【感想・ネタバレ】吉里吉里人(上)のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年10月22日

この作品は物凄く混沌としている様に見えるよう作られている。読みにくいとか余計な脱線があるという意見もあるようだけれど、世の中、世知辛さ、情、抵抗活動、どうにもならないもの、無念、舞台は田舎であるし、秩序でできた煌めく小綺麗な文章でこの独立運動がもし書かれていたら、それは吉里吉里人の話ではない。
現代...続きを読むのコスパタイパ思想に浸かってしまう学生時代に、この作品を読めて良かったが、社会人など時間に追われるようになると、この作品の無駄さ、豊かさなどは、味わうのは難しいかも。
それと政治の諸問題をこんなに分かりやすくした物語は珍しかった。

日本から独立するって話は、昔、村上龍なども書いていたように記憶しているけれど、きちんと独立して平和に世を治めたハッピーエンドの話は読んだ事がまだない。ライトノベルだと別世界を統治する系の話はよくあるようだけれど、日本が舞台で、政権を転覆させてそれをやるのは難しいのかしら。と、これを読んだ当時、思っていた。

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Posted by ブクログ 2023年07月13日

抱腹絶倒とにかく面白い。ジャンルを言うなら妄想小説R15指定。主人公のオッサンにイラッとしながらもぐいぐい引き込まれていきます。
 出会いは行きつけの大型書店。奇抜なタイトルが目に入って書棚から手に取り、表紙の絵に惹かれてペラペラ捲って見る。ルビが多い小説だと思ったらなんと東北弁訳。期待値マックスで...続きを読むレジへと直行でした。
 物語はと言うと・・・これが実にえぐい話なのです。小説が醸し出す独特の世界観に酔います。まずはご一読あれ。

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Posted by ブクログ 2022年09月03日


くだらないユーモアで笑いっぱなし、唯一無二の圧倒的な引力を持つ大名(迷)作。
井上ひさしに特別な思い入れは無いが、本作品に関してはボリュームに怖気付かず是非読んでほしい。
壮大な群像劇仕立て、一冊約600p(×3冊)の狂ったボリュームだが、あっという間に読ませてしまう所に、当時の井上ひさしのギラつ...続きを読むく力量を感じる。

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Posted by ブクログ 2020年08月01日

上中下巻と、面白くて一気に読んだ。吉里吉里人を読みながら、日本の内部で吉里吉里国が独立するという設定がイスラム国の比喩のようにも取れたし、また『横浜駅SF』を思い出しもしたし、あらゆる吉里吉里に関する要素が百科事典的に記されている様はメルヴィルの『白鯨』のようでもある。それにしても、日本で『白鯨』の...続きを読むような大きな物語を持った古典に『吉里吉里人』が相当すると考える人はあまり多くないかもしれない。国の内部で国としての独立を立ち上げる視点は大江健三郎の『芽むしり仔撃ち』そのものだし、日本は日本国内での独立、地方の自立をカノンとして持っているというのは、英文学やフランス文学にはあまりない特徴のように感じる。

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Posted by ブクログ 2015年09月20日

売れない小説家の古橋健二は、雑誌『旅と歴史』の編集者である佐藤久夫と取材旅行のため、上野発青森行きの旧交十和田3号に乗っていました。ところがとつぜん、ライフルを手にした少年が、列車を停止させます。東北の一寒村が「吉里吉里国」として日本からの独立を宣言し、古橋らは外国人として検問所へ連れて行かれること...続きを読むになったのです。こうして、偶然にも吉里吉里国独立運動の渦中に投げ出されることになった古橋は、そこで次々に驚くべき体験をすることになります。

筒井康隆の作品のようなパロディやブラック・ユーモアに、宗田理の作品のような痛快無比なストーリー、若干イデオロギー色が強めですが、これも冗談でくるんでいるのでけっして鬱陶しいとは感じません。

夏目漱石の『坊っちゃん』や川端康成の『雪国』、小林秀雄の『モオツァルト』の「吉里吉里語」訳や、ユーイチ小松という人物の手になる『吉里吉里語四時間・吉日、日吉辞典つき』など、「ズーズー弁」と蔑まれてきた東北の方言が立派な国語になるというパロディ設定で、徹底的に遊びのめしています。

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Posted by ブクログ 2014年08月28日

2012年の11月に買ったまま、あんまり長いので途中で放ってしまっていた本書。ついに腰を入れて読み始めることができました。

これでもかこれでもか、って程、ネタをぶっこんでくる作歌魂に驚嘆。細部の演出がすごい。吉里吉里語の説明箇所とか。描写が映像的で、読みながら吉里吉里国を頭の中で作っていける感じ。...続きを読む主人公・古橋の汚いおっさんぶりのキャラ立ちの良さ、汚いおっさんなのに読み手の同情を誘うような、憎めなさ。

