井上ひさしのレビュー一覧

  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法
    憲法記念日に憲法に関する新聞記事を読んでいたら、妻から差し出された一冊。
    「子どもに読み聞かせる」という視点で日本国憲法の序段と第9条を主題に作られているが、本書の最後には、日本国憲法全文が掲載されていて、大人が読んでも十分に勉強になる。
    これまで、日本国憲法の特徴である「戦争の放棄」が、どうして第...続きを読む
  • 吉里吉里人(上)
    東北の寒村が突如日本からの独立を宣言する—今まさに地方自治が叫ばれていますが、究極的には地方が自立することが肝要です。

    吉里吉里という地名は現在は岩手県大槌町に残っています。もともとはアイヌ語で砂浜を意味するそうで、東北地方でも「木里木里」と呼ばれる地名はかなり多くあったそうです。

    農作物が豊富...続きを読む
  • 自家製 文章読本
    既存の文章読本を批判しながら、古今東西の名文をもとに日本語の文章について考察していく様子は、実用的かはともかく読み物として面白い。なにしろ最後の2ページで、まんまとあっけに取られた。一筋縄ではいかないな井上ひさし…
  • 日本語教室
    「い」と「え」は母音のうちこの順に遠くへ伝わる音。「う」は精神的軋轢をあらわし、こもる。「あ」「お」は安定感があり、大きい。
    やまとことばは脳での理解が早い。対して漢語は0.01秒ほど脳での理解に時間がかかり、リアルタイムで進んでいく表現では理解が穴あきの状態になる。
    以上2点の収穫。
  • 四千万歩の男 忠敬の生き方
    「四千万歩の男」では一年間の物語だが、その執筆過程で伊能忠敬の足跡を追うとともに、その時代の大きな流れの中で伊能忠敬が果たした役割が読み取れる。たいへん面白く、再度、読む機会を持ちたい。
  • 新釈遠野物語
    肩肘張らずに読めて面白かったです。遠野物語をベースにしつつパロディではない。これは確かに「新釈」だなぁと妙に納得しました。柳田国男が読んだら、大喜びするんじゃなかろうか。
  • 円生と志ん生
    円生と志ん生の戦時中の満州での話。状況によっては大変悲惨なめにあっているのに、どこかしらユーモアがあり、また史実的に当時の満州へ渡った人達の苦労が分かる本。面白かった。
  • 井上ひさしの日本語相談
    日本語って知れば知るほど、オモシロイ。
    と、改めて思った。
    そして、井上ひさしさんもオモシロイ。
  • 日本語教室
    井上ひさし氏が日本語について行った講演を本にまとめた一冊。

    日本語の、多言語との比較、音節、母音・子音、方言等学術的な分析もさることながら、言葉に対する真摯な態度とやさしさがにじみ出ていて読んでいてとても好感を抱いた。

    昨今の風潮である、やたら横文字を使う日本人に苦言を呈しつつも、決して否定だけ...続きを読む
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法
    井上ひさしさんが伝える、日本国憲法。文章の巧さと、その解釈にぐっとくる。日本国憲法なのに、涙が出そうになった。
  • 自家製 文章読本
    若干読みづらさがあったけど、文章の書き方の本質を書いた作品であったと思う。文章読本系はこの本が初めてだったが、日本語の特徴であったり、表現方法の工夫などを学ぶことが出来て、三島由紀夫など他の作家の文章読本も読んでみたくなった。
    また、文章のみに関わらず、映像、デザインなど、表現全般においても参考にな...続きを読む
  • 父と暮せば
    戯曲。原爆被害者の娘さんの葛藤。原爆被害の話は苦手なものが多いがこれはシンプルで良い。広島弁がいい味。
  • 円生と志ん生
    日に日に被害が過酷になる日本を抜け出し、満州にやってきたものの、敗戦のあおりを受けて、噺家二人、あちらこちらへ珍道中。そこで繰り広げられる戦争の悲哀と煩悶、涙と苦しみ、そして笑い――円生と志ん生、二人が日本へ戻れる日は来るのか?

    圓生と志ん生が満州に渡っていたことは実は最近知った。命からがら日本へ...続きを読む
  • 百年戦争(下)
    p.274
    とくにきみたちの国には『天皇』というものが存在している。この存在は嘘をつくときなどには便利だねえ。曰く『天皇の思召しだから戦争をしなくてはならない』、曰く『天皇の思召しだから戦争をやめて、民主国家として再出発しなければならない』……。いったいこれまで天皇の権威というやつが何十回、いや何百...続きを読む
  • 四千万歩の男(五)
    地味で地道な計測旅行を 事件と滑稽にあふれた珍道中に書き換えた作者の手腕に敬服。 ある意味、作者の集大成的な大作だが、 この人の作風を了解していない一見さんには??かもしれない。
  • 吉里吉里人(下)
    十数年ぶりの再読完了。吉里吉里国独立の理由の1つに日本の農業政策批判があるのですが、その議論は現在のTPPを巡る議論と同じことを言っており、作者の先見の明には恐れ入りました。あと「~してけろ」っていう東北弁も「あまちゃん」を思い出し、妙に2013年とシンクロしてます

    全編通して繰り広げられる過剰な...続きを読む
  • モッキンポット師の後始末
    関西弁を操る牧師のモッキンポット氏に降りかかるトラブルあれこれ。
    井上ひさし氏の小説とは知らず読んだが、すっごい面白かった!
    あ、続編あるんや。知らんかった。買って読も。
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点
    一本筋の通った、井上ひさしの原点を見た。わかりやすい言葉で、笑いを大切にした、誠実な人柄が伝わってくる。
  • ブンとフン
    井上ひさしが書くナンセンス小説。
    売れない小説家・フン先生が書いた小説の主人公である大泥棒のブンが小説の世界から飛び出して、世の中のあらゆるものを盗み出すのだ!
    ページにのりしろが書いてあったり、語呂合わせ、言葉遊びなど、ユーモアが溢れているね。
  • 自家製 文章読本
    人は、読書により過去とつながり、文章を綴ることで未来へとつながろうとしている、という言葉が一番、印象的だった。
    文体や修辞、擬音語などなど、さまざまな角度から、日本語と文章というものについて分析がなれていく、というのが主な内容。学問的な色合いがやや強く、正直なところ初めは少しとっつきにくかった。
    ...続きを読む