宇江佐真理のレビュー一覧

  • 雪まろげ―古手屋喜十 為事覚え―

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    どこで購入したか記憶していない…シリーズ2冊目だが、一冊目を持っているワケでもない。大好きな宇江佐真理の作品なので手にしたのだと思う。古手屋(古着屋)に同心が手先的な事をやらせている。その事件(?)簿的な短編集。とにかく宇江佐真理のストーリーテリングっぷりが素晴らし過ぎて、あっという間に江戸の生活が立ち上がり、連れて行かれる。古手屋の喜十は正義感などでこの仕事をしている訳では無い、駄賃も無くて嫌々だ。でも、心根が真っ当だから、見て見ぬふりが出来ない…という感じ。始めの一作で宇江佐真理の作品だったと思わされる。父親が亡くなり、母親一人で5人の子供を育てている貧乏長屋の親子。貝を剥いて具にして売っ

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    2022年02月12日
  • 卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし

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    主人公の夫や家族との関係性がストーリーの軸になりつつ、章ごとに色々な出来事・事件が巻き起こっては解決される(少し珍しい料理をキーに)という、飽きさせない構成が素晴らしい。そしてのぶさんの夫・お姑さんとの関係性にぐっとくる、ほろ苦い読後感が著者らしくて、なんだかじんわり涙がにじむような作品。

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    2021年10月03日
  • 深尾くれない

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    宇江佐作品にまだ未読があった。
    おかげで久方ぶりに新作(?)を読むことが出来た。

    史実から推測すると、最後まで救いのない感じで進んでしまうのかと思ったが、最後は哀しくも晴れ晴れとした感じで終わった。

    市井もの以外にも、いろんな作品の構想をお持ちだったのだろうなぁ。
    今更ながら、逝去が何とも残念。

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    2021年07月19日
  • 幻の声 髪結い伊三次捕物余話

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    どの話も良いが、「備後表」が良かった。
    幼い頃に両親と死別し、姉の婚家へ身を寄せて使用人のような扱いを受けていた主人公に母と呼ばれるほど優しかった畳表の職人が口にした最後の願いにまつわる話である。

    藺草の問屋だったという私の母の実家に畳表の織機が残されていた事もあり、惹かれた。あれを個人の家に置いたら他の生活空間を確保するのは大変かと思うが(重量も結構あるらしい)、とにかく誰もが優しく、母の願いを叶えようとする主人公に手をさしのべる。


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    2021年04月25日
  • 紫紺のつばめ 髪結い伊三次捕物余話

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    Lampの岩さんにお勧めされて以来、宇江佐真理さんの作品にはずるずるズルズルと引きずり込まれっぱなしです。うちにはまだ平積みにされた、読まれるのを待っている本が山になっているというのに!

    …なのに、徒然舎の書棚で見つけて手に取ってしまいました。もちろん買っちゃいました。その時読んでいたのがカミュの「ペスト」で、翻訳物が苦手な癖して時節柄読んでみようと思ったのだけど、時間がかかるかかる、早く紫紺のつばめを開きたい!と思っていたので、ペストを読み終わったら即!読み始めました。
    紫紺のつばめはシリーズ2作目の文庫本なのだそうで、もう一冊一緒に手に入れた作品を読むべきか、シリーズ第一作を探し求めて読

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    2021年01月06日
  • 竈河岸 髪結い伊三次捕物余話

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    目次
    ・空似
    ・流れる雲の影
    ・竃(へっつい)河岸
    ・車軸の雨
    ・暇乞い
    ・ほろ苦く、ほの甘く
    ・月夜の蟹
    ・擬宝珠のある橋
    ・青もみじ

    単行本の最終巻『擬宝珠のある橋』収録の短編3本も収録された、文庫本のシリーズ最終巻。
    まだ、まだまだこの先の話も読みたかった。

    突然話に復活してきた薬師寺次郎衛が、この先どんな親分に成長するのか。
    作者はどうして次郎衛を復活させたのか、その真意がわからないまま尻切れトンボになってしまったのは、全くもって惜しい。

