あらすじ
「ブンとは何者か。ブンとは時間をこえ、空間をこえ、神出鬼没、やること奇抜、なすこと抜群、なにひとつ不可能はなく……」フン先生が書いた小説の主人公、四次元の大泥棒ブンが小説から飛び出した! たちまち全世界に、奇怪なしかしどこかユーモラスな事件が……。あらゆる権威や常識に挑戦する奔放な空想奇想が生む痛烈な諷刺と哄笑の渦。現代戯作の旗手、井上ひさしの処女作。
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Posted by ブクログ
父が子供の頃に読んだ本と聞いて、こっそり買って読んでみた一冊です。
想像以上に、凄く楽しめます。本が読者に語りかけてくるスタイルで、ページの中にのりしろがあったり、切り取り線があったり。昔大好きだったかいけつゾロリやおばけマンションを思い出して、ワクワクしました。
何回も読みたくなるフレーズが沢山あるし、ストーリーもワクワクするし、終わり方も突然に見せかけて凄く綺麗だったし、創作とはこの本で表現されたようなことを言うんじゃないかな、と思います。
最初に書いた本がこれってすごいなぁ。他の本や作品も観てみたいです。
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作家が生みだした怪盗が小説を世界中で大暴れするだけの話ですが、文体が軽快、痛快でついつい笑ってしまいます。この手のナンセンス作品は読んだことがありませんでしたが、楽しく読めました。
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リベラリズムと表裏一体のニヒリズムを
ユーモアとして昇華しきっている
一歩間違えれば陰惨になりかねない題材を
よくぞここまで笑える小説に仕上げたものだ
挿絵を杉井ギサブローさんが描いてます
Posted by ブクログ
小学生の時大好きだった本。ふと目について読み返してみたら、やっぱり面白い。けど、小学生の時には思わなかったことを考える様になっていた。軽くて深い、井上先生の傑作。
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小学生で初めて読んだけど、その時はいい大人がこんな面白い話書くんだなと思った。少し経って読んだ時は、なるほど舞台の人らしい書きぶりだな、面白いなと思った。合わせ鏡から悪魔が出てくるのが、信じてないけどもしかしたら、とゾワゾワしたのも思い出した。短くて軽妙だけど「人間」の本質の話だったかも
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井上ひさしの小説初読み。
十二人の手紙と言う作品を読もうと思っていたものの、積読すること
月日は立ち、ラジオ番組でこの小説のラジオドラマを拝聴したことがきっかけで、
小説を読みたいと思いつつも、なかなか入手できずじまい。
ようやく入手出来て読むことになりました。
フンと言う、まったく売れることがなく人里離れた場所で貧乏暮らしをする
小説家が書いた作品が、ある日突然売れたことで、担当者が、
お金やフン先生の好きな嗜好品を持ってきます。なんか裏があるのかと
勘ぐっていたところ、突如、小説原稿からブンという四次元の大泥棒
が現れ、三次元のフン先生の世界で泥棒を働き始めるという物語。
果たして、どうなっていくのか、なぜ「ブン」と言う作品が突如売れ始めたのか。
冒頭に書いた、ラジオドラマきっかけと言うことで、
そのラジオドラマでは、今となっては大昔、井上ひさしがまだ小説を
書く前の、脚本や戯曲を書いていた頃の児童向けとも言える
ラジオドラマに書いた脚本である。
そのラジオドラマでは、テンポが良く、時代的に声優とは言われていませんが、
声優たちの演技力に音楽が素晴らしく、ブンの声を超ベテランで日本人なら
知らない人はいないと言っても過言ではない、黒柳徹子が担当している。
このテンポ良く展開するSFファンタジー的な作品の小説を読んでみたい、
と思い、幾日かようやく手にして読んだ結果、ラジオドラマとは違う部分も
多く、そもそも、フン先生の状況と言うのはあまりラジオドラマでは描かれて
いないので、そいうところや様々なブンの行動など、より多く楽しめる
展開となっていました。どちらが良いかと言うと、どうしてもラジオドラマ
と個人的には思う次第ですが、それでも読めたことは良かったと思います。
Posted by ブクログ
すごい奇想天外な話だった。着地点がどこなのか想像できず…。最後は落語のオチみたいだなと感じた。
ブンのあのはちゃめちゃぶり(フン先生も大概だが笑)はアニメにしたら子ども達に受けそう。
Posted by ブクログ
①
開始:2023/1/4
終了:2023/1/5
感想
ポップコーンのように次から次へと跳ねでる面白さ。いつまでもブンの秘密には触れられないナンセンス。だがそこがこの小説を傑物たらしめる。
Posted by ブクログ
最初の方はくだらない作品かと思って読んでいたけど、後半は結構良いことが書かれていた。
人は地位や名誉やお金に恵まれると、本当の自分がわからなくなる。だからブンはそういったものを盗んだと書いてあり、確かにそうだなと思いました。
お金がなくても、良い地位じゃなくても、本来の自分はあるはずで、楽しく日々を送れるはずです。子供の頃の私達がそうであったかのように。社会に出るとどうしてもお金とか地位とか名誉に目がいってしまいます。
30年前にこのような子供も読める小説の中で上記のことが書かれていることに衝撃を受けました。
大人も子供も読むべき本。特に今のこの世の中を生きる人達に読んで欲しいです。
Posted by ブクログ
言葉遊びの天才!
