井上ひさしのレビュー一覧

  • 吉里吉里人(下)

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    反主人公・古橋さえいなければ、吉里吉里国は独立したかも知れない……と思わせるほど著者は古橋にドジを踏ませる。医療立国と世界各国の虐げられた民の救済を目指す吉里吉里国。しかし、日米英仏ソ中などの国々は、国内独立国などが乱立してはたまらないのだ。記録係(わたし)ことキリキリ善兵衛は迷える魂となって、次の一揆、虐げられた百姓の蜂起とその成功を待ち続けることなった。東北本線・一ノ関駅の手前にあるという吉里吉里国の言葉(東北弁)の中でも「わがんねー(駄目だ)」が最も好きになった読後であった。

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    2025年03月22日
  • 新釈遠野物語

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    遠野物語を現代に甦らせた連作短編集。
    物悲しかったり、艶っぽかったり、遠野物語風味を楽しめた。
    最後はほほーっと唸ってしまいました。

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    2025年01月27日
  • 十二人の手紙

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    ネタバレ

    これは新しい。
    手紙だけで構成されている短編集ミステリー。
    特に、役所の書類だけで1人の女の半生が分かる「赤い手」が印象的だった。

    全部別々の話のように見えて、同じ登場人物がひょっこり他の話にも出てきたり(古川俊夫)、エピローグはオールスター感謝祭みたいになってたりなかなか面白味があった。

    ただ短編集ということもあり、どんでん返しの衝撃度は軽め。

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    2024年12月16日
  • 十二人の手紙

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    短編集のミステリーで読みやすい。構成が分かっておらず、短編だが後から繋がるのか?と思っていたが、12個べつべつの作品だった。

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    2024年09月21日
  • 戯作者銘々伝

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    解説「十二枚それぞれの遠景は、いつの間にか向こう側でつながって一枚になる」のとおり、江戸時代活躍した十二人の戯作者たちを語らせた戯曲短編のような一冊。

    名高い戯作者から、確たる記録の少ない者についてまで本当に側で語られるかのような臨場感。
    どれも意外な落ちが用意されていて、またまた作者に唸らされた一冊。

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    2024年08月15日
  • 十二人の手紙

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    ネタバレ

    手紙形式という珍しい形式をとった短編ミステリ集。
    最後に全体通しての伏線回収も。

    後書きにもあったが、
    手紙形式という形が、より親密な印象、切迫感、などが伝わりやすく、受け手としての臨場感を持ちながら読むことができる。

    面白かった。

    書店の触れ込みから本書を読んだが、
    その際記載されていたほどの驚き/感動はなかったため、星は三つ。

    ただ、短編ごとに予想を裏切られるので、ジェットコースターの少し落ちる感覚を何度も味わえるような作品。

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    2024年05月06日
  • 吉里吉里人(上)

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    井上ひさしの作品を初めて読んだ。
    津軽弁には馴染みがあるので、「あーこれこれ」とは思うものの、吉里吉里語の台詞を文章で読むのはなかなか大変。結構読み飛ばしてしまった部分もある。

    完全に本題とは外れた箇所だが、主人公古橋の、昔の記憶障害、記憶増進症のくだりは面白かった。

    井上ひさし自体が完全な左派なので、そういう思想からこの物語が書かれたんだろうなぁというのがよくわかる作品。

    印象に残っているフレーズ。
    「吉里吉里語を話すときは、
    (こんなズーズー弁とよく似た外国語を勉強してなんの役に立つんだろう。他人から笑われるのが関の山ではないかしらん)
    と、なんのいわれもなく劣等感を持つように努力し

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    2024年03月30日
  • 十二人の手紙

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    おもに往復書簡の形式で展開される12話の短編集。
    ひとつひとつの話に、意外な結末。手紙から伝わる登場人物の変化、状況の変化にドラマがあり、切なくなったり、ニヤニヤしたりしながら、さくさくと読み進められた。

    けど、手紙にしては説明っぽいのが気になってしまった。

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    2024年01月07日
  • 吉里吉里人(中)

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    くだらない話のように書かれているが…国の構想はよく考えたものだ。ときどき登場人物が作者に代わって持論を展開するところは、これぞ、自説を語る「小説」といったところか。

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    2023年11月11日
  • 十二人の手紙

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    手紙だけでストーリーを展開させる試み。
    前半は面白かった。
    複数の相手に出す文章から、書き手の嘘が浮かび上がってくる様子が面白かった。
    後半にかけてだんだんとパターン化されてきて、十二人は多かったかも。
    井上ひさしの描く市井の人々の小さな嘘は面白い。

