井上ひさしのレビュー一覧

  • 一週間

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    ネタバレ

    書評などでさかんに引用されている「レーニンの手紙」は物語の半ばにならないと出てこない。しかしそれまでだって(いやむしろそれまでが)十分に面白い。シベリヤの厳しい寒さのリアリティ、旧日本軍の上下関係をそのまま持ち込んだ収容所の理不尽さや、戦陣訓を国際法に優先させて部下の待遇をソ連任せにする関東軍トップへの痛烈な批判、戦前の地下共産党伝説のスパイMの行方など、夢中で読ませる。さあそれらが後半でどう本筋に絡まっていくのか、という期待は、しかし残念ながらやや未消化のまま終わってしまう感がある。それでも悪役含め人間存在に対する著者の暖かいまなざしがいたるところユーモア溢れる描写に現れていて、プロットを読まされるのではなく、小説を読んでいるという実感を与えてくれた。

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    2014年03月01日
  • 黄金の騎士団(上)

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    孤児院で育った主人公が就職したばかりの会社(新人研修中)から脱出、うまれ育った孤児院に帰るが傾いた孤児院に謎の寄付金が舞い込みドタバタの展開へ…

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    2014年02月08日
  • 自家製 文章読本

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    2013/11/17
    文章の書き方を学びたくて手にとった。流石にいきなりこの内容は理解できなかったが、途中で投げ出さずに最後まで読めたのでよみやすかったのかな。またいつか読みなおしたい。

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    2013年11月17日
  • ブンとフン

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    ネタバレ

    貧乏作家のフン先生の小説から主人公のブンが現実世界に抜け出して大騒動を繰り広げる。

    「どうせ盗むなら、人間の一番大切なものを盗んでやろうと思ったんです。」
    「ほう、そりゃなにかね」
    「権威です。人を思いのままに動かすことのできる、あるもの。
     お金も出世もホコリも、努力もよい行いも、なにもかもみんな、権威、力をもつための手段にすぎないんです」
    「でもねェ、ブン、もしそうだとしても、権威をもつことがなぜいかん?」
    「人間の目がくもりますもの。権威をもつと、人は、愛や、やさしさや、正しいことがなにかを、忘れてしまうんです。
     そして、いったん、権威を手に入れてしまうと、
    それを守るために、どんなハレンチなことでも平気でやってしまうのだわ」

    劇作家 井上ひさしの処女作。
    各章に出てくる語呂合わせ、言葉あそびに、舞台劇の風合いを感じる。
    読者に直接語りかけたり、エッチなページに封印用のノリシロを付けたり、コント55号・高見山が登場したりと、
    楽しませようとするサービス精神に富んでいる。

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    2013年11月14日
  • 四十一番の少年

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    三つの短編どれもが、孤児院に身を置く子供の話。井上ひさし自身が孤児院の出身なので内容にはリアルな部分も含まれていたと思われる。全ての場面に物悲しい子どもの強さがある。

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    2013年11月14日
  • ナイン

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    子供の夏休み読書感想文で指定されていた本です。読んでみてびっくり。思いっきりR18指定って感じの展開が随所に。表現は直接的でないものの、それを暗示する場面があちらこちらに登場。これで良いのか?と思わせられました。安心できるはなしは後半に多く、「新宿まで」、「会食」、そして感謝一杯の「握手」は良かったです。表題作の「ナイン」も良かったな。あとは大人のはなしですよね。「太郎と花子」なんて、まったくの下ねたコントだし、「傷」もやばかったな。

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    2013年09月02日
  • 吉里吉里人(中)

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    まったくめちゃくちゃの話だ。
    話の流れがあべこべだ。

    でたらめの中で時折見せる毒や風刺が凄い。

    この先どーこの話は進むのだろう。

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    2013年08月18日
  • 吉里吉里人(上)

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    ある村が日本から独立し一つの国家となる。
    ハチャメチャな設定です。

    それにしても、この人の話は独特です。文脈から余分なものを削ぎ落としていったものを鋭い文章と言いますかが、この小説はその逆。
    文脈に余分なものをどんどんつけることにより、それが独特のリズムを呼ぶ。

    日本刀の鋭さはないもののの、鈍器のように破壊力は抜群。

    いつの間にか引き込まれます。

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    2013年08月15日
  • モッキンポット師の後始末

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     青春群像劇としてそこそこ面白かった。各章のオチは弱い気がするが、それを補うモッキンポット師のキャラが際立っている。

