あらすじ
材木商伊勢屋の主人・忠兵衛からの「世話をしたい」という度重なる申し出に、心揺れる深川芸者のお文。一方、恋人の伊三次は、本業の髪結いの傍ら同心の小者として、頻発する幼女殺しに忙殺される日々。2人の心の隙間は広がってゆく(表題作)。そんな時、小間物問屋の大旦那・惣兵衛殺しの嫌疑が伊三次にかかり……(「菜の花の戦ぐ岸辺」)。他、お文の女中・おみつが行方不明になる「摩利支天横丁の月」など波瀾にとむ全5篇。人の痛みを描く人気捕物帖シリーズ第2弾!
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内容(ブックデータベースより)
伊勢屋の旦那からの申し出に心揺れるお文。廻り髪結いの伊三次との心の隙間は広がってゆく。そんな時、伊三次に殺しの嫌疑が……
令和6年8月28日~30日
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時代劇や時代小説を好んで嗜むことがなかった私に、新しい扉を開かせてくれたのが前作。続き物で嬉しい。何でこんなに読むのが楽しいんだろう。登場人物の様子が目に浮かんでくるし、結末をわくわくして待っている自分がいる。単なる勧善懲悪の話ではないところが好きな理由のひとつではある。
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Lampの岩さんにお勧めされて以来、宇江佐真理さんの作品にはずるずるズルズルと引きずり込まれっぱなしです。うちにはまだ平積みにされた、読まれるのを待っている本が山になっているというのに!
…なのに、徒然舎の書棚で見つけて手に取ってしまいました。もちろん買っちゃいました。その時読んでいたのがカミュの「ペスト」で、翻訳物が苦手な癖して時節柄読んでみようと思ったのだけど、時間がかかるかかる、早く紫紺のつばめを開きたい!と思っていたので、ペストを読み終わったら即!読み始めました。
紫紺のつばめはシリーズ2作目の文庫本なのだそうで、もう一冊一緒に手に入れた作品を読むべきか、シリーズ第一作を探し求めて読むべきか、ちょっと悩ましいけれど、きっと執筆された順に読みたくなるんだろうな、と思うので、一旦、宇江佐真理作品から離れて(相当の我慢をして!)シリーズ作品を全部揃えてから読むことにしようと思います。
宇江佐真理の描く江戸の風景を想像していると、江戸時代に暮らしてみたかったなぁ、と思わずにはいられません。今とは尺度が全く違うのはもちろんでしょうが、それでも、この物語の中に生きることができたなら、それはそれで幸せなんじゃないかな、と思うのでした。
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2017/11/23
そりゃダメだよ、不破様。謝って。
いや時代的にも謝らんでもいいけどめっちゃ申し訳なさそうに反省してて。
カブキブでも思ったけど信頼ゆえの仲違いって萌える…
期せずして続いた。
お金ないのって侘しいよね~荒むよね~わかりすぎる。
でも伊佐治のように矜恃を持って私もがんばろう。
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シリーズ二冊目にして濃密な巻でした。
表題作『紫紺のつぱめ』では早くもお文との別れ?と思ったし、『ひで』は惚れた女のために板前から大工になり体調を崩して…という哀れと思える話でした。『菜の花の戦ぐ岸辺』では伊三次がご隠居殺しの下手人としてひっぱられるという衝撃的な展開でハラハラしました。その事件で自分を信じてくれなかった同心不破のだんなと決別し、彼の手先もやめた伊三次でしたが、不破の妻女いなみの仇討事件に巻き込まれてしまう『鳥瞰図』。そしてお文の女中おみつのかどわかし事件『摩利支天横丁の月』。
次から次へと事が起こり、読者を引っ張っていく力はすごいです。伊三次は結局不破の元に戻ることになるのだろうなぁと思いますが、伊三次の意地も分かるし、不破には不破の言い分があるだろうし、どういう風に落ち着くのでしょう。もしかして『摩利支天~』の件でなんとなく戻っていることになっている、ということはあるのでしょうか(苦笑)。
