あらすじ
髪結いの伊三次と深川芸者お文との恋から始まった傑作シリーズ最終巻!
「これからもずっと、宇江佐さんの世界に浸っていきたい」(杏さんの解説より)
金貸しのご隠居を殺した犯人として捕まったのは、伊三次そっくりの男だった。
龍之進の妻、きいは伊三次と似ている男が罪を犯したとは思えず、他に真犯人がいるのではないかと同心である夫に進言する。
(「空似」)
三十歳となった龍之進は、自分の手先となる小物を持つように父に言われる。
龍之進の頭に浮かんだのは、かつて自分が誘拐の下手人として追いながらも捕えられなかった男、次郎衛だった。
(「竃河岸」)
絵師修業をしている伊三次の息子、伊与太。
幼馴染の茜の助けで、松前藩の家老で絵師としても知られる蠣崎に絵を褒められ、高価な絵の具をもらったが、その絵の具を弟弟子に盗まれてしまう。
(「暇乞い」)
珠玉の短篇九篇にエッセイ一篇と杏さんの解説を収録した豪華版!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
目次
・空似
・流れる雲の影
・竃(へっつい)河岸
・車軸の雨
・暇乞い
・ほろ苦く、ほの甘く
・月夜の蟹
・擬宝珠のある橋
・青もみじ
単行本の最終巻『擬宝珠のある橋』収録の短編3本も収録された、文庫本のシリーズ最終巻。
まだ、まだまだこの先の話も読みたかった。
突然話に復活してきた薬師寺次郎衛が、この先どんな親分に成長するのか。
作者はどうして次郎衛を復活させたのか、その真意がわからないまま尻切れトンボになってしまったのは、全くもって惜しい。
そしてこのシリーズでずっと私が好きだったのは、とにかく伊与太が出てくるシーン。
「おいら、いい子だから、わがまま言わなかった」と泣いた伊与太。
「おっかさんが、いっち綺麗」という伊与太。
茜にわがまま言われても「お嬢」を立てることを忘れない伊与太。
小さかった頃の伊与太の姿は、いつでも目の前に鮮やかに浮かぶのだ。
そんな伊与太が、どうしても許せないことがあって師匠の家を飛び出した。
「おいら、行くところが無くなっちまった」と北斎の前で泣く伊与太。
せめてせめて伊与太の行く末だけでももっと読み続けたかった。
そんな詮無いことを思い、後ろ髪を引かれる思いで巻を置いた。
Posted by ブクログ
読み終えてしまった。幻の声から、ぽつぽつと読んでいたけど、最後の方の巻からはページをめくる手が止まらないほどだった。
本当に、もっと読んでいたかった。伊予太と茜の未来や、お吉の女髪結としての仕事や結婚、龍之進ときいの子どもの栄一郎のこれから。もっと見たかったなぁと思いながら、ここまで楽しく江戸の人々の暮らしに触れさせてもらい、とても素敵な人々の人生を一緒に感じさせてもらって、ありがとうと言いたいです。
Posted by ブクログ
2019/3/15
とうとう最後まで来てしまった。
伊与太と茜が気になるけど、続きはあの世で出版されてるかしら。
死んでからのお楽しみってことで。
過去に過ちを犯した次郎衛との関係がよい。
仲間の一人が強固に反対していたのは保身だったのかなぁ。
それがまたほろ苦くていいんだよ。
人は誰しも一筋縄ではいかないのだね。
残念で….….
これで、本当に、終わりなんだなぁと、感慨深いものがある。もっともっと、読んでいたかった。まだまだ、続いて欲しかった。残念でならない。