どのシーンから書き出すべきかを延々説明する冒頭の書き出しから、上巻ラストまで、ページをめくる手を止めさせないエンタメ小説。しかも、ただのエンタメじゃないのがすごいよなあ、1973年から一部を執筆、1981年単行本化とのこと。自分が生まれる前の作品とは思えないくらい、今読んでも吉里吉里人の根底にある問題意識を含めて、リアリティ感じる。

P106 「わたしたちはもう東京からの言葉で指図をされるのはことわる。わたしたちの言葉でものを考え、仕事をし、生きていきたい。わたしたちがこの地で百姓として生きるかぎり、吉里吉里語はわたしたちの皮膚であり、肉であり、血であり、骨であり、つまりはわたしたち自身なのだ。わたしたちがわたしたちの言葉でものを考えはじめるとき、中央の指図とはまっこうからぶつかる。そのようなとき、これまでわたしたちは泣く泣く標準語や共通語に自分の頭を切りかえたのだった。しかしそれはもはや過去の語り草となった。百姓は百姓語によって生きていかねばならない、学者が舶来の横文字を支えに生きているように。…」

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Posted by ブクログ 2012年01月31日

個人的に、『国家反逆』カテゴリーに含めている作品(ほかには筒井康隆「俗物図鑑」、小松左京「日本アパッチ族」、大江健三郎「同時代ゲーム」)。

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Posted by ブクログ 2011年12月30日

初読は大学受験の頃なので、今から25年程前になります。国際法や為替、笑いもありの正にザッツ・エンターテイメントな作品でした。

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Posted by ブクログ 2010年12月12日

「吉里吉里人(上・中・下)」井上ひさし
”全体小説”。特になし。


いや、っていうかレビュー書けないや。
自分が今まで読んだ小説の中で確実に5本の指に入る内容量の圧巻。
感動系でもなく純然たるSFでもなく文学でもなく、なんだろ。
とにかく読んだら読んだで(良くも悪くも)読み疲れる大作かと...続きを読む
異常です。あわわ、間違えた。以上です。

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Posted by ブクログ 2024年03月31日

情報小説
 三読目。日本SF大賞受賞。
 この小説全篇たいへん下世話で、下ネタが苦手なひとは読まないほうがいい。とにかく性器、性行を連想させる下ねたばかり。下ネタ大好き中学生なら読める。
 ストーリー展開が奔放でめっぽうおもしろい。東北から吉里吉里国が独立するのだが、そのための切札をたくさん控へてゐ...続きを読むる。その説明で蘊蓄の渋滞だが、とにかく説得力が高い。おれにでも分離独立できるのではないか、と感じ入ってしまふ。
 中巻でケイコ木下が出てきたあたりから、すこしダレてくる。

 ところどころ、都合よく進展させるために、古橋といふこの単純な人物造形にしたのだらうと気づいた。
 比喩は下手。このころの井上ひさしはまだ途上だったなあ。晩年の『一週間』になるとさすが。

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Posted by ブクログ 2020年05月27日

空前絶後。
奇想天外。
抱腹絶倒。
前代未聞。
なんと言い表せばいいのか分からない。
日本から独立した、吉里吉里国。
日本の中にあって、日本ではない国。
吉里吉里国で繰り広げられる、悲喜劇が幕を開ける。

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Posted by ブクログ 2020年03月12日

岩手の山奥の人が吉里吉里国として分離独立しようとするところから、国とは何か、国民とは何かを考えさせる作品。授業でやりました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年06月22日

 一応「SF」小説だと言うから読んだのだが、かなり期待の斜め下を行く作品だった。
SF的ガジェットは無くもないが、ほとんど冗談のような医療技術に負う所が大きいからだ。

 東北の一寒村が日本政府に対して独立を唱えるという発想は面白い。
そしてその手法が軍事独立ではなく文化的戦略による独立である事も。...続きを読む
色々言うとネタバレになってしまうのだが「吉里吉里国」の戦略は用意周到かつ大胆、しかしどこか肝心な所が抜けている。

 本作は上中下の三巻にも及ぶ長編だが、作中の時間はたった二日にも満たないという「ロミオとジュリエット」にも負けない強行軍だ。
それだけ出来事が濃縮されているかと言うとむしろ逆で、暇な時には主人公古橋の過去話やどうでもいい回想が挿入される形式になっている。
一応日本国の自衛隊が鎮圧に乗り出したり卓球ワールドカップを開催したり最終的には吉里吉里国の最終防衛ラインである大病院でドンパチやらかしたりといった山場はあるが、余分な所をカットすれば一冊に収まったのではなかろうか。
もっとも、その「余分な所」も含めてこの作品のユーモアであるから判断が難しいところではあるのだが。

