井上ひさしのレビュー一覧
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十数年ぶりの再読完了。吉里吉里国独立の理由の1つに日本の農業政策批判があるのですが、その議論は現在のTPPを巡る議論と同じことを言っており、作者の先見の明には恐れ入りました。あと「~してけろ」っていう東北弁も「あまちゃん」を思い出し、妙に2013年とシンクロしてます
全編通して繰り広げられる過剰なドタバタも井上ひさしらしくて好きなのですが、古橋の脳をベルゴ・セブンティーンの体に移植して別人となってしまう展開は、さすがにやりすぎだろうと。独立計画が失敗に帰する原因となる「秘密」もそれほどのものか?と疑問。
なんだかラストが締まらなかったのが残念ですが、ルビという日本語独特の表現技法を極限化し -
Posted by ブクログ
井上ひさしの有名なことばの一節を題に掲げた本書。
以前NHKで放送されたインタビューを活字にしたものだという。
多数ある井上ひさしの著作で読んだものはとても少ない。彼自身のこともほとんど知らなかったので、インタビュー内で生い立ちのことどが語られるのは興味深かった。
作品を生み出すとき、自身の辿ってきたものと無関係ではありえない。そんな当たり前のことを改めて考えた。
そして、自分自身の勉強不足も痛感した。
「情報を知識へ、知識を知恵にしていくとうことは、自分の体験を少しまとめ上げて、その集まりから小さな文章を作っていくということです。これがそれぞれの知恵になるわけです。」
もっと本を読まねば -
Posted by ブクログ
右の農業白書の記述がなんとなく無責任に見えるのはなぜであろうか。傍線の部分が、
…と考えられる
…成行が注目される
…と思われる
…とみられる
…が思い出される
などと同じ、あの悪名高い「自然可能的な受身」になっているせいである。「なすがまま」「なされるがまま」「自然になるようになる」といった調子で書かれているから無責任な印象を受けるのである。
(中略)
自然可能的な受け身が日本語に定着することで、つまりことばで、ある態度を表現することが可能になると、そういった態度をとる人間が多くなることはわかる。ことばが人間の生き方を逆につくりだすのである。
52ページ -
Posted by ブクログ
タイガー・マスクの伊達直人を名乗る人物から
児童養護施設で暮らす子どもたちにランドセルなど善意のプレゼントを届けられるという
現象が全国的に広がり明るいニュースが世間を賑わせた。
これはそうした児童養護施設(物語の時代背景は孤児院と呼ばれていた頃)で暮らす
少年たちの辛さとか哀しみ、夢を描いた3篇の短編連作。
表題作「四十一番の少年」は、
テレビ局の番組制作をしてる橋本利雄は仕事に来たついでに
20数年ぶりに中学から3年間暮らした養護施設、ナザレト・ホームを訪れる場面から始まり。
かつての忌まわしい辛い日々を回想するかたちで描かれていく。
それは、松尾昌吉という先輩に暴力を振るわれたり脅