宇江佐真理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ終わってしまった…
宇江佐真理さんは最終回まで描くことにこだらわないと仰っていた
始めはどうあっても最後まで書かねばと思っていらしたようだが、途中で「いつ自分が命尽きてもそれはそれ」と仰るようになった
ご自身の未来を予言したかのような
本当に最後まで描かないうちに身罷られてしまった
残念でならない
上品で情緒ある文章や情景描写
江戸弁のお文のキレの良い啖呵
江戸に生きる、普通の人たちの温もりあるやり取りや、悩みや、事件や
物語の底にはいつも温かさがあった
失敗してもいいんだよとそっと肩を抱いてくれるようなぬくもりがあった
色んな話を収束させるような短編もあるものの、伊与太は絵師としてどうなるのか
茜と伊与太の未来は?
宇江佐真理さんがご存命であったとして、そこを描く終末があるか分からないけれど
伊与太がせめて稼げる絵師になれればいい
そして、武家から町人へとなってしまうが、茜が伊与太と添える日が来るといい
不破といなみなら、きっと許してくれるだろう
そんな未来を思いつつ本を閉じる
幸せな読書体験だった
ありがとう!宇江佐真理さん!
ありがとう、お文
私はお文のように生きたい
いつも心に文吉姐さんを! -
Posted by ブクログ
ネタバレ共に見る夢
妻に先立たれた同僚に、いなみを大切にしようと思う不破友之進
ここまで読んできて思うのは、気難しく感じていたが友之進は実は単に少し短気なだけの、家族思いで単純な人なんだなあと微笑ましい
でも「いなみを妻に迎えた自分は果報者かもしれない」といいつつ、そんなことは間違っても口にしないとも言う
言ってやれよ…
それって現代的なのですかね?
指のささくれ
九兵衛の話
雨降って地固まる、おてんちゃんとめでたしめでたし、に至るまでのあれこれ
昨日のまこと、今日のうそ
三省院(鶴子)の得体のしれなさを感じる一篇
ただただ、大人になった茜の聡明さが切ない
そして良昌
きっと初めて心から信頼できる人が茜だったのだろう
衣食住に困らないとは言え、身分の高い人たちはそれはそれで苦労もあるのだと感じる
自分に誰も本音を話してくれない
まして体の弱い良昌は孤独だった
そこに現れた茜は、様子もよく(美人で)、自分にも遠慮少なく物を言う
そんな茜に伴侶となって欲しかったんだろう
そうなってしまっては、茜に断るすべはない
そんな思いを抱えての帰省
不破の呑気な対応、いなみの包み込むような対応にどれほど癒されただろうか
花紺青
九兵衛の祝言、伊与太の話
空蝉
役人の汚職?の話
汝、言うなかれ
過去の過ちの話
結局死罪になるのか
あんな昔の話証明できないのにね… -
Posted by ブクログ
ネタバレ俯かず
義兄弟の、小平太と龍乃進の絆が深まった回
あの子、捜して
行方不明の子どもの探索をする伊三次
見つかった子どもについて、お吉が「うまくいくのか」と疑問を呈す
ラストがいい
親となった身ならみんなグッとくる
はず
手妻師
当時の最大のエンタメの一つだったのか
芝居小屋よりは格下になるのかもだけど、見世物小屋での手妻(手品)
イケメンなのか、鶴之助にお吉も夢中になるが…
江戸時代は男性優位
不幸な女も子どももたくさんいたんだろうと思わされる
鶴之助もその一人
ラストで死罪になった鶴之助の髪を伊三次が結ってやる
その時に伊三次に「おれもあんたみてェなてて親がほしかった」と言う鶴之助
今もそうだけど、どんな親のもとに生まれるかって本当に大切で
親にとってどれほど子どもたちが大切かを伝えていくことは、子どもの居場所を作り、絶対的な安心を与えられる
親の最大の仕事だなって最近思う
うちの子たちはどう思ってるんだろうなあ
名もなき日々を
不破家の娘、茜の大名家奉公のエピソード
苦労知らずの暴れん坊が、奉公で大人の事情を理解していく
苦労することで大人になるんだなと
親は見えないからいいけれど、心配だし辛いね
昔の人はえらいなあ
その流れからの三省院様御手留
