宇江佐真理のレビュー一覧
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やっぱり宇江佐真理は巧い❗
読みやすい文章と、リーダビリティはさすが。
大店の箱入り娘だったうめは武家に嫁ぐが心底馴染めず、夫が亡くなり子供達も独り立ちしてから、念願の町屋で一人暮らしを始める。
捕物帖どころか、なぁんの事件も起きない。ホント、日常と親戚のゴタゴタがあるだけ。なのに、おもしろい。するする次を読んでしまう。次々に登場人物が増えるけれど、書き分けもすばらしく上手くて、きちんと全員人となりが分かるし、それぞれに愛着がわく。
最後、未完とは言え、「うめ再起する」で終わっているところもよかった。
もっと宇江佐作品を読みたかったけれど。 -
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初の作家さん。時代恋愛小説。時代小説は、前回の猫の手屋シリーズから2冊目。恋愛小説は、記憶の限り初か…な? イニシエーションラブも、基本的にラブストーリーだけど、個人的にはどっちかっていうと「どんでん返しを確認するために読んだミステリー」という認識で読みました。純粋に読んだ恋愛小説としては初かなあ、多分。
中学生時代、ティーンズハートから出てたものも結構読み漁ったけど(勿論恋愛)、大人になってからは、逆に恋愛は手を付けていなかったのです。
だからそういった意味で、恋愛小説、しかも読み慣れない時代物、というのは新鮮でした。
連作短編集なのだけど、初述のとおり初の作家さんなので、最初の一話目・下 -
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ネタバレ同心、不破の息子龍之介が元服し、見習いとして出仕しました。同輩の見習い達と“八丁堀純情派”を結成し、一人前になるべく頑張っています。“本所無頼派”と言われるお騒がせ連中を追ううちに初恋のあぐりと再会し、心乱されます。結ばれることは叶わない相手ですが、あぐりの父の事件のことで負い目もあり、あぐりの幸せを願うのですが…。
いやぁ、彼は何年後かにはいい男になるでしょうね。楽しみです。
『妖刀』では伊三次の強運さを、『おんころころ』では親の愛を思いました。昔は病気で子を喪うことも多かっただろうし、お文の悟ったような「寿命だと思って諦める」という言葉は運命に委ねるしかないという気持ちだったと思いま -
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ネタバレお江戸の人情と美味しい食べ物は最強の組合せだ。
北町奉行所の同心の家に嫁いだのぶ。
食い道楽で気さくな性格の舅と口調は厳しいけれど根は優しい姑に大事にされていた。
けれど肝心の夫とは心がすれ違い冷やかな関係にあり、夫の心無い言葉に思い悩んでいた。
物語の展開と共に絡められる素朴な料理にそそられる。
黄身返し卵、淡雪豆腐、水雑炊、心太、ちょろぎ、そして卵のふわふわ。
作り方の説明を読むとそんなに難しくはなさそうだけれど、ちょっとした火や味の加減で大きく変わりそうなものばかり。
心を込めて作られた料理を一緒に美味しく食べる。そうすれば仲違いしていた気持ちも一つになれるのかも。
卵のふわふわ、私 -
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ネタバレ2017/12/3
「後悔はしませんのさ」かっこいいなぁ。
後悔してても後悔はしませんのさと言い聞かせているだけでもかっこいい。
私もそうしよう。
不破様ホントにどストレートに謝って驚きです。
その後の伊佐治の思いと不破様と涙のやり取りにも感動。
って言うか萌える。
やばい。
妖術使いとの戦いでお疲れのご様子やったけど、不破様大丈夫かな?
伊佐治とお文の祝言で今後の展開も楽しみすぎる。
祝言といえば初代女中のおみつが嫁に行って寂しく思ってたけど次に来たおこなも違うタイプでなかなかおもしろいし流石としか言いようがない。
伊勢忠はどうなったんだろう。
早く次読まねば。 -
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ネタバレ面白いだけではないどこか哀愁を感じるシリーズです。
『蓮華往生』では文吉と伊三次とは違い、夫婦になることは許されなかった緑川と喜久壽、その二人の仲を思い悩み寺へ通い詰める緑川の妻、その寺での不思議な出来事に事件性が…という話。
真相を突き止めるために自ら危険な囮となる緑川ですが、喜久壽の心配をよそに緑川が選んだのは妻で、それを目の当たりにした喜久壽はショックだったでしょうね。
『畏れ入谷の』もまた切ない話でした。自分の妻が家計の為に大奥にあがり、将軍に見初められてしまったために別れなければならず、共に想い合っているだけにやり場のない思いがします。
『月に霞はどでごんす』ではお文と伊三次に待望の -
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シリーズ11作め。
作者はデビュー20周年だったそうです。
廻り髪結いの伊三次は、町方同心の不破親子の手伝いもつとめているため、捕物にも関わっています。
だんだん、若い世代の話が増えていましたが。
今回は伊三次の出番が続き、女房で芸者のお文姐さんのいいシーンもあって、古くからのファンも満足する短編連作となっています。
「あやめ供養」
伊三次が髪結いに行ったことのある町医者の家族に事件が起こり、容疑者として直次郎の名が。
久々の再会に驚く伊三次。
直次郎はすっかり良い父親になっているようなのだが?
「赤い花」
魚問屋の末娘は、大柄な男勝りで店にも出て働いている。
そんな娘に、縁談が‥?