橘玲のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【334冊目】特殊詐欺がこれだけ社会問題になる中で、どうして人はだまされるのか知りたくて読んだ本。洋書の翻訳なのに珍しくスイスイ読めた。
だまされてしまうのは人には認知的なハビットがあるから。4つのハビットは以下のとおり。
①集中…相手は何を隠しているのか
②予測…「期待外れ」を喜べ
③思い込み…判断を後回しにする←要は賢いフリや分かったフリするなってことだと理解しました。
④効率…相手の痛いところを突く←決断のときにもう少し踏み込んで調べたり質問したりすべきってことかと。
詐欺師や政治家やセールストークが利用する4つの認知的なフックがこちら。
①一貫性…この世界は不合理だ←一貫性があるものを好みがちだけど、現実は不合理で、きれいすぎる一貫性は実は何らかの人為的な操作を示すサインの可能性があるってことですね。
②親近性…「これ知ってる」を疑え←見たことがあるもの、ちょっと齧ったものを真実や優れたものとみなしてしまいがちな性質。選挙カーが候補者の名前を連呼するのにも意味があるんだなあ。
③正確性…"数字"の落とし穴←具体的な説明がその物語を信ぴょう性高く見せてしまう。
④有効性…「奇跡」と「ドラマ」はない←劇的な有効性を示されると根拠の確認が乏しいまま信じ込んでしまうことがある。
信頼とは思い込みの一形態である、という筆者の主張からは、騙されることをこの世から完全になくすことはできない。認知的バイアスはこの社会で生きていくためにある程度必要なことだから存在している。だから、筆者は、「少し受け入れ、多く確認する」ことを提案している。
その他、本書の中にはだまされないために必要な多くの提案が記載されている。すべてを実践するのは難しくても、読んだことがあるかないかだけで今後の行動は変わるかもしれない。
個人的には、自分が選んだトランプのカードが実際になくなるトリックに驚いた… -
Posted by ブクログ
遺伝子解析の行末(ヒトとしてのタブーに入り込む)
遺伝子学の世界は、遺伝子検査によってヒトの知能、病気や性格など人生でのイベントが見えてくる、という時代になった。「環境にもよる」という説に対しても遺伝子学は人間のタブーの世界「言ってはいけない」域に入りつつある。それはゲノムの編集により病気や性格などを変更することも可能になり、身体的、精神的にも人的操作で変更できる世の中になる、可能性もある、ということだ。 また、遺伝子学の研究にはさらに何歳ごろに死ぬのかなど生まれながらにある遺伝子で病原の発生時期なども解析できる、という未知なる世界へ踏み込んでいると言う。本書は専門用語も多く理解し難い部分も多いが、今後この「遺伝子学」は知らざるを得ない世界になって来たと思う。 -
Posted by ブクログ
とても体系だっていて論理的で読みやすい。「幸福」だとか「幸せ」を定量化することは難しい。なのでそれらに関する本ではエビデンスを示すことが難しく、机上の空論になりやすい。
そんな中、本書では数多くの定量的な研究結果や調査結果を示しながら、現代(2017年時点)の資本主義における幸せな人生の理論上の正解を導き出そう試みている。
思考検討のベースが経済学のようで、経済的な観点から論理を積み重ねていくのが特徴的だが、同時に性風俗業界に関する情報の引用や脳科学研究からのアプローチなどもあり、多面的に主張の根拠を固めていっている点に面白く、また好感が持てる。
本書での答えはあくまで理論上の結論であるから、マジョリティに向けての、そして可能性として有望な答えを提示しているに過ぎない、ということは常に念頭に置く必要があるわけだが、それを加味しても説得力がある。
本書では、最初に幸福の条件を3つに集約している。それが、
1、自由
2、自己実現
3、共同体=絆
である。
本当にこの3つに絞って良いのかな?という疑問が早々に上がった。
「自由」に関しては、私個人としては疑いようがない。自分で自分の人生を決定できるという、人権や権利としての自由なくして幸せであるとは思えない。思想、行動、職業選択、食べ物の選択、パートナーの選択、行動の選択、そして行動の選択ともつながる健康など、自由なしには幸福を実感できる気がしない。
