話などバリエーション豊かでテンポがよく、ハズレ無しの面白さ。
    最終話でキッチリとオチまでつけてくれる丁寧さで、大満足の一冊でした。

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    2023年01月16日
  • 父と暮せば

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    死んでしまったあの人のことを思うと自分は幸せになってはいけない という気持ちを本当の本当に理解することはできるだろうか。幸せになっていいかどうかというより、今もうすでに幸せである。
    と考えると、被曝体験は想像することもできないくらいの次元の違う悲惨さだっただろうと思った。被曝以前に、自然な老い以外で身近な人と死に別れてしまった経験がない、被災の経験も幸いなことにない。
    平和な人生に心から感謝。

    この悲惨さを本当の本当に理解できてはいないだろうから難しいしおこがましくもあるけど、どうにか後世に伝えていくことはしないとならない。
    こういう本とかに子供と一緒に触れて、一緒に想像する、みたいなことを単発ではなく時々やらないとならないと思った。

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    2022年12月30日
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

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    ち:憲法記念日がある5月に読み聞かせ。前文と第9条のみ
    BOOKトークこみで、ぽかーんでしたが、ケンカしないでいられるように
    考え続けることをやめちゃいけないという話をしました。

    *********
    ★2022.5(1年・2年・3年)

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    2022年10月27日
  • 吉里吉里人(下)

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    上巻感想参照。
    この容量での上中巻、一切だれる事なく面白しろさが続く最強(狂)のブラックエンタメ作品だと思った。
    ラストも完璧、とてもいい読書体験だった。

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    2023年02月01日
  • 吉里吉里人(上)

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    くだらないユーモアで笑いっぱなし、唯一無二の圧倒的な引力を持つ大名(迷)作。
    井上ひさしに特別な思い入れは無いが、本作品に関してはボリュームに怖気付かず是非読んでほしい。
    壮大な群像劇仕立て、一冊約600p(×3冊)の狂ったボリュームだが、あっという間に読ませてしまう所に、当時の井上ひさしのギラつく力量を感じる。

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    2023年02月01日
  • 東慶寺花だより

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    まさに名人芸のような井上ひさしさんの遺作。素直に面白いと思いました。
    本書は「縁切寺」と呼ばれた北鎌倉の東慶寺が舞台。妻の側からの離婚が難しい時代、寺の境内に身につけているものを投げ込めば、駆け込みは成立。そして駆け込み人が東慶寺で24か月過ごせば、夫は絶縁状を書かねばならないというシステム。井上さんは、このシステムを女性のためのアジール(聖域)として「素晴らしい発明」と評しています。井上さんは居を鎌倉に定めていることもあり、東慶寺を愛しているのでしょうね。楽しんで書かれたのがわかる作品となっています。

    本書は「オール讀物」に1998年から足かけ11年にわたって連載された全15話をまとめた短編連作集。全編を通じての主人公は中村信次郎。医者の見習いから転じた新米の戯作者。信次郎は縁あって身を寄せた東慶寺の御用宿「柏屋」の布団部屋に篭って、創作に苦しんでいます。一方では柏屋の番頭手伝いと駆け込み審議の書記を任せられています。本書は15人の駆け込み人と中村との交流、駆け込みの顛末を1話完結で描きます。

    本書のすごいのは1話1話の起承転結がはっきりと描かれていて、まるで落語の人情噺を読んでいるようです。話の展開はミステリー仕立て。それぞれにひねられたオチが準備されています。
    また、鎌倉の自然、地理が描かれていて絵画的な作品です。

    個人的には読み終えるのがもったいないような作品。ただ、時代小説ですので趣味に合わない読者もいらっしゃると思います。最初の1編が趣味に合えば、たぶんハマるのではないかと。

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    2022年07月26日
  • 野球盲導犬チビの告白

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    伝説の天才打者、横浜大洋ホエールズの田中一郎選手。昭和54年度は本塁打56本、打率4割7分4厘という驚異的な記録を打ち立てた彼は、実は盲人だったのです。
    その彼を先導したのが、盲導犬でした。
    この物語は盲導犬チビの目線で描かれています。田中一郎もスゴいけど、このチビがまたスゴい!野球のルールを知りつくしているばかりか、プロ野球の歴史にも精通、世の中の情勢にも詳しく、まるで井上ひさしが取り憑いたような(笑)、博覧強記の知識犬なのです。99%は完璧な盲導犬ですが、1%は色っぽいメス犬によろめいたり、残飯のラーメンに食らいついて捕まったり、妙に人間っぽくて憎めないチビなのです。

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    2022年03月05日
  • ブンとフン

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    父が子供の頃に読んだ本と聞いて、こっそり買って読んでみた一冊です。
    想像以上に、凄く楽しめます。本が読者に語りかけてくるスタイルで、ページの中にのりしろがあったり、切り取り線があったり。昔大好きだったかいけつゾロリやおばけマンションを思い出して、ワクワクしました。
    何回も読みたくなるフレーズが沢山あるし、ストーリーもワクワクするし、終わり方も突然に見せかけて凄く綺麗だったし、創作とはこの本で表現されたようなことを言うんじゃないかな、と思います。
    最初に書いた本がこれってすごいなぁ。他の本や作品も観てみたいです。

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    2022年02月23日
  • 一週間

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    レーニンの手紙にそんなに価値があるのでしょうか。手塚治虫の『アドルフに告ぐ』のヒトラーの出生証明みたいなもんだけど…。でも、『東京セブンローズ』の対ソ連版みたいな感じで面白かったけどね。

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    2022年02月19日
  • P+D BOOKS 東京セブンローズ(下)

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     分厚い単行本を一日に12頁ずつiPadで撮影して、通勤電車での読書の友にしていました。
     戦時中そして戦後すぐの日本の首都東京の様子が描かれていて、当時の社会や家庭の様子、日本人の考え方や考え方の変化をありありと思い浮かべることができました。井上ひさしさんの「日本語」に対する思い、こうあるべきという方向性がうかがえてこの数週間は本当に楽しい通勤でした。古い漢字や古い言い回しもたくさんありましたがそれにも直ぐに慣れて読み進めることができました。
     作中の女性たちの逞しさや日本と日本語を思う心の美しさ、それと終章での大どんでん返しがこの作品の読みどころです。

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    2021年12月24日