あらすじ
「この先、何が起ころうと、それはわっちが決めたこと、後悔はしませんのさ」──すれ違いを乗り越え、髪結いの伊三次とよりを戻した深川芸者のお文。後添えにとの申し出を袖にされた材木商・伊勢屋忠兵衛の男の嫉妬が事件を招き、お文の家は炎上した。お文を助けるため炎の中にとび込む伊三次。二人の運命は?(表題作)ほか、嫁入りするおみつに代わってお文の家に来た、訳ありの女中・おこなは自由奔放。お文は振り回されっぱなしで…。急展開の大人気シリーズ第三弾!
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内容(ブックデータベースより)
伊三次と縒りを戻したお文に執着する伊勢屋忠兵衛。袖にされた意趣返しが事件を招き、お文の家は炎上した――。急展開の第三弾!
令和6年9月1日~3日
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なんとも濃厚な一冊でした。
『因果堀』では増蔵の過去の因果が哀れな女心を浮き彫りにしました。
『ただ遠い空』も夫婦愛を感じさせる話でした。
『竹とんぼ、ひらりと飛べ』ではお文の出自が分かりましたし、『護持院ヶ原』はまるで別の短編を読んでるような気がしました。
『さらば深川』ではいよいよ伊三次も覚悟を決めなければならない状況になりました。
どの話もずっしりと心に残る話で、読み終わった後も余韻に浸ってしまう話ばかりでした。面白かったです。
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タイトル通りの話の持っていき方だったが、多くの読者が納得のいく運びだと思う。文吉じゃなくても、伊三次のところに行きたくなるのは解るよ。護持院ヶ原では、柴田錬三郎著の眠狂四郎を思い出してしまった。
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髪結い伊三次捕物余話シリーズ3作目。
おもしろいなぁ。
このシリーズはキャラクターがそれぞれ主役をはれるほどにたっていて読んでいてあきさせないです。
捕物話だけど、せつない恋や、初恋や、浮気や、信頼してた人からの裏切りや、そこから許せるまでの葛藤とさまざまな生きることへの喜びや苦悩がキャラクターに散りばめられています。
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良かった!髪結伊三次と文吉のカップルも当時でもなかなかなかっただろうし、その中の与えられた条件の中でいかに活躍させるのか、作者の努力が偲ばれる。それぞれのキャラがいい。
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幻術遣いが出てきて、なかなかに面白かった。幻術遣いに御経を唱えて対抗するのがかっこよかった。さらば深川という題名からして、文吉と伊佐次にケリが着くとは思っていたけど、こういうケリの着き方だと思わなかった。良い方向に向かうと良いけど…。
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髪結の伊三次シリーズの第三弾。さらば深川。
伊三次とお文の関係は果たして・・・。
今回も面白いです。前半は幻術使いのホラー仕立て。後半は、お文も騙されそうになる詐欺かと思いきや、男の嫉妬。中々良くできます。
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今回は本のタイトルが「さらば深川」だ。 これは嫌な予感しかしないではないか。寂しい理由なのか悲しい理由なのか、もしかしてもしかして嬉しい理由なのか、 、、
結果、悲しいし、悔しくて腹も立つけど嬉しさもあったりして。 何とも複雑な気持ちでエンディングを迎える。
さてここから、次巻以降、伊三次とお文はどんな展開を迎えるのだろうか。
ところでこの巻にも宇江佐さんご本人による"文庫のためのあとがき”が収録されていた。 (これはこの後の文庫本も毎回収録されているのかな?
