井上ひさしのレビュー一覧

  • 吉里吉里人(中)

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    国会議事堂車が水上国際空港に到着し、大量の魚の変死を目撃するところから始まった中巻は、古橋の判決言渡し前には国外移住案件、その後は国境線での自衛隊との対峙と事件が続き、古橋がどさくさに紛れて花街に迷い込んだことから、ひょんな方向へ展開することになった。タックスヘイブン、日本の百姓への厳しいメッセージは、著者の問題提起である。古橋に訪れた春、そして吉里吉里国立病院での懲役労働の場面となり、吉里吉里国の周到な戦略が明らかになりつつ、本巻最後に日本国の諜報部員らしき影が……。

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    2024年09月16日
  • 新釈遠野物語

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    岩手旅行に行くので遠野物語を読もうと思い立った。中学生のころ、言葉遣いが難しく挫折した遠野物語。まずはライトなものを、と探していたら見つけた本書。オシラサマや河童の話を作家が煮詰めるとこうなるのか!と思った以上に面白い。
    著者は実際に釜石療養所で働いていたようで、それだからか、本当に語られている昔話のようなリアルさがあった。

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    2024年09月14日
  • P+D BOOKS 東京セブンローズ(下)

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    戦時中の話が興味深かった。代用コーヒーの質が下がって戦後に飲んだ純コーヒーの味をすごく噛み締めている様子が印象的だった。後は戦災で家をなくした人が貯金を下ろすときのシステムや床屋の様子など。
    旧字体が読みにくかった。かなを振って欲しかった。

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    2024年08月25日
  • 十二人の手紙

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    手紙というと近年は人情物の定番アイテムだが、本書は70年代の作品ということもあるのか、意外とサスペンス的なドンデン返しを主体とした構成となっている。
    電話やメール、SNSと、通信手段が格段に発達した現代から見ると随分まどろっこしい感じもするが、そこも含めて味わってほしい作品。

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    2024年08月15日
  • 吉里吉里人(上)

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    初ひさしが本書。なぜか吉里吉里というワードが脳内に残っていて、ネット古本屋にて入手。売れない作家・古橋健二を狂言回しにして、吉里吉里国独立の瞬間から、日本国を相手取った独立闘争をユーモラスに描く。<引用>日本国の国益だが言う物、もう真平……『国益の為だ、増産すろ!』『国益の為だ、減反すろ!』……ズーズー弁で訴えかける国の横暴がひしひしと伝わる。話が横道に逸れることが多く、上巻は午前6時の独立から半日程度しか経っていない。冗長感は否めないが、作品の世界観を理解する役には立っている。

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    2024年08月06日
  • 十二人の手紙

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    手紙など書物媒体が使われた短編小説の傑作。
    そして小説特有のあざとさを極力排除した作品でもある。結末を違う形に脚色すればもっとドラマティックなストーリーが期待できるのをあえて素っ気なく終わらせる(もちろん意外な結末の作品もある)ことで、その演出により物足りなさよりも現実世界の有り様を淡々と提示する、人生ってこんなモノというリアリティ効果をもたらすことにも成功している。さらに、プロローグと呼応したラストの短編は各短編の主な登場人物たちが一堂に会するという趣向も素晴らしい。
    そして最後まで読んで、各短編でのあざとさの排除は、実はエピローグで出てくる登場人物たちのその後を示唆するためだったのがわかる。
    手紙(書簡やメモなど)という手間も時間もかかる遺物的伝達手段の特徴を存分に活かした井上ひさしの本作における職人技は、昨今ではあまりもう使えない素材だけに余計味わい深い。
    例えば、ある女性の一生を書類だけで表現する「赤い手」や手紙文例集の例文で構成された「玉の輿」など小説の無限大の可能性にも挑戦している。
    PS.
    DV亭主でも有名だったことは記しておきます。
    《ひさしと当時の夫人・好子(麻矢の母)は共に強い個性の持ち主で、互いに妥協することをしなかった。夫婦喧嘩は大変派手で、場所をかまわず「やったらとことん」で、子どもが二人の間に介入することも嫌っており、子どもに対して暴力をふるったことはなかった。当時は家庭内が険悪だったわけではなく、好子はひさしにとって「優秀なプロデューサーであり、マネージャーであった」と石川は記している。執筆でひさしの足がむくむと好子はそれを取るためのマッサージをした。やがて、筆が進まなくなるなどで、ひさしは好子に暴力を振るうようになり、編集者も「好子さん、あと二、三発殴られてください」などと、ひさしの暴力を煽った。殴られて顔が変形しても「忍耐とかそんな感情ではなく、作品を作る一つの過程とでも思っているような迫力で父を支えていた」と石川は記している。》Wikipedia
    いや、編集者さん、煽るんじゃぁなく奥さんの代わりにアンタが殴られろよ。