ただし日本とは違う一部の国家などの思想では、むしろ国家なり共同体なりがなんらかの制限をつける方が幸福度が高いと考える考え方もあるし、またアナーキズムのような極度の自由主義も存在する。そのため自由という概念を絶対視は出来ないが、まだ自由論に関しては私は見分が狭いのでここでは妄信することにする。
「自己実現」はマズロー的な考え方で、その欲求階層説には現代では批判もあるが、頭脳や社会が成熟した高等生物たる一ホモサピエンスとしては、確かに主観的に自らを幸せだと実感できる枠組みは必要だと思うので、個々人に合わせた最終段階を設定できる「自己実現」は幸福条件として適切だろう。
「共同体=絆」については、社会的生物である人間は、恋人、家族、友人のほか、共同体との関係性が幸福に直結することは納得がいく。
社会は、自由や自己実現を達成するための物理的な条件ともなる。
その社会というのをもう少し私に近づけた共同体、その共同体への所属や互恵関係、取引関係は、生きるために必要な物資の調達やリスク軽減のための仕事というものを安定化させることで生き物としての幸福度を上げるだけでなく、仲間意識による心理的安全性も高めてくれる。
適切な組織サイズ、適切な結合度合、適切なターンオーバーのある組織であることはさらに細分化した条件となるが、いずれにしてもその共同体組織に所属し、貢献し合うことは幸福の条件として違和感がない。
これら3つの条件以外にも細かい部分は出て来ようが、論議をまとめるためにはどこかで枝葉末節を端折って断裁する必要があるので、3つにまとめるのは適切だろう。
本書の最終的な結論として、エピローグにその3つの条件に対応する戦略をまとめている。
そのうちの、「共同体=絆」に対応する「社会資本」の適切な戦略は、以下のように要約されている。
『社会資本は小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散する』。
この点が、自分にとっては一番大きな収穫物だった。
その空間の小ささ・大きさは、人によってボーダーラインの引く位置が異なるに違いないが、その位置を自分の心の満足度に従って適切に見計ることが出来、実現できたとき、幸福な生活はグッと現実化するように思う。 -
Posted by ブクログ
人生において本当に重要なことは他者との関係だ、という本。1つ1つのトピックがキャッチーでおもしろい。
・見知らぬ人の考えや気持ちを察する実験の正答率は20%。だが人は80%の確率でその判断が正しいと思っている。
・女性が人の心をうまく読み取れるのは、人の心を読み取ろうとすることに意欲的だからだ。
・第一印象は70%正しい。30%の間違いの最大の理由は確証バイアスによる。だから、第一印象が悪い人に二度目のチャンスを与えよう。
・白状させるには、想定外の質問をするか、証拠の下調べをしておくこと。
・友だちとはもう一人の自分。
・友だちをつくるには、相手に時間をかけて、自分の弱さを見せること。
・浮気は4年目が最も多い。
・離婚は刑務所以上のストレス。
・恋人ができると親しい友人が2人減る。
・恋愛は強迫性障害に似ている。脳が占有され中毒状態に陥っている。
・口論は最初の3分の態度で結末を予測できる。
・他人に必要とされることで生きていける。リアルなコミュニティと関わろう。
・人生の意味とは帰属すること。物語を増やそう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本の税の仕組みの歪みから生まれる権利「黄金の羽」の拾い方を説明してくれている。
前半は、今までの税の歴史とその中での歪みと「黄金の羽」の存在を筆者の体験も交えて書かれている。
直接お金持ちになれる方法が知りたいと思って手に取った人は、憂鬱なパートになるかもしれない。
中盤では、資産運用の方法が説明されている。増やし方、無駄の省き方が細かく丁寧に説明されている。
投資・持ち家と賃貸・保険に関して具体的な方法と考え方が語られており、それらについて知りたい方におすすめ。
終盤には、「個人」と「法人」を使い分けて日本の税制を効果的に活用して、自身の資金を増やす、残す方法について書かれています。
日本の税制なのかで、効率よく税を下げる方法を具体的に教えてくれており、本書のメインである「黄金の羽」の使い方を説明してくれている。
お金の増やし方に関して、歴史から方法まで網羅的に学ぶことができて良かった。 -
Posted by ブクログ
