井上ひさしのレビュー一覧

  • 新釈遠野物語

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    遠野旅行をした折、土産店で本書を購入。安野光雅のカバー画もよい。

    旅を終えてからも遠野の箱庭的魅力をじんわり味わえる、いい物語。「新釈」というのは言い得て妙で、遠野物語を下敷きにしつつもまっさらの物語世界を構築していて夢中で読んでしまった。

    際どいお話ばかりなので(1話目がいきなり下ネタオチで、こりゃあすごいなと思ったら回を重ねるごとにそのすごみが増して、二重に驚いてしまった)、お子様にはあまり勧められないが、遠野で語り継がれていた民話も本来はこれくらい生々しいものだったのだろう。エリート官僚・柳田國男の味付けで文学性が増し、今は子ども向け絵本も出ているくらいだが。

    遠野物語の中では私はオシラサマ伝説がいちばん凄みというか深みを感じて、文字として記録されている以外の秘密があったのではと感じたけど、井上ひさしもそうだったのだろうか。本書でも馬との悲恋を題材にしたお話がもっとも印象深かった。

    ところでオシラサマは、遠野の女子どもの間で主に行われてきた風習(?年間行事?)だという。厳しい村の暮らしで男に頼るしかなかった悲しさややるせなさ、絶望のなかの仄かな希望、ささやかなロマンなどを反映したものだったのかなと思う。そして女子ども間の秘め事である故に、佐々木喜善や柳田國男が汲み取りきれず、井上ひさしもつかみきれず、その全貌が明らかにされていない気がする。これを題材に女性作家が物語を書いたらどうなるだろう……?と夢想してしまう。

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    2025年11月22日
  • 父と暮せば

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    著者の言う、「劇場の機知」とやら、1人の葛藤した感情を、二役、ここでは娘と原爆によって亡くなった父親として、会話させている。そうすることで、原爆によって父親を亡くした娘の、生活する上での、幸せに生きたい、と、酷い過去を背中に縛っていかなければならないと言う思いを、分けて、娘に感情移入しやすいようにしている。

    この劇とかあったら、見てみたいなー

    広島言葉の文体がおもしろかった

    戦後の恋のお話

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    2025年09月27日
  • 十二人の手紙

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    読めば分かるこのすごさ!

    こんなにゾクゾクする連続短編小説、読んだことないです。(ただ私、読書量そんなに多くないのですが)

    プロローグとエピローグを除き、11の短編それぞれバラエティーに富んでいて、手紙の形式をとっているのが特徴。手紙文に溢れる人間模様が濃厚です。男女間のドロドロとした残酷な部分、「ALWAYS 3丁目の夕日」的な、昭和の郷愁を誘う部分が入り混じり、そこにひねりが加えられ・・・・

    次にどんな話がくるのか知りたくて、最後の方はノンストップでした。短編ごとにエッと驚くようなオチがあり、エピローグでまた、驚きの結末が待っています!

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    2025年09月02日
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点

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    井上ひさし氏の生い立ちの記。言葉への向き合い方、豊かな語彙力や想像力、反戦への強い決意…苦労体験を無駄にしないポジティブ思考の持ち主。彼は謂う。『本とは、人類がたどり着いた最高の装置』だと。今後、増々デジタル化が進もうと『本を手放さない』『大事にしたい』とも。小説家・井上ひさし氏の真摯な姿に共感。

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    2025年09月02日
  • 「けんぽう」のおはなし

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    たくさんの人に読んでほしい絵本。『きみは世界でたったひとり。だれともとりかえがきかない。だからだいじ。一人ひとり、みんなだいじなのです。』
    最後に井上ひさし氏に宛てた大江健三郎氏の言葉も心に温かく響きました。

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    2025年09月02日
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

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    「憲法は『この国のかたち』」
    「個人の尊重とは、この世に生まれたひとりひとりが自分であることを尊んで、自分が自分でなくなることをおそれること」
    「日本国憲法は、人類の歴史からの私たちへの贈り物であり、しかも最高傑作だと私は信じています。日本国憲法の力で、世界中の問題を解決することができれば、私たちは人類の歴史に、まことに大きな贈り物をすることになるのではないでしょうか。」

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    2025年08月04日
  • ナイン

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    精巧に造られている。気が付けてない伏線や想像できてない登場人物の心情が山盛りあるんだろうな。みんなで読んで感想会を開きたい一冊。

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    2025年06月16日
  • 言語小説集

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    井上ひさしさん、教科書以外では初読み。
    読みやすいしわかりやすい、ユーモアと不思議な世界線。
    読み進めていくうち、どんどん日本語の魅力に引き込まれていく。

    括弧の恋が特に好き。
    記号の擬人化。
    異色な視点だけどすんなり物語の中に入り込めてしまう。
    これからは活字を目にする度、このお話の登場人物(登場記号物?)が話している様を思い浮かべずにはいられないかも(˶⌒ワ⌒˶)

