井上ひさしのレビュー一覧

  • 一週間
    井上ひさし最後の長編小説である。舞台設定が何ともユニークである。後半、息詰まるようなどんでん返しの連続で、ジェフリー・ディーヴァーも真っ青である。ちょっとした、お色気もあり、ユーモアもあり、歴史や政治の勉強にもなる。最後は拍子抜けであるが、何か意図があるのだろう。
  • 一週間
    井上ひさしの遺作

     終戦後ロシアの捕虜となった元共産党員の小松がハバロフスクの日本新聞社に移送される。そこで取材する内に、偶然手に入ったレーニンの手紙を武器に、収容所から自由を得るため知恵を絞り、ソ連軍将校と渡り合う。その知恵比べが面白い。

     そして、その過程で、捕虜たちの生活の悲惨さ、戦争末期...続きを読む
  • 一週間
    世の中は村上春樹さんですが、私は井上ひさしさんを読んでいます。
    関東軍60万人ものシベリア抑留のからくりが独特のユーモアある文体で暴かれます。
    就寝前の良質の読者で良い眠り。ゆっくり読み進めます。
  • 日本語教室
    我が母校の大先輩である井上さんの本。日本語の起源、特徴、難しさ、いい加減さを、ユーモアを交えて論じている。大学での講義を収録したものらしいが、こんな授業だったら眠くならないかもと思う。

    初めの講義では、外来語なんてケシカラン!といった論調だったが、後半は、ピジン・イングリッシュの例などをあげて、積...続きを読む
  • モッキンポット師の後始末
    コメディタッチで非常に読みやすい。
    これでもかというくらいの例え文句を並べるのも新鮮で面白かった。
    間抜けなお人好し、こんな人のお話しは小説だからこそ味わえる。
    ラストがどうなるかと思ったら予期してなかったものだった。
  • 父と暮せば
    おもしろい。りくつぬきに、おもしろい。何なんだろう。すべての登場人物がすべてやさしいからだ。美津江さん、おしあわせに。明日は私の娘の彼があいさつに来る。どうやっていじめたろうか?!
  • 自家製 文章読本
    「私家版 日本語文法」が面白かったのでこちらも購入した。「日本語文法」ほどの読みやすさはなかったが、他の著者の「文章読本」・小説・評論などが多数引用され(海外の文献も豊富に扱われている)、より深い内容となっている。自分の文章にこの本の教えを生かすには二読・三読が必要なように思う。
  • 日本語教室
    おもしろかった。
    1日でさらっと読めた。講義をまとめたものらしく、確かに脱線するところもあったがそれ込みでおもしろかった。魅力的な講義らしく。

    井上さんのほかの著書を読もうと思う。

    メモせずに読んでしまった。怠慢。
    さっと読めるから再読しよ
  • 四千万歩の男(二)
    ただ測量を無事に終わらせたいのに、色々なしかもあまり測量と関係ないところからからまれていく忠敬が不憫ですが、それが面白かったりします。

    蝦夷の測量の大変さが要所でわかりました。
  • 日本語教室
    上智での"日本語を取り上げた講演"を文章にしたもの。
    講演だから、ほどよく逸れつつ「日本語とは」を簡潔に。

    ただ、まとまっているとはいえこれだけで「日本語とは」は語れない。
    日本語研究・興味のきっかけになるといい、くらいか。
  • 日本語教室
    僕らは、いつもいろんな言葉を紡ぎながら、どうにか考えること、思っていることをただ面と向かった相手に伝えようと試行錯誤する。
    しかし大抵の場合、「言葉はいつも心に足りない」
    ましてや使っている言葉がここまで曖昧さを許容して、間違って使っていてもその意で使う人がおおければそれすら許容してしまう大らかな言...続きを読む
  • 日本語教室
    『むずかしいことをやさしく、やさしいことふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと』と言っていた井上ひさしさんの講演をまとめたもの。
    言葉のルーツから、言葉の在り方から、ユーモアたっぷりに語られ、ぐいぐい引き寄せられる。言葉の背景にある、世界情勢もしっかりと説明されたうえでの、言葉...続きを読む
  • ブンとフン
    井上ひさしの処女作だそうで、確か小学校だか中学校のときに読んだ記憶があったのですが、今読み返してみても結構面白い。

    筒井康隆も非常に似たような作風だったななんてことを思いながら結構新鮮な気持ちで読み返すことができました。

    売れない作家フン先生が生み出した売れないはずの作品の登場人物、四次元の世界...続きを読む
  • ブンとフン
    小説をはじめとして、何かキャラクター、いわゆる何か存在を作り上げるというのは、どれほどの重みがあるのだろうか?

    今の世の中、情報発信が至極簡単に短絡的に行われ、責任というものを考えて発信できているものがどれほどいるのだろうか。

    自分が苦労して生み出した存在が、どこかで独り歩きして自分の知らぬとこ...続きを読む
  • 四千万歩の男(一)
    本当はこんなに事件とかなかったのだろうけど、こんな感じで測量をしていたのだなぁとわかってよかったです。
  • 吉里吉里人(上)
    文庫版(全3巻)で読む。
    主人公である作家の視点で東北の村・吉里吉里の日本からの独立騒動を描く。
    全体的にテンポは良いが、主人公のバカさ加減には多少イラつくことも。
    震災後の被災地に対する政府や東電の対応を見ていると、本作はただのフィクションでは納まらない気がしてくる。
  • ナイン
    短編集。
    掌編=手のひらにのるような、話もあれば、深く余韻を残す作品もある。
    人生とか、優しさとか、そんなイメージが浮かび上がってきます。
    「新宿まで」、「会話」、「握手」が印象に残りました。あと、おじいちゃんたちの話や、ちょっとしたことで運命が変わってしまう話も。
  • モッキンポット師の後始末
    生きる為と言いつつ珍妙なアイデアをだしては、しくじってばかりの3人組と、苦り切りながらも突き放せず後始末に走り回る神父さん。
    そこでどうしてそうする!ってツッコミどころ満載の3人組も面白いけど、神父さんも3人組に困惑しつつも突き放せず、強く叱責もできず、大らかというかゆるいというか優しいというか。な...続きを読む
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点
    シンプルなのに シンプルだから?深い

    情報をどんどん入れて知識になり
    知識を集めて知恵をつくっていく
    どんな仕事もきっと同じはず

    自分が使いこなせる言葉でものを考えるということ
    意味をきちんと理解せず討論をしものを考えていくといいかげんな理論構築や結論が生まれてしまう
  • 井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法
    憲法記念日に憲法に関する新聞記事を読んでいたら、妻から差し出された一冊。
    「子どもに読み聞かせる」という視点で日本国憲法の序段と第9条を主題に作られているが、本書の最後には、日本国憲法全文が掲載されていて、大人が読んでも十分に勉強になる。
    これまで、日本国憲法の特徴である「戦争の放棄」が、どうして第...続きを読む