井上ひさしのレビュー一覧

  • 十二人の手紙
    四捨五入殺人事件に続けて、読む。
    一つ一つのミステリーにそんなに凄さはないと思う。まあ、本職じゃないし。
    最終編に、ああ、そういう趣向なのねと納得はしたけど。

    新聞広告を2,3回見たけど、どういう事情だろうか。中公が版権を買った理由があるのかな。
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点
    「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」!
    記憶せよ、抗議せよ、そして、生き延びよ。この時代に、頑張れ、あらゆるエンタメ。
  • 四千万歩の男 忠敬の生き方
    長編小説『四千万歩の男』全5巻(講談社文庫)にかんする著者のインタヴュー記事などをまとめた本です。

    本編は、忠敬が蝦夷地と伊豆・相模の測量の旅を終えるところまでがえがかれていますが、作品内での期間は1年半であり、一方著者がこの連載に7年の歳月を費やしたということで、けっきょく十七年におよぶ忠敬の行...続きを読む
  • 四千万歩の男(三)
    蝦夷地の測量の旅をつづける忠敬たちは、敵討ちをこころざす母娘に出会い、彼女たちと同行することになります。さらに、忠敬とともに旅をしていた松前ノ吉助の出生にかかわる秘密が明らかになり、息子の秀蔵がお初という女性に惚れ込み旅を止めると忠敬に申し出るなど、あいかわらず数々の事件に巻き込まれていきます。

    ...続きを読む
  • 四千万歩の男(五)
    シリーズ最終巻。

    根府川の関所では、忠敬の偽物が現われたために本物の忠敬が偽物と間違えられ、足止めされることになります。さらにこの事件のなかで、忠敬はいまだ若輩の二宮金次郎と出会い、その農政観について彼の語るところに耳を傾けます。

    その後もさまざまな事件に巻き込まれながら、忠敬一行の旅はつづき、...続きを読む
  • 四千万歩の男(四)
    伊豆と相模を測量するための旅を開始し、西へ向かう忠敬は、川崎宿で阿波の殿様の一行にぶつかり、阿波の名産品である藍の栽培のしかたを記した秘伝書が盗まれるという事件に巻き込まれてしまいます。さらに保土ヶ谷では、十返舎一九と葛飾北斎がそれぞれ宿屋の軍師となっており、客引き対決をくり広げます。

    その後も忠...続きを読む
  • 四千万歩の男(一)
    日本中をみずからの脚で歩き地図を作製した伊能忠敬を主人公にした長編小説です。

    忠敬は、天文学の師である高橋至時の提案により、蝦夷地図を作成するという使命を果たしつつ、緯度のちがいによる北極星の高度を測定して正確な子午線の長さを得ようとします。当初は陸路ではなく海路をとるように指示され、さらに出発も...続きを読む
  • 四千万歩の男(二)
    蝦夷の地へとわたった忠敬一行は、公儀、松前藩、アイヌの三つどもえの抗争に巻き込まれ、さらに間宮林蔵の謀略によって振りまわされることになります。

    前巻同様に破天荒なストーリー展開になっていて、いかにも著者の作品らしい内容です。とくに印象的だったのは、ロシアにわたりロシア人と通商を結ぶことを夢見る大司...続きを読む
  • 新釈遠野物語
    井上ひさしの本をそういえばあんまり読んだことないな、と思って手に取る。昔話や妖怪の出てくる話。元ネタの、遠野物語を読みたくなる。

    落語でも狸や狐に騙された小咄というのはよく出てくるけど、その感じととてもよく似ていて、既視感があったので少し評価は低めに。

    里山や村などの自然と近い生活感が感じられる...続きを読む
  • 四千万歩の男 忠敬の生き方
    あの日本で初めて地図を作った伊能忠敬を小説にした井上ひさし氏の「四千万歩の男は、全部で5巻完結であり、そのボリュームに恐れをなして、似たデザインの兄弟本に「四千万歩の男 忠敬の生き方」という本があるのを知り、少々弱腰でこちらを読むことにした。

    ところがこちらは、小説でなく、上記小説についての著者の...続きを読む
  • 東慶寺花だより
    確かに女性は強い、でもやはり不条理が多い気がして純粋に楽しめなかった。強くならざるを得ない、夫側のダメさのような感じ。
  • 東慶寺花だより
    江戸時代、女性から離婚を申し出るのが難しい時代の駆け込み寺の話。
    短編でそれぞれに事情を抱えた女性が出てくるが、その事情が笑える話。
    読んだ後に何も残らない話の短編集でした
  • ブンとフン
    昔、新聞連載されて挿絵が漫画っぽく、読もうかなと思った記憶がある。今回初めて読んだが、破茶滅茶で元気が出るパワフルな内容である。新聞連載といえば『偽原始人』もあったなぁ。2019.9.2
  • 青葉繁れる
    この長篇は著者の精神的故郷である仙台を舞台に妄想ばかりしていた少年時代をもつ男の思想的半自叙伝をすべての権威を相対化してしまうパロディ意識でつらぬいた愉快な青春小説。
  • 吉里吉里人(上)
    宮城の端の吉里吉里という町が日本国から独立するというお話。
    本筋はすごく面白いのだが、話の中心である古橋のサイドストーリーとか、横道にそれる話題が非常に多く、飽きる。早く吉里吉里国について教えてほしい。
    中盤からページをくってもくっても吉里吉里国の話にならないので、脱落してしまった。
  • 自家製 文章読本
    20年ほど前、学生の時分に一度読んでいるはずなんだけど、こんな本だったっけ、という印象…

    もっとさくさく読める感じのイメージだったのだけど、自分の読解力が落ちているのかもしれない><

    同じ時期に同じ作者の「私家版 日本語文法」も読んでるはずなのでそっちと混同してるのかも。
  • 吉里吉里人(下)
    上中下巻に渡る大作。

    日本が抱える様々な矛盾や課題を、農業政策と医療政策を切口に皮肉りながら、ドタバタでガタガタでハチャメチャでハラハラに書き進めるコメディ。

    ハッとするような指摘を、軽妙なコメディタッチで書き上げているのが面白い。

    40年近く前の作品でありながら、今の日本への提言として遜色な...続きを読む
  • 吉里吉里人(上)
    東北の一地方が突如、独立を宣言し、「吉里吉里国」となる。旅客列車が止められて旅券を拝見とは⁉︎
    なかなかの発想ですね。時々、クスリと笑わしてくれる。
    主人公の古橋健二は自伝小説を書いた小説家。
    この騒動に巻き込まれて、国賓扱いを受けていたが、となることから裁判に掛けられ犯罪者扱いとなる。次の巻が気に...続きを読む
  • 吉里吉里人(下)
    中二みたいな下ネタてんこ盛りの語り口に、大人な農業論、政治論、医療論の食い合わせに頭がクラクラしました。ストーリー全部ばらしちゃう解説に気を付けましょう。
  • 円生と志ん生
    「円生と志ん生」は2005年に上演した井上ひさしさんの戯曲。
    当然ながら上演はこまつ座で、確か初演を観た記憶があります。

    あまりにも有名な(落語ファン、というより「落後史ファン」にとっては、ですが)、「古今亭志ん生と三遊亭円生が、戦後直後に満州から帰国できずに散々苦労をした」、という実話の演劇化で...続きを読む