井上ひさしのレビュー一覧

  • ふふふふ

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    『ふふふ』に続く井上ひさしさんのエッセイ本。
    外交のこと、憲法のこと、世襲のこと等について考察が書かれている。
    考え方の参考にしたいことも多いので、また読み返したいと思う。

    何よりも心打たれたのは「母への二通の手紙」。
    ドイツの赤ちゃんポストに子供を預ける際に、母親が受け取る手紙の文面が紹介されている。
    困っているわけでもなければ赤ちゃんを産んだこともないのに、その文面の優しさに涙が出た。
    本当に困って、子供の幸せについて思い悩んで預けに来たお母さんは、この手紙できっと救われると思う。
    私ですらこんなに優しい手紙を書く人がいる世界で生きられることを感謝したくなってしまったくらいだから。

    援助を受ける時には各種診査が立ちはだかる場合が多い。
    時にその診査が、やっとの思いで立っている人の最後の気力を奪うことがあるのではないかと想像する。
    疑わしい目を受けられたり、ぞんざいに扱われたり、そんなことなら最初から手を差し伸べる振りをするなよと思ってしまうようなこともあるのではないか。
    ノーチェックで援助するべきだとは言わない。しかるべき診査は必要だと思う。
    でも、この人は困ってやってきたんだと、助けが必要なんだと信じて寄り添うところから始めてほしい。
    そのことによって心が救われることが最も大きい力になるはずだから。

    誠実であるとはどういうことか。
    何度も何度も考えてきたことを今回もまた考えた。
    答えが見つけられたわけではないけど、1歩進めたような気もしている。

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    2013年08月07日
  • 一週間

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    息もつかせぬどんでん返しの連続。
    故井上ひさしの連載小説をまとめたもの。

    井上ひさしは通常、連載小説が一冊の本として刊行される際には修正、書き下ろし作業を行なったそうだが、
    本作は遺作のため連載時のまま。
    ラストがあっさりしているのは、そのせいかもしれない。
    もし彼の寿命が伸びていたら、と考えざるを得ない。
    しかしその悔しさを抜きにしても、非常に面白い物語である。

    第二次大戦後の日ソ関係について興味がある人は必見。ところどころ物語を面白くするための誇張やお遊びはあるが、その隙間に垣間見えるリアルさが印象に残る。

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    2013年05月06日
  • 一週間

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    井上ひさし最後の長編小説である。舞台設定が何ともユニークである。後半、息詰まるようなどんでん返しの連続で、ジェフリー・ディーヴァーも真っ青である。ちょっとした、お色気もあり、ユーモアもあり、歴史や政治の勉強にもなる。最後は拍子抜けであるが、何か意図があるのだろう。

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    2013年04月29日
  • 一週間

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    井上ひさしの遺作

     終戦後ロシアの捕虜となった元共産党員の小松がハバロフスクの日本新聞社に移送される。そこで取材する内に、偶然手に入ったレーニンの手紙を武器に、収容所から自由を得るため知恵を絞り、ソ連軍将校と渡り合う。その知恵比べが面白い。

     そして、その過程で、捕虜たちの生活の悲惨さ、戦争末期から終戦直後の国・軍幹部による棄民政策、ソ連の捕虜によるシベリア開発、日本共産党を壊滅させた特高のスパイMなど、重苦しい歴史的事実が、軽妙な語り口で、明らかされてゆく。

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    2013年04月20日
  • 一週間

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    世の中は村上春樹さんですが、私は井上ひさしさんを読んでいます。
    関東軍60万人ものシベリア抑留のからくりが独特のユーモアある文体で暴かれます。
    就寝前の良質の読者で良い眠り。ゆっくり読み進めます。

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    2013年04月16日
  • 日本語教室

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    我が母校の大先輩である井上さんの本。日本語の起源、特徴、難しさ、いい加減さを、ユーモアを交えて論じている。大学での講義を収録したものらしいが、こんな授業だったら眠くならないかもと思う。

    初めの講義では、外来語なんてケシカラン!といった論調だったが、後半は、ピジン・イングリッシュの例などをあげて、積極的肯定こそしないものの、認める論調に変化している。その井上さんの柔軟性こそが、まさしく日本語の柔軟性をあらわしているのかなと感じた。

    東北弁が日本語の起源だ、という説は、 東北出身の著者 ならではの視点なのかなと思うが、それから派生する、美しい日本語など存在せず、あるのは個々人が持つ日本語だ、という説は非常におもしろい。結局、言語の本質は、伝える心にあるということ。英語学習にしてもそうだが、完璧を求めるあまり、その本質を見失うことが多い。

    また、日本語の音に注目した理論も興味深かった。今までにそういう感覚を持ったことがなかったので、今後気をつけてみたい。

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    2013年01月27日
  • モッキンポット師の後始末

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    コメディタッチで非常に読みやすい。
    これでもかというくらいの例え文句を並べるのも新鮮で面白かった。
    間抜けなお人好し、こんな人のお話しは小説だからこそ味わえる。
    ラストがどうなるかと思ったら予期してなかったものだった。

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    2013年01月23日
  • 自家製 文章読本

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    「私家版 日本語文法」が面白かったのでこちらも購入した。「日本語文法」ほどの読みやすさはなかったが、他の著者の「文章読本」・小説・評論などが多数引用され(海外の文献も豊富に扱われている)、より深い内容となっている。自分の文章にこの本の教えを生かすには二読・三読が必要なように思う。

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    2013年05月25日
  • 日本語教室

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    おもしろかった。
    1日でさらっと読めた。講義をまとめたものらしく、確かに脱線するところもあったがそれ込みでおもしろかった。魅力的な講義らしく。

