宇江佐真理のレビュー一覧
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ネタバレどこで購入したか記憶していない…シリーズ2冊目だが、一冊目を持っているワケでもない。大好きな宇江佐真理の作品なので手にしたのだと思う。古手屋(古着屋)に同心が手先的な事をやらせている。その事件(?)簿的な短編集。とにかく宇江佐真理のストーリーテリングっぷりが素晴らし過ぎて、あっという間に江戸の生活が立ち上がり、連れて行かれる。古手屋の喜十は正義感などでこの仕事をしている訳では無い、駄賃も無くて嫌々だ。でも、心根が真っ当だから、見て見ぬふりが出来ない…という感じ。始めの一作で宇江佐真理の作品だったと思わされる。父親が亡くなり、母親一人で5人の子供を育てている貧乏長屋の親子。貝を剥いて具にして売っ
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Lampの岩さんにお勧めされて以来、宇江佐真理さんの作品にはずるずるズルズルと引きずり込まれっぱなしです。うちにはまだ平積みにされた、読まれるのを待っている本が山になっているというのに!
…なのに、徒然舎の書棚で見つけて手に取ってしまいました。もちろん買っちゃいました。その時読んでいたのがカミュの「ペスト」で、翻訳物が苦手な癖して時節柄読んでみようと思ったのだけど、時間がかかるかかる、早く紫紺のつばめを開きたい!と思っていたので、ペストを読み終わったら即!読み始めました。
紫紺のつばめはシリーズ2作目の文庫本なのだそうで、もう一冊一緒に手に入れた作品を読むべきか、シリーズ第一作を探し求めて読 -
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ネタバレ目次
・空似
・流れる雲の影
・竃(へっつい)河岸
・車軸の雨
・暇乞い
・ほろ苦く、ほの甘く
・月夜の蟹
・擬宝珠のある橋
・青もみじ
単行本の最終巻『擬宝珠のある橋』収録の短編3本も収録された、文庫本のシリーズ最終巻。
まだ、まだまだこの先の話も読みたかった。
突然話に復活してきた薬師寺次郎衛が、この先どんな親分に成長するのか。
作者はどうして次郎衛を復活させたのか、その真意がわからないまま尻切れトンボになってしまったのは、全くもって惜しい。
そしてこのシリーズでずっと私が好きだったのは、とにかく伊与太が出てくるシーン。
「おいら、いい子だから、わがまま言わなかった」と泣いた伊与太。 -
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ネタバレこの巻は伊三次の弟子の九兵衛の巻でした。
『あやめ供養』で事件を解決した伊三次は、礼がしたいという町医者松浦桂庵に弟子の九兵衛のための台箱(道具箱)をねだります。
そしてその九兵衛に縁談が舞い込む『赤い花』。
その相手は魚問屋のおてんちゃん。男勝りどころか中身はほとんど男だという。
おてんちゃんが娘らしくなるまで待ってやれという伊三次。
九兵衛もいつの間にかお嫁さんの話がでるくらい大人になったのだなぁと、このシリーズの経てきた年月を思いました。
そして悲しいことが一つ。不破龍之進の妻、きいが流産したのです。
偶然きいと会った伊三次は慰めますが、きいの心はまだ癒えなそうです。
九兵衛の台箱が出 -
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幕末から戊辰戦争終結後の長崎、江戸、蝦夷において、女性ながら男装して、お雇い外国人の通訳にあたった「お柳」の物語。箱館戦争から北海道の開拓に深く関わった榎本釜二郎(武揚)との関係を中心に描かれているが、お柳の潔さ、一途な姿勢が、湿っぽくなくてとても好感が持てる。当時女性は通詞(通訳)にはなれない文化であり、男装していたお柳の記録は公式には一切ない。記録と取材に基づいてはいるものの史料は少なく、かなりの部分が作者の想像の産物であるが、登場人物(お柳、榎本、土方など)の人生がこのようであったらなあと思わせる心地よい読後感を味わえる。幕末から戦中戦後の物語を読むといつも思うのは、志とか大義とか言って
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ネタバレもっともっと宇江佐真理の市井人情小説を読みたかった。どうしようもない事だけど、ほんまそう思う。
朝日新聞夕刊に連載していた作品の文庫化、未完がつくづく惜しい。それにしても闘病で命を削りながら、このレベルの作品を書けるのだから凄いものである。
同じく未完の小説を書きつつお亡くなりになられた某先生には、シリーズを書き繋ぐ作家が現れて今に至っている。勿論宇江佐作品はそういうものではないのは分かっているが、こういう宇江佐的人情を引き継いだ後継作家が出てきてほしい。
あと1作で書籍化した彼女の作品は全て読み終わってしまうけど、何度も何度も再読するのは間違いないと思う。 -
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ネタバレ黙って客の話を聞く。
ただ聞くだけで助言は一切しない。
日頃他人には言えず心にためているあれやこれやを、聞いてもらうことで頑なな心をほぐしてくれる。
江戸の繁華街・両国広小路で「聞き屋」をしている与平の連作短編。
時代が違えど人の悩みは相も変わらず尽きることはない。
仕事や旦那、姑、浮気、先行きについての愚痴や不安を、あらゆる世代の男女が与平を前に語る。
この職業は現代にも通用するはず。
自分の話を黙って聞いて、時々合いの手を入れつつ頷いてくれるだけで嫌なことも吹き飛びそう。
これもひとえに、自分の考えを押し付けることなく、適度な距離感を保って客と接する与平の聞き上手な人柄によるもの。
私の