よく何を読まされているのか見失うことがあったが、安定的な社会が続けば続くほど、一定の指標に基づいて社会が不公平な方向に進んで固まっていくということがよく分かった。
今は、それがメリトクラシーで拡大再生産されていると。そして、平等な世界をもたらす四騎士は、戦争、革命、統治の崩壊、疫病であり、気候変動による砂漠化も第五の騎士となり得る(戦後の三丁目の夕日的な平等で明るく楽しい社会は、格差社会だった戦前社会が敗戦で崩壊したから)。他にも、色々ポイントはあるだろうが、一番刺さったのはここ。結局、マグマのように溜まった澱をどこかで発散しないとダメということのようだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「はじめに」でほぼ言い尽くされている。"リベラル"を「自分らしく生きたい」という価値観と定義すれば、「リベラルな政策によって格差や生きづらさを解消できる」は「大きな勘違い」で、「そのリベラル化によって格差が拡大し、社会が複雑化して生きづらくなっているのだから」という。そして「「反知性主義」「排外主義」「右傾化」で、一般的にポピュリズムと呼ばれるが、これはリベラリズムと敵対しているのではなく、リベラル化の必然的な帰結であり、その一部なのだ。--したがって、リベラルな勢力がポピュリズム(右傾化)といくら戦っても、打ち倒すことはできない。」「誰もが自分らしく生きられる社会」の帰結がキャンセルカルチャーの到来を招き、世界を地獄にする。
ということが、具体的に、そして論理的に書かれている。なるほど、そんな感じがする。
地獄を生き抜くための結論は「エビデンスを呈示できる専門分野では積極的に発言してフォローワーを集め、それ以外の領域では炎上リスクのない投稿(ネコの写真など)にとどめるのがいいかもしれない」「キャンセルの標的にされたときの甚大な(取り返しのつかない)損失を考えれば、これがほとんどのひとにとってもっとも合理的な選択になるのではないか。」 -
Posted by ブクログ
「個人」と「法人」の2つの人格を使い分ける。マイクロ法人を活用することで、人生が変わるということを教えてくれます。
ですが、このとても勉強になる内容は本の後半に書かれており、前半部分で読み疲れた私は、大事な部分を流し読みになってしまいました。
また機会を見て再読したいと思います。
①日韓ワールドカップのチケット。おいしい情報は、万人に公開されている。それを活用できるかは自分次第。
② お金持ちになるには、自営業か中小企業の経営者にならないといけない。サラリーマン社長ではたかが知れている。
③ 国民年金のツケは、厚生年金で払わされている。 -
Posted by ブクログ
この人の文章はどこか厭世主義的で苦手だけど書いている内容は興味深かった
日本型雇用はAIの台頭によりいつかは崩れるだろうけどそれがいつ訪れるかわからないから外部に期待するのはやめて独立して生きられるだけの高度なスキルなりを身につけた方がいいなと思った
日本で正社員になることは給料以外に福利厚生の恩恵も受けられるから待遇良いけどAIの台頭考えればそれがいつまで続くか分からないから正社員として会社に頼るのは結構リスク高いなぁと思った。それよりも社会がどうなっても生きていけるような専門性の高いスキルを身につけておくことが大事だなぁ。今最も賢い生き方は専門性の高いスキルが身につく会社で正社員として給料x福利厚生の恩恵を受けながら専門性の高いスキルを身につけることだな。
生涯学習を進めると頭の悪い人は知識も能力もみにつかず不利になるって書いてたけど本来そうあるべきじゃない?と思った。(年齢、国籍、性別で報酬が決まるよりは生産性高い人が報酬受け取るべき) -
Posted by ブクログ
風俗で働く女性のセーフティネットが介護業界になってきている
デリバティブ
幸福を三つの指針で定量的に測る賢さ
過労死の本質的な原因は長時間労働ではない。むしろメンバーシップ雇用故の不適材不適所によるもの。能力不足
オンリーワンかつナンバーワン
小さな土俵で勝負
変化を好む
複雑にする
俺の未来展望的にも、社会的にも、20代のうちになにかしら会社を立ち上げて大手に買収されるのが戦略として正しい気はする
ひとは、自分と似ているひとからの助言が最も役に立つ。これは本当にそうだと思う。
幸福の意味は自分で見つけよう、みたいななんの薬にもならない言葉ではなく、主観も入れつつ根拠を持って進めていく橘さんの書き方は本当にタメになるよねえ