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Posted by ブクログ 2016年02月17日

面白い上に、内容が濃いです。余計な話がたくさん出てきますが、全く飽きさせません。上中下巻で1,500ページほど有りますが、あと二冊、楽しんで読めそうです。

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Posted by ブクログ 2015年12月02日

東北の小さな村、吉里吉里が日本からの独立を宣言!吉里吉里国を名乗る。馬鹿げた話なんだけど、あの手この手に手が凝っていて面白い。
無駄な会話、話の本筋には不要な余計な描写が数多くあるのだけど、ユーモアのセンスに富んでいてかなり笑えて嫌に感じない。
この吉里吉里国独立宣言時にたまたま居合わせた、売れない...続きを読むダメ作家の古橋。この人のエピソードがまた非常に笑えた。本筋には全くもって不要だと思うけど(笑)

上巻だけでさえもかなり長かったけど、ただ長いだけじゃなく面白い。引き続き中下巻も楽しみです。
敢えてジャンル分けするなら、「SFコメディ」でしょうか(笑)

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Posted by ブクログ 2015年08月12日

井上ひさしが博学すぎて引く。

とんでもなく冗長でまだるっこい展開は、筒井康隆の「虚人たち」に近いものを感じる。まだるっこいのに、ページをめくる指が止まらないあたりも似ているぞ。

てなわけで、中・下巻もひと思いに読みます。

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Posted by ブクログ 2014年08月31日

文庫版(全3巻)で読む。
主人公である作家の視点で東北の村・吉里吉里の日本からの独立騒動を描く。
全体的にテンポは良いが、主人公のバカさ加減には多少イラつくことも。
震災後の被災地に対する政府や東電の対応を見ていると、本作はただのフィクションでは納まらない気がしてくる。

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Posted by ブクログ 2012年04月29日

東北の寒村が突如日本からの独立を宣言する—今まさに地方自治が叫ばれていますが、究極的には地方が自立することが肝要です。

吉里吉里という地名は現在は岩手県大槌町に残っています。もともとはアイヌ語で砂浜を意味するそうで、東北地方でも「木里木里」と呼ばれる地名はかなり多くあったそうです。

農作物が豊富...続きを読むに採れ、地熱や薪炭といったエネルギー源もある東北地方は、自給率という観点では優秀な地域なのですが、政治的にはずっと虐げられてきた感があります。

夜行列車で上野に労働者が出稼ぎに行き、雪深い冬はおしんのように耐えて過ごすといった高度成長を支えてきた東北地方のイメージは、福島原発の事故によって変わりました。

今こそ東北地方が独立するくらいの意識を持って、国づくりを進めることが求められています。

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Posted by ブクログ 2024年03月30日

井上ひさしの作品を初めて読んだ。
津軽弁には馴染みがあるので、「あーこれこれ」とは思うものの、吉里吉里語の台詞を文章で読むのはなかなか大変。結構読み飛ばしてしまった部分もある。

完全に本題とは外れた箇所だが、主人公古橋の、昔の記憶障害、記憶増進症のくだりは面白かった。

井上ひさし自体が完全な左派...続きを読むなので、そういう思想からこの物語が書かれたんだろうなぁというのがよくわかる作品。

印象に残っているフレーズ。
「吉里吉里語を話すときは、
(こんなズーズー弁とよく似た外国語を勉強してなんの役に立つんだろう。他人から笑われるのが関の山ではないかしらん)
と、なんのいわれもなく劣等感を持つように努力してください。このいわれもない劣等感があなたの口の動きを固くし、曖昧にします。そしてそうなってはじめて、あなたは生粋の吉里吉里人と較べてもほとんど遜色のない吉里吉里語かの発音をわがものとなさることができるでしょう。」

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Posted by ブクログ 2023年10月15日

吉里吉里人が並べ立てる理論はどれも骨太で,何よりも愛国心に満ちている点で一見手強そうに思えるが,天上からの暴力には無力であった。この筋が何を示唆しているのかは,現代だと少し意味合いが変わってくるだろう。

文章の大半は悪ふざけの域であり,ここは読者の好みの分かれるところだろう。私は読んでいて面倒だと...続きを読む感じることのほうが多かった。

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Posted by ブクログ 2023年10月02日

文章力はすごいし、ルビを東北弁にするなど、普通の小説に比べて並大抵でない労力がかかっているとは思う。しかし、東北に縁がある人しか楽しめない話なのではないかな、と思うのは自分が東北人だからか?3冊もあって長いが、どう風呂敷をたたむのか見てみるか。