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    2024年07月26日
  • おれたちと大砲

    購入済み

    力まないで読みました

    うらやましいくらいの人々ののんきな暮らしと抱腹するような事件が連続していて肩の荷が下りました

    #カッコいい #シュール #憧れる

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    2024年06月08日
  • 下駄の上の卵 (新潮文庫)

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    軟式ボールを手に入れるため、山形の野球少年たちが東京行きを目指すという冒険譚。
    戦後まもない日本の実情が明るく豊かに活写されている。
    特に山形の少年たちの目を通して覗く、東京の闇市や孤児らの描写は衝撃的。
    一見重いテーマだが、作者お得意のユーモアが炸裂していて読んでてちっとも飽きない。
    間違いなく日本人にしか書けない小説で、こういう作品が後世に受け継がれなきゃいけないと思う。
    井筒和幸の解説も的確でよい。映画化の企画が立ち上がっていたものの流れたとのことだが、是非実現してもらいたい。

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    2024年05月01日
  • 吉里吉里人(上)

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    情報小説
     三読目。日本SF大賞受賞。

     小説全体、たいへん下世話で、下ネタが苦手なひとは読まないほうがいい。とにかく性器、性行を連想させる下ネタばかり。下ネタ大好き中学生ならぐいぐい読める。

     ストーリー展開が奔放でめっぽうおもしろい。東北から吉里吉里国が独立するのだが、そのための切札をたくさん控へてゐる。その説明で蘊蓄の渋滞だが、とにかく説得力が高い。おれにでも分離独立できるのではないか、と感じ入ってしまふ。
     中巻でケイコ木下が出てきたあたりから、すこしダレてくる。

     ところどころ、都合よく進展させるために、古橋といふこの単純な人物造形にしたのだらうと気づいた。
     比喩は下手。このころの井上ひさしはまだ途上だったなあ。晩年の『一週間』になるとさすが。

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    2024年09月28日
  • 吉里吉里人(下)

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    文庫本(三部作)に改訂する前の単行本で読んだ。
    読みはじめ、何度も「何でこんなのを読まなければならないのか」の自問に襲われ、エンジンをかけるのに手こずった。
    この作品は壮大な構想のもとで、奇想天外・パロディ・下ネタエロ・ダジャレ・ギャグ・ユーモア・類語反対語羅列‥‥冗談のようなノリの文章が延々と続き、常識をひっくり返しまとめ上げたユートピア創造の長編小説である。話題の事柄や背景を克明に説明し作者の洽覧深識をこれでもかと描く。一国独立の法的根拠などいろいろなことをよく調べその描写がとにかく長い。読んでるのが馬鹿らしくなり、ついていくのを止めようと思う。読者の許容範囲の限界ギリギリを挑発し、楽しんでいる作者のしたり顔が目に浮かぶ。いつの間にか独特の異世界に引き込まれ、途中の迷いが嘘のように共和国の応援団になってしまう。国の建て付けや運営のアイデアに共感し、よくこれだけのことを思いつくなと感心する。
    全編を貫く作者の思考の破天荒さが伝わってくる。
    まさに「正論は大声で言うべからず」である。
    中央に対する地方・辺境からの視点、少数民族や方言の価値、権威・権力からの独立、老若男女民衆の力、医学・医療の重要性、直接民主主義の可能性‥‥。
    作者の考える理想郷や思想にはまったく同感であり、
    振り落とされなくてよかったと思う。
    リアルとイマジネーション、深刻と呑気の両極端ではあるが、『レ・ミゼラブル』や『ジャン・クリストフ』『白鯨』など世界の長編文学作品に通じるものを感じる。

