あらすじ
夜が更けるとともに、ある商家の通用口に、男がひっそりと座る。「お話、聞きます」。与平は人の話を聞く、聞き屋。姑の愚痴をこぼす嫁、主人への不満を募らせる奉公人。過去の過ちを告白する者……。みな、そこで重荷をそっと下ろして家路につく。聞き料はお客の気持ち次第。温かい家族に囲まれ、商売も順調。儲けのためでも酔狂でもない。与平はなぜ話を聞くのか。心温まる連作時代小説。
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Posted by ブクログ
黙って客の話を聞く。
ただ聞くだけで助言は一切しない。
日頃他人には言えず心にためているあれやこれやを、聞いてもらうことで頑なな心をほぐしてくれる。
江戸の繁華街・両国広小路で「聞き屋」をしている与平の連作短編。
時代が違えど人の悩みは相も変わらず尽きることはない。
仕事や旦那、姑、浮気、先行きについての愚痴や不安を、あらゆる世代の男女が与平を前に語る。
この職業は現代にも通用するはず。
自分の話を黙って聞いて、時々合いの手を入れつつ頷いてくれるだけで嫌なことも吹き飛びそう。
これもひとえに、自分の考えを押し付けることなく、適度な距離感を保って客と接する与平の聞き上手な人柄によるもの。
私の周りにも与平みたいな聞き上手いないかな。
読み終えた後、人の優しさ温かさがゆっくり染み込んでくる物語だった。
解説が木内昇さんとは、これまた嬉しさ倍増の一冊。
Posted by ブクログ
話し上手はよく聞きますが、聞き上手はあまり聞きません。そして、人間、ある年齢に達すると「聞く人」と「聞かない人」に分かれると。岸田総理ではありませんがw、聞くということは大事ですね。宇江佐真理「聞き屋与平」、2009.7発行。聞き屋与平、どくだみ、雑踏、開運大勝利丸、とんとんとん、夜半の霜 の連作6話。読み応えがありました。この世には毒にも薬にもならないことが時には必要。はい、最近、無駄話、長電話の効用、なんとなくw。生きていくためには苦労がつきもの。不思議なことに誰でも自分ほど苦労した者はいないと思いたがる。はい、そんな傾向、確かに(^-^)