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    2025年06月03日
  • 東慶寺花だより

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    北鎌倉にある東慶寺のお話。時代小説というのは初めて読んだけど意外と面白かった。
    表紙やあらすじから受けるイメージとは違い、コメディタッチのお話だった。

    縁切り寺として運営されている江戸時代の東慶寺で、医者見習い兼駆け出しの作家として暮らしている戯作者から語られる。
    温かく優しい語り口で夫婦のいざこざが収束していくまでを連作短編形式で描いていた。

    この温かい彼の眼差しで鎌倉での営みが描かれていてとても心地よかった。

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    2025年02月24日
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

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    分かりやすく日本国憲法について書いてあって、改めて日本に生まれてきて良かったなと思った。80年前に作られたこの憲法があるってすごい。だから、日本は平和であるし、安全に安心して暮らすことができる。誇りをもって、世界の人に日本国憲法の良さを伝えていきたい。

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    2025年02月18日
  • 父と暮せば

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    随分前に映画版を観たけど、ほとんど内容は忘れていた

    今回、読書会でのテキストになったので読む事に…

    広島の被曝の話だけど、とっても暖かい内容。魂の救済の話

    お父さん、優しすぎる

    戯曲だけど、とても読みやすかった

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    2025年02月08日
  • 父と暮せば

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    とても読みやすい戯曲。そして救済の話。
    広島の原爆で生き残ってしまった苦しみとそこからの再生の物語になっている。
    このテーマは近年でいえば東日本大震災で助かった残された者の悲しみにつながっている。亡くなった人の分も自分の人生を生きなければならないと分かっているのに、出来ない。その苦悩に寄り添い、最後に勇気と笑顔を書いてくれた。

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    2025年01月06日
  • 私家版 日本語文法

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    ネタバレ

    2010/05/07
    『私家版 日本語文法』は、作家・井上ひさし氏が日本語の文法や表現に関する多彩なトピックをユーモラスかつ鋭い視点で綴ったエッセイ集です。1984年に新潮社から刊行され、文庫版も発売されています。
    本書は、以下のような多岐にわたるテーマを取り上げています。
    枕ことば: 古典文学で用いられる枕詞の役割や効果について考察しています。
    擬声語: 日本語特有のオノマトペ(擬音語・擬態語)の豊かさと、その表現力を分析しています。
    格助詞「が」の出世: 格助詞「が」の歴史的な変遷と、その用法の広がりについて述べています。
    ガとハの戦い: 主語を示す「が」と「は」の使い分けや、その微妙なニュアンスの違いを解説しています。
    時制と体制: 日本語の時制表現の特徴や、その背景にある文化的要素を探っています。
    受身上手はいつからなのか: 日本語における受身表現の起源や、その発展過程を考察しています。
    形容詞の味: 形容詞の多様な表現と、その使い方によるニュアンスの違いを分析しています。
    自分定めと縄張りづくり: 人称代名詞の使い分けや、言語による自己と他者の区別の仕方について述べています。
    ナカマとヨソモノ: 言語における内集団(ナカマ)と外集団(ヨソモノ)の区別や、その表現方法を探っています。
    論より情け: 日本語における論理性と感情表現のバランスについて考察しています。
    尻尾のはなし: 言葉の語尾に関する話題や、その役割について述べています。
    漢字のなくなる日: 漢字廃止論や、漢字の将来についての考察を展開しています。
    漢字は疲れているか: 漢字使用の現状や、その問題点について分析しています。
    漢字とローマ字: 漢字とローマ字表記の比較や、それぞれの利点・欠点を考察しています。
    振仮名損得勘定(ルビはそんとくかをかんがえる): 振り仮名(ルビ)の役割や、その有用性について述べています。
    句点(マル)と読点(テン): 句読点の使い方や、その歴史的変遷を解説しています。
    句読点なんか知らないよ: 句読点の省略や、その影響について考察しています。
    区切り符号への不義理: 文章の区切りに使われる符号の使い方や、その重要性を述べています。
    ……台の考察: 文章中の「……」の使い方や、その効果について分析しています。
    晴れたりくもったり所により雨: 天気予報の表現に見る日本語の特徴や、その曖昧さについて考察しています。
    一筆啓上、敬語はまだまだ元気でござる: 敬語の現状や、その使われ方について述べています。
    恩の売り買い: 日本語における恩や義理の表現方法について考察しています。
    敬語量一定の法則: 敬語使用の法則性や、そのバランスについて分析しています。
    n音の問題: 日本語特有の「ん」の音に関する話題や、その使い方について述べています。
    素人の 古典まなびの 七五調: 古典文学の学び方や、そのリズム感について考察しています。
    2n + 1: 日本語の音節やリズムに関する数式的な考察を展開しています。
    ふたつの仮名づかい (ひ): 歴史的仮名遣いと現代仮名遣いの違いについて解説しています。
    正書法序論: 正書法(正しい書き方)の概念や、その必要性について考察しています。
    日本語は七通りの虹の色: 日本語の多様性や、その豊かな表現力について述べています。
    ウソについての長いまえがき: 言葉における嘘や誇張表現について考察しています。
    話半分、嘘半分: 日本語における曖昧表現や、その文化的背景を分析しています。
    外来語について: 外来語の受容や、その影響について述べています