それにしても宇江佐さんは人間の喜怒哀楽、特に“哀”の部分を上手に表現する作家さんだと思いました。
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シリーズ2作目。登場人物たち(とくに伊三次以外)の魅力度がアップし、すんごく面白くなってきました。伊三次とお文の気持ちのすれ違いなんかも、とても切なく描きこまれて、なんとも良い感じです。続編あと何冊かあるので、しばらく楽しめそうです。いや〜、我ながら、良いシリーズを見つけたなぁ。良かった良かった。
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髪結い伊三次捕物余話シリーズ2作目。
おもしろいなぁ。
このシリーズはキャラクターがそれぞれ主役をはれるほどにたっていて読んでいてあきさせないです。
捕物話だけど、せつない恋や、初恋や、浮気や、信頼してた人からの裏切りや、そこから許せるまでの葛藤とさまざまな生きることへの喜びや苦悩がキャラクターに散りばめられています。
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第二弾も面白いです。
材木商伊勢屋の主人・忠兵衛からの「世話をしたい」という度重なる申し出に、心揺れる深川芸者のお文。一方、恋人の伊三次は、本業の髪結いの傍ら同心の小者として、頻発する幼女殺しに忙殺される日々。2人の心の隙間は広がってゆく(表題作)。そんな時、小間物問屋の大旦那・惣兵衛殺しの嫌疑が伊三次にかかり……(「菜の花の戦ぐ岸辺」)。他、お文の女中・おみつが行方不明になる「摩利支天横丁の月」など波瀾にとむ全5篇。人の痛みを描く人気捕物帖シリーズ第2弾!
忙しい
心を寄せるお文との仲違い、人殺しに間違えられそうになる、幼なじみの急死、同心の妻の敵討ちを止め、下っ引の恋の取り持ちをし、なんて忙しい伊三次….….読んでいる方も、忙しい。
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やっと間を埋めれた。でも、重い話が多かった!「紫紺のつばめ」は芸者の感覚、意地が二人をこんなことにしたのね!「ひで」も父親の大工の意地が- ね。「菜の花の戦ぐ岸辺」伊三次が殺しを疑われ不破のもとを去る。タイトルは殺された隠居の恋から。「鳥瞰図」不破の妻の仇討ちを阻止 「摩利支天横丁の月」おみつがさらわれ、弥八が必死になり、一緒になれことに!
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目次
・紫紺のつばめ
・ひで
・菜の花の戦(そよ)ぐ岸辺
・鳥瞰図
・摩利支天横丁の月
作者によると、このシリーズの狙いは「変化」にあるのだそうだ。
なるほどこの巻だけでも、伊三次はお文と別れ、幼馴染みに先立たれ、同心の小者であることをやめる。
誰かが悪いというわけではない。
それぞれが、それぞれの立場で考え、行動した結果、気持ちがすれ違ってしまうのだ。
読者からするとどちらの気持ちも分かるので、余計にもどかしい。
けれど、シリーズ名が「捕物余話」と言っているのだから、まあ、そのうち戻るのだろう。
人の気持ちは簡単に変われないのならば、ゆっくりじっくり捻じれが解けるのを待つことにしよう。
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伊三次が、行き違いで文吉と仲違いをする。
そんな折、幼い女の子のいたずら目的のかどわかしが続いた。伊勢忠の娘の手を引き桜見物をして居た文吉の所の女中おみちの気がそれたところ、かどわかされた。
事件は直ぐに解決し犯人も捕らえられた。
長く修行した板前の仕事を、大工にならなきゃ娘はやれぬ、と言う一言で幼馴染が慣れない大工の修行も半ば、死んでしまう。
