宇江佐真理のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・今日を刻む時計
・秋雨の余韻
・過去という名のみぞれ雪
・春に候
・てけてけ
・我らが胸の鼓動
火事で家を焼け出された伊三次一家、というのが前作の終わり。
今作は10年を一気にすっ飛ばしたところから話がはじまる。
えぇ~!?
あの可愛かった伊与太は、絵師の修行のため家を出てるし。
たまに帰ってきても反抗期だし。
火事の後生まれた娘は既に9歳でしっかり者で、やっぱりあの頃の伊与太の可愛さには及ばない。
龍之進もまた、母の出自が自身の縁談の障りになっているとふてくされて、仕事をさぼって料理茶屋に入り浸っている。
あの真っ直ぐな気性だった龍之進が、なんてことだ。
どうしてこうなったの -
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ネタバレ目次
・粉雪
・委細かまわず
・明烏(あけがらす)
・黒い振袖
・雨後の月
・我、言挙(われ、ことあ)げす
以前、伊三次にガセを掴ませ、龍之進に大いに恥をかかせた船頭は、実は尾張屋押し込みの際に一味を手伝った者だった。
真犯人「薩摩へこ組」もまた、「本所無頼派」と同じ、武家の次男三男たちだった。
幕末というにはまだ間のある文化文政期、既に武家の鬱屈は積もり始めていたのかもしれない。(粉雪)
そう言った意味ではお家騒動というのもまた、飼い殺されるかどうかの生存競争なのだろう。
自分の運命は自分だけのものではない。
大勢の人たちの生活が、命がかかっているのだ。
与えられた運命を自分の足で歩きだ -
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ネタバレ目次
・薄氷(うすらひ)
・惜春鳥
・おれの話を聞け
・のうぜんかずらの花咲けば
・本日の生き方
・雨を見たか
今作は伊三次より、不破友之進の息子・龍之進とその同心見習い仲間の活躍が中心。
数えで15歳の龍之進は、心身ともにまだ成長途中。
多少の禄も与えられるようになったこともあり、仕事に対する真摯な姿勢はいよいよ増し、大人の事情でどうとでもなる犯罪の取り扱いに憤り、伊三次のちょっとしたミスにもこだわり、弱者を救えぬ自分の限界に唇をかむ。
要するに青いのですな。
そして余裕がない。
大人の事情の裏をかくようなしたたかさを、他人のミスを赦し、手下に対して厳しくもあり鷹揚でもあれるよう、これ -
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目次
・妖刀
・小春日和
・八丁堀純情派
・おんころころ……
・その道 行き止まり
・君を乗せる舟
ちょっとオカルトっぽい話もありましたが、伊三次のビビりっぷりが愉快でした。
そして、特別子ども好きなわけではなかったという伊三次が、子煩悩ないい父親になっている様子を見て、江戸時代、「イクメン」という言葉はなくても「子煩悩」という言葉があったなと思う。
仕事から帰ると当たり前のように子どもを受け取り、夜は親子川の字で寝る喜び。
家族の縁が薄かったからこそ、今が幸せなのかもしれない。
この巻では不破友之進の嫡男・龍之介改め龍之進の話がどれもよかった。
自分の証言により父親を殺人犯としてなくすこ -
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ネタバレ目次
・蓮華往生
・畏れ入谷の
・夢おぼろ
・月に霞はどでごんす
・黒く塗れ
・慈雨
今回捕物が少ないなと思ったら、作者があとがきで「捕物」ではなく「余話」を書いているのだといっている。
というわけで、伊三次が出会うあれこれの出来事が書かれているのだけど、やはり後味苦い作品が多い。
特に『畏れ入谷の』は、なんだかんだ言って上手くいくんだろうなあと思いながら読んでいたので、如何ともしがたい結末に、それでも目を逸らしてはならないという伊三次に、胸を突かれた。
多分始めは善意からの行為だったはずが、いつの間にか姥捨て山で金儲けの話になってしまった『蓮華往生』。江戸時代、武家の一人娘の生きる道は、 -
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ネタバレ目次
・鬼の通る道
・爪紅
・さんだらぼっち
・ほがらほがらと照る陽射し
・時雨てよ
家を焼け出されたお文は芸者をやめて、伊三次の女房になる。
が、今まで女中を雇って家のことをやってもらっていたお文には、家事は難しいばかり。
見かねた長屋のおかみさんたちがあれやこれやと面倒を見てくれていたうちはよかったが、子どもをめぐるいくつかの事件が重なって、お文は近所とトラブルを起こし家を飛び出してしまう。
やれやれ、なかなか落ち着かない二人である。
それにしても、ずっとお文の家で身の回りの世話をしていたおみつは、あんなにお文を慕っていたのに、いくら流産して気が高ぶっていたとはいえ、あんなひどい事をい -
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ネタバレ目次
・因果堀
・ただ遠い空
・竹とんぼ、ひらりと飛べ
・護持院ヶ原
・さらば深川
伊三次とお文はよりを戻し、それ以上にこじれていた伊三次と不破の関係も修復した。
おみつが嫁ぎ、お文の家に新しい女中・おこなが来るのだが、この娘がまたキャラクターが強くて面白い。
もしお文が芸者をやめたなら、彼女の出番はなくなってしまうのだろうか。
だとしたら、ちょいと惜しいな。
前妻や生みの親など、家族の話が多かった気がするが、「護持院ヶ原」である。
幻術使いのでてくる、ちょっと今までとは毛色の違う話なのだが、これがホラーのようなでも切ないような絶妙な読後感。
そして、伊三次が髪結いであること、不破が剣の使 -
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ネタバレ目次
・紫紺のつばめ
・ひで
・菜の花の戦(そよ)ぐ岸辺
・鳥瞰図
・摩利支天横丁の月
作者によると、このシリーズの狙いは「変化」にあるのだそうだ。
なるほどこの巻だけでも、伊三次はお文と別れ、幼馴染みに先立たれ、同心の小者であることをやめる。
誰かが悪いというわけではない。
それぞれが、それぞれの立場で考え、行動した結果、気持ちがすれ違ってしまうのだ。
読者からするとどちらの気持ちも分かるので、余計にもどかしい。
けれど、シリーズ名が「捕物余話」と言っているのだから、まあ、そのうち戻るのだろう。
人の気持ちは簡単に変われないのならば、ゆっくりじっくり捻じれが解けるのを待つことにし -
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ネタバレ目次より
・幻の声
・暁の雲
・赤い闇
・備後表
・星の降る夜
デビュー作だし、髪結いだし、短編だし、これは読み終わった後ほっこりとよい気持ちになれる人情ものなんだろうと思って読み始めたのだけど、違った。
表題作の「幻の声」は、ろくでもない男にたぶらかされた女が、男の罪を全て被って刑に服す(死罪)のは、なぜかという話なのだが、最後まで読んでも男は改心しないし、女も罪をかぶったままだ。
何故かというと、それは幻の声のためなのだけど。
二作目は、伊佐治の恋人のお文が事件の謎を解くのだが、これもまた切ない幕切れで。
伊佐治もお文も家族との縁が薄い。
だから余計に安っぽい人情ではなく、