宇江佐真理のレビュー一覧

  • 幻の声 髪結い伊三次捕物余話

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    この本が受賞作で、デビュー作でもある。
    北海道に居ながら江戸の時代物を書く作家。宇江佐真理の文章は、湖のさざ波のように、穏やかだ。小さな波が繰り返すうちに、登場人物の像は深くくっきりと生き生きと動き出す。江戸の市井の人情と粋とやせ我慢。
    みんなみんな一生懸命生きている。
    ワクワクするようなドラマティックなストーリー展開ではないが、しみじみと読むうちに、ハマる宇江佐ワールド!
    連作はまだまだ続くが、この作家さん、今はもう生きては居ない。新作ができないことが悲しくなる。

    この本からシリーズ化されるのは、『髪結伊三次捕物余話シリーズ』文庫本サイズで読みたいシリーズ。

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    2018年10月20日
  • 明日のことは知らず 髪結い伊三次捕物余話

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    2018/8/28
    作者の病状を知っているからどうしても作品と結び付けてしまうけど、やっぱりそういう心境が書くものに表れてるよね。
    死を意識したものが多かった。
    亡くなった人を思うこと、自分の将来の死を思うこと、あの人もいつかは必ず死ぬんだということ。
    結局は今を丁寧に人に優しく生きるしかないと思うんだけど、もっと近くに自分の死を意識したとき私はどう思うんだろう。
    準備できる死がいいのか、突然やってくる死がいいのか、それさえもわからないな。

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    2018年09月02日
  • 名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話

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    「髪結い伊三次捕物余話」も終盤にさしかかっています。
    お気に入りのシリーズ、ゆっくり読んでいます。

    伊三次は義兄の髪結い床(床屋さんですね)も手伝いつつ、廻り髪結いの仕事も続けています。
    伊三次と芸者のお文の息子・伊与太は、絵師に弟子入りしていましたが、師匠が急逝。
    すぐには落ち着き先が決まらず、ひそかに恋する茜のことに思いを馳せます。

    不破友之進の娘・茜は松前藩の奥女中となっていますが、剣の腕を生かすための警護役なので男装。表紙の若衆髷のきれいなお兄さん?が茜なのです。
    藩では跡継ぎが病弱なため、お家騒動が持ち上がりかけていて、若君に好かれている茜は巻き込まれていきます。
    そんなとき‥?

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    2018年07月30日
  • 擬宝珠のある橋 髪結い伊三次捕物余話

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    今まで文庫本で読み続けてきたけれど、前作「竃河岸」と本作は単行本でしか刊行されていない。本作で最後のお話になってしまうとの事、思わず購入してしまいました。この人情味あふれる語り口、最後だと思うと辛い。
    シリーズの主人公、伊佐次と伊佐次を支える人達、特にお文は歳をとるにつれどんどん人情が濃くなってくる。
    子を想う、そして近隣の人たちを想う気持ちは強く伝わってくる。
    近い将来、伊与太と茜が結ばれることを強く願いたい。

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    2018年07月28日
  • 今日を刻む時計 髪結い伊三次捕物余話

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    火事から10年経ち、伊三次の息子は絵師の弟子になり家を出て、伊三次に娘も生まれていました。不破の息子の龍之進は嫁をとっていても良い齢なのですが、良縁に恵まれずに…という巻でした。
    龍之進は自分のところに嫁が来ないのは母の過去のせいだと自暴自棄になっていました。母のいなみは強い女性と思っていましたが、息子には弱く、内心は複雑だったでしょうね。立ち直ってくれて良かったです。そして、龍之進は、おゆう、ひふみ、徳江というそれぞれの女性に縁を持ちますが、果たしてどの女性と結婚するのか、最後まで楽しみに読みました。

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    2018年07月24日
  • 心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話

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    2018/7/13
    伊与太と茜お嬢さんの今後が気になる。
    すっかり次世代に移ってしまったなぁ。
    もっと読みたいのに作者は亡くなってしまっているんだよな。
    人の寿命とはなんだろう。

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    2018年07月16日
  • 今日を刻む時計 髪結い伊三次捕物余話