    井上さんのほかの著書を読もうと思う。

    メモせずに読んでしまった。怠慢。
    さっと読めるから再読しよ

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    2012年12月01日
  • 四千万歩の男(二)

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    ただ測量を無事に終わらせたいのに、色々なしかもあまり測量と関係ないところからからまれていく忠敬が不憫ですが、それが面白かったりします。

    蝦夷の測量の大変さが要所でわかりました。

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    2012年10月11日
  • 日本語教室

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    上智での"日本語を取り上げた講演"を文章にしたもの。
    講演だから、ほどよく逸れつつ「日本語とは」を簡潔に。

    ただ、まとまっているとはいえこれだけで「日本語とは」は語れない。
    日本語研究・興味のきっかけになるといい、くらいか。

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    2012年10月04日
  • 日本語教室

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    僕らは、いつもいろんな言葉を紡ぎながら、どうにか考えること、思っていることをただ面と向かった相手に伝えようと試行錯誤する。
    しかし大抵の場合、「言葉はいつも心に足りない」
    ましてや使っている言葉がここまで曖昧さを許容して、間違って使っていてもその意で使う人がおおければそれすら許容してしまう大らかな言葉だったならなおさらだ。
    大切にすればするほど、言葉はすぐに先に行ってしまう。
    80歳のおじいちゃんの使う言葉と我々の使う言葉、10代の子たちが使う言葉で思いが伝わらなくなってしまうような世の中にはなってほしくないなと思い、意識しながらこれからも紡いでいこうと考えさせられた。

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    2012年09月26日
  • 日本語教室

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    『むずかしいことをやさしく、やさしいことふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと』と言っていた井上ひさしさんの講演をまとめたもの。
    言葉のルーツから、言葉の在り方から、ユーモアたっぷりに語られ、ぐいぐい引き寄せられる。言葉の背景にある、世界情勢もしっかりと説明されたうえでの、言葉、そして、その言葉を使う心の在り方についても、ていねいにやさしく、ゆかいに、まじめに語られている。
    この人の話をもっともっと聴いてみたいと思わせられた。

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    2012年09月26日
  • ブンとフン

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    井上ひさしの処女作だそうで、確か小学校だか中学校のときに読んだ記憶があったのですが、今読み返してみても結構面白い。

    筒井康隆も非常に似たような作風だったななんてことを思いながら結構新鮮な気持ちで読み返すことができました。

    売れない作家フン先生が生み出した売れないはずの作品の登場人物、四次元の世界を飛び回る怪盗ブンが本の世界から飛び出して世の中を騒がす。

    その怪盗を捕らえるために打たれた手。

    そしてつかまった大泥棒ブンに言い渡された刑は、とてつもなく長いものだったのだが、その刑を全うさせるために、刑務所の中で獄死しないようにと立てられたのはとんでもなく立派な刑務所。

    それも捕まったブンは売れた本の数だけいるということで、刑務所の数も半端じゃない。

    そしてものすごい待遇が・・・。

    それを見ていた民衆が、自分も刑務所に入りたいと、軽犯罪を犯すという、とんでもないナンセンスモノなのだが、世間を凄く皮肉っている。

    こんなユーモア小説が今はないのではないだろうか?

    皮肉でありながら、ユーモラスでホノボノ。

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    2012年09月19日
  • ブンとフン

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    ネタバレ

    小説をはじめとして、何かキャラクター、いわゆる何か存在を作り上げるというのは、どれほどの重みがあるのだろうか?

    今の世の中、情報発信が至極簡単に短絡的に行われ、責任というものを考えて発信できているものがどれほどいるのだろうか。

    自分が苦労して生み出した存在が、どこかで独り歩きして自分の知らぬところで悪事をしていたらこれほどつらいことはないだろう。

    そんな考えを一つの話にしたらこの本になるのだろう。

    ぜひお読みいただきい。

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    2012年08月09日
  • 四千万歩の男(一)

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    本当はこんなに事件とかなかったのだろうけど、こんな感じで測量をしていたのだなぁとわかってよかったです。

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    2012年08月05日
  • 吉里吉里人(上)

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    文庫版(全3巻)で読む。
    主人公である作家の視点で東北の村・吉里吉里の日本からの独立騒動を描く。
    全体的にテンポは良いが、主人公のバカさ加減には多少イラつくことも。
    震災後の被災地に対する政府や東電の対応を見ていると、本作はただのフィクションでは納まらない気がしてくる。

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    2014年08月31日
  • ナイン

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    短編集。
    掌編=手のひらにのるような、話もあれば、深く余韻を残す作品もある。
    人生とか、優しさとか、そんなイメージが浮かび上がってきます。
    「新宿まで」、「会話」、「握手」が印象に残りました。あと、おじいちゃんたちの話や、ちょっとしたことで運命が変わってしまう話も。

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    2012年06月06日
  • モッキンポット師の後始末

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    生きる為と言いつつ珍妙なアイデアをだしては、しくじってばかりの3人組と、苦り切りながらも突き放せず後始末に走り回る神父さん。
    そこでどうしてそうする!ってツッコミどころ満載の3人組も面白いけど、神父さんも3人組に困惑しつつも突き放せず、強く叱責もできず、大らかというかゆるいというか優しいというか。なかなか面白い人物。

    とても面白く読んだ。こんな時代もあったんだなって。モッキンポット師が実在したとは思わないけど(笑)

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    2012年05月28日
  • ふかいことをおもしろく 創作の原点

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    シンプルなのに シンプルだから?深い

    情報をどんどん入れて知識になり
    知識を集めて知恵をつくっていく
    どんな仕事もきっと同じはず

    自分が使いこなせる言葉でものを考えるということ
    意味をきちんと理解せず討論をしものを考えていくといいかげんな理論構築や結論が生まれてしまう

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    2012年05月04日