今野敏のレビュー一覧
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ロータスコンフィデンシャル
ロシア外相来日のための随行員の、行確を命じられた警視庁公安部外事一課の倉島警部補。そんな中ベトナム人殺害事件が起き、ロシア人音楽家が容疑者になる。その捜査に乗り出した同僚は突如行方不明となり、なぜか外事第二課の中国担当者も事件を調べている事が判明した。公安警察は確かに国のために働いてる感がすごいと思う。日本でスパイ活動をしている中国やロシアを相手に二重スパイを敢行したり、組織に反発すると情け容赦なく殺されてしまう。そして訓練を受けた女性工作員は魅力的でありながら簡単に素手で対象を殺す能力もある。いや意外に油断をしかねないからこそ使い勝手があるのだと思う。恐ろしや恐ろしや。 -
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ネタバレ防諜捜査
『ゼロ』の研修から戻った倉島警部補は、外事一課と掛け持ちで「作業班」に入ることになる。そんな折、ロシア人のホステスが線路に転落し轢死する。警察は事故か自殺の線で捜査を始めるが、これは、ロシア人の殺し屋による暗殺で、自分もまた狙われていると証言する日本人が現れた。倉島警部補はオレグというその暗殺者を追う。公安警察の面白さはハンパない。刑事警察の上を行く面白さである。企画ハズレの行動が随所に出てくる。作業班のメンバーの中で私が好きな人物は伊藤巡査部長である。公安のスペシャリストとしての本能を持っている。存在感が全く感じられないのだ。人の記憶に残らない行動を身につけている。忍者みたいにいつの間にかそばにいる。目立たないのは公安向きである。倉島警部補も舌を巻くほどの行動を取っている。そしてやるべきことはキッチリこなす。頭もキレて無駄口も吐かない。いつか倉島警部補も追いつかれ追い越されそうな人物だ。 -
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たくさんの人気シリーズがある今野敏さんの作品の中で、私が一番好きなのがこの「隠蔽捜査シリーズ」です。「分水」はその最新刊となります。
このシリーズの魅力は、何といっても主人公・竜崎伸也という人物でしょう。キャリア組と呼ばれる警察官僚ですが、生真面目すぎる堅物で、空気を読まず(読めない?)、何事も原理原則に従って判断します。キャリアにありがちな派閥争いや上司への忖度とは一切無縁な男です。
そんな是々非々を貫く竜崎に、最初は戸惑っていた上司や部下も、いつしか彼を信頼し、ともに事件解決へ向かっていくその過程こそが、このシリーズ最大の魅力だと思っています。
今回の「分水」でも、竜崎らしさは健在でした。どんな状況でも信念を曲げない姿勢には思わず引き込まれ、シリーズファンなら随所で頷いてしまうはずです。
私も竜崎伸也に影響を受け、実生活で彼のように振る舞ってみたいと思うことがあります。しかし、生半可な気持ちではすぐにメッキが剝がれて逆効果になるのは目に見えています。それでも、「こんな人間になれたら」と思わせる魅力が竜崎にはあります。
シリーズがいつか完結する日が来るのなら、ぜひ数々の「竜崎語録」をまとめた特別出版を実現してほしいものです。 -
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回帰 警視庁強行犯係・樋口顕
今回は、国際テロ組織の犯行ではないかと思われる車両爆破事件が発生し、死者2名と負傷者10数名がでた。C4と言われる軍用の爆薬が使用されたのだ。目撃情報からパキスタン人のムハマンド・シファーズ・サイードの身柄が拘束され、取り調べか開始されたが、本人にはアリバイがあった。そんな中、警視庁の元刑事で違法捜査で辞職した因幡芳治が国際テロ組織と関わりがあったという情報があり、最近日本に入国したということも明らかになった。因幡は天童管理官の元部下でもあった。その因幡から突然天童管理官に連絡が入り、次に発生の恐れがあるテロを防ぎたいので力を貸してくれるように頼まれた。警視庁公安部の事前情報では因幡は国際テロ組織の一員として見ていたが、思わぬ展開に…
樋口顕係長は因幡の現在の素性がなんとも言えないまま天童管理官とともに因幡の行動に賭けてみる。テロの標的にされたのは靖国神社だ。どうしてもテロを止めたい因幡と樋口係長は、靖国神社でテロの実行犯を寸時で発見し指揮本部の命令を待たずに取り押さえる。正に危機一髪のところだった。一歩間違えば、自爆スイッチを押されたかも知れない瞬時の判断であった。手に汗握る瞬間を文章で表す今野敏作品の素晴らしさはピカイチである。事件と同時に樋口顕を悩ませる一人娘照美の家族愛も微笑ましい。
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大森署署長へ異動となった竜崎伸也は、着任早々に発生した立てこもり事件の指揮を執ることになる。事件は収束したかに見えたが、その判断をめぐり、警察組織全体を巻き込む新たな問題へと発展していく。迷いなく決断し、その責任まで引き受ける竜崎の姿を描いた警察小説。
前作は、第一印象では理解しがたかった竜崎という人物への見方が、読み進めるうちに変わっていく面白さがあった。キャリア官僚としてすでに確固たる立場を築いていた彼を通して、その信念や価値観に触れる物語だった。
一方、本作の舞台は、まったく勝手の違う現場である。大森署長として、新しい部下や組織、家族との関係に向き合いながら、自らの立場を築いていく。どこへ異動しても竜崎は竜崎だった。しかし、そのぶれない姿勢が少しずつ周囲を動かし、当初はぎこちなかった組織が一つにまとまっていく過程には、大きなカタルシスを覚えた。
タイトルの『果断』は、まさに竜崎を象徴する言葉だと思う。迷わず決断し、その結果から逃げず、責任まで引き受ける。その姿勢は変わらない。ただ本作では、それが新しい環境の中で試され、周囲との関係を通して、より確かなものとして浮かび上がっていく。
前作が竜崎という人物を描いた作品だとすれば、本作は、そのぶれない姿勢が組織にどう作用し、少しずつ周囲を変えていくのかを描いた作品だった。警察小説としての緊張感はもちろん、組織論やリーダー論としても読み応えがある。前作で竜崎という人物に惹かれたなら、本作では、その姿勢が人と組織を動かしていく過程に、さらに引き込まれるはずだ。 -
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廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕
樋口顕のもとに殺人事件の一報が入る。被害者は、キャバクラ嬢の南田麻里。彼女は警察にストーカー被害の相談をしていた。未だにストーカー殺人事件は後を絶たない。今回もか?と特捜本部では誰もが心配する。そうだとすると警察の責任は免れない。しかし、捜査線上に上がる容疑者はことごとくシロとなっていく。誰が犯人なのか?今回も警察庁から派遣された女性捜査官が犯人の足がかりを付けていく。飛び切りの美人警視のキャリアだ。樋口顕が世話係として抜てきされ一緒に行動を共にする。そして事件解決へと繋がるのだ。樋口顕の一般の刑事と違う感覚と性格はどんな相手も傷つけずに味方に引き込んでいく。これはまさに天性のものとしか思えない。多分今野敏先生も同じなんだろうなと思ってしまう。