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    2013年08月14日
  • 日本語教室

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    「ひょっこりひょうたん島」の脚本を書いていたのが、
    この本の著者である井上ひさしさんでした。
    その他にも、小説や、芝居の戯曲を多数残し、2010年に亡くなっています。
    僕は名前しか井上さんのことは知らなかったですが、
    この本を読んでみると、彼の学識の深さと、
    それを咀嚼して簡単な言葉で人に伝える力と、
    その内容の面白さ(学問の面白さ)を大事する姿勢の素晴らしさに
    圧倒されずにはいられませんでした。

    序盤などは、茶髪にふれて、「ちょっと頭が固いおじさんだな」という
    印象を持ちましたし、他にもそういうところがちらほら見受けられました。
    でも、一冊まるまる読むと、そういったところはちょっとした
    心のニキビのようなものだったりもして、
    井上さんの根っこのところは、もう少し寛容でおおらかだよなぁと感じられる。

    本書は、僕やあなたの母語である
    (そうじゃない方もいるかもしれませんが)日本語について、
    その「今」「なりたち」「特徴」「ルール」などをかいつまみながらも、
    井上さんの視点からとらえた彼なりの要点というものを軸に、
    しっかりと説明してくれます。
    といっても、180pくらいの新書ですから、網羅的かつ専門的に
    論じている本ではないわけです。
    本ではないというか、もともとが上智大学での4回の講義をテキスト化したものなので、
    研究のさわりや彼の推論を楽しむような講座なのです。
    おまけに、笑いに満ちていたりします。

    本書の内容を感じてもらうための具体的なトピックを一つ紹介するならば、
    ちょっと日本語から離れてしまいますが、ピジン語とクレオールの話がいいでしょうか。
    ピジン語というのは、たとえば英語を知らない奴隷の人たちが、
    主人の英語を聴いて仕事をするうちに、少しづつその内容がわかってきて、
    自分のネイティブの言語をもとに、それを応用しながら英語を話すようになる。
    そういった英語をピジン・イングリッシュといい、
    フランス語などでもそういうのが見られるそうで、総称するとピジン語です。
    それで、その奴隷の二世ともなると、そんな不完全なピジン語を話す父母に
    育てられるのですが、そのピジン語を完璧に使い始めるそうです。
    そうすると、クレオールという、安定した言葉ができあがるのだそうです。
    1世が自分のネイティブと被支配の言語の混ざったものをぎこちなく使うのに比べて、
    それを生まれたころから聴いて育つ2世ともなると、
    そんな言語の要点をうまく把握して、滑らかで合理的でさえある言葉にしてしまう
    ということらしいです。

    面白いと思いませんか。
    言葉というものはこうやって柔軟に改造され創造されていく面があります。
    日本でも、外来語が定着するのには、1世ではまだ不完全で、
    2世になってから安定すると言われると、なんとなく納得できる節はないでしょうか。

    さらに、僕は個人的に考えたのですが、これって音楽にも言えます。
    たとえば、テクノという音楽が出てきて、それを作った人たちと同世代の人たちよりも、
    一回り下の、それらを子どもの頃に聴いて育った世代のほうが、違和感なく
    テクノの音楽を理解し、作れたりする。言葉でいえば、クレオールってものが
    そこにあるんじゃないでしょうか。僕なんかがわかりやすくクレオールを感じるのは、
    Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅさんをプロデュースする中田ヤスタカさんですね。
    彼の音楽には、テクノやポップスが定着した後の、普段着的な音使い、音の構築を感じます。

    閑話休題。
    この本には、そういった脱線的な話題もふんだんに盛り込まれ、
    そこが面白かったりし、なおかつ読者もそんな脱線に触発されて、
    自由な脱線思索を読書中に味わうこともあろうかと思います。

    井上さんの軽妙さがベースにありますので、読みやすい本です。
    内容については、日本語についてもっと勉強したい人にとっては、
    プロローグになるでしょう。

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    2025年06月22日
  • ブンとフン

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    ユーモアありまくりのナンセンス小説。
    ページに糊代がついてたり、切り取り線があって「このページを長嶋選手に送るように」と書いてあったり。
    どうでもいいドタバタで楽しい。

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    2013年06月07日
  • 四千万歩の男 忠敬の生き方

