宇江佐真理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレすごく面白くて読み応えがあって、切なくて悲しい物語だった。主人公?の遊のさっぱりした素直な物言いが素敵で、話し方が好き。嘘も言わない、自分の気持ちをはっきりと相手に伝えるし、案外相手のことも気遣う優しさがあるし。自分の道を行くのもかっこいいと思う。遊が実母と梅を付けている時に、実母に対して思ってる好意を言うシーンが何度読んでも泣ける。良い子なのに、別に連れ去られて山育ちで狼女みたいな姿、言動なのは遊のせいじゃないのに。育ての親が遊を思っていたというのが出てくるシーンも泣ける。殿とのシーンも切なくて泣ける。2人一緒に暮らせたら幸せだったろうに。でも、不幸せでもないんだろうけど。遊がどう過ごして死
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Posted by ブクログ
短編集で、しかも江戸物で、こんなにも心を動かされたのは初めてでした。切ないのに仄かな暖かさがある不思議な心持ちになりました。
江戸は深川を舞台にした6つの切ない恋物語が収められた本作。江戸期では埋立地として木材問屋や蔵があり、船が行き来する深川。
そんな深川の情景が想像しやすく、また当時の人々の風俗をまるで見てきたかのような自然さで描かれていました。
そのためにより物語に没入でき、当時の人々も貧しさや人生について悩み、こんな風に心をキュッとしたのかもしれないと感じました。
個人的に『がたくり橋は渡らない』がお気に入りです。若い花火師が自身を裏切った女性と心中しようとし、女性のお隣さんに諭 -
Posted by ブクログ
江戸の街中、飾職人の後妻に入って間がない八重が亭主を失くすところから話が始まる。
前妻の末娘と暮らし、小間物屋でやりくりする八重に、義理の長男夫婦からの無心、迷惑な隣人との諍い、と次から次へと揉め事が起きる。
裏店で自分の始末をきちんとして、誰にも迷惑をかけずに亡くなっていった老女にも、出ていった育ての娘が遺産目当てにやってくる。
江戸時代が終わってから200年という月日が流れても人の生活周りはなんら変わってない。
そして…小さな幸せが訪れそうな気配の先に、取り返しのつかない不幸が待っている。
宇江佐真理の本は手放しで幸せにはしてくれない。
それでも人は前を向いてどうにか生きていくのだと、諭さ