糸惣の隠居した旦那惣兵衛が殺された。
息をひきとる時に伊三次の名前を言ったと言う女中の証言で、殺人犯として捕らえられる。
最後まで信じ庇ってくれなかったことに腹を立てて、不破の小者をやめた。
ヤクザにならずに済んだ恩義がある不破の女房の、仇討ち未遂をとめることに。
だが、文吉の女中おみちのかどわかし事件にあい、捜査に加わる。。。。
次々と事件が起こるが、ホロリとくる人情の機微がなんとも素敵な読みごこち。
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2年以上前に読んだシリーズの続き。
他の芸者と衣装を比べられてかっとなり、
思わず援助の申し込みを受けてしまう文吉姐さん。
まだまだ若いね。
人殺しの疑いがかかった伊三次のために文吉が必死になり、
最後にはよりを戻すあたりはありがちかもしれないが、
伊三次が小物をやめる話になるとは思わなかった。
しっとりとした大人の江戸物なのは相変わらずで良かった。
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一本気で正直な回り髪結いの男、伊三次。でも、またまた哀しい出来事が。
生きて行くことは辛い出来事との遭遇の繰り返しだよね、それでも人は生きて行く、それを上辺でなく、書ける著者の作品が哀しいながらも好きです。
不破のダンナの不器用さも、人の弱さのひとつですが、弱いから悪いわけではない、そう言いきってくれるような気がするのは著者が人を信じているんだろうな~という気がします。
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シリーズ2冊め。
伊三次とお文とのすれ違いや、同心不破との仲違い。やきもきする話が盛り沢山。
前半は前巻で格好いいと思った伊三次がとても女々しく感じられ、うーんと思ったけれど、人間臭いって思うと、それも魅力に感じたりして。
キャラクター達がどんどん成長していくのも面白いし、ホロリとしたりもした。
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伊三次とお文の恋愛模様と伊三次と不破の信頼関係が中核をなす。
捕物としての要素は『幻の声』より薄らいでいるが、捕物自体が江戸時代という背景からそうそうあるものではないし、岡引以下の手下なので、そう前面にでるはずもないので、丁度いい感じ。お文との別れ、手下の辞退など色々な要素があって面白い。
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第二弾
1巻は読んでないが、連続した話の展開、1巻を読む必要を感じる。
5編の短編だが登場人物にとってはすべて連続した流れ。
深川芸者のお文と同心の手先の髪結い伊三次の話
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シリーズ2冊目。
江戸時代に生きていたの?と思うような自然な書きっぷり。
芸者と間夫という仲の文吉と伊三次。
廻り髪結いの伊三次は、同心の不破の髪を毎朝結いに行き、時おり手伝いもしていました。
伊三次は貯めておいたお金を盗まれて店を持つ夢が遠のき、所帯を持ちたいと思いながらも、文吉こと、お文にはっきりしたことを言えずにいます。
深川芸者で自前で出ている文吉には、ふたたび旦那の話が。
張り合う芸者より着物がみすぼらしいと比較された文吉は、思わず…
二人の間には危機が。
一方、伊三次はたまたま昔のご贔屓の所に立ち寄った後で、老人が殺され、思わぬ強盗の疑いを掛けられてしまいます。
不破はかばいきれずに、その詮議を他の人に任せました。
怒った伊三次は、不破から離れますが…?!
不破の妻のいなみに丸髷を結うことを頼まれ、様子がおかしいと気づく。いなみには仇と思う相手があり、その人物が上京していると知り、不破の配下は一丸となって事態の収拾に。
娘が何人も行方知れずになり、神隠しかという騒ぎに。
文吉の女中・おみつも…?!