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    5/19に誕生日を迎えた時の誕生日記念読書の1冊。56歳になった私は、あの地図で有名な伊能忠敬が、婿養子で財を成し、実は隠居になった56歳から日本地図を作るために全国を歩いたと聞いて、その生きざまをぜひとも読みたかったのです。まあ、とにかく商売では、そこまで財を成したのだからあくどい面もあったのかもしれないけど(笑)、自分の歩幅で正確な日本地図を作ると言うのは、まさに愚直そのものです。私なんか今から「日本を歩いてまわって地図を作ってね」って政府から言われてもお断りするから(笑)

    この本は井上ひさしさんの「四千万歩の男」の外堀の本です。本丸はやっぱりその本を読まないといけないけど、ちょっと長いから引いちゃっている時点で、もう負けていますね(伊能忠敬と勝負する気はないけど)。

    しかし、この時代、シーボルト(ふぉんしーふぉるとの娘は読んでいたので)関連や天地明察関連が出てきて面白いですね。本当に大河ドラマになるといいのにって思いました。

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    2013年05月25日
  • 四十一番の少年

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     「四十一番の少年」「汚点」「あくる朝の蝉」の3編を収録。いずれも孤児院に入れられた少年がさまざまな不条理の中でもがき苦しむ姿を描く。どの作品も暗く、救いがない。解説によれば作者の自伝的要素が濃いという。ふと思ったのは、同じような「不幸な少年時代」を経験しても、井上ひさしと、渡邉美樹や橋下徹らとの分かれ道は何だったのだろう?ということ。

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    2013年01月30日
  • ナイン

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    『吉里吉里人』を昔読んでおもしろかったので購読。野球チームのナインのその後をえがく短編集。
    そこはかとなく昭和の空気が漂いほっとする。特に『握手』は教科書に載った作品だそうでじんわりやられる。

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    2012年11月23日
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点

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    強烈な光を出す個は はっきりとした明と暗を生み出すのかもしれない。

    自分はひょこりひょうたん島の原作者が DVをしていたとしてしか、この方の人となりを知らない。舞台や放送作家として日本を明るく励ましていた方が どうしてDVをするのか この方の考え方を知りたかった。

    が・・ わからない
    色に狂う方 ギャンブルに狂う方 暴力も同じなのだろうか? 表現者や先駆者は何か悪魔との契約が必要なのか?

    本自体は ものすごく明るく判りやすかった ので 余計に寂しくなった。

    1日30冊は凄いな 本当に要点読みが出来ているのだろう 圧倒的なインプットだな・・ 

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    2012年11月18日
  • モッキンポット師の後始末

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    モッキンポット師と学生の友情にも似た不思議に親密な関係。
    随所にクスッとくる種が散りばめられていて最後まで楽しめます。
    あとがきまで読むとより味わい深い。

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    2012年09月25日
  • 吉里吉里人(下)

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    夏休みにどうしても読みたくなって、再読。学生以来。
    途中やや間延びしたものの、日本の抱える農業問題や医療問題など、問題提起は多岐にわたるし、適度にエッチ(エロい、ではなくエッチ)だし、何より面白く読める。
    映画化して欲しくない作品の一つ。

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    2012年09月18日
  • 日本語教室

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    仕事で、意味のとおる文章を作ることを求められるようになり、その流れでたどり着いたのが、この本。

    井上先生が指摘する内容で、ドキリとしたのが、ふたつ。
    ひとつは、もともと日本語としてある言葉をわざわざ、別の言葉(外来語)に置き換えていること。
    もうひとつが、小難しい漢字を多用していること。
    自分がふだんやってしまっていることを指摘されているようで…

    そのほか、母音が、数の数え方や駄洒落に関する謎を解き明かす鍵になっている!!
    など、ふだん当たり前のように使っている「日本語」という言語を、改めて見直したくなる本でした。
    日本語、大切に使っていこうと思いました、改めて。

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    2012年07月02日
  • モッキンポット師の後始末

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    面倒見の良い 神父さんです

    3人がする 悪事を楽しんでさえいるようです。

    パチンコの話は いいんじゃないの??っておもっチャいましたけどねぇ~

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    2012年06月26日
  • シャンハイ ムーン

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    ながら読みで開いてもいつの間にか向き直って読んでる。派手さはないけど王道、「わかりやすい」し素直におもしろい。これは芝居のほうが数段いいだろうなあ。失語症のくだりのテンポよさが痛快だった、あれを役者の口で聞いてみたい。

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    2012年05月06日