宇江佐真理のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレこの本が受賞作で、デビュー作でもある。
北海道に居ながら江戸の時代物を書く作家。宇江佐真理の文章は、湖のさざ波のように、穏やかだ。小さな波が繰り返すうちに、登場人物の像は深くくっきりと生き生きと動き出す。江戸の市井の人情と粋とやせ我慢。
みんなみんな一生懸命生きている。
ワクワクするようなドラマティックなストーリー展開ではないが、しみじみと読むうちに、ハマる宇江佐ワールド!
連作はまだまだ続くが、この作家さん、今はもう生きては居ない。新作ができないことが悲しくなる。
この本からシリーズ化されるのは、『髪結伊三次捕物余話シリーズ』文庫本サイズで読みたいシリーズ。 -
Posted by ブクログ
「髪結い伊三次捕物余話」も終盤にさしかかっています。
お気に入りのシリーズ、ゆっくり読んでいます。
伊三次は義兄の髪結い床(床屋さんですね)も手伝いつつ、廻り髪結いの仕事も続けています。
伊三次と芸者のお文の息子・伊与太は、絵師に弟子入りしていましたが、師匠が急逝。
すぐには落ち着き先が決まらず、ひそかに恋する茜のことに思いを馳せます。
不破友之進の娘・茜は松前藩の奥女中となっていますが、剣の腕を生かすための警護役なので男装。表紙の若衆髷のきれいなお兄さん?が茜なのです。
藩では跡継ぎが病弱なため、お家騒動が持ち上がりかけていて、若君に好かれている茜は巻き込まれていきます。
そんなとき‥? -
Posted by ブクログ
ネタバレもし、あの時違う選択をしていたら別な人生があったのではないか…。誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
お文も生活に追われる忙しない日々の中、辻占いの女に声をかけられ、もし大店の娘という選択をしていたらと思ってしまいます。そして頭を打った拍子にお文は大店の娘という生き方を選んでいたことになっていました。果たして幸せな人生が待っていたのでしょうか…。
そんな不思議な出来事の話『明烏』を始め、番方若同心となった不破龍之進の成長していく日々を描く『委細かまわず』『黒い振袖』等々、心に残る話が多かったです。
そして何より表題作『我、言挙げす』。
またまた火事に巻き込まれ、家を失った伊三次。 -
Posted by ブクログ
やっぱり宇江佐真理は巧い❗
読みやすい文章と、リーダビリティはさすが。
大店の箱入り娘だったうめは武家に嫁ぐが心底馴染めず、夫が亡くなり子供達も独り立ちしてから、念願の町屋で一人暮らしを始める。
捕物帖どころか、なぁんの事件も起きない。ホント、日常と親戚のゴタゴタがあるだけ。なのに、おもしろい。するする次を読んでしまう。次々に登場人物が増えるけれど、書き分けもすばらしく上手くて、きちんと全員人となりが分かるし、それぞれに愛着がわく。
最後、未完とは言え、「うめ再起する」で終わっているところもよかった。
もっと宇江佐作品を読みたかったけれど。 -
Posted by ブクログ
初の作家さん。時代恋愛小説。時代小説は、前回の猫の手屋シリーズから2冊目。恋愛小説は、記憶の限り初か…な? イニシエーションラブも、基本的にラブストーリーだけど、個人的にはどっちかっていうと「どんでん返しを確認するために読んだミステリー」という認識で読みました。純粋に読んだ恋愛小説としては初かなあ、多分。
中学生時代、ティーンズハートから出てたものも結構読み漁ったけど(勿論恋愛)、大人になってからは、逆に恋愛は手を付けていなかったのです。
だからそういった意味で、恋愛小説、しかも読み慣れない時代物、というのは新鮮でした。
連作短編集なのだけど、初述のとおり初の作家さんなので、最初の一話目・下 -
Posted by ブクログ
ネタバレ同心、不破の息子龍之介が元服し、見習いとして出仕しました。同輩の見習い達と“八丁堀純情派”を結成し、一人前になるべく頑張っています。“本所無頼派”と言われるお騒がせ連中を追ううちに初恋のあぐりと再会し、心乱されます。結ばれることは叶わない相手ですが、あぐりの父の事件のことで負い目もあり、あぐりの幸せを願うのですが…。
いやぁ、彼は何年後かにはいい男になるでしょうね。楽しみです。
『妖刀』では伊三次の強運さを、『おんころころ』では親の愛を思いました。昔は病気で子を喪うことも多かっただろうし、お文の悟ったような「寿命だと思って諦める」という言葉は運命に委ねるしかないという気持ちだったと思いま -
Posted by ブクログ
ネタバレお江戸の人情と美味しい食べ物は最強の組合せだ。
北町奉行所の同心の家に嫁いだのぶ。
食い道楽で気さくな性格の舅と口調は厳しいけれど根は優しい姑に大事にされていた。
けれど肝心の夫とは心がすれ違い冷やかな関係にあり、夫の心無い言葉に思い悩んでいた。
物語の展開と共に絡められる素朴な料理にそそられる。
黄身返し卵、淡雪豆腐、水雑炊、心太、ちょろぎ、そして卵のふわふわ。
作り方の説明を読むとそんなに難しくはなさそうだけれど、ちょっとした火や味の加減で大きく変わりそうなものばかり。
心を込めて作られた料理を一緒に美味しく食べる。そうすれば仲違いしていた気持ちも一つになれるのかも。
卵のふわふわ、私 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2017/12/3
「後悔はしませんのさ」かっこいいなぁ。
後悔してても後悔はしませんのさと言い聞かせているだけでもかっこいい。
私もそうしよう。
不破様ホントにどストレートに謝って驚きです。
その後の伊佐治の思いと不破様と涙のやり取りにも感動。
って言うか萌える。
やばい。
妖術使いとの戦いでお疲れのご様子やったけど、不破様大丈夫かな?
伊佐治とお文の祝言で今後の展開も楽しみすぎる。
祝言といえば初代女中のおみつが嫁に行って寂しく思ってたけど次に来たおこなも違うタイプでなかなかおもしろいし流石としか言いようがない。
伊勢忠はどうなったんだろう。
早く次読まねば。