三省院さまが今ひとつ掴みどころがない
いい人なのかどうかも分からない
偉い人なんてこんなものなのか -
Posted by ブクログ
ネタバレあやめ供養で、久しぶりの直次郎登場
言葉遣いから、最初は蔭間かともおもったけれど、いまやお佐和とのあいだに4人の娘がいるという
掏摸から足を洗い、かたぎとして生きているが、関わったところで盗みからの殺人が起きて…
伊三次が直次郎を信じきれない気持ちも描かれる
九兵衛と魚佐の末娘おてんちゃんとの馴れ初めが描かれた赤い花
赤のまんまに魚そえて
松浦医師があやめ供養の話で伊三次に尽力してもらったお礼に九兵衛に台箱を誂えた、その道具開きの料理を下手人(本当は違う)に伊三次が差し入れることで、流れを変える話
人の優しさは心をほぐす
ましてや、江戸時代の女中などはつらい思いのほうが多かったことと思う
そんな境遇ならなおのこと、人の情は身にしみたことだろうなあ
あとはやぶ柑子、ヘイサラバサラ
の2篇 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの巻は長編の体を取っているが、いくつかの話が折り混ざっている
江戸の大火で家を焼け出されてからの10年が描かれている、という共通のテーマがあるのみの長編だ
今日を刻む時計でお吉が急に現れ、それも十歳になっている
そこに至るまでの年月を描いている
お文の父親とのこと
お吉が生まれるときのこと
龍乃進が自堕落になっていた時に割りない仲になっていた小勘、本所無頼派の一人次郎衛との再会
お文と伊三次の別居(火事の影響で)の間のこと
いやいや、盛りだくさん
心が動きまくる1冊
世の中の嫁姑に違わず、いなみもきいに色々思っていたのだと苦笑もしたが、きいはそこがいいところだと
まあそれはきっといなみも分かっちゃいるけど、ってところかな -
Posted by ブクログ
ネタバレなんとかの一つ覚えで星5つしかないけど
だって面白いんだもの、仕方ない
伊与太も大人になった
前巻の「今日を刻む時計」で一気に10年が過ぎていて、赤ちゃんだった伊与太は絵師の元へ修行に出ていた
それが今回色々あって逃げ帰ってきた…
お文と伊三次も互いに切ない恋心を抱き合っていたのが、すっかり伊与太とお吉の父と母になり
心を乱す中身が子どものことになってきた
でもお文も伊三次も思うところはあるだろうに、伊与太を受け止め気が済むまで休ませてやってる
えらいなあ
そして、きいと名を改めた徳江と龍乃進の睦まじさも折々に描かれていた
また、茜のきいに対する複雑な思い(兄が好きってことだよね)、大名屋敷に奉公に上がることになった茜への龍乃進の心配
伊与太とお吉の素っ気ないながらも互いを案じる気持ち
おふさが松助と祝言をあげたが、その時のおふさの兄の喜びよう
親と子、兄弟姉妹、夫婦
色んな間柄の情愛に溢れた1冊だった
シリーズ後半
読み終えたくないわー -
Posted by ブクログ
ネタバレ明烏は伊三次と添ったことをかすかに後悔してしまったお文が、辻占い氏の導きでもう一つの人生を体感するお話
右に行ったら「左に行ったらどういう人生だったんだろう」と思うし、逆も然り
いいことばかりの人生なんて待ってはいない
今ある幸せを大切にしなければ、と私も思った
黒い振袖を今読み終えたのだけれど、ここまで読んできた伊三次シリーズのなかで一番好きかも
かがり姫が本当に素敵で、かすかに心惹かれる龍乃進の切ない気持ちが伝わってくる
姫は姫で思うようにいかない人生であろうが、貝之助が耳は不自由でも立派な藩主になれるであろう予感を残した最後で、後味も良かった
伊三次とお文の話をその前の明烏で満喫した後の、龍乃進話だったせいか本当に満足
読み終わったので追記
雨後の月
おみつがお文のもとを訪ねてくることから始まる
気まずそうな感じがあったので、子が流れた時にお文に対して口にした失礼な言葉を悔いてのことかと思ったら違った
まあ、直接お文に言ったわけではないんだけどね
なんか釈然としないし、あれ以来おみつが嫌いな私…
それに対してお文はどうだ!
