宇江佐真理のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・紫紺のつばめ
・ひで
・菜の花の戦(そよ)ぐ岸辺
・鳥瞰図
・摩利支天横丁の月
作者によると、このシリーズの狙いは「変化」にあるのだそうだ。
なるほどこの巻だけでも、伊三次はお文と別れ、幼馴染みに先立たれ、同心の小者であることをやめる。
誰かが悪いというわけではない。
それぞれが、それぞれの立場で考え、行動した結果、気持ちがすれ違ってしまうのだ。
読者からするとどちらの気持ちも分かるので、余計にもどかしい。
けれど、シリーズ名が「捕物余話」と言っているのだから、まあ、そのうち戻るのだろう。
人の気持ちは簡単に変われないのならば、ゆっくりじっくり捻じれが解けるのを待つことにし -
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ネタバレ目次より
・幻の声
・暁の雲
・赤い闇
・備後表
・星の降る夜
デビュー作だし、髪結いだし、短編だし、これは読み終わった後ほっこりとよい気持ちになれる人情ものなんだろうと思って読み始めたのだけど、違った。
表題作の「幻の声」は、ろくでもない男にたぶらかされた女が、男の罪を全て被って刑に服す(死罪)のは、なぜかという話なのだが、最後まで読んでも男は改心しないし、女も罪をかぶったままだ。
何故かというと、それは幻の声のためなのだけど。
二作目は、伊佐治の恋人のお文が事件の謎を解くのだが、これもまた切ない幕切れで。
伊佐治もお文も家族との縁が薄い。
だから余計に安っぽい人情ではなく、 -
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時代は幕末から明治。
江戸の錺職人の父平兵衛は、外人の国への土産の簪
などを依頼されて作っていた。名人。
意匠を依頼主の外国人と通詞を介して話すのに、
江戸っ子の父親は回りくどいと感じて、
自分でオランダ語会話を独学で習得。
そんな錺職人を幕府の役人が放っておくわけがない。
通詞の最下級の「稽古通詞助」の少し上「小通詞並」
として出島に派遣される。
もともと外国語習得が得意な父平兵衛はみるみるうちに、
英語、フランス語にも意欲を見せる。
平兵衛の娘「柳」もフランス語を学びたいと父に教わる。
平兵衛と江戸時代から懇意にしていたのが榎本釜次郎。
子供の頃から密かに釜次郎に思いを寄せる柳は
フ -
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日に日に夫の正一郎が苦手になる。
融通が利かなく短気である夫は物言いも冷たい。
隠密周りの同心で、颯爽と歩く姿に一目惚れして、
嫁いだはずなのに。
いまだに、独身時代に惚れた相手が忘れられないのだろうか。
それに比べて、食いしん坊の舅、忠右衛門はいつも優しく
「おのぶ、おのぶ」と可愛がってくれる。
愉快な話をしては笑わせてくれる。
姑は、気っ風がいい女性で、
裏も表もない気持ちのいいさっぱりとした性格。
忠右衛門はそんなおひでに頭が上がらない。
食べ物に好き嫌いが多く食べれる物が少ないおのぶは、
いつも夫に叱られる。全てがそうだ。
だが、口答えせずに嵐が過ぎるのを我慢してるうちに、辛くなり