【感想・ネタバレ】雪まろげ―古手屋喜十 為事覚え―のレビュー

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ネタバレ

どこで購入したか記憶していない…シリーズ2冊目だが、一冊目を持っているワケでもない。大好きな宇江佐真理の作品なので手にしたのだと思う。古手屋(古着屋)に同心が手先的な事をやらせている。その事件(?)簿的な短編集。とにかく宇江佐真理のストーリーテリングっぷりが素晴らし過ぎて、あっという間に江戸の生活が立ち上がり、連れて行かれる。古手屋の喜十は正義感などでこの仕事をしている訳では無い、駄賃も無くて嫌々だ。でも、心根が真っ当だから、見て見ぬふりが出来ない…という感じ。始めの一作で宇江佐真理の作品だったと思わされる。父親が亡くなり、母親一人で5人の子供を育てている貧乏長屋の親子。貝を剥いて具にして売ってカツカツの生活、14の長男が蜆を取って、売って助けている。14と言ったら今で言えば中学生だ、寺子屋で勉強出来ると言われていたが、父親が亡くなり、行けていない。現代の話かと思う。親の稼ぎが子の教育格差に繋がるわけだ。母親は12才の長女を吉原に売り飛ばし、更に末っ子の乳飲み子を捨ててくるように長男に言いつける。長男は歯を食いしばって、なるべく良いお家にと、浅草の喜十の家にたどり着く。しかし…すぐ下の弟を連れて様子見に行った事から母親に知れ、たかろうとする母親を手にかけてしまう。やり切れない筋だ。そして、川に身を投げる…、この後誰かが助けに…とか、運良くナントカ…と続きそうだが、そこは宇江佐真理だ。容赦ない、と言うかウソがない。彼は土左衛門となって発見される。リアルでシビアだ。江戸であれ、現代であれきっとどこかで起きていそうで本当に悲しくなる。彼の見た最後の景色が美しい星空で美しいと思えたのが救いだ。そこは決してクローズアップされることは無いのが宇江佐真理の本で、そこが本当にたまらない。この後に続く短編では少しづつ喜十が引き取った捨て子が大きくなり、絡んでくるのが面白い。そして、この子の生き別れた兄姉にも続いていく。同心は決して悪い人ではないが「こすっからい」ままだ。続きが読みたいシリーズだが、それもままならない。それが本当にやり切れない。

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2022年02月12日

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ネタバレ

このシリーズ、髪結い伊三次シリーズくらいエエ伸び方しそうなんだけどなぁ。キャラクターもたってるし、古着屋って舞台設定も応用の幅がありそうだし…。

でも、これが最終巻。実に哀しい。

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2017年05月04日

Posted by ブクログ

同名の舞台を観たことがあったから手にとりました。
が、違った…。
それでも読み進めていくうちに面白くなり一気に読めました。
江戸の庶民?の人情ある暮らしが描写されてていいですね。
これ、作者が亡くなりもう続きが読めないんですね。残念。

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2024年03月19日

Posted by ブクログ

浅草で小さな古着屋を営む喜十。店先に捨てられた赤子を養子にすることになり、新しい家族で新たな春夏秋冬の一年を過ごすことになる。ほんとうの人生が見えてくる連作人情シリーズの第二弾。
昨年11月に亡くなった作者のシリーズ物の一作。残念ながら続きを知ることは出来ないが、恐らくレギュラーメンバーが増えて、賑やかで楽しいシリーズになったことだろう。宇江佐さんの作品は常に人間の『心のなかの鬼』をテーマにしている。本作のなかでも背筋が凍るようなエピソードがある。単純な人間讃歌でない人情ものが、もう新作がないと思うと寂しく感じる。

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2016年09月04日

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著者自身としては、このシリーズ、まだまだ続けたい意向だったろう。
しかし、最終話『再びの秋』の最終行、「冬の季節にも拘らず、喜十の気持ちは存外、温かく満たされていた。」などを読むと、これで完結かのような終わり方。
著者は、予感していたのでは・・・邪推かな。合掌。

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2016年07月23日

Posted by ブクログ

ちょうど物語が盛り上がりを見せたところなのに・・・。

未来永劫続篇が出ないのかと思うと、なんとも寂しい。

天国で続篇執筆してくれないでしょうか、宇江佐センセ。
アレコレ続きが気になる作品がありやす。
あっちからメールかFAXかなんかで原稿ビャーっと送ったりなんかして。

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2016年06月23日

Posted by ブクログ

201605/優しいだけじゃなく、時にはハッとするほど容赦ない結末だったりするのも宇江佐さんのすごさ。

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2016年06月04日

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