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    2018/6/10
    え?10年経ってるよ。
    飛ばしてないか何度も背表紙を確認しました。
    そうかー
    もう完全に主役は息子の龍之進。
    そうかー
    若人の成長を見るのもいいんだけど、大人の粋も見たいんだけど。
    若人の成長を描く本はいっぱいあるものね。

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    2018年06月10日
  • 我、言挙げす 髪結い伊三次捕物余話

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    もし、あの時違う選択をしていたら別な人生があったのではないか…。誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
    お文も生活に追われる忙しない日々の中、辻占いの女に声をかけられ、もし大店の娘という選択をしていたらと思ってしまいます。そして頭を打った拍子にお文は大店の娘という生き方を選んでいたことになっていました。果たして幸せな人生が待っていたのでしょうか…。
    そんな不思議な出来事の話『明烏』を始め、番方若同心となった不破龍之進の成長していく日々を描く『委細かまわず』『黒い振袖』等々、心に残る話が多かったです。
    そして何より表題作『我、言挙げす』。
    またまた火事に巻き込まれ、家を失った伊三次。

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    2018年05月29日
  • 我、言挙げす 髪結い伊三次捕物余話

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    2018/3/16
    龍之進が成長してきてちょっと馴染んできた。
    「委細かまわず」がすごかった。
    最後で鳥肌がぶわっとなるやつやった。
    もうちょっと不破様見たいんだけどなぁ…

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    2018年03月18日
  • 雨を見たか 髪結い伊三次捕物余話

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    収録作『おれの話を聞け』では、あのメロディー? フレーズ? が頭の中をグルグルとしていました(笑)。話は龍之進の同僚の姉が病により嫁ぎ先から実家に戻ってきていたのですが、その夫に早くも新しい嫁を迎える話がでて…、という展開でその時に「おれの話を聞け」と。話が決着してから龍之進が伊三次に「おれの話を聞け」と言ったことがあるかと聞いていたのが微笑ましい。
    『のうぜんかずらの花咲けば』表題作『雨を見たか』等、龍之進が成長していっている姿が見られる巻でした。

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    2018年03月14日
  • 君を乗せる舟 髪結い伊三次捕物余話

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    2018/2/1
    龍之介が大人になっちゃう。寂しい。
    九兵衛に八つ当たりするのかわいくない。
    今回は龍之介改め龍之進の回だったな。
    私はお父さんが好きなのでちょっと寂しかった。

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    2018年02月05日
  • うめ婆行状記

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    やっぱり宇江佐真理は巧い❗
    読みやすい文章と、リーダビリティはさすが。
    大店の箱入り娘だったうめは武家に嫁ぐが心底馴染めず、夫が亡くなり子供達も独り立ちしてから、念願の町屋で一人暮らしを始める。
    捕物帖どころか、なぁんの事件も起きない。ホント、日常と親戚のゴタゴタがあるだけ。なのに、おもしろい。するする次を読んでしまう。次々に登場人物が増えるけれど、書き分けもすばらしく上手くて、きちんと全員人となりが分かるし、それぞれに愛着がわく。
    最後、未完とは言え、「うめ再起する」で終わっているところもよかった。
    もっと宇江佐作品を読みたかったけれど。

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    2018年01月24日
  • うめ婆行状記

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    良かったー。
    宇江佐さんの作品は登場人物の言葉はスカッとして心地良く、そしてあたたかくてホッとしつつハッとさせられる。
    女性として生きにく時代だったのに、連れ合いが亡くなり自分の思うように生きていき、色んなことを感じ日々を過ごす過程がとても良かった。
    ただ、どうしても宇江佐さんの描く子供は可愛げがなく好きになれない笑

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    2018年01月23日
  • 深川恋物語

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    初の作家さん。時代恋愛小説。時代小説は、前回の猫の手屋シリーズから2冊目。恋愛小説は、記憶の限り初か…な? イニシエーションラブも、基本的にラブストーリーだけど、個人的にはどっちかっていうと「どんでん返しを確認するために読んだミステリー」という認識で読みました。純粋に読んだ恋愛小説としては初かなあ、多分。
    中学生時代、ティーンズハートから出てたものも結構読み漁ったけど(勿論恋愛)、大人になってからは、逆に恋愛は手を付けていなかったのです。
    だからそういった意味で、恋愛小説、しかも読み慣れない時代物、というのは新鮮でした。