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    2024年12月26日
  • 組曲虐殺

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    井上ひさしという人間はDV野郎だから嫌いだけど、そんな人間がどうしてこんな作品を描けるんやろうと思う。小林多喜二に惹かれていく特高の刑事がこの話の救いだ。先日の韓国での戒厳令で、薬莢が空っぽだった軍人たちを想起した。国民には本気で向かい合わなかった軍隊。「絶望するには、いい人が多すぎる。 希望を持つには、悪いやつが多すぎる」

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    2024年12月08日
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

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    『子どもにつたえる 日本国憲法』
    井上ひさしさんといわさきちひろさん絵の
    小学生にも読めるようにやさしくしてくれた全文と第九条

    そして憲法をわかりやすく話してくれた
    「憲法って、つまりこういうこと」

    とても温かな、日本が誇らしい気持ちになる、日本国民全てにオススメしたい1冊です

    はじめに より
    「剣より強いものがあって、それは戦わずに生きること  〜中略〜
    なんて誇らしくて、いい気分だろう
    この子どものときの誇らしくていい気分を、なんとかしていまの子どもたちにも分けてあげたいと思って、私はこの本を手がけました」



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    2024年10月26日
  • ムサシ

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    それにしてもこの物語の見事さたるや・・・!

    まず日本人の誰もが知る宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘の後日譚を書くという大胆さ。そしてこの勇ましい二人をどう戦わせないかという真逆の発想!普通なら血沸き肉躍る再戦を書きたくなるでしょう。いやあすごい!

    最後の大団円もまたいいんですよね。ものすごくぐっと来ました。ネタバレになるのでここでお話しできないのが口惜しいです。

    私はこの作品が大好きです。自分のクソ真面目さを再認識できたのもいい機会になりました笑 

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    2024年08月22日
  • 新釈遠野物語

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     井上ひさしの代表作ともいえる連作小説集。たぶん、新潮文庫の百冊にも入っていたような記憶がある。
     収録されているのは、「鍋の中」「川上の家」「雉子娘」「冷し馬」「狐つきおよね」「笛吹峠の話売り」「水面の影」「鰻と赤飯」「狐穴」の9編。
     民俗学者柳田國男が書いた「遠野物語」の中に収録されている伝説や昔話を、井上ひさし流に新たな話として現代に蘇らせたものである。
     どこか聞いたことのあるような親しみのある話が、笑い話や怖い話、不思議な話と生まれ変わっている。
     この本を最初に読んだのは、高校生ぐらいの時、それから何度も読み返しているし、本自体2冊目になっている。
     ストーリーもあらかたわかっているのにもかかわらず何度も読めてしまうのは、井上ひさしの冗長なぐらいのと言いつつもテンポの良い、独特の文体に引き寄せられてしまうところがあるのかもしれない。
     また、話のいくつかは、艶っぽい女性が出てくる(これも井上ひさしらしいが)。こういう大人の女性は、歳を経ないとわからない所があるよね。(まあ、今になってもわかっているとはいいがたいが・・・。)
     こういった所も何回も読める所なのかもしれない。

     もとになっている話も、何処かで聞いたことがあるよなあと思う話が料理されているのでその事もあるのだろう。

     この本は1976年に筑摩書房から単行本が出版され
    1980年に文庫化されている。
     思ったより出版が古いなあ。(笑)
     

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    2024年08月03日
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

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    日本は賢くなったはずだが

    太平洋のお向かいさんにいる国が、ベトナムさんに対して何したのとか、
    現在進行でロシアさんやイスラエルさんが何してるのとか考えると、
    頭悪いのねえと思います。
    無駄に人口が多いお隣さんの振る舞いも同じく。
    頭の悪い方々に合わせる必要もないですが、合わせるのが今風なのかな。
    ラテン語圏の国の国歌とか聞くと、日本に生まれてよかったと思いますね。
    君が代はいい歌詞だと思います。どうしてあんなバカなことしたんだろ。
    まあ、お好みで。

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    2024年07月09日
  • 父と暮せば

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    広島の原爆と言う重いテーマが背景にあるが、恋する娘に寄り添う父親の姿にほっこりさせられました。
    舞台には、今まで縁がありませんでしたが、機会があれば、この舞台ぜひ見てみたいと思いました。

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    2024年05月06日
  • 日本語は七通りの虹の色 自選ユーモアエッセイ2

    匿名

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    学生の頃に先生がこの本の話をしていて、探して即購入しました。
    井上ひさしの視点から文学を通し、歴史や価値観なども考えさせられる本。

    #深い #タメになる

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    2024年03月10日