    東北岩手県の四千二百人の小さな村が吉里吉里国として日本国から独立する話である。標準語の文章にはすべて東北弁のルビがふられ、ズーズー弁の独特な世界を創り出す。藤原三代の埋蔵金4千トンを「金隠し」にして隠し、それを通貨の裏付けにして金本位の国家運営をする。愚人会議という村人10人で構成する移動政府があり、政治経済や教育・農業・軍事・法務等々各省が機能し、小学生から老人までの男女がいろいろな役割を担う。多くの多国籍企業が支店を置き地球規模で注目される。現実社会の問題点を解決する理想的な仕組みで共和国が運営される。
    最先端技術の医科大学病院を中枢に据えて、その開発技術を世界中の少数民族独立の武器にする。偶然紛れ込んだ三文作家の目で、驚きながらこの国の成りたちを発見していく。大統領は「タッチ制」で継承することになっており、移動政府の運転手から彼が引き継ぐことになる。日本を中心に諸外国の破壊工作が圧力を増す。
    最後の終わり方が鮮やかだ。

    少年時代に兄弟や友人達と隠れ家を作り掟を決めてごっこ遊びをした時の興奮や、大学のバリケード封鎖で仲間同士のコンミューンのような生活、その自由と清々しさが彷彿される。権威から独立して仲間で役割を決めて理想郷を作る高揚感である。現実からの隔絶、体制からの自立に興奮し燃えた経験は強烈で決定的な記憶である。
    やはり井上ひさしは凄い。この作品はユーモアと揶揄や皮肉は満載だが悲観は皆無で底抜けに明るく爽快で読者に希望の夢を見せてくれる。
    読み切ってよかったとつくづく思う。

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    2025年02月02日
  • 「けんぽう」のおはなし

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    ネタバレ

    実に分かりやすい!(大人にも)
    「国や政府は大きな力を持っています。国を治めている人たちがその力を利用して、好き勝手なことをしないように、私達国民が「憲法」という決まりを作って、歯止めをかけているのです。」
    総理大臣はじめ、政治家、検察、裁判官のみなさん知ってましたかー???
    子ども向けの絵本にもちゃんと書いてありますよー???
    最近おかしなことばかりニュースになってますけど、好き勝手やってませんよね?ね?
    子ども達のお手本ですもんね?ね?
    よろしく頼みますよ!!!!!

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    2024年01月20日
  • 言語小説集

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    言葉を巧みにあやつり、今までみたことのない小説が描かれていた。鉤括弧を擬人化した人はこの人がはじめてでないだろうか。小銭も擬人化したりと、擬人化の走りとも言えそう。また、梅毒におかされた男の身体を元に大戦模様を描くのも面白かった。すごいセンスの作者であった。

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    2023年12月18日
  • モッキンポット師の後始末

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    ▼中高生の頃、というと1980年代だったんですが。携帯以前、そして書籍界的には「BOOKOFF以前」だったあの頃、首都圏郊外の小さな「駅前本屋さん」の文庫本コーナーに文字通り日参していました。毎日買うわけではなく、毎日のように文庫本コーナーで、文庫本の「背表紙の紹介文」をとっかえひっかえ読む。割と毎日のように読む。当然ながら同じものを何度も読む。そうやって気になったものをやがて買う。同じような思い出がある人は、この世代には多いはず。

    ▼そんな時期によく井上ひさしさんを読んでいました。そして、この本はその頃からのお付き合いで、なんだけどなんとなくご縁がなく未読だったグループの一員。幾星霜を経て特段深い意味は無く読んでみました(近所のBOOKOFFで安く売っていたから)。

