井上ひさしのレビュー一覧

  • ふかいことをおもしろく 創作の原点

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    「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」!
    記憶せよ、抗議せよ、そして、生き延びよ。この時代に、頑張れ、あらゆるエンタメ。

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    2020年09月22日
  • 新釈遠野物語

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    井上ひさしの本をそういえばあんまり読んだことないな、と思って手に取る。昔話や妖怪の出てくる話。元ネタの、遠野物語を読みたくなる。

    落語でも狸や狐に騙された小咄というのはよく出てくるけど、その感じととてもよく似ていて、既視感があったので少し評価は低めに。

    里山や村などの自然と近い生活感が感じられるところがよかった。ちょっと自然に近い気持ちになれる。

    短い話が続くので、気分転換したいとき、旅のお供におすすめ。小説も、ある意味では化かし合いだなあと思ったり、霞のかかったような本でした。表紙が可愛い。

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    2020年03月23日
  • 四千万歩の男 忠敬の生き方

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    ネタバレ

    あの日本で初めて地図を作った伊能忠敬を小説にした井上ひさし氏の「四千万歩の男は、全部で5巻完結であり、そのボリュームに恐れをなして、似たデザインの兄弟本に「四千万歩の男 忠敬の生き方」という本があるのを知り、少々弱腰でこちらを読むことにした。

    ところがこちらは、小説でなく、上記小説についての著者の雑誌や新聞への寄稿文、あるいは講演記録、インタビュー記事などが編集された本であった。であるのでで小説の概要や、伊能忠敬の人物像については、この本で結構知ることはできた。しかし、小説の醍醐味、伊能忠敬になって日本全国を巡る臨場感的なものを期待するなら、小説本体のほうが断然すぐれているはずだ。

    小説本

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    2019年12月22日
  • 東慶寺花だより

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    確かに女性は強い、でもやはり不条理が多い気がして純粋に楽しめなかった。強くならざるを得ない、夫側のダメさのような感じ。

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    2019年12月10日
  • 東慶寺花だより

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    江戸時代、女性から離婚を申し出るのが難しい時代の駆け込み寺の話。
    短編でそれぞれに事情を抱えた女性が出てくるが、その事情が笑える話。
    読んだ後に何も残らない話の短編集でした

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    2019年10月06日
  • ブンとフン

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    昔、新聞連載されて挿絵が漫画っぽく、読もうかなと思った記憶がある。今回初めて読んだが、破茶滅茶で元気が出るパワフルな内容である。新聞連載といえば『偽原始人』もあったなぁ。2019.9.2

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    2019年09月02日
  • 青葉繁れる

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    この長篇は著者の精神的故郷である仙台を舞台に妄想ばかりしていた少年時代をもつ男の思想的半自叙伝をすべての権威を相対化してしまうパロディ意識でつらぬいた愉快な青春小説。

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    2019年07月17日
  • 吉里吉里人(上)

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    宮城の端の吉里吉里という町が日本国から独立するというお話。
    本筋はすごく面白いのだが、話の中心である古橋のサイドストーリーとか、横道にそれる話題が非常に多く、飽きる。早く吉里吉里国について教えてほしい。
    中盤からページをくってもくっても吉里吉里国の話にならないので、脱落してしまった。

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    2019年02月21日
  • 自家製 文章読本

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    20年ほど前、学生の時分に一度読んでいるはずなんだけど、こんな本だったっけ、という印象…

    もっとさくさく読める感じのイメージだったのだけど、自分の読解力が落ちているのかもしれない><

    同じ時期に同じ作者の「私家版 日本語文法」も読んでるはずなのでそっちと混同してるのかも。

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    2019年01月20日
  • 吉里吉里人(下)

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    ネタバレ

    上中下巻に渡る大作。

    日本が抱える様々な矛盾や課題を、農業政策と医療政策を切口に皮肉りながら、ドタバタでガタガタでハチャメチャでハラハラに書き進めるコメディ。

    ハッとするような指摘を、軽妙なコメディタッチで書き上げているのが面白い。

    40年近く前の作品でありながら、今の日本への提言として遜色ないのは、内容が普遍的で不変だからなのか、日本という国が成長していないからなのか…

    そして、読んでいるうちに、脳内は“吉里吉里語”に汚染されていく。

    それにしても、主人公・古橋健二のダメ人間ぶりがものすごい。フィクションだから、あえて極端に振ってるんだろうけど、それにしてもひどい。それが面白いんだ

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    2018年11月15日
  • 吉里吉里人(上)