キリトリ線にのりしろに、なんてお茶目なのか。
一から十までふざけているようでいて、そこには皮肉があったり平和を祈っていたり…。
だけど、押し付けがましくなく、サラッと語ってしまうところがいいなぁ。
処女作ということで、きっと荒削りなところもあるんだろうけど、同時にエネルギーもある気がする。他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
相当久しぶりの井上ひさし。「ドン松五郎」なんて好きで中学以来、何度読んだか忘れるほどであったが、そういえば代表作の「ブンとフン」は読んでいなかった。パラパラっとめくって、読まなかった理由がわかった。ワタクシは、改行の多い詩を書くのも読むのも苦手なのである。パラパラっとめくるだけでいくつも出てくるが、もう大人なので無視して読み始め。
そういう個人的な事情は置いておいて、読書家向けに簡単に書くと、ストーリー内でも数回引き合いに出されている、北杜夫の「怪盗ジバコ」を丁寧に書いて、オチまでつけたというような話だ(オチはむちゃくちゃだが)。違いは、あちらはの怪盗は生身の人間であったが、こちらは本から現れた架空の存在というところ。読書家でない人に解説すると、本から主人公が出てきて大騒ぎというSFがかったファンタジーコメディーで、戯曲というか、ミュージカル風に話が進む。
気になっていたその詩は、よく読んでみるとダジャレがメインになっているので面白みはわかるものの、やっぱり電車内で読むと何故か気恥ずかしいし頭に入ってきにくいのが難点。そこは無視するとして、後の名作「吉里吉里人」と同じような結構下品なネタもありつつのドタバタで、途中から社会現象に話を広げるあたりも井上ひさしらしい展開であります。
あとがきで本人も書いているように、井上作品の中でも群を抜いてハチャメチャなので、そういう話を読んで腹を立てる人やフィクションやユーモアを解さないサイキンのオトナの人にはまったくもって向きませんが、読書家ならずとも、一度は読んでおきたい名作(迷作?)であります。
Posted by ブクログ
【本の内容】
「ブンとは何者か。
ブンとは時間をこえ、空間をこえ、神出鬼没、やること奇抜、なすこと抜群、なにひとつ不可能はなく…」フン先生が書いた小説の主人公、四次元の大泥棒ブンが小説から飛び出した!
