井上ひさしのレビュー一覧

  • 自家製 文章読本

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    1984年刊。
    谷崎、志賀、川端、三島、野間、鶴見、丸谷……。井上ひさしがいろんな文章読本を読みながら、文章について考える。いわばメタ文章読本。
    随所で出てくるのは、格調の高い文章を重んずる三島由紀夫。メインターゲットはこの読本。たとえばオノマトペ。三島は、鷗外がオノマトペを極力使わなかったので、文章が格調高いものになったと主張するのだが、井上は鷗外が効果的にオノマトペを使っている例をいくつもあげている。
    認識や記憶のプロセス、注意容量、短期記憶のスパンなどの点から、文章を考察している章はみごと。当時の専門的な研究者(認知心理学者)でも、ここまでわかりよくは書けないかも。
    丸谷才一の文章読本に

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    2025年11月26日
  • 新釈遠野物語

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    遠野旅行をした折、土産店で本書を購入。安野光雅のカバー画もよい。

    旅を終えてからも遠野の箱庭的魅力をじんわり味わえる、いい物語。「新釈」というのは言い得て妙で、遠野物語を下敷きにしつつもまっさらの物語世界を構築していて夢中で読んでしまった。

    際どいお話ばかりなので(1話目がいきなり下ネタオチで、こりゃあすごいなと思ったら回を重ねるごとにそのすごみが増して、二重に驚いてしまった)、お子様にはあまり勧められないが、遠野で語り継がれていた民話も本来はこれくらい生々しいものだったのだろう。エリート官僚・柳田國男の味付けで文学性が増し、今は子ども向け絵本も出ているくらいだが。

    遠野物語の中では私は

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    2025年11月22日
  • 父と暮せば

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    著者の言う、「劇場の機知」とやら、1人の葛藤した感情を、二役、ここでは娘と原爆によって亡くなった父親として、会話させている。そうすることで、原爆によって父親を亡くした娘の、生活する上での、幸せに生きたい、と、酷い過去を背中に縛っていかなければならないと言う思いを、分けて、娘に感情移入しやすいようにしている。

    この劇とかあったら、見てみたいなー

    広島言葉の文体がおもしろかった

    戦後の恋のお話

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    2025年09月27日
  • 十二人の手紙

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    読めば分かるこのすごさ!

    こんなにゾクゾクする連続短編小説、読んだことないです。(ただ私、読書量そんなに多くないのですが)

    プロローグとエピローグを除き、11の短編それぞれバラエティーに富んでいて、手紙の形式をとっているのが特徴。手紙文に溢れる人間模様が濃厚です。男女間のドロドロとした残酷な部分、「ALWAYS 3丁目の夕日」的な、昭和の郷愁を誘う部分が入り混じり、そこにひねりが加えられ・・・・

    次にどんな話がくるのか知りたくて、最後の方はノンストップでした。短編ごとにエッと驚くようなオチがあり、エピローグでまた、驚きの結末が待っています!

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    2025年09月02日
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点

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    井上ひさし氏の生い立ちの記。言葉への向き合い方、豊かな語彙力や想像力、反戦への強い決意…苦労体験を無駄にしないポジティブ思考の持ち主。彼は謂う。『本とは、人類がたどり着いた最高の装置』だと。今後、増々デジタル化が進もうと『本を手放さない』『大事にしたい』とも。小説家・井上ひさし氏の真摯な姿に共感。

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    2025年09月02日
  • 「けんぽう」のおはなし

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    たくさんの人に読んでほしい絵本。『きみは世界でたったひとり。だれともとりかえがきかない。だからだいじ。一人ひとり、みんなだいじなのです。』
    最後に井上ひさし氏に宛てた大江健三郎氏の言葉も心に温かく響きました。

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    2025年09月02日
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

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    「憲法は『この国のかたち』」
    「個人の尊重とは、この世に生まれたひとりひとりが自分であることを尊んで、自分が自分でなくなることをおそれること」
    「日本国憲法は、人類の歴史からの私たちへの贈り物であり、しかも最高傑作だと私は信じています。日本国憲法の力で、世界中の問題を解決することができれば、私たちは人類の歴史に、まことに大きな贈り物をすることになるのではないでしょうか。」

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    2025年08月04日
  • ナイン

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    精巧に造られている。気が付けてない伏線や想像できてない登場人物の心情が山盛りあるんだろうな。みんなで読んで感想会を開きたい一冊。

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    2025年06月16日
  • 言語小説集

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    井上ひさしさん、教科書以外では初読み。
    読みやすいしわかりやすい、ユーモアと不思議な世界線。
    読み進めていくうち、どんどん日本語の魅力に引き込まれていく。

    括弧の恋が特に好き。
    記号の擬人化。
    異色な視点だけどすんなり物語の中に入り込めてしまう。
    これからは活字を目にする度、このお話の登場人物(登場記号物?)が話している様を思い浮かべずにはいられないかも(˶⌒ワ⌒˶)

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    2025年06月03日
  • 東慶寺花だより

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    北鎌倉にある東慶寺のお話。時代小説というのは初めて読んだけど意外と面白かった。
    表紙やあらすじから受けるイメージとは違い、コメディタッチのお話だった。

    縁切り寺として運営されている江戸時代の東慶寺で、医者見習い兼駆け出しの作家として暮らしている戯作者から語られる。
    温かく優しい語り口で夫婦のいざこざが収束していくまでを連作短編形式で描いていた。

    この温かい彼の眼差しで鎌倉での営みが描かれていてとても心地よかった。

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    2025年02月24日
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

