井上ひさしのレビュー一覧
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ネタバレ憲法記念日に憲法に関する新聞記事を読んでいたら、妻から差し出された一冊。
「子どもに読み聞かせる」という視点で日本国憲法の序段と第9条を主題に作られているが、本書の最後には、日本国憲法全文が掲載されていて、大人が読んでも十分に勉強になる。
これまで、日本国憲法の特徴である「戦争の放棄」が、どうして第9条という中途半端な位置に記されているのか疑問に思ったことがあったが、第1条から第8条までが天皇に関する記述であり、その直後に第9条が記されていることを知り、納得した。自衛のための戦力保持と第9条が矛盾しているということで常々意見が対立しているが、一国の憲法という大きな理念・理想の中に「戦争の放棄」 -
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東北の寒村が突如日本からの独立を宣言する—今まさに地方自治が叫ばれていますが、究極的には地方が自立することが肝要です。
吉里吉里という地名は現在は岩手県大槌町に残っています。もともとはアイヌ語で砂浜を意味するそうで、東北地方でも「木里木里」と呼ばれる地名はかなり多くあったそうです。
農作物が豊富に採れ、地熱や薪炭といったエネルギー源もある東北地方は、自給率という観点では優秀な地域なのですが、政治的にはずっと虐げられてきた感があります。
夜行列車で上野に労働者が出稼ぎに行き、雪深い冬はおしんのように耐えて過ごすといった高度成長を支えてきた東北地方のイメージは、福島原発の事故によって変わりま -
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日に日に被害が過酷になる日本を抜け出し、満州にやってきたものの、敗戦のあおりを受けて、噺家二人、あちらこちらへ珍道中。そこで繰り広げられる戦争の悲哀と煩悶、涙と苦しみ、そして笑い――円生と志ん生、二人が日本へ戻れる日は来るのか?
圓生と志ん生が満州に渡っていたことは実は最近知った。命からがら日本へ戻ってきたこともなんとなく知っていましたが、まあこの戯曲通りではないだろうけど、それはもう想像を絶するような体験だったのでしょうね…
途中に挟まれる劇中歌がちょっとおかしいだけに何とも悲しい。特に禁演落語を歌った歌と四人の若者の歌は。。。(´;ω;`)ウッ…
修道院が舞台で志ん生を衆生を救いに降臨し -
Posted by ブクログ
十数年ぶりの再読完了。吉里吉里国独立の理由の1つに日本の農業政策批判があるのですが、その議論は現在のTPPを巡る議論と同じことを言っており、作者の先見の明には恐れ入りました。あと「~してけろ」っていう東北弁も「あまちゃん」を思い出し、妙に2013年とシンクロしてます
全編通して繰り広げられる過剰なドタバタも井上ひさしらしくて好きなのですが、古橋の脳をベルゴ・セブンティーンの体に移植して別人となってしまう展開は、さすがにやりすぎだろうと。独立計画が失敗に帰する原因となる「秘密」もそれほどのものか?と疑問。
なんだかラストが締まらなかったのが残念ですが、ルビという日本語独特の表現技法を極限化し