たちまち全世界に、奇怪なしかしどこかユーモラスな事件が…。
あらゆる権威や常識に挑戦する奔放な空想奇想が生む痛烈な諷刺と哄笑の渦。
現代戯作の旗手、井上ひさしの処女作。
[ 目次 ]
[ POP ]
デビュー作には、その作家のすべてがある、とは文学の世界でしばしば言われることだが、それは今年4月に亡くなった井上ひさしさんの小説デビュー作『ブンとフン』(新潮文庫)にも当てはまる。
奇想天外な筋立て、権威への痛烈な批判、バカバカしさの中に豊かさを秘めた言葉遊び――。
40年も前に書かれた作品を読めば、ただまっすぐに、ぶれることなく生きた井上さんの人生が見えてくる。
物語は、売れない作家フンが書いた小説の主人公の大泥棒ブンが、現実に飛び出す所から始まる。
世界中で奇怪な事件を起こしたブンは次に、人間の一番大切なものを盗もうと決める。
〈ほう、そりゃあなにかね?〉と尋ねるフンにブンは言う。
〈権威です(中略)権威をもつと、人は、愛や、やさしさや、正しいことがなにかを、忘れてしまう〉
ページの端に「のりしろ」「キリトリ線」があったり、ヘンテコな歌があったりと笑えるシーンも満載。
新潮社は「今の中高生に小説の面白さを伝える1冊に」と今夏、14年ぶりに「新潮文庫の100冊」フェアの対象作に復活させた。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
劇作家の井上ひさし氏の処女作。ああ、小説ってこんなに自由奔放で勝手気ままでいいんだなぁ、と嬉しくなる作品です。「世のお母さんたち」に読まれたくない部分にはノリシロがあり、このページを糊で貼り付けてしまうように、などという指示が出ていたりして、著者の遊び心にもニヤニヤしてしまいます。200ページぐらいですが、一日で一気に読めます。
何せ刊行されたのがもう40年前ということで、登場する有名人や時代背景なんかはさすがに古いですが、随所に出てくる言葉遊びや語呂合わせ、著者の豊富で奔放な想像力と悪ふざけ、そして世の中への風刺は今でも鮮やかに輝いてます。きっと、これから数十年後に読んでも、やはり同じような色彩とシニカルな視点を読者に与えてくれるのだろうと思います。
ナンセンス文学であり、世界への皮肉や批判も内在している風刺文学でもあるこの作品、時々本棚から抜き出して読めば、声を出して笑える時間を与えてくれるでしょう。
Posted by ブクログ
ちょっと読んでおかなくちゃいけないかなぁと思って。本当は小さい頃父親に、吉里吉里人をすすめられて、そのまま大人になってしまっていたのだけど、長いしとりあえず手にとりやすいものから、と。
でも、遊びが随所にはさまれているところも面白かったし、ミュージカルになったりしているけど、一度みてみたいと興味をそそられた。
長いのも読みます。
Posted by ブクログ
売れない小説家フンが書いた小説の主人公ブン、できないことは何もない神出鬼没の四次元大怪盗、が小説から飛び出してさぁ大変。世界中でハチャメチャな事件が起きるという物語。
井上ひさしさん風の言葉遊びと風刺に富んだ作品でした。
小説「ブン」が大ヒットとなり、生原稿からだけでなく、増刷された本からもブンが飛び出すのですが、それらのたくさんのブンが集まって会議する場面がなかなか面白かったです。
同じブンのはずなのに、それぞれが個性をもっていて、その台詞一つ一つが辛味たっぷり。
刑務所のくだりなども、皮肉たっぷり。
ふふふと笑ってしまう、痛快な小説でした。
Posted by ブクログ
「それからのブンとフン」をみにいった物販コーナーにて購入。
ちなみに、帯に市村正親さんのサインがあるものを買えました♪
舞台とはまたラストが違うんだけど、
舞台は、原作に+αされていたので、それが「『それからの』ブンとフン」だったのかな。
でもどちらも、本質もディテールも同じでした。
昔にかかれた物語なのに、ぜんぜん古くないんだな。
内容も、言葉の選択も。
言葉遊びも面白い。
そして舞台は、よくこの小説を舞台にまとめたなぁと驚き。
なんだか、舞台の感想になっちゃった。笑。
Posted by ブクログ
井上ひさしの処女作だそうで、確か小学校だか中学校のときに読んだ記憶があったのですが、今読み返してみても結構面白い。
筒井康隆も非常に似たような作風だったななんてことを思いながら結構新鮮な気持ちで読み返すことができました。
売れない作家フン先生が生み出した売れないはずの作品の登場人物、四次元の世界を飛び回る怪盗ブンが本の世界から飛び出して世の中を騒がす。
その怪盗を捕らえるために打たれた手。
そしてつかまった大泥棒ブンに言い渡された刑は、とてつもなく長いものだったのだが、その刑を全うさせるために、刑務所の中で獄死しないようにと立てられたのはとんでもなく立派な刑務所。
それも捕まったブンは売れた本の数だけいるということで、刑務所の数も半端じゃない。
そしてものすごい待遇が・・・。
それを見ていた民衆が、自分も刑務所に入りたいと、軽犯罪を犯すという、とんでもないナンセンスモノなのだが、世間を凄く皮肉っている。
こんなユーモア小説が今はないのではないだろうか?
