井上ひさしのレビュー一覧

  • ふかいことをおもしろく 創作の原点
    井上ひさしの有名なことばの一節を題に掲げた本書。
    以前NHKで放送されたインタビューを活字にしたものだという。

    多数ある井上ひさしの著作で読んだものはとても少ない。彼自身のこともほとんど知らなかったので、インタビュー内で生い立ちのことどが語られるのは興味深かった。
    作品を生み出すとき、自身の辿って...続きを読む
  • 日本語教室
    現在の日本語の良い所、改善すべき所等が井上ひさしさんらしい調子で書かれている。
    日本語が美しい=日本語が優れているという安易な発想に警鐘を鳴らしてくれている気がします。大和言葉もあり、看護もあり、外来語もあり、が現在の日本語の姿として良いのではないでしょうか。それが優れているとか、劣っているとかの議...続きを読む
  • 私家版 日本語文法
    右の農業白書の記述がなんとなく無責任に見えるのはなぜであろうか。傍線の部分が、

    …と考えられる
    …成行が注目される
    …と思われる
    …とみられる
    …が思い出される

    などと同じ、あの悪名高い「自然可能的な受身」になっているせいである。「なすがまま」「なされるがまま」「自然になるようになる」といった調...続きを読む
  • モッキンポット師の後始末
    おもしろかった~
    さすが井上ひさしです。
    飽きずにすぐに読めました。
    モッキンポット氏・・・寛容なケチ。
    だけどときどき核心ついたりするから、はまります~
  • 四十一番の少年
    タイガー・マスクの伊達直人を名乗る人物から
    児童養護施設で暮らす子どもたちにランドセルなど善意のプレゼントを届けられるという
    現象が全国的に広がり明るいニュースが世間を賑わせた。
    これはそうした児童養護施設(物語の時代背景は孤児院と呼ばれていた頃)で暮らす
    少年たちの辛さとか哀しみ、夢を描いた3篇の...続きを読む
  • 京伝店の烟草入れ 井上ひさし江戸小説集
    一冊を読み終えて、とても上質のミステリー短編集を読み終えたような気分です。歴史上にある実在の人物たちを、ああ、小説はこうやって命を与えるのだな、という見本のようです。
    実にすっきりとした話であることのみならず、あとがきも解説も充実しています。
  • 新釈遠野物語
    とてつもなく面白い本を読んだとき、あるひとは「鼻血が出る度おもしろい」と言った。だから僕もそれに習おう。同題は柳田國男のものが有名であろうが、現在では仮名づかいのところで読むには少しばかりの忍耐と慣れが要る。その点、この書物に収められた9つの短編は読む度にわれわれをあれよあれよという間にお伽の世界へ...続きを読む
  • 自家製 文章読本
    最初に読んだときは新しい視点に感心した
    途中から眠くなる

    文章読本て、例文のなんだか主観的な分析読んでいると目が閉じます
  • 京伝店の烟草入れ 井上ひさし江戸小説集
    手鎖を受けたのち洒落本から手を引いた京伝と、花火作りに身を費やす青年の話。

    井上ひさしの描く戯作者はどうもキャラクター性が強すぎてあまりあわないものが多いのですが、この京伝は珍しく納得のいく人物像でした。(偉そうなやっちゃ)というよりは井上ひさしでさえも“山東京伝”という人物を料理しかねたのかなあ...続きを読む
  • ムサシ
    宮本武蔵にあこがれていた。彼のことなどほとんどしらないくせに。
    でも、この本(戯曲)で受け取ったのは、
    殺し合うな!生きろ!というメッセージだった。
    私も戦いがかっこいいと安易に思っていたのかな〜。
    初演は宮本武蔵:藤原竜也、佐々木小次郎:小栗旬だったらしい。
    見たかったな。
  • 新釈遠野物語
    老人が青年に昔話を語る形の物語。山深い遠野の風景を思い描きながら楽しく読めた。
    よくよく考えると、エッチな話も盛り込まれてたりして、それもまた日本の古い風景だったりするのかなと思う。
  • 吉里吉里人(中)
     どんどん筆が乗る中巻。
     下ネタはいろいろギリギリなところまでエスカレートし、おかしな方向に転がっていく。
     特筆すべきは経過しない時間。

     中巻では吉里吉里国が独立してからまだ24時間やっと経つくらいである。時間の進み方に驚いた。
     吉里吉里語にも慣れてきて、面白くなってくる。

     農業批判の...続きを読む
  • 新釈遠野物語
    井上ひさし版遠野物語。

    語り部の犬伏老人と聞き手の「ぼく」
    の会話の中で、老人の奇妙な体験談が語られる形式。

    ユーモアあり、ブラックありで
    なかなか読み応えがあった。

    最後のオチは良いとは思うけど
    おぉっ!と驚くほどでもない。
  • 組曲虐殺
    井上ひさしの最後の戯曲。
    小林多喜二とその周辺。
    虐殺のあたりはさらりと書かれている。

    こういうテーマの作品をシリアスに描くのではなく、軽みを含んで表現できるのが井上ひさしの真骨頂だ。
  • 手鎖心中
    第67回直木賞。
    ある大家の若旦那が絵草紙で一旗あげたいという夢を実現する話。
    しかし若旦那は手っ取り早く有名になりたいらしく、むりやり婿入り→吉原通い→離縁→お上批判→心中を画策する。
    のちの十返舎一九、のちの曲亭馬琴、のちの式亭三馬らが若旦那の世話を焼く。
  • 四千万歩の男(一)
    ~<5> すごい業績だち思う。しかも50歳を過ぎてから始めた仕事。こつこつ積み上げることが大切だし、いくつからでも始めることが大切なんだと痛感。まだまだ、これからだ!!
  • ナイン
    「ナイン」が教科書に載っていたこともあり気になって読んでみました。
    中学の時に「握手」を読んだ記憶がよみがえりました。
    少しずつ繋がっている感じが面白かったです。
  • 人間合格
    そうなんだよね。
    そもそも人間に失格などないのですよ。
    どーやったら失格できるんだっちゅー話ですよ。

    思想もバックグラウンドも違う人間が友情を結ぶ。
    要するにそういうことのお話だと思うのですが、
    時代や社会や思想が移り変わっていっても、
    ただ一つ信じられる、変わらないものが「友情」だったという、
    ...続きを読む
  • 太鼓たたいて笛ふいて
    知識不足で林芙美子といえば、放浪記、カフェー、女給、下落合在住、編集者を待たせる。といったイメージしかなかったけれど、戦争中従軍記者をやっていたのだなあと思った。舞台のことを大変遅ればせながら知って読んでみたんだけど。ちょっと作者の都合のいいように個人史を解釈しすぎかとも思ったけれど。けっこうおもし...続きを読む
  • ムサシ
    09/09/27〜09/10/01 井上さんがいつもこだわること、の一部。言葉ノチカラ、言葉のこわさ。
    武蔵「ことば。ことば。ことば。ことばをもって相手の心を掻き乱し、その出鼻を挫く。ことばは、われら武芸者にとって、最初の、そして最強の武器なのだ。」
    なんだか、井上さんの変わらぬ決意のようにも思える...続きを読む