井上ひさしのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は上智大学のOB会「ソフィア会」主催の「日本語講座」を書籍化したものである。この講座の聴講料は留学生の奨学金に充てるとのこと。
2015年に本書を購入し一読したが、今回改めて読み直した。
著者の井上ひさしはものを書き始めると、悪鬼のようになり、妻に暴力を振るった。それは、文章を書くことにナーバスであったからに違いない。
例えば本書の冒頭に、
「母語は道具ではない。精神そのものである」
「小学校で英語を教えようということになったときに、僕は本当に危ないと思いました。すべて、そうやって、言葉は消えていくのです。」
とあり、日本語に対して思索を重ねてきたことが感じ取れる。
さらに読み進めていくと、仕事柄、膨大な研鑽を重ねてきたことが分かる。著者の独自の視点で研究してきたこともよく分かる。
しかしそれは、学問のための研究ではない。自分の作品を書くための道具としての日本語の研究である。道具としての言葉をここまで研究してきたのかと驚嘆する。
そしてそれを、ジョークに包んで言葉にできるところに井上ひさしという作家の狂気を見たような気がした。