井上ひさしのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
劇作家の井上ひさし氏の処女作。ああ、小説ってこんなに自由奔放で勝手気ままでいいんだなぁ、と嬉しくなる作品です。「世のお母さんたち」に読まれたくない部分にはノリシロがあり、このページを糊で貼り付けてしまうように、などという指示が出ていたりして、著者の遊び心にもニヤニヤしてしまいます。200ページぐらいですが、一日で一気に読めます。
何せ刊行されたのがもう40年前ということで、登場する有名人や時代背景なんかはさすがに古いですが、随所に出てくる言葉遊びや語呂合わせ、著者の豊富で奔放な想像力と悪ふざけ、そして世の中への風刺は今でも鮮やかに輝いてます。きっと、これから数十年後に読んでも、やはり同じよう -
Posted by ブクログ
厚いけど読みやすいので、いいペースで読み進んでいる感じ。中巻読み終わったところで、心の底から汚い中年おっさん古橋を応援している。どうか古橋が、ケイコ木下(きおろし)と幸せになれますように!
P127 「わたしはのう、お若い皆さんよ。その仮想敵国も喰えない国だが、アメリカもなかなか油断のならぬ国だと思っておるよ。なにしろアメリカはこれまで自分の国の中でドンパチをやったことがない。つまり、アメリカにとって<戦争>と<平和>は、いつも遠いところにあったのさ。だからいざとなったらどんな残酷なことでもやってのけるだろうて。その証拠にアメリカは、原子爆弾をあなた方のお国のヒロシマとナガサキに落っことした -
Posted by ブクログ
ネタバレ売れない小説家フンが書いた小説の主人公ブン、できないことは何もない神出鬼没の四次元大怪盗、が小説から飛び出してさぁ大変。世界中でハチャメチャな事件が起きるという物語。
井上ひさしさん風の言葉遊びと風刺に富んだ作品でした。
小説「ブン」が大ヒットとなり、生原稿からだけでなく、増刷された本からもブンが飛び出すのですが、それらのたくさんのブンが集まって会議する場面がなかなか面白かったです。
同じブンのはずなのに、それぞれが個性をもっていて、その台詞一つ一つが辛味たっぷり。
刑務所のくだりなども、皮肉たっぷり。
ふふふと笑ってしまう、痛快な小説でした。 -
Posted by ブクログ
井上さんが四字熟語をもとにエッセイを書くという連載もの。
井上さんらしいウィットにとんだ文章で非常に面白かったです。
若干、下ネタが多いのには辟易しましたが、その点を除けば良かったと思います。
井上さんのダジャレ(語呂合わせと言った方が良いか?)の妙はいつ読んでも、素晴らしいものです。
朗読しても耳に入りやすいであろうテンポの良い言葉はとても読んでいて気持ち良いものです。
そして、井上さんはすごい勉強家であるなぁと思いました。まぁ本人にとってみれば、勉強といった堅苦しいものではなく、一種の趣味というか凝り性が原因の調べ物といったところなのかしら。仕事だから仕方なくというのもあるかもしれな -
Posted by ブクログ
井上ひさしさんの遺作。連載小説であったとのこと。戦時中共産党員出会った主人公が、自分を陥れようとしたスパイMを追ってロシア二割ったところ終戦を迎え捕虜となる。捕虜となったある日呼び出されると、捕虜向けのプロパガンダとして作っている『日本新聞』なるものの編集室で働かないかと呼び出されるところから物語は始まる。そこを監修するロシアの将校たちがまた日本語が達者という設定でやり取りに引き込まれ思わず笑ってしまう部分も多い。遠くまで脱走したが残念ながら捕まった従軍医師の取材を命じられたところから物語が大きく展開をみせる。荒唐無稽なお話の展開なのだが、あっという間に引き込まれた。日本語が美しいです。こんな
-
Posted by ブクログ
『ふふふ』に続く井上ひさしさんのエッセイ本。
外交のこと、憲法のこと、世襲のこと等について考察が書かれている。
考え方の参考にしたいことも多いので、また読み返したいと思う。
何よりも心打たれたのは「母への二通の手紙」。
ドイツの赤ちゃんポストに子供を預ける際に、母親が受け取る手紙の文面が紹介されている。
困っているわけでもなければ赤ちゃんを産んだこともないのに、その文面の優しさに涙が出た。
本当に困って、子供の幸せについて思い悩んで預けに来たお母さんは、この手紙できっと救われると思う。
私ですらこんなに優しい手紙を書く人がいる世界で生きられることを感謝したくなってしまったくらいだから。
援