    ▼終戦後数年の東京、東北から来た大学生、半自伝的。貧乏暮らし、毎日空腹。食べるがために、悪友たちと、あの手この手の悪だくみ。毎回失敗、抱腹絶倒、今日も夕日が目に染みる…。という青春爆笑小説です。実に井上ひさしさんの得意なゾーン。

    ▼何より素敵なのが、タイトルになっている「モッキンポット師」。この人は主人公じゃありません。主人公は一人称の大学生含めた三人組。この三人は(井上ひさしさんと同じく)カトリック信者なんです。とはいっても敬虔な信者であるというよりは、恐らく全員が「親とか、そういう理由でなんとなくカトリック」なだけ。そしてモッキンポット師はこの三人が身を寄せるカトリック団体の学生寮の寮長さんである神父さん(イタリア人)。来日歴が長いので、日本語がペラペラなんだけど、それが関西弁である。そしてモッキンポット師は毎回毎回、この三人組の尻ぬぐいに東奔西走させられます(この小説は連作短編です。恐らく月刊誌掲載だったのでは)。

    ▼このモッキンポット師と、悪だくみ三人組とのやりとりが面白い。「全く神も仏も無いですよ」「仏さんは知らへんけどな、神様はおんなはんで」みたいな。連作短編のはじめ2~3編は、瞠目するオモシロサ。本当に爆笑もので、「これは井上ひさしさんの最高傑作…少なくともAAA級の作品グループに入る」と思いました。「本当に笑える日本のユーモア小説ベストテン」があったら個人的にはランクイン。浅草フランス座事件、などはほんとに息が苦しくなるくらい笑いました。

    ▼後半はちょっとパワーダウンかな、と。何しろこれだけ爆笑できるオモシロサ、というのは、縦軸のドラマ性とかっていう野暮なものが無いから面白いのであって、「爆笑できる」ということと、「後半終盤まで見事な感動と展開に満ちている」、ということは基本的に矛盾しますからね。

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    2023年10月21日
  • 新釈遠野物語

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    遠野物語は柳田国男の原作に限る。現代語訳や京極夏彦が脚色したものも読んだが、正直つまらない。遠野物語の迫力は柳田の文体により作られたものといえよう。
    ただ、この新釈遠野物語は別物で、面白い。遠野物語の原作をそのまま使っているのではなく、材料をうまく戦後まもなくの時代に落とし込んでいる。遠野物語を読んだことのある人なら、ああ、あの話か、と分かる。このころまでは、柳田の遠野物語と地続きだったのだろう。

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    2023年10月09日
  • 父と暮せば

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    ネタバレ

    演劇も映画も通ったことがないのに、戯曲から入るのはアリなのか…?と思いながらも読み始めてみたら、やっぱり面白かった

    世界でたった2つ、原爆が落とされた地、広島と長崎
    今作は広島に住み、原爆ですべての身寄りを失った若い女性、美津江に焦点を当てている。

    美津江が親友・父を失った時の記憶を語る場面では、やはり原爆の本当の苦しみは経験した人にしかわからないのだろうなぁと、戦争を自分と遠いものにしてしまいそうになったが、恋に落ちてしまい葛藤する美津江と、そんな美津江を優しく見守りながらも応援する父・竹造の広島弁でのやりとりが温かく、物語に入り込むことができた。

    作者あとがきと解説にあるように、竹造とは美津江が自分で作り出した幻像であり、実際は「恋を成就して幸せになりたい美津江」と「生き残った申し訳なさから、自分が幸せになってはいけないと思い込む美津江」の対立を軸に物語が進んでいる。
    これは「生きている死者・竹造」との対話なのだ!という解説にももちろん納得したが、答えはとっくに美津江自身の中にあったのだ、とも読めるなと思った。

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    2024年01月26日
  • 下駄の上の卵 (新潮文庫)

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    戦後山形から東京に出て行った少年たちの冒険談。
    キセルにしても、東京でおこる様々な騙し騙され合いにしても、戦後の厳しい時代の中でみんなが必死に生きていたことのあらわれなのだろう。もちろん小説ではあるが、こういう時代の雰囲気がしっかりと残されているのは素晴らしい

