【感想・ネタバレ】東慶寺花だよりのレビュー

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Posted by ブクログ 2022年07月26日

まさに名人芸のような井上ひさしさんの遺作。素直に面白いと思いました。
本書は「縁切寺」と呼ばれた北鎌倉の東慶寺が舞台。妻の側からの離婚が難しい時代、寺の境内に身につけているものを投げ込めば、駆け込みは成立。そして駆け込み人が東慶寺で24か月過ごせば、夫は絶縁状を書かねばならないというシステム。井上さ...続きを読むんは、このシステムを女性のためのアジール(聖域)として「素晴らしい発明」と評しています。井上さんは居を鎌倉に定めていることもあり、東慶寺を愛しているのでしょうね。楽しんで書かれたのがわかる作品となっています。

本書は「オール讀物」に1998年から足かけ11年にわたって連載された全15話をまとめた短編連作集。全編を通じての主人公は中村信次郎。医者の見習いから転じた新米の戯作者。信次郎は縁あって身を寄せた東慶寺の御用宿「柏屋」の布団部屋に篭って、創作に苦しんでいます。一方では柏屋の番頭手伝いと駆け込み審議の書記を任せられています。本書は15人の駆け込み人と中村との交流、駆け込みの顛末を1話完結で描きます。

本書のすごいのは1話1話の起承転結がはっきりと描かれていて、まるで落語の人情噺を読んでいるようです。話の展開はミステリー仕立て。それぞれにひねられたオチが準備されています。
また、鎌倉の自然、地理が描かれていて絵画的な作品です。

個人的には読み終えるのがもったいないような作品。ただ、時代小説ですので趣味に合わない読者もいらっしゃると思います。最初の1編が趣味に合えば、たぶんハマるのではないかと。

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Posted by ブクログ 2017年09月29日

江戸時代、離縁を求めて寺へ駆け込む妻とその夫のほつれを解きほぐしてゆく時代物ミステリー。

映画を先に観ました。
映像美、登場人物たちの愛らしいキャラクター、起伏あるストーリーなどどれをとっても素晴らしくて、興奮冷めやらぬ思いで帰り道に原作を購入しました。

原作を読んでまた驚愕。
映画とはだいぶ違...続きを読むう!
小説はオムニバスなんですね。
映画はオムニバスの要素を残しつつ、全体を通しての起承転結もつくられていて素晴らしいエンタテイメント作品になっていました。
小説は小説、映画は映画として楽しめるそれぞれプロのお仕事ぶりを感じて唸ってしまいました。

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Posted by ブクログ 2017年08月03日

映画の画面がとても美しかったので、それを脳裏に描きながら読みました。改めて、短編の中のエピソードの中から、新たな要素も加えて、映画がうまく作られていたのだと思いました。
女の方から離婚を申し出ることができなかった江戸時代、最後の頼みとされた東慶寺。戯作者かぶれの医者見習いという信次郎を狂言回しにした...続きを読む、それぞれのお話は、どれもしてやったり・・・ばかりではなかったけれど、しみじみ。江戸言葉の美しさも印象的でした。

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Posted by ブクログ 2017年06月03日

映画を見て、気になったので 購入
短編集だったんですね でも こちらも面白い
信次郎さんが 頭の中で大泉さんで動いていました 本当ぴったり

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Posted by ブクログ 2017年03月15日

ストーリー・テラー井上ひさしの本領発揮、人情もの時代小説。夫婦やその他の人情の機微に、泣かされたり膝を打ったり。
井上ひさし本人による、巻末特別収録も読む価値あり…というか保存版です。

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Posted by ブクログ 2016年07月18日

映画が面白かったので原作を読みました。駆込み一件ごとの一話完結になっていて、一つ一つ、一人一人の事情がミステリー風に解き明かされていきます。優しく明るい語り口で、笑えるところも多くて、ほのぼのと読ませてくれます。お互いをとても大切に思う夫婦あり、本当にひどいことをする人もあり。映画の方は二時間くらい...続きを読むの一つのお話にするために、原作のエピソードを細切れにして繋げてひねっている感じですかね。

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Posted by ブクログ 2015年08月07日

面白かった。
映画が観たいなぁと思ったんだけど、やはり本の方がわたしは好きなので^^
なかなかに楽しくもあり哀しくもあり盛りだくさんでありました。久しぶりにワァーと読みました。