    そしてこのシリーズでずっと私が好きだったのは、とにかく伊与太が出てくるシーン。
    「おいら、いい子だから、わがまま言わなかった」と泣いた伊与太。

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    2021年01月05日
  • 聞き屋与平 江戸夜咄草

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    Lampのマスター、岩さんからオススメされた短編連作集です。最初の「聞き屋 与平」を読み終わったところですが、とても面白く一気に江戸・両国界隈に引きずり込まれました。最後まで読み終わったら、コメントを足すことにします。
    (2020/10/04)

    読み終わりました。なんて素敵な物語だろう!ネタバレはしませんが、このお話がシリーズものでないのが残念です。与平さんの聞き屋に僕もお話を聞いてもらいたい気がしました。
    (2020/10/19)

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    2020年10月04日
  • 明日のことは知らず 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    この巻は伊三次の弟子の九兵衛の巻でした。
    『あやめ供養』で事件を解決した伊三次は、礼がしたいという町医者松浦桂庵に弟子の九兵衛のための台箱(道具箱)をねだります。
    そしてその九兵衛に縁談が舞い込む『赤い花』。
    その相手は魚問屋のおてんちゃん。男勝りどころか中身はほとんど男だという。
    おてんちゃんが娘らしくなるまで待ってやれという伊三次。
    九兵衛もいつの間にかお嫁さんの話がでるくらい大人になったのだなぁと、このシリーズの経てきた年月を思いました。
    そして悲しいことが一つ。不破龍之進の妻、きいが流産したのです。
    偶然きいと会った伊三次は慰めますが、きいの心はまだ癒えなそうです。

    九兵衛の台箱が出

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    2020年09月22日
  • 室の梅 おろく医者覚え帖

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    2020/4/5
    江戸時代の検視官のお話。
    そんな言葉はないからおろく(=死体)医者ですって。
    おろく医者の正哲も妻で産婆のお杏も愛すべき人たち。
    江戸時代のお仕事小説かも。
    仕事に対する姿勢がかっこいいです。
    お互いの仕事を理解して労わる姿も。
    赤ちゃん生まれてよかった!

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    2020年04月05日
  • 竈河岸 髪結い伊三次捕物余話

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    読み終えてしまった。幻の声から、ぽつぽつと読んでいたけど、最後の方の巻からはページをめくる手が止まらないほどだった。
    本当に、もっと読んでいたかった。伊予太と茜の未来や、お吉の女髪結としての仕事や結婚、龍之進ときいの子どもの栄一郎のこれから。もっと見たかったなぁと思いながら、ここまで楽しく江戸の人々の暮らしに触れさせてもらい、とても素敵な人々の人生を一緒に感じさせてもらって、ありがとうと言いたいです。

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    2019年11月04日
  • アラミスと呼ばれた女

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    幕末から戊辰戦争終結後の長崎、江戸、蝦夷において、女性ながら男装して、お雇い外国人の通訳にあたった「お柳」の物語。箱館戦争から北海道の開拓に深く関わった榎本釜二郎(武揚)との関係を中心に描かれているが、お柳の潔さ、一途な姿勢が、湿っぽくなくてとても好感が持てる。当時女性は通詞(通訳)にはなれない文化であり、男装していたお柳の記録は公式には一切ない。記録と取材に基づいてはいるものの史料は少なく、かなりの部分が作者の想像の産物であるが、登場人物(お柳、榎本、土方など)の人生がこのようであったらなあと思わせる心地よい読後感を味わえる。幕末から戦中戦後の物語を読むといつも思うのは、志とか大義とか言って

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    2019年08月12日
  • 泣きの銀次

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    宇佐江真理さんの作品はテンポの良い江戸弁を上手に使い作品自体にほど良いリズムを刻ませているところにあると思う。妹が猟奇的な殺され方をした。大店の息子の銀次は岡っ引きになったのだが、死体を見ると子供のようになくために、泣きの銀次なんて言われている。10年がかりで犯人を追い詰めていく様はなかなかに面白く、同時進行で展開されるお芳との恋もおもしろい。

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    2019年07月05日
  • 竈河岸 髪結い伊三次捕物余話

