井上ひさしのレビュー一覧

  • 東慶寺花だより

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    江戸時代の史実に基づきながら、古くからの男尊女卑社会においても様々な救済の仕組みがあり、女性たちがそれを利用していかに逞しく生きていたかということがわかる本だった。
    人間模様がリアルで、江戸時代バージョンのゴシップ雑誌を読んでいる感覚だった笑

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    2021年09月21日
  • 言語小説集

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    ネタバレ

    帯や背表紙にあるような"抱腹絶倒"というよりも、じんわりと言葉の面白みを感じる短編集。

    「極刑」が特に刺さった。
    普段当たり前のようにしている「頭の中で言いたいことを成立する文章に変換して吐き出すという行為」を奪う、クレバーで残酷な無意識への攻撃。まさに極刑。気が狂いそう。

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    2021年09月06日
  • 黄金の騎士団(下)

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    当時の社会のおかしさ、矛盾、不公平に子どもたちがたち向かう小気味よさ。井上ひさし節である。未完が寂しすぎ。

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    2021年08月03日
  • おれたちと大砲

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    幕末、将軍に近い仕事をする家柄ながら、無役の若者5人の話。子どものころ、悪さをした仲間が徐々に集まり、将軍、慶喜公のために働くことで役を得ようと奮闘。花火で薩摩の船に放火しようなど、ドタバタの話で面白い。東海道中膝栗毛を読んでいるような感じである。

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    2021年07月04日
  • 東慶寺花だより

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    かけこみ寺に駆け込むにも、作法がある。その作法、江戸時代にどんな風に広まっていったのだろう。
    駆け込み寺に入るには、手続きが必要だ。その手続きを担う門前の宿。情を「なさけ」と読むか「情」と読むか。それ以上に細やかな気遣いがあり、人情がある。
    したたかなのは男なのか女なのか。踊らされているのは、いったい誰なのか。
    人という字は、人が一人ではなく他人と寄りかかるように助け合って生きている形を表わしている、と聞いたことがある。駆け込んで、切れる縁もあれば、つながる縁もある。これもまた人の世の常。

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    2021年02月06日
  • 新釈遠野物語

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    柳田国男の『遠野物語』とどれほど対応しているのかはわからない。
    でも、河童や沼の主のウナギが登場したり、馬と人間の娘の恋など、多くの話が下敷きになっているのだろう。

    大学を休学し、故郷近くの釜石の国立療養所で働く青年を視点人物に、山で出会った犬伏老人から怪異譚を聞くという設定になっている。

    老人はいったい何者なのかという謎解きが、個々の怪異譚をくるむように配される。
    老人の体験談として語られるため、東北の嘗めてきたつらい歴史も織り込まれている。
    たとえば昭和恐慌で、多くの娘たちが身売りされたこと。
    鉱山での恐ろしい労働。
    私たち読者は、怪異譚を楽しみつつも、そんな悲しい歴史にも思いをはせる

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    2020年09月02日
  • 新釈遠野物語

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    遠野物語を下敷きにした物語集。筋はどれも陰惨にして哀切、だけども次が読みたくなる面白さがある。
    一発目が夢オチなのでオチもなんとなく想像できてしまうが、読後感はスッキリ爽やか。

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    2020年01月16日
  • 井上ひさしの読書眼鏡

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    井上ひさしが読売新聞に連載した書評集です。素晴らしいのは、その守備範囲で文芸書は言うに及ばず、社会科学から辞書事典類から白書まで、稀代の読書家だった井上ひさしの片鱗が窺えます。別稿として、義姉米原万里の全著作の短評も収録されています。

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    2019年12月26日
  • 「けんぽう」のおはなし

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    【規則の尊重】
    まず井上ひさしさんについて軽く紹介する。
    Q 自分のどんなところが、日本人らしいと思いますか?
    ノーベル文学賞のイギリス人小説家カズオ・イシグロさんのことにも触れる。
    絵本を読み聞かせながら、ところどころで話を聞いていく。武田美穂さんの絵と子供たちの反応の様子が絶妙で、楽しみながら学んでいける。
    Q けんぽうと学校のきまりのちがいは?
    Q 「自由」ってなに?
    Q しあわせってなに?
    ところどころで、交流する。最後に感想を交流する。道徳の教材として・・・と言われると悩むんだけど、先月の選挙やミサイルのことなど、子供たちのつぶやきからこのテーマで授業をする。読み聞かせとしては、かな