変化も起きつつ、いきいきと描かれます。
ほのぼのとした結末に。
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作家さんとの文章の相性というものがあるとすれば、きっと私はこの作者さんと合うのだと思う。読みやすいのもあると思うが、読んでいてとても気持ちがよい。他の作品も読みたくなった。
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等身大の伊三次がいる。
我慢がならず上役に楯突いたり、でも情で動いたり男気があって。
新作で買った本が山積みなのに、この伊三次シリーズの再読を優先してしまっている。
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わくわくするようなお話ではないけれど、シリーズをずっと読んで行きたいです。
伊三次は男前とのことで確かに心惹かれる主人公ではあるけれど、なんだかちょっと草食系?なイメージ。文吉姐さんのが男らしい気がする。
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シリーズ第二弾。作者の宇江佐さんがあとがきで、髪結い伊三次のシリーズはずっと書き続けていきたい、と。私はきっと読み続けると思う。今回は主人公の「いいお人」文吉姐さんのかっこよさが引き立って、ますます文吉姐さんに惚れた。
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え!別れちゃうの?仲違いしちゃうの?とか驚きの連続だった。主人公がそんなに短気だったっけ?とは思った。不破さんの短気は面白い。次も絶対に読む。
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面白いは面白いけど、何か胸に刺さるというものが無かったなあ。淡々と進んでく感じがした。伊佐次とお文の恋模様も少ないし、何かなあ。伊佐次が床構えられるまでは、何か代わり映えしないのかなあ。
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昨年夏に、16冊(うち1冊はシリーズとは別の10年を描いた文庫書下ろしの長編とのこと)あるシリーズものと知りながら、手を出してしまった。シリーズものなので、一気に揃えて一気に読むのも1つなのだが、読みたい本が山積みで、シリーズ2冊目、ようやく読んでみた。前作から半年くらいたってしまったな、、、先は長そうだ(苦笑)
今回は、始まって早々に、伊三次とお文が別れてしまうのか、とひやひやしたり、伊三次の子供の頃からの知り合いが亡くなったり、おみつが事件に巻き込まれたり。てんこ盛りと言うのか、せわしないと言うのか。
でも、結婚ってなんなのだろう、お金ってどれくらいあれば人は安心できるのだろう、仕事とか生きがいってなんなのだろう、とか色々と思いながら、あっと言う間に読み終わった。
今回手に取った、シリーズ2冊目の文庫本には、ご本人の”文庫のためのあとがき”が収録されている。そこには、このシリーズへのご本人の思いが記されている。『髪結い伊三次のシリーズは編集者がもう要らぬと言わない限り、書かせていただくつもりである。私は伊三次とともに現れた小説家なので、伊三次とともに自分の幕引きもしたいと考えている』この文庫あとがきが書かれた時点では、単行本が3冊出ていたようだ。それから、シリーズは16冊となる。長く愛される作品になったのだなあと思うとともに、残念ながら作者は亡くなっているので、この時の覚悟の通りに、書き続けたのだなあと感慨深く思う。
シリーズものだから一気に読んだ方がいいかなあ、と少し思ったりもしていたのだが、作者のあとがきを読んで、やっぱり少しずつゆっくり楽しむのもいいかな、と思ったりしている。
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富岡八幡のことを深川八幡と言っているのが解せない。神社で深川の名前を付けても良いのは、深川神明宮だけのはずです。そして男名を付ける芸者は辰巳芸者でしょう。
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髪結い伊三次シリーズ、その2。
こつこつと貯めてきた金を盗られ、力を落としていた伊三次に、思わぬ殺しの疑いが。
詮議が甘くならぬよう、伊三次を同僚の緑川に委ねた不破。
嫌疑は晴れたものの傷ついた信頼は戻らず、伊三次は不破の手下として働くことも、髪結い仕事も断ってしまう。
また一方、芸は一流ながら、財力のある旦那がいないために芸者として見劣りしていると伊勢屋に看破され、傷つく文吉。
下心なしに世話をするという伊勢屋の言葉に、援助を受ける。
それを知った伊三次は、お文にも裏切られたと思い、別れを告げる…
本作は、傷ついた信頼と裏切り、自らがまねいた孤独に苛まれる伊三次とお文。
ううう〜〜、早く次作を読むしかない!
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売れっ子芸者のお文に色男力はそこそこ金はなしの伊佐次。人生は金じゃないと心の片方では思っていてももう片方ではそれで納得しきれない。「菜の花-」にはよく描かれていた。江戸物を描いているので東京の人かと思ったら、熊やきつねと暮らす北海道の人だとか。