宇江佐真理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短編集で、しかも江戸物で、こんなにも心を動かされたのは初めてでした。切ないのに仄かな暖かさがある不思議な心持ちになりました。
江戸は深川を舞台にした6つの切ない恋物語が収められた本作。江戸期では埋立地として木材問屋や蔵があり、船が行き来する深川。
そんな深川の情景が想像しやすく、また当時の人々の風俗をまるで見てきたかのような自然さで描かれていました。
そのためにより物語に没入でき、当時の人々も貧しさや人生について悩み、こんな風に心をキュッとしたのかもしれないと感じました。
個人的に『がたくり橋は渡らない』がお気に入りです。若い花火師が自身を裏切った女性と心中しようとし、女性のお隣さんに諭される話。お隣さんの忠さんが語る貧しさの辛さとそれでも大切な人を一途に想う強さも粋で素晴らしいのですが、現実は甘くないよなというやりきれなさが切ない物語です。当時の深川の花火と人々の貧しさがどちらも哀愁を誘います。
ぜひ新涼灯火に親しむ際に切ない江戸深川の恋を… -
Posted by ブクログ
江戸の街中、飾職人の後妻に入って間がない八重が亭主を失くすところから話が始まる。
前妻の末娘と暮らし、小間物屋でやりくりする八重に、義理の長男夫婦からの無心、迷惑な隣人との諍い、と次から次へと揉め事が起きる。
裏店で自分の始末をきちんとして、誰にも迷惑をかけずに亡くなっていった老女にも、出ていった育ての娘が遺産目当てにやってくる。
江戸時代が終わってから200年という月日が流れても人の生活周りはなんら変わってない。
そして…小さな幸せが訪れそうな気配の先に、取り返しのつかない不幸が待っている。
宇江佐真理の本は手放しで幸せにはしてくれない。
それでも人は前を向いてどうにか生きていくのだと、諭される。決して冷たくは無いけど、甘やかしてもくれない…この加減が絶妙。
花嵐浮世困話。こんな副題が付いてる。
よのなかこんなもの。
その通りです。
二度と新しい本も読めない。
今まで紡いでくださった本を大事に読んでいきます。