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    ネタバレ

    東北の一地方が突如、独立を宣言し、「吉里吉里国」となる。旅客列車が止められて旅券を拝見とは⁉︎
    なかなかの発想ですね。時々、クスリと笑わしてくれる。
    主人公の古橋健二は自伝小説を書いた小説家。
    この騒動に巻き込まれて、国賓扱いを受けていたが、となることから裁判に掛けられ犯罪者扱いとなる。次の巻が気になりますね。

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    2018年09月13日
  • 吉里吉里人(下)

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    中二みたいな下ネタてんこ盛りの語り口に、大人な農業論、政治論、医療論の食い合わせに頭がクラクラしました。ストーリー全部ばらしちゃう解説に気を付けましょう。

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    2018年04月20日
  • 円生と志ん生

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    「円生と志ん生」は2005年に上演した井上ひさしさんの戯曲。
    当然ながら上演はこまつ座で、確か初演を観た記憶があります。

    あまりにも有名な(落語ファン、というより「落後史ファン」にとっては、ですが)、「古今亭志ん生と三遊亭円生が、戦後直後に満州から帰国できずに散々苦労をした」、という実話の演劇化です。

    ちょうどつい最近NHKのドラマで「どこにも無い国」という、まさにこの時期のお話がやっていて、なかなか映像にならない「戦後直後の新京や大連の無政府状態」が観られて、興味深かったです。

    あらすじでいうと、本当に割と叙事的で。
    ただ、苦労と放浪の中でも、とにかく落語を演じるという工夫や情熱に賭け

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    2018年04月07日
  • 父と暮せば

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    ネタバレ

    広島の原子力爆弾で、父を亡くした娘。
    生きているのが申し訳ない、幸せになるのが申し訳ないと言って生きていく。
    自分を戒める娘と幸せを願う娘の一人二役で話は進むが、幸せを願う娘の役を亡くなった父に置き換えている。

    現実にこんなことがあったのかと疑うほど、原子力爆弾はむごい。

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    2017年08月17日
  • 百年戦争(上)

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    複数巻の長編を平行に読破しよう月間。収集がつかなくなってきてますが、新たに投入。

    言い間違いが原因で、ある夜突然ネコに変身してしまった小学校六年生が、銀座・有楽町界隈のネコとネズミの小競り合いの解決に乗り出す。

    井上ひさしでヒトの言葉のわかる動物モノというと、ドン松五郎のような子供向けかと思うし、講談調に細かく章分けしてテンポ良く進むのも同じ。

    ただ、内容的にはワルノリメインなところが強く、本作はどっちかいうと「吉里吉里人」のような大人向けSFと言った方が良いのかもしれない。

    結構厚い本2冊組だが、上巻の本旨は非常にシンプルで、なんで厚くなったかといえば、事あるごとにダジャレの羅列、落

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    2017年04月17日
  • 東慶寺花だより

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    昔なのに、結構離婚に対していろんなシステムが構築されていることに驚いた。

    いつの時代も、相手を思いやる心は大切。

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    2017年03月15日
  • 東慶寺花だより

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    駆込み女と駆出し男の原作なので読んでみた。
    大泉洋さんぴったり。
    一つ一つのストーリーが短編のようになっていてよかった。
    東慶寺のシステムはとてもいい。

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    2017年02月16日
  • 私家版 日本語文法

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    日本語文法は難しく、面白味のないイメージだが、著者がわかりやすく説明している。
    助詞「が、は」等の違いがとても分かりやすく、よかった。
    読点が多い。少ないの違い。
    !?は公的な文字として認識されていない。
    漢字の大切さ。
    同音異義の多い理由。
    などの情報が書いてある。

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    2016年10月05日
  • ブラウン監獄の四季

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    講談社文庫で読んだ記憶があるので、三十数年ぶりの再読。「先管理、後管理」。いい時代だったということか。

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    2016年09月04日
  • 父と暮せば

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    同名演劇の脚本。
    広島の原爆から生き延びた美津子は、自らを幸せになってはいけない、と戒め、好きなひとができても、恋することを禁じていた。
    しかし、自称・美津子の恋の応援団長である父の竹造は、そんな美津子の恋が実るよう、影に日向に、美津子を説得する。

    竹造のコミカルな振る舞いと、美津子を脅かす被爆体験の恐ろしさの両方が伝わってきて、妙に迫力のある話。
    文章でも伝わってくるのだから、舞台で見ると本当に心揺さぶられるものがあるのだろうと思う。
    広島ことばは難しかったけど、その分リアリティがあった。

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    2016年08月25日