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時は昭和の15、6年。浅草のレコード店・オデオン堂の家族と下宿人たちは無類の音楽好き。その音楽好きも禍いし、一時は“非国民”と貶められて、またある時は娘が傷痍軍人と結婚して“軍国美談の家”と褒めそやされて…。劇作の異才が、人間への限りない信頼を込めて描く庶民伝。
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Posted by ブクログ
故 名古屋章さん(だったと思う)出演の舞台を先に見て、衝撃を受け原作を読みました。防毒面をつけて・・・のくだりはやはり舞台のほうが迫力がありますが、ほのぼの優しい登場人物と戦争の対比が正体のしれない不気味さを感じさせる名作だと思います。
第二次世界大戦中の東京、オデオン堂というレコード屋一家とその仲間たちのてんやわんや。 いい曲ならばジャズのような敵国音楽だって取り扱う店の方針、だけでなく、長男の正一が脱走兵となり憲兵に追われているせいで、非国民の家だと非難されるオデオン堂。とはいっても彼ら自身は「反骨の家」といったイデオロジックな...続きを読む雰囲気ではなく、明るくのんきに暮らしている。しかしさすがにやりにくくなってきたので、娘のみさをを傷痍軍人の源次郎と結婚させて「美談の家」となることで急場をしのぐ。 教育勅語製な軍人さんであった源次郎がオデオン堂の人たちとの交わりで変化していくところがやはりみどころか。 こんな時代に生まれてくる子どもが不憫だと、膨らんだお腹を漬け物石で殴ろうとするみさをの気持ち、それに対してコピーライターの竹田がかける言葉のちから、そんなこんなしてのんきながらも自分を棄てずに生きていくオデオン堂の人たちのしなやかさ。 読んでいて、それらのことがこんなに染み入ってしまうことが、なによりかなしい。 (どうでもいいけど戯曲は脳内キャスティングして読めという井上ひさし氏の教えに従うと、ふじ→峯村リエさん、信吉→小林隆さん、ピアニストの森本→中村倫也さん、だけはなんだかぱっと思いついて最後までぶれなかったのでメモしておく。)
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