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    2023年10月17日
  • 吉里吉里人(下)

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    吉里吉里人が並べ立てる理論はどれも骨太で,何よりも愛国心に満ちている点で一見手強そうに思えるが,天上からの暴力には無力であった。この筋が何を示唆しているのかは,現代だと少し意味合いが変わってくるだろう。

    文章の大半は悪ふざけの域であり,ここは読者の好みの分かれるところだろう。私は読んでいて面倒だと感じることのほうが多かった。

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    2023年10月15日
  • 吉里吉里人(中)

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    吉里吉里人が並べ立てる理論はどれも骨太で,何よりも愛国心に満ちている点で一見手強そうに思えるが,天上からの暴力には無力であった。この筋が何を示唆しているのかは,現代だと少し意味合いが変わってくるだろう。

    文章の大半は悪ふざけの域であり,ここは読者の好みの分かれるところだろう。私は読んでいて面倒だと感じることのほうが多かった。

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    2023年10月15日
  • 吉里吉里人(上)

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    吉里吉里人が並べ立てる理論はどれも骨太で,何よりも愛国心に満ちている点で一見手強そうに思えるが,天上からの暴力には無力であった。この筋が何を示唆しているのかは,現代だと少し意味合いが変わってくるだろう。

    文章の大半は悪ふざけの域であり,ここは読者の好みの分かれるところだろう。私は読んでいて面倒だと感じることのほうが多かった。

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    2023年10月15日
  • 新釈遠野物語

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    ネタバレ

    面白かった。
    遠野物語自体はまだ読んでないが今度読んでみようと思う。
    犬伏老人から語られる話はどれも興味深く主人公が夢中になるのもわかる。まあ割と血生臭い話も多いが。
    途中時系列が合わないなとか老人についての謎が芽生えてきたところ、ラストで全部腑に落ちて「そりゃそうかー!」ってなった瞬間すっきり。

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    2023年10月10日
  • 吉里吉里人(上)

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    文章力はすごいし、ルビを東北弁にするなど、普通の小説に比べて並大抵でない労力がかかっているとは思う。しかし、東北に縁がある人しか楽しめない話なのではないかな、と思うのは自分が東北人だからか?3冊もあって長いが、どう風呂敷をたたむのか見てみるか。

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    2023年10月02日
  • 十二人の手紙

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    ネタバレ

    軽妙なテンポ感でさくさく読める。
    特に「赤い手」は、公的文書の列挙で物語が成立することに驚いた。それだけに、最後の、女性からの手紙が切ない。
    普段あまり短編小説は読まない。本にはどうしても、物語としての壮大さや、一定期間その世界に没頭させてくれることを求めてしまい、短編小説ではそれが成し得ないと思っていた。だが、短編に見えて、実は裏で繋がっているのでは?といううっすらした勘が、最後のエピローグで予想外の回収をされ、短編小説にもこういう楽しませ方があるんだ、という発見にもなった。

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    2023年09月24日
  • さそりたち

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    コンゲーム系小説。機械を売るため、手段を選ばずに詐欺行為を繰り返すお話

    精鋭チームなはずなのに、今作では失敗し続けてて面白かったw

    1979年に単行本が発売されたとは思えないほど、今読んでも楽しめる本

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    2023年09月19日
  • 十二人の手紙

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    私の中ではルロイ修道士でお馴染みの井上ひさしさん。こんな文章を書かれていたとは知らず。手紙のやりとりやメモ書き、届け出書類の内容、それだけで登場人物の人間像や生い立ちが見えてくる面白い作品だった。いろいろと繋がった瞬間も面白かった。

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    2023年08月07日
  • 父と暮せば

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    人よりも幸せになりたい、楽をしたいと考えるのが素直な人間の気持ちだろう。苦悩のうちに亡くなった身内や親友を思い、自分だけが幸せになっていいのだろうかと悩む主人公の葛藤が高潔でいて切ない。何不自由ない時代を生きる我々としては、先人の気持ちを少しでも慮って一日一日を大切に過ごしたい。

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    2023年04月29日
  • 父と暮せば

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    原爆の被害にあわれた方の苦しみがわかる。読んでいて本当に辛いし泣けてくる。あの戦争で多くの人が犠牲になった。国家としてみる戦争と国民としてみる戦争はまた別で、戦禍に巻き込まれた人の声を忘れてはならない。この本を読んで、核兵器は二度と使ってはならない、と強く思ったが、核や軍事力を持たなかった国がどうなるかも考えさせる。
    あと、前書きにかいてあったけど、本当に日本はアジアの国に迷惑かけたの?歴史の評価って難しい

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    2023年01月29日