井上ひさしのレビュー一覧

  • 「けんぽう」のおはなし

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    シチズンシップということよりも、道徳に近いかな。読む者みなが自己肯定感をもてそうな優しい絵本です。民主的な学級会に取り組んでいる4学年以上の学級には、後押しとなるかもしれません。また、6年生の社会科にあわせて読んでも結構いけるのではないかと思います。

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    2011年05月11日
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点

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    井上ひさしの有名なことばの一節を題に掲げた本書。
    以前NHKで放送されたインタビューを活字にしたものだという。

    多数ある井上ひさしの著作で読んだものはとても少ない。彼自身のこともほとんど知らなかったので、インタビュー内で生い立ちのことどが語られるのは興味深かった。
    作品を生み出すとき、自身の辿ってきたものと無関係ではありえない。そんな当たり前のことを改めて考えた。

    そして、自分自身の勉強不足も痛感した。
    「情報を知識へ、知識を知恵にしていくとうことは、自分の体験を少しまとめ上げて、その集まりから小さな文章を作っていくということです。これがそれぞれの知恵になるわけです。」
    もっと本を読まねば

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    2011年05月07日
  • 日本語教室

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    現在の日本語の良い所、改善すべき所等が井上ひさしさんらしい調子で書かれている。
    日本語が美しい=日本語が優れているという安易な発想に警鐘を鳴らしてくれている気がします。大和言葉もあり、看護もあり、外来語もあり、が現在の日本語の姿として良いのではないでしょうか。それが優れているとか、劣っているとかの議論はただの驕りでしかない。

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    2012年04月15日
  • 私家版 日本語文法

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    右の農業白書の記述がなんとなく無責任に見えるのはなぜであろうか。傍線の部分が、

    …と考えられる
    …成行が注目される
    …と思われる
    …とみられる
    …が思い出される

    などと同じ、あの悪名高い「自然可能的な受身」になっているせいである。「なすがまま」「なされるがまま」「自然になるようになる」といった調子で書かれているから無責任な印象を受けるのである。
    (中略)
    自然可能的な受け身が日本語に定着することで、つまりことばで、ある態度を表現することが可能になると、そういった態度をとる人間が多くなることはわかる。ことばが人間の生き方を逆につくりだすのである。

    52ページ

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    2011年02月08日
  • モッキンポット師の後始末

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    おもしろかった~
    さすが井上ひさしです。
    飽きずにすぐに読めました。
    モッキンポット氏・・・寛容なケチ。
    だけどときどき核心ついたりするから、はまります~

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    2011年05月31日
  • 四十一番の少年

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    タイガー・マスクの伊達直人を名乗る人物から
    児童養護施設で暮らす子どもたちにランドセルなど善意のプレゼントを届けられるという
    現象が全国的に広がり明るいニュースが世間を賑わせた。
    これはそうした児童養護施設(物語の時代背景は孤児院と呼ばれていた頃)で暮らす
    少年たちの辛さとか哀しみ、夢を描いた3篇の短編連作。

     表題作「四十一番の少年」は、 
    テレビ局の番組制作をしてる橋本利雄は仕事に来たついでに
    20数年ぶりに中学から3年間暮らした養護施設、ナザレト・ホームを訪れる場面から始まり。
    かつての忌まわしい辛い日々を回想するかたちで描かれていく。
    それは、松尾昌吉という先輩に暴力を振るわれたり脅

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    2011年01月28日
  • 京伝店の烟草入れ 井上ひさし江戸小説集

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    一冊を読み終えて、とても上質のミステリー短編集を読み終えたような気分です。歴史上にある実在の人物たちを、ああ、小説はこうやって命を与えるのだな、という見本のようです。
    実にすっきりとした話であることのみならず、あとがきも解説も充実しています。

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    2011年01月22日
  • 自家製 文章読本

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    最初に読んだときは新しい視点に感心した
    途中から眠くなる

    文章読本て、例文のなんだか主観的な分析読んでいると目が閉じます

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    2010年11月06日
  • ムサシ

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    宮本武蔵にあこがれていた。彼のことなどほとんどしらないくせに。
    でも、この本(戯曲)で受け取ったのは、
    殺し合うな!生きろ!というメッセージだった。
    私も戦いがかっこいいと安易に思っていたのかな〜。
    初演は宮本武蔵:藤原竜也、佐々木小次郎:小栗旬だったらしい。
    見たかったな。

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    2010年09月15日
  • 吉里吉里人(中)

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     どんどん筆が乗る中巻。
     下ネタはいろいろギリギリなところまでエスカレートし、おかしな方向に転がっていく。
     特筆すべきは経過しない時間。

