井上ひさしのレビュー一覧

  • 「けんぽう」のおはなし
    実に分かりやすい!(大人にも)
    「国や政府は大きな力を持っています。国を治めている人たちがその力を利用して、好き勝手なことをしないように、私達国民が「憲法」という決まりを作って、歯止めをかけているのです。」
    総理大臣はじめ、政治家、検察、裁判官のみなさん知ってましたかー???
    子ども向けの絵本にもち...続きを読む
  • 言語小説集
    言葉を巧みにあやつり、今までみたことのない小説が描かれていた。鉤括弧を擬人化した人はこの人がはじめてでないだろうか。小銭も擬人化したりと、擬人化の走りとも言えそう。また、梅毒におかされた男の身体を元に大戦模様を描くのも面白かった。すごいセンスの作者であった。
  • 十二人の手紙
    全て手紙という形式の短編小説。
    前に書かれたもので時代を感じさせる描写が多いがそれがまた良い。
    淡々と物語が進むがそこから見えてくる人間模様が面白かった。
  • モッキンポット師の後始末
    ▼中高生の頃、というと1980年代だったんですが。携帯以前、そして書籍界的には「BOOKOFF以前」だったあの頃、首都圏郊外の小さな「駅前本屋さん」の文庫本コーナーに文字通り日参していました。毎日買うわけではなく、毎日のように文庫本コーナーで、文庫本の「背表紙の紹介文」をとっかえひっかえ読む。割と毎...続きを読む
  • 新釈遠野物語
    遠野物語は柳田国男の原作に限る。現代語訳や京極夏彦が脚色したものも読んだが、正直つまらない。遠野物語の迫力は柳田の文体により作られたものといえよう。
    ただ、この新釈遠野物語は別物で、面白い。遠野物語の原作をそのまま使っているのではなく、材料をうまく戦後まもなくの時代に落とし込んでいる。遠野物語を読ん...続きを読む
  • 父と暮せば
    演劇も映画も通ったことがないのに、戯曲から入るのはアリなのか…?と思いながらも読み始めてみたら、やっぱり面白かった

    世界でたった2つ、原爆が落とされた地、広島と長崎
    今作は広島に住み、原爆ですべての身寄りを失った若い女性、美津江に焦点を当てている。

    美津江が親友・父を失った時の記憶を語る場面では...続きを読む
  • 下駄の上の卵 (新潮文庫)
    戦後山形から東京に出て行った少年たちの冒険談。
    キセルにしても、東京でおこる様々な騙し騙され合いにしても、戦後の厳しい時代の中でみんなが必死に生きていたことのあらわれなのだろう。もちろん小説ではあるが、こういう時代の雰囲気がしっかりと残されているのは素晴らしい
  • 東慶寺花だより
    離婚を望む女が駆け込む寺での様々な事情を描く短編連作集。駆け込み寺、三行半などの言葉は知っていてもこのような寺が実在することすら知らなかったので、これは作者の創作された設定かもと思うほどよくできている仕組みだなぁと。中盤くらいまでは面白く読み進めたが、後半は話の筋立てにやや無理があったりで長く感じる...続きを読む
  • 日本語教室
    本書は、日本語そのものを学ぼうというのではありません。
    井上ひさしが考える、日本語の現状をさらっと把握して、「日本語とはどういう言語か」ということを考える書です。

    気になったことは以下です。

    ・15歳を過ぎるとどんな言葉も覚えることができない
    ・母語は道具ではない、精神そのものである
    ・日本は、...続きを読む
  • 新釈遠野物語
    日本の昔の生活や風習、考え方とか面白おかしく、そして水っぽく綴られていて面白かった。
    ふと思い出して、息抜きに読み返しそう
  • 十二人の手紙
    これは昭和だ!
    帯は笑いと哀しみが、って書いてあるけど、この哀愁はやはり昭和である。孤児院みたいなのやら、田舎から出てきた娘のつらい境遇やら、今はない、とまでは言わないけど、描かれ方がレトロで、とはいえ明治とまでは言わないので昭和なんである。なんでろくでもない男に簡単に引っかかるのか。。こういうの読...続きを読む
  • 十二人の手紙
    短編であり長編
    全章が独立してるけど手紙でのやり取りで書かれてる
    そしてエピローグで全回収
    ミステリーだったんだ…


    SNS同様に手紙の持つ素晴らしさや胡散臭さ
    遊び心をくすぐるツールだなって感じましたね

    筆者に送る手紙にはこう記したいな
    「参りました」
  • ブンとフン

    開始:2023/1/4
    終了:2023/1/5

    感想
    ポップコーンのように次から次へと跳ねでる面白さ。いつまでもブンの秘密には触れられないナンセンス。だがそこがこの小説を傑物たらしめる。
  • 十二人の手紙
    書簡形式の12の短編集。ショートショートストーリーで隙間時間にサクサク読めました。どのお話も面白く、読み応えがありましたが、私が特に印象に残ったのは、「葬送歌」「赤い手」「ペンフレンド」「鍵」「里親」です。
    人の手紙を読むってドキドキします。
  • 一週間
    井上ひさしの長篇小説『一週間』を読みました。
    『東慶寺花だより』、『モッキンポット師の後始末』、『イソップ株式会社』に続き、井上ひさしの作品です。

    -----story-------------
    最後の長編小説。
    昭和21年、ハバロフスクの収容所。
    ある日本人捕虜の、いちばん長い一週間。
    『吉里吉...続きを読む
  • 東慶寺花だより
    井上ひさしの連作時代小説『東慶寺花だより』を読みました。
    ここのところ、時代小説が続いています… 井上ひさしの作品は、6~7年前に読んだ『井上ひさしの日本語相談』以来なので久し振りですね。

    -----story-------------
    江戸の離婚は現代の二倍?
    寺の境内に身につけているものを投げ...続きを読む
  • 十二人の手紙
     次々と現れる手紙たち。それぞれに何某の喜怒哀楽がこもっています。悲しいものが多かったような気がします。最終章でこれらの12通の手紙が大団円したのでしょうが、如何せん通勤でのちょい読みでの繋ぎ合わせなものでこの大団円がよくわからない…
    でも、井上ひさしはワタシのお楽しみの一人です。これからもよろしく...続きを読む
  • 父と暮せば
    戦争で自分だけが生き残ってしまった娘の心中の葛藤が綺麗に文章によって著されていた。一人二役だが、そうに見えない。麦湯のシーンなど所々に垣間見える、父がこの世に居ないと表現する描写がとても良かった。
    1人の娘としての幸せをつかみたいという希望が、父となって現れ、罪悪感に苦しむ娘を幸せに導いていく。しか...続きを読む
  • 十二人の手紙
    短編集のような感じで読み進められるのが良い。
    それぞれの方向に広げられた風呂敷が、エピローグにて綺麗にまとまり、読んでいて気持ちが良かった。
    本文は全編手紙の文章のみだが、登場人物の背景や行動や感情が詳細に伝わってきた。その上、登場人物の秘密を覗いているような気持ちにもなり、新鮮な感じがした。
  • 十二人の手紙
    古本屋さんでたまたま手に取った本作。

    すごい!!すごすぎる!!!
    今のところ今年一番くらいに感動した作品です。

    手紙形式で綴られる物語。
    12の手紙(物語)があって、それぞれ独立しているんですが、最終的に一つの物語に着地します。

    全然そういう形式の小説になっていると思わずに読んでいたので、最後...続きを読む