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    2019/3/15
    とうとう最後まで来てしまった。
    伊与太と茜が気になるけど、続きはあの世で出版されてるかしら。
    死んでからのお楽しみってことで。
    過去に過ちを犯した次郎衛との関係がよい。
    仲間の一人が強固に反対していたのは保身だったのかなぁ。
    それがまたほろ苦くていいんだよ。
    人は誰しも一筋縄ではいかないのだね。

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    2019年03月17日
  • 糸車

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    2019/02/24
    やっぱりすごいいい。
    江戸情緒も人情も大好き。
    いろいろ翻弄される人間ドラマは今も同じ。
    それと言葉の美しさが好き。

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    2019年02月24日
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    2019/2/5
    すっ飛ばされて気になっていた年月を回想する形。
    読んでる間は夢中だから思わないけど、章を読み終えるたびに思うのは作者が死を宣告されていて、おそらくもうかなり目前に迫ってると思われること。
    だから感謝して生きようとか言われると何とも言えない気持ちになっちゃうのよね。
    身につまされるけど現実にも戻ってしまう。
    龍之進と本所無頼派の次郎衛の邂逅はとびきり素敵だった。
    近頃影の薄い不破様の活躍も見られてよかった。

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    2019年02月10日
  • 卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし

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    出てすぐ、10年前に読んだが、じんわりよい読後感だったことを覚えています。この作者の食べ物の表現が好き。このあとしばらく作者買いしてました。

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    2019年02月02日
  • 三日月が円くなるまで 小十郎始末記

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    父親からも捨石扱いされてしまった優柔不断な小十郎だったけれど、死んだふりをしてまで慕ってくれた娘、ゆたと一緒になって初めて生きる意欲が湧いた様だ。
    死んだふり、一度してみたけれど俗世間にいる間では本当に難しいものだ、病気覚悟しなければ。

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    2019年01月19日
  • うめ婆行状記

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    ネタバレ

    もっともっと宇江佐真理の市井人情小説を読みたかった。どうしようもない事だけど、ほんまそう思う。

    朝日新聞夕刊に連載していた作品の文庫化、未完がつくづく惜しい。それにしても闘病で命を削りながら、このレベルの作品を書けるのだから凄いものである。

    同じく未完の小説を書きつつお亡くなりになられた某先生には、シリーズを書き繋ぐ作家が現れて今に至っている。勿論宇江佐作品はそういうものではないのは分かっているが、こういう宇江佐的人情を引き継いだ後継作家が出てきてほしい。

    あと1作で書籍化した彼女の作品は全て読み終わってしまうけど、何度も何度も再読するのは間違いないと思う。

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    2018年12月16日
  • 深川恋物語

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    深川の男女の恋物語短編6編。
    深川の地域を舞台に、それぞれ切なかったり悲しかったり、微笑ましかったりの六つのお話。

    宇江佐真理さんが編むお話は、いつも素敵だ。
    江戸弁なら「イッチ素敵!」とか「乙粋!」とでもいうのかしら?

    主人公たちは、思うに任せない恋心を通して、大人になってゆく。苦悩も織り交ぜながらも、決して醜悪にならないお話の作り方は宇江佐さんならでは!

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    2018年12月15日
  • 聞き屋与平 江戸夜咄草

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    ネタバレ

    黙って客の話を聞く。
    ただ聞くだけで助言は一切しない。
    日頃他人には言えず心にためているあれやこれやを、聞いてもらうことで頑なな心をほぐしてくれる。

    江戸の繁華街・両国広小路で「聞き屋」をしている与平の連作短編。
    時代が違えど人の悩みは相も変わらず尽きることはない。
    仕事や旦那、姑、浮気、先行きについての愚痴や不安を、あらゆる世代の男女が与平を前に語る。
    この職業は現代にも通用するはず。
    自分の話を黙って聞いて、時々合いの手を入れつつ頷いてくれるだけで嫌なことも吹き飛びそう。
    これもひとえに、自分の考えを押し付けることなく、適度な距離感を保って客と接する与平の聞き上手な人柄によるもの。
    私の

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    2018年10月14日