ある六月上旬の早朝、上野発青森行急行「十和田3号」を一ノ関近くの赤壁で緊急停車させた男たちがいた。「あんだ旅券ば持って居だが」。実にこの日午前六時、東北の一寒村吉里吉里国は突如日本からの分離独立を宣言したのだった。政治に、経済に、農業に医学に言語に……大国日本のかかえる問題を鮮やかに撃つおかしくも感動的な新国家。日本SF大賞、読売文学賞受賞作。
Posted by ブクログ 2022年09月03日
くだらないユーモアで笑いっぱなし、唯一無二の圧倒的な引力を持つ大名(迷)作。
井上ひさしに特別な思い入れは無いが、本作品に関してはボリュームに怖気付かず是非読んでほしい。
壮大な群像劇仕立て、一冊約600p(×3冊)の狂ったボリュームだが、あっという間に読ませてしまう所に、当時の井上ひさしのギラつ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年08月01日
上中下巻と、面白くて一気に読んだ。吉里吉里人を読みながら、日本の内部で吉里吉里国が独立するという設定がイスラム国の比喩のようにも取れたし、また『横浜駅SF』を思い出しもしたし、あらゆる吉里吉里に関する要素が百科事典的に記されている様はメルヴィルの『白鯨』のようでもある。それにしても、日本で『白鯨』の...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年09月20日
売れない小説家の古橋健二は、雑誌『旅と歴史』の編集者である佐藤久夫と取材旅行のため、上野発青森行きの旧交十和田3号に乗っていました。ところがとつぜん、ライフルを手にした少年が、列車を停止させます。東北の一寒村が「吉里吉里国」として日本からの独立を宣言し、古橋らは外国人として検問所へ連れて行かれること...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年08月28日
2012年の11月に買ったまま、あんまり長いので途中で放ってしまっていた本書。ついに腰を入れて読み始めることができました。
これでもかこれでもか、って程、ネタをぶっこんでくる作歌魂に驚嘆。細部の演出がすごい。吉里吉里語の説明箇所とか。描写が映像的で、読みながら吉里吉里国を頭の中で作っていける感じ。...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年07月28日
konnokは仙台弁のページを開いているので「吉里吉里人」(きりきりじん)はおすすめの本になります。ちなみに私の本棚には仙台に戻ってからずっとこの本がおいてあるのですが、気力が充実していないと読み始められないのでまだ読み直してはいません。井上ひさしの小説は「言葉」にこだわりのあるものが多く、面白く読...続きを読む
Posted by ブクログ 2010年12月12日
「吉里吉里人(上・中・下)」井上ひさし
”全体小説”。特になし。
いや、っていうかレビュー書けないや。
自分が今まで読んだ小説の中で確実に5本の指に入る内容量の圧巻。
感動系でもなく純然たるSFでもなく文学でもなく、なんだろ。
とにかく読んだら読んだで(良くも悪くも)読み疲れる大作かと...続きを読む
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