     中巻では吉里吉里国が独立してからまだ24時間やっと経つくらいである。時間の進み方に驚いた。
     吉里吉里語にも慣れてきて、面白くなってくる。

     農業批判の辺りがSFらしくて面白いなぁと思う。
     これ普通の現代ノンフィクションでやっても、生々しくなるばかりで面白くは読ませられないよね。きっと。

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    2010年09月14日
  • 組曲虐殺

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    井上ひさしの最後の戯曲。
    小林多喜二とその周辺。
    虐殺のあたりはさらりと書かれている。

    こういうテーマの作品をシリアスに描くのではなく、軽みを含んで表現できるのが井上ひさしの真骨頂だ。

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    2010年07月18日
  • 手鎖心中

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    第67回直木賞。
    ある大家の若旦那が絵草紙で一旗あげたいという夢を実現する話。
    しかし若旦那は手っ取り早く有名になりたいらしく、むりやり婿入り→吉原通い→離縁→お上批判→心中を画策する。
    のちの十返舎一九、のちの曲亭馬琴、のちの式亭三馬らが若旦那の世話を焼く。

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    2010年07月12日
  • 四千万歩の男(一)

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    ~<5> すごい業績だち思う。しかも50歳を過ぎてから始めた仕事。こつこつ積み上げることが大切だし、いくつからでも始めることが大切なんだと痛感。まだまだ、これからだ!!

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    2010年06月07日
  • ナイン

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    「ナイン」が教科書に載っていたこともあり気になって読んでみました。
    中学の時に「握手」を読んだ記憶がよみがえりました。
    少しずつ繋がっている感じが面白かったです。

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    2010年04月22日
  • 人間合格

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    そうなんだよね。
    そもそも人間に失格などないのですよ。
    どーやったら失格できるんだっちゅー話ですよ。

    思想もバックグラウンドも違う人間が友情を結ぶ。
    要するにそういうことのお話だと思うのですが、
    時代や社会や思想が移り変わっていっても、
    ただ一つ信じられる、変わらないものが「友情」だったという、
    ある意味では幸運な3人の男の話。
    主人公はもちろん某作家。

    なんやしらんがラストシーンに胸射たれた。
    いい戯曲だと思います。

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    2010年04月11日
  • 太鼓たたいて笛ふいて

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    知識不足で林芙美子といえば、放浪記、カフェー、女給、下落合在住、編集者を待たせる。といったイメージしかなかったけれど、戦争中従軍記者をやっていたのだなあと思った。舞台のことを大変遅ればせながら知って読んでみたんだけど。ちょっと作者の都合のいいように個人史を解釈しすぎかとも思ったけれど。けっこうおもしろかった。信じていたものが違っていた場合、後から見ればそのときいっていたことはうそになってしまうわけで、その責任をどうとるかというのは大変むずかしい問題である。

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    2011年09月03日
  • ムサシ

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    09/09/27〜09/10/01 井上さんがいつもこだわること、の一部。言葉ノチカラ、言葉のこわさ。
    武蔵「ことば。ことば。ことば。ことばをもって相手の心を掻き乱し、その出鼻を挫く。ことばは、われら武芸者にとって、最初の、そして最強の武器なのだ。」
    なんだか、井上さんの変わらぬ決意のようにも思える。
    心をかき乱すのも言葉なら、心を結ぼうと必死に発せられるのも言葉(一幕最後、乙女の台詞など)。
    ※参考…『天保十二年のシェイクスピア』より
    佐渡の三代次「ことば、ことば、ことば。言葉には毒がある。たった一つの言葉が蝮の毒よりもよく効く」
    (感想記入…09/10/18)

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    2009年10月18日
  • ムサシ

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    ムサシと小次郎の再対決に他の面々が加わってのストーリー展開。決闘や仇討ちなど命のやりとりする行為の連鎖を断ち切らせようという作者の姿勢がくみ取れて、胸に残った。

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    2009年10月04日
  • 四千万歩の男(三)

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    北海道の測量を終え、帰る道すがら
    今度は探検隊員たちの身の上にさまざまなことが起こる。

    御上の測量方という身分のために政治に巻き込まれたりといそがしい。

    相も変わらず分厚いのにあっという間に読み終わってしまう面白さ。

    今回は江戸帰郷後のお栄の挿話もあって
    すこし目頭が熱くなる。

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    2009年10月04日
  • 青葉繁れる

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    井上ひさしさんらしい、爽やかな青春小説。
    よくある痛い感じの青春ではなくて、ほろ苦さはあるものの、読後感はさっぱり。
    こういうの書きたいなー。
    方言がいい味だしてる。男子校、女子校とか。
    芸妓のお姉さんとか、高校の先輩のラーメン屋とか、隣の元少佐とか、アメリカ人の少将夫人とか、女子校の狐先生とか。
    キャラがいいのは、演劇出身の井上さんならでは。忘れた頃に再登場して、見せ場を作るキャラたち。
    「青葉」のイメージもすごくいい。青春の青、仙台の青葉城の青、若者の青。

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    2009年10月07日