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Posted by ブクログ 2015年06月23日

井上ひさしの『東慶寺花だより』を読み終えました。
やはり並みの小説家じゃありませんね、この作家は。

すんなりと入っていける導入部、
夫婦の機微を一枚一枚ときほぐしてゆく巧みな筋立て。
そこにあの鎌倉の四季折々の草花が彩りをそえています。
なによりも言葉が美しい、
そして、その用いようが人の息づかい...続きを読むにぴったりとあっています。
それぞれの会話の中でその場の情景が手をとるようにわかるのです。

私は読んでいる途中、ふと、オー・ヘンリーを思わず思い出しました。
それぞれのお話の最後をほどよい所でスパ~ンときり、
その余韻をかもしだしている。
『うちの人もいっしょ。あんまり急いでいたものだから髭を当たる暇もなかったの』
「石蕗の章 おゆう」の最後の文章です。

オー・ヘンリーもそうであるように、
人の心のあたたかさがじわーつと胸にひろがってきます。
久し振りに名文を堪能できました。

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Posted by ブクログ 2015年06月20日

もう、本当に本当に面白かった。
映画の原作だから、と言うことで読み始めた。。。、が、ものすごく味わい深い一冊。読むことで映画のすごさも分かるし、小説の凄みも感じる。

初めて朗読した本だった。歯切れとテンポの良い日本語を味わいたくて、休日に1人でひとすら朗読。咄家さんになった気分。
美しい日本語、筋...続きを読む書きの巧さ、情景の美しさ、日本人のペーソスと情感、いろんな要素が絡まって脳みそに染み込む。

あー、素敵。堪能いたました。

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Posted by ブクログ 2023年06月04日

離婚を望む女が駆け込む寺での様々な事情を描く短編連作集。駆け込み寺、三行半などの言葉は知っていてもこのような寺が実在することすら知らなかったので、これは作者の創作された設定かもと思うほどよくできている仕組みだなぁと。中盤くらいまでは面白く読み進めたが、後半は話の筋立てにやや無理があったりで長く感じる...続きを読むものもあった。主人公が医者の心得があり、小説を書くという設定かもを活かした章をもっと読みたかった。作中で書いた本は結局どうなったのだろうか。東慶寺とは関係なく主人公の話を読みたい気持ちになる。
巻末の「東慶寺とは何だったのか」も中々興味深く読ませていただきました。やはり女性は働き者で強いですね。

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Posted by ブクログ 2022年11月13日

井上ひさしの連作時代小説『東慶寺花だより』を読みました。
ここのところ、時代小説が続いています… 井上ひさしの作品は、6~7年前に読んだ『井上ひさしの日本語相談』以来なので久し振りですね。

-----story-------------
江戸の離婚は現代の二倍?
寺の境内に身につけているものを投げ...続きを読む込めば、駆け込みは成立する――。

離婚をのぞみ、寺に駆け込む女たち。
夫婦のもめ事を解きほぐすと現れるのは、経済事情、まさかの思惑、そして人情の切なさ、温かさ。
鎌倉の四季を背景にふっくらと描かれる、笑いと涙の傑作時代連作集。
十年の歳月をかけて書きつむいだ感動の遺作。
著者自身による特別講義を巻末に収録する。

原田眞人監督、大泉洋、満島ひかり出演で『駆込み女と駆出し男』という題で映画化。解説・長部日出雄
<東慶寺にはどんな女性が、何人駆け込んだか。正確にはわかりませんが、江戸後期までに少なくとも3千人と言われています>(井上ひさし「東慶寺とは何だったのか」より)
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1998年(平成10年)から2008年(平成20年)に、文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に発表された作品… 女たちの「駆け込み寺」を描く、涙と笑いの人情譚、井上ひさしの遺作となる作品です。

 ■梅の章ーおせん
 ■桜の章ーおぎん
 ■花菖蒲の章ーおきん
 ■岩莨の章ーおみつ
 ■花槐の章ー惣右衛門
 ■柳の章ーおせつ
 ■蛍袋の章ーおけい
 ■鬼五加の章ーおこう
 ■白萩の章ーおはま
 ■竹の章ー菊次
 ■石蕗の章ーおゆう
 ■落陽の章ー珠江
 ■黄蘗の章ーおゆき
 ■蓼の章ーおそめ
 ■薮椿の章ーおゆう
 ■特別収録 東慶寺とは何だったのか 井上ひさし
 ■「東慶寺の本棚」
 ■解説 女性は江戸時代から強かった 長部日出雄