なんと器が大きいことか
巻を(歳を)重ねるごとにお文はいい女になっていく
女性に人権なんかなかった時代の30代は年増扱いで、まして芸者業のお文にはさぞや生きづらかろうと思うのに
お文はどんどん人として練れていく
素敵だなー
この話はおみつ夫婦、そしておみつの実家の話
再追記
あとがきに、宇江佐さんが素人書評(ブグログみたいなところかな?)についてちょっと毒吐いてて面白かった
宇江佐真理さんご存命なら、私のコメントはどうご覧になるんだろう
私は好きか嫌いかしかないし(文学的なアレコレなんて分からないから語りようがないし)、登場人物にあれこれ思うことを書き散らしているだけ
宇江佐真理さんの描く人に惚れ込んでいるので、許してくださいー -
Posted by ブクログ
ネタバレ宇江佐真理、9冊目は読んで後悔しない短編小説。
藤沢周平を尊敬する作家として最も充実していた時期の作品群は、駄作なしの傑作揃いです。
本作も6篇の短編集なので勝手にランク付してみる。寸評は評価A以上の作品のみ。
【S=傑作、A=秀作、B=並、C=駄作 】
♦「ため息はつかない」A- 奉公先の器量の悪い娘との縁談話。「豊吉は笑っておふみの肉付きのよい肩に自分の腕を回した」豊吉が、奉公人から若旦那への昇格の瞬間だが、生真面目な豊吉の性格から、この展開は早すぎる
♦「裾継」A 苦しくても今より悪くなければ幸せ。諦念が幸せには肝心
♦「おはぐろとんぼ」S 珍しく(?)タイトル作品が傑作。
♦「日向雪」A- 兄弟から金を無心する出来損ないの弟だったが、その金の使い道は…
♦「御厩河岸の向こう」A- 生まれ変わりの弟とその姉
♦「隠善資正の娘」A+ 消息不明だった生き別れの娘を見つけた隠善は…
また本作には、作者による「文庫本のためのあとがき」と遠藤展子と大矢博子の二人による「解説」が読めるお得版ですよ~。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいいですねえ
江戸に生きてたことはないんだけど(当たり前)
江戸情緒たっぷり感じられる
篠綾子さん、坂井希久子さん、からの宮部みゆきさん、池波正太郎さん、そして今宇江佐真理さんにたどり着いたわけですが
篠綾子さんは特に、時代小説のラノベに近いかな
時代小説のとっかかりとしては最適解でした
坂井希久子さんもそこに近い
宮部みゆきさんも人情味あるお話しですが、より宇江佐真理さんのほうがしっとり
宮部みゆきさんはユーモアある言い回しも多くて、さっぱりしている感じかな
ますます時代小説にハマりそうです
と、他との比較はこの辺にして
髪結い伊三次シリーズ二作目
この巻では、文吉(お文)と伊佐次の行き違いで離れてしまったり、伊佐次が濡れ衣着せられてしょっ引かれ、拷問にかけられたりする
不破と伊佐次の不和(ダジャレ)や、いなみの因縁なども描かれる盛り沢山な内容
言葉遣いが粋というのか、カッコよくて
読んでいてワクワクしてしまう
そして、お文と伊三次の恋愛模様もいい!
でも、お金がなくて養えない…なんて、今の世の中に通じる悩みで何とも言えず切ない
でも、伊三次が濡れ衣着せられた時の調べの苛烈さは、似たようなシーンが鬼平犯科帳でも頻繁に描かれていたが…
鬼平犯科帳は極悪人ばかりがそういう目に遭わされるので良いけれど、ちょっとした状況証拠だけで痣だらけになるほどの暴力を受けるとは…
冤罪なんていっぱいあったはず
科学的な証明もない時代、冤罪のまま死罪とかもざらにあったんだろうなあ
いろんなことが法整備された今の世に生まれた幸せも思う -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく面白くて読み応えがあって、切なくて悲しい物語だった。主人公?の遊のさっぱりした素直な物言いが素敵で、話し方が好き。嘘も言わない、自分の気持ちをはっきりと相手に伝えるし、案外相手のことも気遣う優しさがあるし。自分の道を行くのもかっこいいと思う。遊が実母と梅を付けている時に、実母に対して思ってる好意を言うシーンが何度読んでも泣ける。良い子なのに、別に連れ去られて山育ちで狼女みたいな姿、言動なのは遊のせいじゃないのに。育ての親が遊を思っていたというのが出てくるシーンも泣ける。殿とのシーンも切なくて泣ける。2人一緒に暮らせたら幸せだったろうに。でも、不幸せでもないんだろうけど。遊がどう過ごして死んでいくのか気になる。どうか笑って死んでいますように。本当に久しぶり読んだ心に残る本。語りたくなる本。