あらすじ
「ブンとは何者か。ブンとは時間をこえ、空間をこえ、神出鬼没、やること奇抜、なすこと抜群、なにひとつ不可能はなく……」フン先生が書いた小説の主人公、四次元の大泥棒ブンが小説から飛び出した! たちまち全世界に、奇怪なしかしどこかユーモラスな事件が……。あらゆる権威や常識に挑戦する奔放な空想奇想が生む痛烈な諷刺と哄笑の渦。現代戯作の旗手、井上ひさしの処女作。
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Posted by ブクログ
売れない小説家フンが書いた小説の主人公ブン、できないことは何もない神出鬼没の四次元大怪盗、が小説から飛び出してさぁ大変。世界中でハチャメチャな事件が起きるという物語。
井上ひさしさん風の言葉遊びと風刺に富んだ作品でした。
小説「ブン」が大ヒットとなり、生原稿からだけでなく、増刷された本からもブンが飛び出すのですが、それらのたくさんのブンが集まって会議する場面がなかなか面白かったです。
同じブンのはずなのに、それぞれが個性をもっていて、その台詞一つ一つが辛味たっぷり。
刑務所のくだりなども、皮肉たっぷり。
ふふふと笑ってしまう、痛快な小説でした。
Posted by ブクログ
「それからのブンとフン」をみにいった物販コーナーにて購入。
ちなみに、帯に市村正親さんのサインがあるものを買えました♪
舞台とはまたラストが違うんだけど、
舞台は、原作に+αされていたので、それが「『それからの』ブンとフン」だったのかな。
でもどちらも、本質もディテールも同じでした。
昔にかかれた物語なのに、ぜんぜん古くないんだな。
内容も、言葉の選択も。
言葉遊びも面白い。
そして舞台は、よくこの小説を舞台にまとめたなぁと驚き。
なんだか、舞台の感想になっちゃった。笑。
Posted by ブクログ
小説をはじめとして、何かキャラクター、いわゆる何か存在を作り上げるというのは、どれほどの重みがあるのだろうか?
今の世の中、情報発信が至極簡単に短絡的に行われ、責任というものを考えて発信できているものがどれほどいるのだろうか。
自分が苦労して生み出した存在が、どこかで独り歩きして自分の知らぬところで悪事をしていたらこれほどつらいことはないだろう。
そんな考えを一つの話にしたらこの本になるのだろう。
ぜひお読みいただきい。
Posted by ブクログ
貧乏作家のフン先生の小説から主人公のブンが現実世界に抜け出して大騒動を繰り広げる。
「どうせ盗むなら、人間の一番大切なものを盗んでやろうと思ったんです。」
「ほう、そりゃなにかね」
「権威です。人を思いのままに動かすことのできる、あるもの。
お金も出世もホコリも、努力もよい行いも、なにもかもみんな、権威、力をもつための手段にすぎないんです」
「でもねェ、ブン、もしそうだとしても、権威をもつことがなぜいかん?」
「人間の目がくもりますもの。権威をもつと、人は、愛や、やさしさや、正しいことがなにかを、忘れてしまうんです。
そして、いったん、権威を手に入れてしまうと、
それを守るために、どんなハレンチなことでも平気でやってしまうのだわ」
劇作家 井上ひさしの処女作。
各章に出てくる語呂合わせ、言葉あそびに、舞台劇の風合いを感じる。
読者に直接語りかけたり、エッチなページに封印用のノリシロを付けたり、コント55号・高見山が登場したりと、
楽しませようとするサービス精神に富んでいる。
Posted by ブクログ
四次元の大泥棒、小説の中から抜け出す…だって、四次元だもの、そんなの簡単!まずこのアイデアがいい。そして、カリカチュアされた小説家や警官や、色々な登場人物。現代日本への皮肉たっぷりの展開。さらっと読めるエンターテイメントでした。