井上ひさしが十年をかけて紡いだ、感動の遺作! 江戸時代、女たちが不幸な結婚から逃れるための「駆け込み寺」であった鎌倉の東慶寺… その門前に建つ御用宿の居候で、戯作者志望の青年・中村信次郎の目を通し、救いを求めて寺に身を寄せる女たちの物語が描かれる、、、

駆け込む理由はどれもこれも一筋縄ではいかなくて… ただ虐げられるばかりではない、怒り、抵抗し、許し、受け入れる。

夫婦のもめ事を解きほぐすと現れるのは、経済事情、まさかの思惑、そして人情の切なさ、温かさ… 名もなき人々の弱さと強さを優しい視線で見つめた井上文学の到達点とも言うべき、静かな感動に満ちた連作短篇集。

駆け込みという言葉から連想される暗さはなく、ほのぼのとした温かい気持ちにさせてもらえる物語でした… 落語の人情噺のような印象の作品でしたね、、、

ミステリ的な要素もあり、駆け込み至った謎を解いていく愉しみもあったし、エピソード毎に鎌倉の四季折々の美しい情景が浮かんでくるような展開も良かったですね… 個人的には、『柳の章ーおせつ』や『蛍袋の章ーおけい』でイイ役どころを演じている仁八そばのトラばあさんが良かったなー

当時の女性は男性に虐げられていたという勝手なイメージがあったのですが、東慶寺へ駆け込んだ女性は三千人と言われており、再婚率は80%だったそうですし、自分で稼いで、自分で生きていく力をもっていて、女性もやられっぱなしじゃなかったようですね… 著者自身による特別講義は、歴史の勉強になりました。

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Posted by ブクログ 2021年09月21日

江戸時代の史実に基づきながら、古くからの男尊女卑社会においても様々な救済の仕組みがあり、女性たちがそれを利用していかに逞しく生きていたかということがわかる本だった。
人間模様がリアルで、江戸時代バージョンのゴシップ雑誌を読んでいる感覚だった笑

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Posted by ブクログ 2021年02月06日

かけこみ寺に駆け込むにも、作法がある。その作法、江戸時代にどんな風に広まっていったのだろう。
駆け込み寺に入るには、手続きが必要だ。その手続きを担う門前の宿。情を「なさけ」と読むか「情」と読むか。それ以上に細やかな気遣いがあり、人情がある。
したたかなのは男なのか女なのか。踊らされているのは、いった...続きを読むい誰なのか。
人という字は、人が一人ではなく他人と寄りかかるように助け合って生きている形を表わしている、と聞いたことがある。駆け込んで、切れる縁もあれば、つながる縁もある。これもまた人の世の常。

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Posted by ブクログ 2019年01月10日

映画『駆込み女と駆け出し男』の原作ではなく”原案”となってたので気になって読んでみた。とても楽しめた。

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Posted by ブクログ 2023年06月05日

久々に井上ひさしの本を読んだ。井上氏のDV等の話を知っていると、こういう本を書くのはどういう思いなのだろう、と思わなくもないが、それを脇に置けば、心温まるショートストーリー集ということで楽しめた。東慶寺や鎌倉に何度か行っていて地名が分かるのもよかったのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2017年07月25日

読みながら思い出した。東慶寺。女性が離縁を求めて駆け込む寺。まさかこの寺を舞台に物語を書く人がいたとは。「離縁」「駆け込み寺」というとどうしてもミゼラブルなイメージが先行してしまうが、実際には人情物語。どこかアットホームな感もある。ときには男の方が間違って駆け込んだり、再駆け込みは禁止、をまるで「二...続きを読む度漬け禁止」的ノリで話が展開されたり、笑っていいのか戸惑いつつ笑ってしまう。古都・鎌倉の情景に想いをはせつつ読むのも一興。

