【感想・ネタバレ】聞き屋与平 江戸夜咄草のレビュー

あらすじ

夜が更けるとともに、ある商家の通用口に、男がひっそりと座る。「お話、聞きます」。与平は人の話を聞く、聞き屋。姑の愚痴をこぼす嫁、主人への不満を募らせる奉公人。過去の過ちを告白する者……。みな、そこで重荷をそっと下ろして家路につく。聞き料はお客の気持ち次第。温かい家族に囲まれ、商売も順調。儲けのためでも酔狂でもない。与平はなぜ話を聞くのか。心温まる連作時代小説。

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江戸を舞台とした物語を読んだのは、2作目で、この物語ではじめて宇江佐真理氏という作家さんを知りました。人の話を聞くということをする与平。自身には、人には言えない過去の経験がある。人情物語のようだが、サスペンスの要素もあり、最後まで、吸い込まれるように読みました。江戸言葉を調べながら読むので、進みは遅かったですが、その分、読み終わった時は、読んだ達成感がありました。

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2025年08月06日

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大好きな宇江佐真理さんの作品。

生薬の問屋を営む与平は、息子たちに身上を譲り隠居となった。いつまでも口を出していては一人前にならない。

湯屋で、身の上話を耳にするたび、こうして聞いてくれる人がいる人はいいが、誰もいない人はどうしているのだろう?
「聞き屋」を始めようと店の裏口に机を出して商売が終わった時間から始めることにした。


与平はこの聞き屋で知った貧しい娘を救ってやろうとしたり、また、ただ聞くことで心を休ませる場所にした。

与平の父親は、生薬や問屋の番頭だった。
その店の一人息子はどうしようもない男で、店を潰しそうな浪費家だった。

ある時火事に巻き込まれ死んでしまった。
与平は他の薬屋で手代をしていたが、店の後始末をして看板だけもらった父親の手伝いをして店を大きくした。
その火事のことで地元の岡っ引きにしつこく見殺しにしたのではないか?と言い寄られている。
そんな岡っ引きも死に、、、。


この作家さんの物語は眼に見えるような江戸情緒と、しっとりと貫かれた登場人物の心模様の緻密さリアルさが身上。
まるでそこに自分が立っていたのではないか?と思えるほどの作風。

2度目の読書だが、今回も大満足だった。

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2022年09月10日

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Lampのマスター、岩さんからオススメされた短編連作集です。最初の「聞き屋 与平」を読み終わったところですが、とても面白く一気に江戸・両国界隈に引きずり込まれました。最後まで読み終わったら、コメントを足すことにします。
(2020/10/04)

読み終わりました。なんて素敵な物語だろう!ネタバレはしませんが、このお話がシリーズものでないのが残念です。与平さんの聞き屋に僕もお話を聞いてもらいたい気がしました。
(2020/10/19)

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2020年10月04日

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ネタバレ

黙って客の話を聞く。
ただ聞くだけで助言は一切しない。
日頃他人には言えず心にためているあれやこれやを、聞いてもらうことで頑なな心をほぐしてくれる。

江戸の繁華街・両国広小路で「聞き屋」をしている与平の連作短編。
時代が違えど人の悩みは相も変わらず尽きることはない。
仕事や旦那、姑、浮気、先行きについての愚痴や不安を、あらゆる世代の男女が与平を前に語る。
この職業は現代にも通用するはず。
自分の話を黙って聞いて、時々合いの手を入れつつ頷いてくれるだけで嫌なことも吹き飛びそう。
これもひとえに、自分の考えを押し付けることなく、適度な距離感を保って客と接する与平の聞き上手な人柄によるもの。
私の周りにも与平みたいな聞き上手いないかな。
読み終えた後、人の優しさ温かさがゆっくり染み込んでくる物語だった。
解説が木内昇さんとは、これまた嬉しさ倍増の一冊。

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2018年10月14日

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誰もが心の中に1つは他人に語れない暗い過去を持っている。でもその過去に大小の差こそあれ、みんなはひっそりと幸せに暮らしていきたいと思っているのだろう。聞き屋も語りべも、みな同じだ。そんな人情話盛りだくさんの、宇江佐さんらしい連作。

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2011年11月02日

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人の話を聞く。
それだけが どんなに その人の人となりを表すか。
私は 与平さんのように 聞き屋は出来んだろうなぁ…。
そして、彼のように罪を抱えて生きていけないだろうな。
それともいざそうなった時にはできるのか?
宇江佐さんの作品には
いつも「どうしようもない」とこどもにまで悪態をつかれる家族が出てくる。
でも、そういう人へも向けられるまなざしが やはり良い。

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2011年08月13日

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火事にあい一度は傾きかけた薬種問屋を立てなおした番頭上がりの父親から店を引き継ぎ、さらに商いを大きくし、三人の息子たちに店を任せた与平。隠居してからいろいろなことを試したもののどれも長続きせず、ふとしたきっかけで人の問わず語りを聞くことくらいならできるかと、最小限の合いの手だけをはさみ、説教や助言の類は一切せず、客が語るに任せ、代金は客の志次第、という不思議なことを始め、、、。物静かな話なのですが読み始めたらひきこまれてしまい、わーっと一息に読み切ってしまいました。とても面白かったです。

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2009年10月07日

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薬種屋のご隠居、与平が始めた『聞きや』という商売。身内や友達より、他人の方が話しやすい、というのは何となくわかる。
自分の事を全く知らないから詮索されることもなくて楽だ。
与平に語りかける様々な人達の話と、与平の家族のゴタゴタ。癖の強い客に対してもトラブルに巻き込まれても常に鷹揚に対応する与平に人としての器の大きさを感じるがそんな与平には誰にも明かせない秘密があった。本当に心の内を誰かに聞いて欲しかったのは、与平自身だったのではないだろうか。

