井上ひさしのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
以前読んだ「日本語教室」に紹介されていたので読んでみました。
1981年の作品のため、少し内容は古いですが、
日本語の文法について、過去の研究者の言葉を引用したり、
当時の雑誌より言葉を抜粋して、現在の日本語の使い方について
様々な観点から分析しています。
その当時の日本語文法の進化について悲観的というよりは、
従来の歴史ある日本語の使い方を整理した政治に
文句を言っている感じを受けます。
まあその整理された日本語を勉強してしまった自分には
現在の使い方の方がしっくりきますが、
助詞や形容詞等の文法から敬語や外来語、漢字や、
句読点などについて筆者の分析を交えて色々 -
Posted by ブクログ
各章が10頁足らずと短く、衒わない平易な文体のため取っ付きやすい。自宅でじっくり腰を据えてというよりは、移動中のバスや電車で読むに適した軽やかな文庫である。
中でも「振仮名損得勘定(ルビはそんかとくかをかんがえる)」の章が面白い。他章は「もとよりこれは筆者の偏見にちがいないと思われるのであるが。」「めったなことはいえぬ。」「こういう先達にはつくづく頭が下がる。」といった、筆者の立場を断言しない中立寄りの濁しで締めたものがほとんどであるが、この章は「大衆化だの、合理化だのという言葉に浮かれていてはならないと思う。」というはっきりした意見が述べられており、それがたいそう印象的だった。 -
Posted by ブクログ
日本語の事を考え続けた著者が、母校、上智大学で行った「日本語教室」の講義を再現したもの。
印象的なのは「母語」の話。
「母国語」ではなく「母語」
「母国語」は自分が生まれた国で使われている言葉だが、「母語」は母親や愛情をもって世話してくれる人々から聞いた言葉のこと。
日本で生まれたとしても「母語」は日本語ではなく、関西弁、東北弁という事になる。
そして、「母語」は「道具」ではなく「精神」そのもの。
この「母語」をベースに第二言語、第三言語を習得していく事になる。そして、その「母語」以内でしか別の言語は覚えられない。
つまり、外国語を覚えるためには「母語」がきっちり話せなくてはならない。 -
Posted by ブクログ
「遠野物語」は柳田国男が佐々木鏡石から聞いた遠野地方にまつわる民話・伝説を集めたもの。
本書は、その「遠野物語」にインスパイアされた物語。
「犬伏」という名の老人から聞いた物語を「ぼく」が書きとめた、という設定。
「遠野物語」は語る側も聞く側も誠実な人物だったが、「新釈遠野物語」では語る側は、いんちき臭く、聞く側は誇張癖がある、という事になっている。
犬伏老人が語る物語は、山の民、動物、妖怪、人間が対等な立場で関わりあう。全て犬伏老人が関わった話ばかりで、なぜ、こんなに怪異に関わるのか、とツッコミを入れたくなるほどだが、それは最後の物語で全て分かる趣向になっている。
怪異の物語ではあるが