あらすじ
父の跡を継ぎ、料理茶屋で料理人を務めるおせん。親方の板前とたびたび衝突しては、稲荷堀の水を眺めて心を静めていたが……。江戸下町の堀を舞台に、市井に生きる人々の人情を鮮やかに描いた感動の傑作短編6編を収録。
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Posted by ブクログ
宇江佐真理、9冊目は読んで後悔しない短編小説。
藤沢周平を尊敬する作家として最も充実していた時期の作品群は、駄作なしの傑作揃いです。
本作も6篇の短編集なので勝手にランク付してみる。寸評は評価A以上の作品のみ。
【S=傑作、A=秀作、B=並、C=駄作 】
♦「ため息はつかない」A- 奉公先の器量の悪い娘との縁談話。「豊吉は笑っておふみの肉付きのよい肩に自分の腕を回した」豊吉が、奉公人から若旦那への昇格の瞬間だが、生真面目な豊吉の性格から、この展開は早すぎる
♦「裾継」A 苦しくても今より悪くなければ幸せ。諦念が幸せには肝心
♦「おはぐろとんぼ」S 珍しく(?)タイトル作品が傑作。
♦「日向雪」A- 兄弟から金を無心する出来損ないの弟だったが、その金の使い道は…
♦「御厩河岸の向こう」A- 生まれ変わりの弟とその姉
♦「隠善資正の娘」A+ 消息不明だった生き別れの娘を見つけた隠善は…
また本作には、作者による「文庫本のためのあとがき」と遠藤展子と大矢博子の二人による「解説」が読めるお得版ですよ~。
Posted by ブクログ
宇江佐真理、まだ未読があってうれしい。
もう新作には出会えないから。
主人公の境遇があまりにひどいと、読むのもつらくなるが、泣いても最後は温かくなる。
江戸のじめじめした長屋の蚊柱とか想像したらこわいよね
Posted by ブクログ
藤沢周平の『橋ものがたり』を意識したかの、江戸の虚実含めた河岸を副題にした、市井小説6篇。
どの作品も江戸の情緒をたっぷりと味わわせてくれ、しみじみとした余韻がある。
異色なのは、「河岸の向こう」。輪廻転生を思わせ、SF的でもある。