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    分かりやすく日本国憲法について書いてあって、改めて日本に生まれてきて良かったなと思った。80年前に作られたこの憲法があるってすごい。だから、日本は平和であるし、安全に安心して暮らすことができる。誇りをもって、世界の人に日本国憲法の良さを伝えていきたい。

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    2025年02月18日
  • 父と暮せば

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    随分前に映画版を観たけど、ほとんど内容は忘れていた

    今回、読書会でのテキストになったので読む事に…

    広島の被曝の話だけど、とっても暖かい内容。魂の救済の話

    お父さん、優しすぎる

    戯曲だけど、とても読みやすかった

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    2025年02月08日
  • 父と暮せば

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    とても読みやすい戯曲。そして救済の話。
    広島の原爆で生き残ってしまった苦しみとそこからの再生の物語になっている。
    このテーマは近年でいえば東日本大震災で助かった残された者の悲しみにつながっている。亡くなった人の分も自分の人生を生きなければならないと分かっているのに、出来ない。その苦悩に寄り添い、最後に勇気と笑顔を書いてくれた。

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    2025年01月06日
  • 私家版 日本語文法

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    ネタバレ

    2010/05/07
    『私家版 日本語文法』は、作家・井上ひさし氏が日本語の文法や表現に関する多彩なトピックをユーモラスかつ鋭い視点で綴ったエッセイ集です。1984年に新潮社から刊行され、文庫版も発売されています。
    本書は、以下のような多岐にわたるテーマを取り上げています。
    枕ことば: 古典文学で用いられる枕詞の役割や効果について考察しています。
    擬声語: 日本語特有のオノマトペ(擬音語・擬態語)の豊かさと、その表現力を分析しています。
    格助詞「が」の出世: 格助詞「が」の歴史的な変遷と、その用法の広がりについて述べています。
    ガとハの戦い: 主語を示す「が」と「は」の使い分けや、その微妙なニ

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    2024年12月26日
  • 組曲虐殺

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    井上ひさしという人間はDV野郎だから嫌いだけど、そんな人間がどうしてこんな作品を描けるんやろうと思う。小林多喜二に惹かれていく特高の刑事がこの話の救いだ。先日の韓国での戒厳令で、薬莢が空っぽだった軍人たちを想起した。国民には本気で向かい合わなかった軍隊。「絶望するには、いい人が多すぎる。 希望を持つには、悪いやつが多すぎる」

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    2024年12月08日
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

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    『子どもにつたえる 日本国憲法』
    井上ひさしさんといわさきちひろさん絵の
    小学生にも読めるようにやさしくしてくれた全文と第九条

    そして憲法をわかりやすく話してくれた
    「憲法って、つまりこういうこと」

    とても温かな、日本が誇らしい気持ちになる、日本国民全てにオススメしたい1冊です

    はじめに より
    「剣より強いものがあって、それは戦わずに生きること  〜中略〜
    なんて誇らしくて、いい気分だろう
    この子どものときの誇らしくていい気分を、なんとかしていまの子どもたちにも分けてあげたいと思って、私はこの本を手がけました」



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    2024年10月26日
  • ムサシ

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    それにしてもこの物語の見事さたるや・・・!

    まず日本人の誰もが知る宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘の後日譚を書くという大胆さ。そしてこの勇ましい二人をどう戦わせないかという真逆の発想!普通なら血沸き肉躍る再戦を書きたくなるでしょう。いやあすごい!

    最後の大団円もまたいいんですよね。ものすごくぐっと来ました。ネタバレになるのでここでお話しできないのが口惜しいです。

    私はこの作品が大好きです。自分のクソ真面目さを再認識できたのもいい機会になりました笑 

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    2024年08月22日
  • 新釈遠野物語

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     井上ひさしの代表作ともいえる連作小説集。たぶん、新潮文庫の百冊にも入っていたような記憶がある。
     収録されているのは、「鍋の中」「川上の家」「雉子娘」「冷し馬」「狐つきおよね」「笛吹峠の話売り」「水面の影」「鰻と赤飯」「狐穴」の9編。
     民俗学者柳田國男が書いた「遠野物語」の中に収録されている伝説や昔話を、井上ひさし流に新たな話として現代に蘇らせたものである。
     どこか聞いたことのあるような親しみのある話が、笑い話や怖い話、不思議な話と生まれ変わっている。
     この本を最初に読んだのは、高校生ぐらいの時、それから何度も読み返しているし、本自体2冊目になっている。
     ストーリーもあらかたわかって

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    2024年08月03日
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

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    日本は賢くなったはずだが

    太平洋のお向かいさんにいる国が、ベトナムさんに対して何したのとか、
    現在進行でロシアさんやイスラエルさんが何してるのとか考えると、
    頭悪いのねえと思います。
    無駄に人口が多いお隣さんの振る舞いも同じく。
    頭の悪い方々に合わせる必要もないですが、合わせるのが今風なのかな。
    ラテン語圏の国の国歌とか聞くと、日本に生まれてよかったと思いますね。
    君が代はいい歌詞だと思います。どうしてあんなバカなことしたんだろ。
    まあ、お好みで。

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    2024年07月09日
  • 父と暮せば

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    広島の原爆と言う重いテーマが背景にあるが、恋する娘に寄り添う父親の姿にほっこりさせられました。
    舞台には、今まで縁がありませんでしたが、機会があれば、この舞台ぜひ見てみたいと思いました。

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    2024年05月06日