【感想・ネタバレ】80’s エイティーズ ある80年代の物語のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年02月23日

大学卒業後の1982-1995までを中心にした、橘玲の自伝。(彼が元編集者だと知らなかった)
当時の出版業界の勢いや破天荒さが面白い。
そして過ぎ去った時代に対するノスタルジーも心地良い。

今のスーパー売れっ子の彼がどうできたかが興味あったが、大学卒業までは適当であり、その後出版業界で多くの経験を...続きを読む積んだことで成長したようだ。
かなり仕事に打ち込んでいたようだ。
でもそれまでの仕事の経験と、彼の処女作『マネーロンダリング』やその後の著作に強い関係性があるわけではなさそうであった。つまり、その後の読書と執筆の生活によって数多くのヒット作を生み出したのである。
長い間の編集生活によるスキルはあるだろうが、これは勇気を貰える話だ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月11日

2021年5月30日記述

80s エイティーズ ある80年代の物語
橘玲氏による著作。
2020年7月発行。
この作品は2018年1月太田出版より発行されたものです。

橘玲氏の過去に関して振り返った本。
橘玲氏の主張、文章を初めて読んだのは小林よしのり氏がかつて運営していたわしズムという雑誌に投...続きを読む稿していた文章だ。
あれからいくつかの著作を読み、自由になるには経済的独立を果たす必要があること。
闇雲に保険に入ってはいけないこと。
自動車は最高の贅沢品であることなどを学んで実践してきた。
(要するに買わなかった。その分を貯金できたと言える)
それからも橘玲氏は参考にする著者の1人として見てきた。
思い返すとその過去はあまり知らなかったので本作は興味深い。
当時の雑誌という世界が見えてくるようだ。
本書は正確には1970年代末から1995年頃までを含んだ期間を描写している。

印象に残った点を示していくと

振り返ってみれば、バカな頃が一番面白かった。だけど、人はいつまでも
バカではいられない。そういうことなのだろう。

わざわざ「記憶」を強調するのは、それが無意識の中で自分に都合よく書き換えられることが分かっているからだーそれも非常に頻繁に。

元妻は再婚して子供もでき、今はシリコンバレーで暮らしている。
渡米する前は、息子と3人でたまに食事をした。
「ぼくは普通のサラリーマンになる」といっていた息子は、社員10人ほどのIT関係の会社を経営している。
僕の方も新しいパートナーと出会い、独立して「本を読む事と原稿を書く事、そして時々サッカーを観る」というシンプルな生活をしている。
なんの変化もない毎日だが、その代わり1年の内数ヶ月を旅にあてている。

僕が社会人になってはじめて出会った3人に共通するのは、メインストリームでは生きられないことと、成功への執着ではないだろうか。
それを、夢という言葉に置き換えてもいい。
夢を持つことは確かに素晴らしいが、それは人生を蝕んでもいく。
世間知らずの当時の僕は全く気づかなかったけれど、そこには確かにこの社会の「ほんとう」があったのだ。

世の中の主流からはじき出された人達は、大企業で出世するとか、医者や弁護士になるとかの世間一般の「成功」からは見捨てられているが、だからといって金持ちになることを諦めたわけではない。
というか、逆にそれだからこそカネに執着したりする。
今から思うと、佐藤さんは日本の社会にそういう人達がたくさんいることに気づいていて、彼らのための「情報誌」を作ろうとしていたのだろう。
大学を出たばかりの僕には全く理解出来なかったが、それは確かにある種の慧眼ではあった。

カルト教団の引き起こした異常な事件
「Windows95」が予告する光り輝く
未来との間には、気の遠くなるような距離があった。

オウム真理教とは何か、というのはもちろん諸説あるだろうが、僕の理解ではそれは「仏教原理主義カルト」だ。
教祖の麻原彰晃は、一部の若者たちを虜にする強烈な魅力を持っていた。
信者の多くは「精神世界系」の若者達だった。