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    2023年06月05日
  • 東慶寺花だより

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    離婚を望む女が駆け込む寺での様々な事情を描く短編連作集。駆け込み寺、三行半などの言葉は知っていてもこのような寺が実在することすら知らなかったので、これは作者の創作された設定かもと思うほどよくできている仕組みだなぁと。中盤くらいまでは面白く読み進めたが、後半は話の筋立てにやや無理があったりで長く感じるものもあった。主人公が医者の心得があり、小説を書くという設定かもを活かした章をもっと読みたかった。作中で書いた本は結局どうなったのだろうか。東慶寺とは関係なく主人公の話を読みたい気持ちになる。
    巻末の「東慶寺とは何だったのか」も中々興味深く読ませていただきました。やはり女性は働き者で強いですね。

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    2023年06月04日
  • 日本語教室

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    本書は、日本語そのものを学ぼうというのではありません。
    井上ひさしが考える、日本語の現状をさらっと把握して、「日本語とはどういう言語か」ということを考える書です。

    気になったことは以下です。

    ・15歳を過ぎるとどんな言葉も覚えることができない
    ・母語は道具ではない、精神そのものである
    ・日本は、いつもそうです。世界で一番強い文明を勉強します。中国そして、欧州、戦後はアメリカです。
    ・日本には、自分の住んでいるところは大したことなくて、優れたものは他にあるという、そういう精神構造はいまだにあります。
    ・たいへん便利で、大きな文明が入ってくると、そこにもとからあったものはなくなっていって、大きな文明に吸収されていく、言葉も然り
    ・言葉が自然に消えていくということはありません、必ず何かの、社会的、経済的、政治的圧迫で消えていくのです

    ・日本語の文法はどこから来たのか。ウラル・アルタイ語族、つまり、トルコ語と、日本語がよく似通っていることから、どうやらウラル山脈あたりから、シベリアを通ってやってきたのではないかということになっています。
    ・ほんとうに日本語はたいへんですよね。やまとことば、漢語と、外来語の3つを覚えなければなりません。
    ・日本語の音韻体系は簡単で完結で、非常な合理性をもっています。五十音図を思い出してください。あれで日本語の音全部を云いつくしているわけですからすごい
    ・近代国家にとって必要なものは、少なくとも3つある。貨幣制度、軍隊制度、そして、言葉の統一です
    ・いずれにせよ、明治国家は言語を統一しようとして、標準語をつくろうとしました
    ・逆にいうと、まだまだ日本語は完成されていないのです、また、そもそも日本語というものがあること自体おかしいともいえます

    ・日本語では音節が子音で終わることはありません、かならず母音で終わります

    ・日本人にはもう文法は必要ない
    ・一般に「口語文法」というときの「文法」というのは、だれか整理し組織立てたものなのか、わからない。これはつまり、私たちひとりひとりそれぞれの文法があるということです
    ・私たちは日本語の文法を勉強する必要はないのです、無意識のうちにいつのまにか文法を身につけていますから。

    目次

    はじめに
    第1講 日本語はいまどうなっているのか
    第2講 日本語はどうつくられたのか
    第3講 日本語はどのように話されるのか
    第4講 日本語はどのように表現されるのか
    井上ひさし著書・単行本目録(抄)

    ISBN:9784106104107
    出版社:新潮社
    判型:新書
    ページ数:192ページ
    定価:720円(本体)
    発売日:2012年04月10日 14刷

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    2023年05月17日
  • 新釈遠野物語

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    日本の昔の生活や風習、考え方とか面白おかしく、そして水っぽく綴られていて面白かった。
    ふと思い出して、息抜きに読み返しそう

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    2023年04月25日
  • ブンとフン

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    ①
    開始:2023/1/4
    終了:2023/1/5

    感想
    ポップコーンのように次から次へと跳ねでる面白さ。いつまでもブンの秘密には触れられないナンセンス。だがそこがこの小説を傑物たらしめる。

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    2023年01月10日