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2024年05月15日

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ネタバレ

 話し上手はよく聞きますが、聞き上手はあまり聞きません。そして、人間、ある年齢に達すると「聞く人」と「聞かない人」に分かれると。岸田総理ではありませんがw、聞くということは大事ですね。宇江佐真理「聞き屋与平」、2009.7発行。聞き屋与平、どくだみ、雑踏、開運大勝利丸、とんとんとん、夜半の霜 の連作6話。読み応えがありました。この世には毒にも薬にもならないことが時には必要。はい、最近、無駄話、長電話の効用、なんとなくw。生きていくためには苦労がつきもの。不思議なことに誰でも自分ほど苦労した者はいないと思いたがる。はい、そんな傾向、確かに(^-^)

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2022年10月04日

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与平のすごさは、「聞く」ところ。
聞き屋なのだから当たり前のことなのだろうけれど、突っ込まずに話を「聞く」のって、案外難しい。
人の話を聞く機会は多いけれど、
「ここでも相槌うった方がいいのかな」
「何かアドバイスとか求められているのかな」
「ちゃんと話聞いてるってこと伝わってるかな」
と頷きながら悩むし、時には
「これいつまで聞かないといけないのかな…そろそろ飽きたぞ…」
なんて思ってしまうこともある。
与平自身、その難しさは自覚していて、それでも話を「聞く」。
それって、多分人に色んな影響を与える言葉を発する人より、ずっとすごいことなのだと、私は思っている。

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2015年05月12日

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隠居後に聞き屋を始めた与平

様々な人の話を聞き、
時には客の人生を左右することもしばしば

息子夫婦の間のゴタゴタや
土地の岡っ引き鯰の長兵衛からは、先々代の死の真相を問い詰められる日々

聞き屋は与平にとって何だったのか…

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2013年03月14日

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ネタバレ

薬種問屋の隠居与平が先々代の主人が火事で逃げ送れた事件について、助けなかった罪を誰にも告げず心に蟠りを持ったまま生き続けて、夜な夜な人の話を聞くという商売(?)を始める。

多い時は一晩10人ほどになると書いてあるが、江戸時代の人だってそんな酔狂じゃないだろうと思いつつ、それでもまあ江戸時代という設定でアリにしてしまおうという感じ。

宇江佐らしいしんみりとしながらほのぼのと明るい話。

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2012年04月20日

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時間の流れを感じた。人生、楽あれば苦あり。明けない夜はない。日々精進。私にも聞いて貰いたいことあります。何故続巻が出ていないのーと思ったら宇江ささん、すっきりしてる。合点がいった。

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2012年01月19日

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大店の薬種問屋の隠居である与平が始めた、ただ客の話を聞くだけの商売「聞き屋」。そこに訪れる客や、ご近所さんに身内、そして自分の過去なども織り交ぜた連作短編集。またミョーな商売を考えましたな。ま、でも、意外としっくりきています。需要はけっこうあるようです。支店(?)もできました。後継者もいます。以上!・・・・・・・・・なんのこっちゃ。

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2011年09月26日

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お店を息子に任せ隠居した与平は五と十のつく日に、ただ人の話を聞く、という聞き屋を開いている。
お客が話す内容は様々で、人間とはこんなにもたくさんのことを身の内に抱え込んでいるのかと改めて思い知らされた。
聞き屋の客が話す秘密や愚痴、聞く側の与平が抱える秘密が丁寧に描かれてラストはじんわりとした優しさがあふれてくる一冊。

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2014年01月21日

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私の大好きな時代小説の中の一つ。

主人公の薬問屋の御主人、
与平さんが隠居後に始めた 『聞き屋』
誰でも一人じゃ抱えきれず誰かに聞いてもらいたい話の一つや
二つある。
答えを教えて欲しい訳でもなくただ聞いてもらいたいだけ。
自分は何故聞き屋という生業にひかれていくのだろう....
色々な人々話を聞いて行くうちに、次第に与平さんの過去もあきらかに....

全6話の短編の短い話ですが、個人的にはもっとシリーズ化して
与平さんの客の話も聞きたかったです。

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2010年02月08日

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人々の話をただ黙って聞いていく「聞き屋」を営む隠居・与平の話。古い古い秘密を抱えながら人々の悩みや人生を聞くその姿は、人の孤独や人の弱さ、人のたくましさを黙って示してくれているようだ。悩みを解決するためでなくて、他人に黙って聞いてもらうだけで悩みが軽くなる気分になるし、口に出してみると案外たいした悩みじゃないような気になったり…それすらできない「聞き屋」は因果な商売だとは思うが、それもまた余生の過ごし方かも。しんみりしみじみした良い話だった。

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2011年09月17日

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三人の息子はそれぞれ商売も順調で、家族にも孫にも恵まれている与平が主人公。
そんな与平が、本人曰く「毒にも薬にもならない」、人の話をただ聞くだけという聞き屋なるものを始めた。
終盤になって、そうせざるを得ない与平の過去が明らかになるというミステリー性も加味された心温まる時代小説。
江戸情緒たっぷりなこのような小説も、新作はもう望めない。合掌。

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2018年12月29日

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夜が更けるとともに、ある商家の通用口に
男がひっそりと座る。
儲けのためでも酔狂でもなく、
ただ話を聞く与平。
与平はなぜ話を聞くのか。
心温まる時代小説。

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2015年12月27日

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江戸時代の臨床心理士ですな。
実は初めての時代小説なり。やっぱりちょっととっつきにくいけど、まぁ、それなりに楽しめました。

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2009年12月22日

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