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Posted by ブクログ 2017年05月31日

最近、DVDを見て興味出て来て原案となった本作品を読みました。
いくつもの話があり面白かったです。
それ以上に映画化の際、随分印象が違う話になったんだなって楽しくなりました。
色んな評価があるんだろうけど、原作も楽しかったし、映画はもっと楽しかったですよ。
本読みしてから、映画見て見て。
樹木希林さ...続きを読むんの「女じゃいけないんですか」に笑っちゃうと思います。

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Posted by ブクログ 2015年11月15日

江戸時代の東慶寺を舞台に、いろいろな事情を抱えて駆け込む女達の物語。東慶寺のシステムや当時の人々の暮らしや価値観が分かって面白い。北鎌倉東慶寺の紫陽花の季節だけではない、四季おりおりの花の魅力も引き出されており、またじっくり見学したと思った。

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Posted by ブクログ 2015年08月18日

さすが作者の筆の力。江戸時代の鎌倉の四季が目に浮かぶ。訳ありで東慶寺に逃げ込む人妻。その生活を思いやって支え合う人達がみな粋でかっこいい。映画観てなくても信次郎のセリフは全部大泉洋氏でイメージできた(笑)

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年01月06日

2010年4月に亡くなられた井上ひさしさんの遺作
単行本は 2010年11月に出版

鎌倉の「かけこみ寺」東慶寺の御用宿の居候が語る話15編
女性の名と季節の花を織り込んで江戸時代を写し取っている

それぞれ興味深い話だけれど
どの人物も独り立ちしてるなあと

あとがきで作者が「江戸時代から女性は十...続きを読む分強かった」
そう書いているが
うーん、そうならざるを得なかった時代背景
妻から離婚を要求するのも命がけだった

東慶寺の院主様が痛快だった

≪ 境内の 花と季節が 巡り来て ≫

≪ 

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Posted by ブクログ 2019年12月10日

確かに女性は強い、でもやはり不条理が多い気がして純粋に楽しめなかった。強くならざるを得ない、夫側のダメさのような感じ。

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Posted by ブクログ 2019年10月06日

江戸時代、女性から離婚を申し出るのが難しい時代の駆け込み寺の話。
短編でそれぞれに事情を抱えた女性が出てくるが、その事情が笑える話。
読んだ後に何も残らない話の短編集でした

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Posted by ブクログ 2017年03月15日

昔なのに、結構離婚に対していろんなシステムが構築されていることに驚いた。

いつの時代も、相手を思いやる心は大切。

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Posted by ブクログ 2017年02月16日

駆込み女と駆出し男の原作なので読んでみた。
大泉洋さんぴったり。
一つ一つのストーリーが短編のようになっていてよかった。
東慶寺のシステムはとてもいい。

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Posted by ブクログ 2015年12月29日

連作短編。物語の語り手は東慶寺の御用宿に居候をしている信次郎。一話完結で毎回違う女性が主人公になるため展開が早く、誰かに感情移入したり応援したりができなかった。どの話もあっさりしていた。

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Posted by ブクログ 2015年11月10日

一作一作は短いが起承転結がきっちりしていて短編のお手本の様な作品集だった。江戸の風物に触れられるのも楽しい。

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Posted by ブクログ 2015年09月24日

映画を見てから本を読んだ(映画のタイトルは「駆け込み女と駆け出し男」)
オムニバス形式の短編集である。
どれも余韻を残して読語の清々しさが残る。

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Posted by ブクログ 2015年08月10日

連作短編15編.
駆け出しの作家信次郎が,御用宿の手伝いをしながら,東慶寺の駆け込む女15人のあれこれを聞き書きするという程.簡潔で滑稽で謎解きもある人情物に仕上がっている.それぞれの女性に花の副題をつけたのがとても粋だ.

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Posted by ブクログ 2015年07月31日

短編すぎる…。
なんだか、さくっと読めすぎて、物足りなかった。
人物も…。
ドラマでは面白いのだろうね。

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Posted by ブクログ 2015年06月25日

江戸時代、離婚を希望する女性の駆け込み寺を舞台とした短編集.駆け込む前に追ってきた夫に捕まっても、簪でも草履でも寺に投げ込めば駆け込みが成立するというのが面白いが、井上ひさしのことだから事実なんだろう.単に夫婦仲が悪くて離婚を希望するのではなく、そこから見えて来る悲喜こもごもの人間模様を謎解き仕立て...続きを読むで語りかけてくれる.

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