もちろんこれは現在から振り返っていえることで、渦中にいる時は一体何が起きているのか全く分からなかった。1989年6月には中国で民主化を求める天安門事件が起き、その後、中国共産党は鄧小平のもとで大胆な経済自由化に踏み出すのだが、当時の論調は中国から難民が「盲流」となって日本に押し寄せてくると煽るものばかりで、中国の驚異的な経済成長が始まることを予想した人は殆どいなかった。今も日本や世界の「未来」について自信たっぷりに語る人がたくさんいるが、その御託宣を信用する気になれないのはそんな経験があるからだろう。
本当にとんでもない事が起こっている時は客観的な判断などできないのだ。

人生は、日々の積み重ねの延長線上にある。
だから、簡単には変わらない。

欧米では「差別とは合理的に説明できないこと」という定義が新しい基準になっている。

「努力によって知能は向上する」という教育幻想が蔓延した社会では勉強ができないのは(親と子の)自己責任にならざるを得ない。
なぜなら、努力すれば勉強はできるはずなのだから。
このように遺伝の影響を否定することは、いっけん親切なように見えても実はものすごく残酷なのだ。

「バブルの時代」を回顧する時は、六本木や銀座のクラブ、地上げや株の話になることが多いが、今の時代との一番の違いは「頑張って働けば結果が出る」という体験ではないだろうか。
市場が縮小していく中では、どれほど働いても成功はまれで、やがて仕事は長時間の苦役になってしまう。

(就職で)よく知らない人の方が気楽に紹介できるのは、それが「負けないギャンブル」だからだ。

「他人とは違う」というのは傲慢さの裏返しであり、世間から半分落ちこぼれた自分を正当化する言い訳でもある。

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Posted by ブクログ 2018年04月01日

とてもおもしろく興味深く読み終えてしまった。橘さんの本は今までいろんな文献の読破や調査からくる「事実」の圧倒的な重みが素晴らしい、と思っていたのだが、この「80's」を読み、それを支えているのはこの筆力なのだと(なぜか)初めて気がついた。この人なら恐らく、何を書いて面白いだろう。他にも読ん...続きを読むで思ったこと、あの時代の自分なりの追体験もあるが、長くなるので止めておこうw

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Posted by ブクログ 2018年03月09日

何となくあまり期待せずに読みだしたのですが
面白く読めました。
自分の年代にはピッタリの内容で
大阪で学生と所謂プー太郎していた時の
バブルの感じと、東京へのあこがれみたいなものが
よみがえる内容でした。
著者の本はもう少し違う本を読んでみようと
思いました。

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Posted by ブクログ 2023年05月18日

著者の自伝的小説。80年台の熱みたいなものが感じられる。著者の非凡さと、身を置いていた出版という世界の華やぎが面白い。ジャイアント馬場に関する小論は面白すぎた。内田樹氏とニアミスしてるのも面白い。現在全く異なる立ち位置にいるので。

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Posted by ブクログ 2022年12月06日

近年、主に資産運用の領域において、ヒット作を連発している著者の原点ともいえる作品。

ロシア文学を専攻し、80年代に早稲田大学を卒業しながらも、ロシア文学を学んだ影響か、まともな就職ができず、小さな出版社へ。そこで学んだ出版ノウハウ、出版以外の事業ノウハウなど、いろいろな内容が今の彼を織りなす要素と...続きを読むなっており、その変遷が見られたことはとても良かった。

論旨的に極端な意見の持ち主であり、とっつきにくい人間といったイメージを持っていたが、著者に対する見方が変わった一作。

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Posted by ブクログ 2021年02月17日

橘玲さんは、『残酷すぎる成功法則』の翻訳者として知り、以後著作を読んでいる。小説・翻訳・叢書と読むうちにファンになった。どうやって語学習得・知識を習得していったのかに一番興味があった。おそらく「仕事をこなす中で必要なことの積み上げた結果」だと思った。『専業主婦と2億円』を読んで仕事を再開したりと、こ...続きを読むこ数年、著者から刺激をもらっている。自分の仕事や人間関係と絡めつつ、必要なものを調べ、自分の中に取り込んでいこう。昨日よりマシな自分になれるように。