そこに、『すでにお気づきの方もおられると思うが、本一冊につき、 伊三次に一歳、年を取 らせている。 同い年のお文も当然、その通りである』 『第一作目の伊三次は二十五歳だった。本書では二十七歳となっている』とあった。・・・気づいていなかった。
これは私の悪い癖なのかもしれないが、特に時代小説では元号がピンとこないのもあり、季節が巡っている様子は、月の表記や気候の描写などで感じつつも、実際に年月がどれくらい経っているのかは気にしていないことが多い。
そうか、 今回のお話では、2人は27歳なのかと改めて振り返ると、この時代は、女性が18, 19歳にもなれば結婚している時代だったことを考えると、おみつの結婚もあり、深川を離れるお文の様子は、より切なく感じられる。 新たにやってきた女中のおこなと、2人で「花嫁衣裳を着たかった」と話し、空を仰いでいたシーンも思い浮かび、切なさが増す。
しかし今回は、切ないことの続く話の終わりに、ほんの少し嬉しくなる要素もあり、お文にも、もちろん伊三次にとっても、今後は幸せがやってくるのでは、と期待したい。
あ、それから 不破が、予想外にきちんと伊三次に謝罪していて、うっかり伊三次と一緒に 涙が出てしまった。この時代に武家が町人に頭を下げるなど、実際は褒められたことではな いのかもしれないが、深くて素敵だった。
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目次
・因果堀
・ただ遠い空
・竹とんぼ、ひらりと飛べ
・護持院ヶ原
・さらば深川
伊三次とお文はよりを戻し、それ以上にこじれていた伊三次と不破の関係も修復した。
おみつが嫁ぎ、お文の家に新しい女中・おこなが来るのだが、この娘がまたキャラクターが強くて面白い。
もしお文が芸者をやめたなら、彼女の出番はなくなってしまうのだろうか。
だとしたら、ちょいと惜しいな。
前妻や生みの親など、家族の話が多かった気がするが、「護持院ヶ原」である。
幻術使いのでてくる、ちょっと今までとは毛色の違う話なのだが、これがホラーのようなでも切ないような絶妙な読後感。
そして、伊三次が髪結いであること、不破が剣の使い手であることが活かされているところも、よい。
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2017/12/3
「後悔はしませんのさ」かっこいいなぁ。
後悔してても後悔はしませんのさと言い聞かせているだけでもかっこいい。
私もそうしよう。
不破様ホントにどストレートに謝って驚きです。
その後の伊佐治の思いと不破様と涙のやり取りにも感動。
って言うか萌える。
やばい。
妖術使いとの戦いでお疲れのご様子やったけど、不破様大丈夫かな?
伊佐治とお文の祝言で今後の展開も楽しみすぎる。
祝言といえば初代女中のおみつが嫁に行って寂しく思ってたけど次に来たおこなも違うタイプでなかなかおもしろいし流石としか言いようがない。
伊勢忠はどうなったんだろう。
早く次読まねば。
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昨今、江戸物は流行りらしいが、
江戸の町を舞台にしてはいるものの、
あまりにも時代考証無視し過ぎの化け物ファンタジー系や
人情噺というには薄っぺらいホームドラマ系が跋扈している。
それゆえ、あくまでもリアリティのある江戸の暮らし、季節感、人物に酔えるこのシリーズには、
種明かしのない幻術遣いはちょっとそぐわない気がして残念だった。
とはいえ、
文吉さんに黄前の良いところを見せたはずの伊勢屋が金を返せと言ってきたり、
酸いも甘いも嚙み分ける増蔵親分が昔の女房のためにお役目も妻子も捨てようとしたり、
死期の近い産みの親に手紙は出したものの、文吉は会いに行かなかったり、
それぞれ大事なものを助けるために燃え盛る火の中に飛び込んだりと、
人の心とは不思議なものとだと思わせる話は今まで通り。
文吉姐さん、はたして町屋暮らしのおかみになれるのだろうか。
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大好き宇江佐真理の「髪結い伊三次」シリーズ。
江戸の物語をステキに描く作者は多く、私も好きな作家さんはたくさんいますが、やはり宇江佐真理が好き。
この著者の作品の中には哀しい・・でも、それだけを憂いていたのではない、江戸時代の人々が生きてる気がします。
中でもこのシリーズは大好き。
うまく立ちまわれないお文姐さんも、本当に共感します。
でも、お母さんには会って欲しかったなぁ。
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江戸時代にハーフで生まれるのはつらいことだろう。金髪碧眼じゃなかっただけまし(まぁ、アジアンの混血では出ないけど)。でもちょっと色違いのホラー(と作者は言っているが、あまりホラーではない)「護持院-」は捕物も迫力があって面白かった。
岡惚れ男の悋気(嫉妬は男のほうがいやらしい)で家まで焼かれてしまったお文は伊佐次のボロ長屋へ転がり込んで成り行き夫婦になる。うまくいくかのように見えるけれど、どうだろうか。
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髪結い伊三次と深川芸者のお文のシリーズ3冊目。
粋な江戸下町の情緒と、不運や罪にまみれつつも繋がりゆく人の縁。
「因縁堀」
廻り髪結いの伊三次は、北町奉行所の同心・不破友之進の小者(手先)もつとめていたが、前作で不破から離れる。
その後も、不破の妻のいなみの危機を救う急場にひそかに駆けつけたりと、関わりもあったが、元に戻る決心はつかなかった。
お文が女掏摸に財布をすられ、そのやり口が地元の者ではないと気づく伊三次。
岡っ引きの増蔵がその女と何か関わりがあるらしい?