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Posted by ブクログ 2022年04月14日

日本から分離独立を宣言した東北のとある山村を巡る顛末。
時にユーモラスに、時に下世話に、あっちへ行ったりこっちへ来たりしながら饒舌に語られる。
まだ国鉄のグリーン車で煙草が吸えた、古き良き時代の作品。

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Posted by ブクログ 2021年09月05日

かつての師に勧められた事を思い出し、読んでみた。

日本でとある村が吉里吉里国として独立を宣言したというあらすじから、御伽噺のようなものを想像していたが、国とはなんなのか、考えさせられるものになった。
吉里吉里人は、独自の言語や通貨を持ち、資源等も自給体制を整えて、政治的な大義名分なども掲げている。...続きを読む明治、昭和の大合併でのマイナス面を考えさせられた。
また、「国」の定義は民族の括りだけではないという事を再認識させられた。

主人公に関しては、初めはいけ好かない印象だったが後半には同情のような感情が芽生えた。

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Posted by ブクログ 2019年02月21日

宮城の端の吉里吉里という町が日本国から独立するというお話。
本筋はすごく面白いのだが、話の中心である古橋のサイドストーリーとか、横道にそれる話題が非常に多く、飽きる。早く吉里吉里国について教えてほしい。
中盤からページをくってもくっても吉里吉里国の話にならないので、脱落してしまった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年09月13日

東北の一地方が突如、独立を宣言し、「吉里吉里国」となる。旅客列車が止められて旅券を拝見とは⁉︎
なかなかの発想ですね。時々、クスリと笑わしてくれる。
主人公の古橋健二は自伝小説を書いた小説家。
この騒動に巻き込まれて、国賓扱いを受けていたが、となることから裁判に掛けられ犯罪者扱いとなる。次の巻が気に...続きを読むなりますね。

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Posted by ブクログ 2015年08月29日

吉里吉里人 上

もうね、馬鹿げた話です!
ある東北の村が日本から独立して一つの国になるという(笑)

東北なんで訛りがひどすぎる!笑える!!
読むのなかなか大変だけど、ぜんぶ読み終わったら立派に東北訛りをゲットできるかも!

話は右に左に斜めに逸れてなかなか進まないけど、これまたのんびりした感じで...続きを読む楽しい!!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年02月21日

日本からの分離独立を宣言した、東北のとある村、吉里吉里。ちょうどそこを走っていた電車に乗っていた古橋は他の乗客らと共に不法入国で捕らえられ…。

東北の言葉を文字にしたものを読むことが今までなかったので、すごく面白かった。吉里吉里語の解説本の章は特に。主人公はしょうもないキャラクターだし、話の寄り道...続きを読むも多い。作者の遊び心が満載。

面白いんだけど読むのにだいぶ時間がかかってしまった。あと2冊あるので、最後まで気持ちを保てるか?!

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Posted by ブクログ 2013年08月15日

ある村が日本から独立し一つの国家となる。
ハチャメチャな設定です。

それにしても、この人の話は独特です。文脈から余分なものを削ぎ落としていったものを鋭い文章と言いますかが、この小説はその逆。
文脈に余分なものをどんどんつけることにより、それが独特のリズムを呼ぶ。

日本刀の鋭さはないもののの、鈍器...続きを読むのように破壊力は抜群。

いつの間にか引き込まれます。

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Posted by ブクログ 2012年04月08日

吉里吉里国は日本から分離独立すると宣言した東北の一寒村。
独立を認めない日本との攻防は激化していく(‥のか?)。

上巻は吉里吉里国の切り札が徐々に明らかになっていき、さて日本はどう出る?という展開。
途中、主人公の半生が紹介されたり、吉里吉里語のテキストの内容が紹介されたりするのだけど、その辺のバ...続きを読むランスが非常に不思議。
え?ここを掘り下げるの?とついつい笑ってしまう。
それまでいい加減な人に見えていた主人公が、(いい加減はいい加減なんだけど)すごい苦労人に思えたりとか‥人に歴史ありだなぁ。
吉里吉里国はどんな歴史を作っていくのだろう。

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Posted by ブクログ 2013年12月10日

77/100 No.62「長門有希の100冊」

81年 第33回読売文学賞、82年 第2回日本SF大賞受賞作

小説家 古橋健二が旅行雑誌の取材のため東北へ

しかし目的地にはたどり着けず、列車が通過するはずの途中の村が突然日本からの分離独立を宣言したのだ。

突飛なお話です。



吉里吉里語...続きを読むなる東北の方言が可笑しいし、合わせてお話途中にある古橋の生い立ちも笑える。

記憶を一時も留める事が出来ない病気を患い、ある出来事が切っ掛けで一転、記憶異常増進症という奇病にとりつかれる・・

このくだりが面白い。

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