皮肉でありながら、ユーモラスでホノボノ。
Posted by ブクログ
小説をはじめとして、何かキャラクター、いわゆる何か存在を作り上げるというのは、どれほどの重みがあるのだろうか?
今の世の中、情報発信が至極簡単に短絡的に行われ、責任というものを考えて発信できているものがどれほどいるのだろうか。
自分が苦労して生み出した存在が、どこかで独り歩きして自分の知らぬところで悪事をしていたらこれほどつらいことはないだろう。
そんな考えを一つの話にしたらこの本になるのだろう。
ぜひお読みいただきい。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃなストーリーである中に風刺が富んでいて、さらに言葉の使い方においても普通じゃない感じがあり、簡単には感想が出てこない。
処女作とのことで単純に目立ちたかったのかなとも思ったけど、著者のウィキペディアを読んでみると一筋縄ではなさそうな生い立ちであられ、どんな背景でこの作品を書くに至ったのか、なかなか想像ができない。もう少しこの方の著作を読んで、じっくり味わってみたいと思った。
Posted by ブクログ
昔、新聞連載されて挿絵が漫画っぽく、読もうかなと思った記憶がある。今回初めて読んだが、破茶滅茶で元気が出るパワフルな内容である。新聞連載といえば『偽原始人』もあったなぁ。2019.9.2
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井上ひさしの小説デビュー作。いわゆる「パニックもの」で、社会の「常識」や「秩序」をユーモラスかつアイロニカルに「解体」しているが、1960年代の時事を背景とした作品なのでさすがに古さは否めない。
Posted by ブクログ
まるでミュージカルのようだ。愉快なようで人の本質を突きつけられている気もする。だからこそ奇想天外と笑って終わってもいいのかもしれない。
2015/6/4
Posted by ブクログ
貧乏作家のフン先生の小説から主人公のブンが現実世界に抜け出して大騒動を繰り広げる。
「どうせ盗むなら、人間の一番大切なものを盗んでやろうと思ったんです。」
「ほう、そりゃなにかね」
「権威です。人を思いのままに動かすことのできる、あるもの。
お金も出世もホコリも、努力もよい行いも、なにもかもみんな、権威、力をもつための手段にすぎないんです」
「でもねェ、ブン、もしそうだとしても、権威をもつことがなぜいかん?」
「人間の目がくもりますもの。権威をもつと、人は、愛や、やさしさや、正しいことがなにかを、忘れてしまうんです。
そして、いったん、権威を手に入れてしまうと、
それを守るために、どんなハレンチなことでも平気でやってしまうのだわ」
劇作家 井上ひさしの処女作。
各章に出てくる語呂合わせ、言葉あそびに、舞台劇の風合いを感じる。
読者に直接語りかけたり、エッチなページに封印用のノリシロを付けたり、コント55号・高見山が登場したりと、
楽しませようとするサービス精神に富んでいる。
Posted by ブクログ
ユーモアありまくりのナンセンス小説。
ページに糊代がついてたり、切り取り線があって「このページを長嶋選手に送るように」と書いてあったり。
どうでもいいドタバタで楽しい。
Posted by ブクログ
井上ひさしとは読者を愚弄する不届き者である。愉快だ。腕白小僧そのままだ。植木等の無責任、欣ちゃんのドタバタ、志村けんの能天気さ
井上ひさしの親父ギャグ 少し風刺も効いて くすっとしたり
Posted by ブクログ
四次元の大泥棒、小説の中から抜け出す…だって、四次元だもの、そんなの簡単!まずこのアイデアがいい。そして、カリカチュアされた小説家や警官や、色々な登場人物。現代日本への皮肉たっぷりの展開。さらっと読めるエンターテイメントでした。
Posted by ブクログ
大学のゼミで吉里吉里人を読んで以来の井上ひさしさん。
おもしろおかしくへんてこな物語を進めながらも、社会風刺をきかせている。
処女作でありながら、井上さんの作品の魅力が既につまっている。
芯の部分には、人間はよけいなものを取り去れば、みんな優しくなれるはずという信念みたいなものがある。