「ただ遠い空」
お文の女中のおみつは結婚が決まっている。
お文を慕い、後が決まらないと辞められないというおみつ。
そんな所へ、事件のあった茶屋に勤めていたという曰くのある、おこなという女が紹介されてくる。気が強く色っぽいおこなに引っかき回されそうになるが?
「竹とんぼ、ひらりと飛べ」
美濃屋の若旦那の母親が、かって手放した娘を捜しているという。
お文ではないかと思う伊三次。
「護持院ヶ原」
大黒屋が斬られ、小石川の大名屋敷が疑われる。
そこには辻斬りで金を奪っていた秋津源之丞がいた。
腕に目を付けた岸和田鏡泉の命だった。
本多甲斐守の屋敷に踏み込むことは出来ない。しかも鏡泉は幻術を使うのだ。幻術と対決する異色作。
「さらば深川」
かねてお文に執心していた伊勢屋忠兵衛が後添えにと望んでくる。
断ると、先代に貰った家を引き払うよう脅しをかけてきて‥?
二人の仲も新たな局面を迎えます。
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髪結い伊三次シリーズの3作目。今作でも、登場人物さんたちが、みんないい仕事をしています。不破のダンナもかっこいいとこ見せてます。しかし、あの材木屋の陰湿で意地悪なこと!そんなこんなで、このシリーズに2年越しでハマっておりまする。
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やっぱりアベレージが高いですね。
この巻の最後は、すごい大きい転換になっているのかな?次を読まないとわからない。次も続けて読んでみようかしら。
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平岩弓枝さんの『御宿かわせみ』シリーズが好きなら、このシリーズもきっと好みに合うよ〜、と勧められて読み始めた髪結いの伊三次の捕物帳もこれで3作目です。
前巻でこじれていた伊三次と深川芸者のお文の仲が元の鞘に収まったので、やはり気になるのは伊三次と同心の不破との関係でした。こちらもようよう元に戻ってホッとひと安心。
おみつがお嫁にいってお文の女中さんがおこなに変わったかと思うと、お文が深川が離れることになったりと色々変化が訪れています。新しい顔ぶれも出てきて、さてこれから伊三次たちがどうなるのか? 次の巻が楽しみです。
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髪結い伊三次シリーズ、その3。
やっぱりね…という感じで、文吉に執心の伊勢屋が再登場。
タイトルから、深川の人々からスッパリ縁を切らなければならない事態になるのかとはらはらしていたが、そこまでではなく、むしろ伊三次とお文にとっては土砂降り降って地固まる顛末。
読むペースが先行して、感想書き忘れてた。
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かわせみシリーズに続けて髪結い伊三次。
女性作家の捕物系連作短編シリーズ同士ということで、どうしても比較してしまいます。
かわせみはさすがにマンネリ。軍配は髪結いの方ですね。
主人公の深川芸者・文吉はちょっと伝法過ぎて私の好みからは外れるのですが、おこなという変わったキャラが出てきて楽しめました。
Posted by ブクログ
伊三次シリーズ
読んだことが絶対ある
あるはず
・・・あるんだけどなぁ
個々のストーリーは新鮮
つまり、忘れている(!)
文吉がいけ好かない客(昔、囲われた人の息子)
に言い寄られ、蹴飛ばすと嫌がらせ・・・
いつものお江戸のひとこまですねぇ