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    2019年10月04日
  • 十二人の手紙

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    面白い、うまい。井上ひさし読まず嫌いだった。 井上ひさしの作品をもっと読むことにした。
    自分の境遇をまずしっかり把握すること。そして決して悲観しないこと。次に自分が頼りにできるのは自分だけなのだから、自分を少しでも強くし、自分の質を少しでも向上させ、自分を自分のためにとても頼りがいのある人間にすること。

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    2025年12月18日
  • 井上ひさしから、娘へ 57通の往復書簡

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    井上ひさしと次女との5年に渡る往復書簡。
    父親の娘に対する優しさが伝わってくる。
    彼のように、子どもに語るべき言葉を持っていたいと想った。


    ★親の務め
     どんな子であれ、やがては一人で生きて行かなければならない。その時に困らないようにしてあげる。
     甘やかすことではない。
     どんないやなことでも、やらなければならないときは、やるしかない。

    ★私たちの手は、だれか大切な人の心を抱きしめるためにあるのです。(神父様の言葉)

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    2019年08月26日
  • 太鼓たたいて笛ふいて

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    林芙美子の後反省を著した 劇作品。終戦で戦争賛美を反省し、反戦活動を続けた。短編だが読みごたえあり。20199.8.19。

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    2019年08月19日
  • ふふふ

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    むずかしいことをやさしく
    やさしいことをふかく
    ふかいことをおもしろく
    おもしろいことをまじめに
    まじめなことをゆかいに
    ゆかいなことをいっそうゆかいに

    井上ひさしさんの
    この座右の銘が
    このエッセイでも
    しこたま体感できます

    不愉快な出来事が多い日々
    井上ひさしさんの著作を
    手に取ることが
    増えています

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    2019年05月17日
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点

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    練って練って、これじゃ駄目、あれも駄目、これも駄目と、何度も何度もやってはじめて出てくるもの。
    それは「悪魔が来る」時間。
    筆が遅いことで有名で、「遅筆堂文庫」まで作ってしまった井上ひさし氏の創作の秘訣は、この「悪魔を呼び込む」時間にありそうだ。

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    2019年04月28日
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点

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    ネタバレ

    亡くなった伯父が文章を教わっていたということで人となりを知るために読んでみた。言葉に対してとても柔軟だけれども、戯曲には大和言葉を使うなど貫き通しているし、考え方に共感できるところが多々あった。
    東北各地で過ごされていたため、縁のある土地では今でも愛されているのが理解できた。

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    2019年04月23日
  • モッキンポット師の後始末

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    どうしようもない貧乏大学生三人の悪事を、海のような広ーい心で後始末してくれるフランス人神父さん。なぜか関西弁。戦後の貧しい混乱期がもつ空気を肌で感じることができます。

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    2019年02月22日
  • 新釈遠野物語

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    柳田国男の遠野物語は昔読んだことあってなんか不思議な物語だなぁ、と思った記憶があった。中途半端なところで物語が終わったり、話のつながりがなかったりしたところにそんなイメージを持ったのだと思う。
    それから、10年以上経って再び本を読み始めると、いたるところで柳田国男と遠野物語の名前を見るようになった。これはもう一度読まねばと思っていた時に、ちょうどハマっていた井上ひさしさんの「新釈」バージョンを見つけたので思わず手に取った。

    最初の感想としては、柳田国男の作品より読みやすい、という物であった。山奥の病院でバイトをしている僕に山伏老人が話を聞かせるという体で物語が進んでいくため、なんとなく全体的

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    2019年01月22日
  • 東慶寺花だより

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    映画『駆込み女と駆け出し男』の原作ではなく”原案”となってたので気になって読んでみた。とても楽しめた。

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    2019年01月10日
  • 東慶寺花だより

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    久々に井上ひさしの本を読んだ。井上氏のDV等の話を知っていると、こういう本を書くのはどういう思いなのだろう、と思わなくもないが、それを脇に置けば、心温まるショートストーリー集ということで楽しめた。東慶寺や鎌倉に何度か行っていて地名が分かるのもよかったのかもしれない。

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    2023年06月05日
  • 新東海道五十三次

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    冒頭の五十三次ポルノ版で「もしや?」と思ったら、やはり筒井康隆氏との親交がある著者だった。しかし、回が進むにしたがって、だんだんアカデミックな内容になっていく筆致。「五人組帳の裏返し」で、十返舎一九の『膝栗毛』を文学ではなく、江戸の庶民を仮想の旅で楽しませる娯楽本と論破しているのが気持ち良い。日常生活と旅は、表と裏、正と邪、聖と猥というのが胸にすとんと落ちる。

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    2018年12月20日