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Posted by ブクログ 2020年01月29日

最近読むようになった橘玲。作者の20〜30代の追憶。大学、出版社、雑誌編集の歩みと、関係する人間模様を読んでいると、楽しそうだなあ。青く見える隣の芝生。

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Posted by ブクログ 2019年01月25日

青春の書。
著者は今や、どう賢く生きるか? という本をいくつも記しているが、そんな事を考える間もなかった、若き日々を送っていたことがわかる。
その焦点は短く、考えは浅い。そんな日々こそが、振り返れば愛おしい。
時代と結びついた、自分の青春を思い返せる本だった。

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Posted by ブクログ 2018年03月03日

【灰色】
橘さんの著書はいくつも読んでいますが、自叙伝的なものは初めてです。
おもしろいです。

著者に関わりのあった人が、みなグレーゾーンで勝負しているところがすばらしいです。
まさに生きるか死ぬかの世界です。

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Posted by ブクログ 2020年10月10日

『言ってはいけない』がおもしろかったので、著者をもう少し知りたくて手に取る。もともとは『宝島』の編集者だったということも知らなかった。
80年代、知ってることも知らないこともいっぱい書かれていて、その時代に編集者だったら面白かっただろうなと。

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Posted by ブクログ 2018年10月13日

1959年生まれの著者、ぼくの「記憶の中の物語」。大学〜社会人修業時代、露文で求職活動放棄、小さな出版社に就職、独立・解散、フリーランス編集者。長い80年代がぼくの青春だった。

橘玲の作られ方。出版に勢いがあったバブルの頃の体験記。夢をもつことが人生を蝕むっていうのがさすが。

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Posted by ブクログ 2018年04月18日

現役ベストセラー作家の青春自伝。

なんとなく大学生活を過ごし、なんとなく入ってしまった出版業界で編集者として月収10万円でスタートした著者の1980年代。今で言う、ワーキングプアだが、当時の著者は社会の底辺にこそ真実があると信じていた。

今の作家、橘玲からすれば、物事をわかっていないかわいそうな...続きを読むヒト、ってことでバッサリ一蹴されるべき若者だろう。逆に言えば、そんな体験があるから、今のリベラルで徹底的なリアリスト作家に成長したのかもしれないが。

作家デビュー前の著者のベストワークは事件前のオウム真理教に編集者として密着取材していたことだ。しかし、95年のオウム・サリン事件によって、バッシングを含めた様々な反応が著者の周囲に巻き起こる。おそらく、この一件で著者は自らの業界内の立ち位置を見つめ直したのだろう。その数年後、著者は編集者ではなく、小説家、作家としてデビューする。

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Posted by ブクログ 2018年04月12日

橘さんの本は、黄金の羽…を読んでからずっと注目していて、継続して読んできた。
多分、刊行されたものはほぼすべて読んだと思う。

金融リテラシーが高く、統計的な情報の整理も分かり易く、読みやすく示してくれる。

いったいどんな人なんだろうか。
ずっと気にはなっていた。

出身としては雑誌編集だっ...続きを読むたんだ。
そして早稲田の一文卒だったんだ。

正直驚いた。
高校生の数年間の素養が、それ以降の活躍にどれほど影響するか、なんて関係ないとは分かっているが。
雑誌編集を馬鹿にするわけではないが。

その時々にしっかりテーマを掘り下げることで、幅広い素養・知識を得ることができるということをまざまざ感じた。
そして、持って生まれたものというか、出会いというか、環境というか、なんだか、最初に配られたカードとめぐり合わせって人生を大きく動かすんだな、と改めて感じた。

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Posted by ブクログ 2018年02月24日

私と8歳違いで年上の著者の80年代を中心とした回想記。時代の空気感が的確に表出していてノスタルジーに浸れた。本や音楽・映画の出会いやのめり込みに少し共感できる部分はあったが、内容は今一つという感じ。よくもまあこんな風変わりな人達と出会えるものだという感じしかしなかった。類は友を呼ぶ、のかな。

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