    連作短編集なのだけど、初述のとおり初の作家さんなので、最初の一話目・下

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    2018年01月18日
  • 糸車

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    主人公の人柄が好きで憧れます。普通のおばちゃんなのに魅力的。私もこんなおばちゃまになれれば、豊かな人生を送れそう。話の内容も面白く、きれいな終わり方なので、スッキリ読み終えれました。

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    2018年01月12日
  • 君を乗せる舟 髪結い伊三次捕物余話

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    同心、不破の息子龍之介が元服し、見習いとして出仕しました。同輩の見習い達と“八丁堀純情派”を結成し、一人前になるべく頑張っています。“本所無頼派”と言われるお騒がせ連中を追ううちに初恋のあぐりと再会し、心乱されます。結ばれることは叶わない相手ですが、あぐりの父の事件のことで負い目もあり、あぐりの幸せを願うのですが…。
     いやぁ、彼は何年後かにはいい男になるでしょうね。楽しみです。

     『妖刀』では伊三次の強運さを、『おんころころ』では親の愛を思いました。昔は病気で子を喪うことも多かっただろうし、お文の悟ったような「寿命だと思って諦める」という言葉は運命に委ねるしかないという気持ちだったと思いま

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    2018年01月09日
  • さんだらぼっち 髪結い伊三次捕物余話

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    2018/1/5
    2018年最初の1冊はこれ。
    悲しい話が多かったけどその悲しさや切なさも大切に感じた。
    お文とおみつはどうなるのかねぇ。
    すごく悲しいことがあって心に余裕がないとき、ついおみつみたいなこと言っちゃうもの。
    おみつはこの時ホンマにどん底やったから、こんな物言いもやむを得ないよね。本心じゃないよね。
    後悔したんだと思うんだけど、どうなのかな。
    お文もつらかったね。
    二人のこれからが気になる。

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    2018年01月08日
  • 卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし

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    お江戸の人情と美味しい食べ物は最強の組合せだ。

    北町奉行所の同心の家に嫁いだのぶ。
    食い道楽で気さくな性格の舅と口調は厳しいけれど根は優しい姑に大事にされていた。
    けれど肝心の夫とは心がすれ違い冷やかな関係にあり、夫の心無い言葉に思い悩んでいた。

    物語の展開と共に絡められる素朴な料理にそそられる。
    黄身返し卵、淡雪豆腐、水雑炊、心太、ちょろぎ、そして卵のふわふわ。
    作り方の説明を読むとそんなに難しくはなさそうだけれど、ちょっとした火や味の加減で大きく変わりそうなものばかり。
    心を込めて作られた料理を一緒に美味しく食べる。そうすれば仲違いしていた気持ちも一つになれるのかも。
    卵のふわふわ、私

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    2018年01月03日
  • さらば深川 髪結い伊三次捕物余話

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    2017/12/3
    「後悔はしませんのさ」かっこいいなぁ。
    後悔してても後悔はしませんのさと言い聞かせているだけでもかっこいい。
    私もそうしよう。
    不破様ホントにどストレートに謝って驚きです。
    その後の伊佐治の思いと不破様と涙のやり取りにも感動。
    って言うか萌える。
    やばい。
    妖術使いとの戦いでお疲れのご様子やったけど、不破様大丈夫かな?
    伊佐治とお文の祝言で今後の展開も楽しみすぎる。
    祝言といえば初代女中のおみつが嫁に行って寂しく思ってたけど次に来たおこなも違うタイプでなかなかおもしろいし流石としか言いようがない。
    伊勢忠はどうなったんだろう。
    早く次読まねば。

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    2017年12月03日
  • 幻の声 髪結い伊三次捕物余話

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    2017/11/1
    おもしろかった。
    最初はなんかヤな奴と思った不破さんだけど、妻いなみさんの話で見直しておばあちゃんの畳の話で「大好き!」となった。
    単純な私。
    初めに印象悪かった人のほうがひとたび「好き!」となったときにすごく好きになるのはいつものこと。
    今では不破さんが一番好き。奥さんも好き。
    続きがいっぱいあるようでうれしい。
    そして散髪してもらいながら髪結いの話を読むシチュエーションに一人ほくそ笑んだ。

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    2017年11月01日