宇江佐真理のレビュー一覧

  • あやめ横丁の人々

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    著者自身、あとがきで「時代小説というよりファンタジー」と言っているように、そんな馬鹿な、といったストーリーです。でも、そうはっきり割り切っているからでしょう、なかなか面白く読めます。そこいらは著者の力量でしょうね。
    もう一つ、なんか読んでいていつもと雰囲気が違うと思ったのは、この作品が新聞小説として書かれたものだからのようです。連作短編のように、小さな盛り上がりが多数有って、その代わりに大きな盛り上がりは少ないのです。
    余りしっとりした感じは無いですが、まずまず良く出来た時代小説でしょう。

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    2017年10月30日
  • 黒く塗れ 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    面白いだけではないどこか哀愁を感じるシリーズです。
    『蓮華往生』では文吉と伊三次とは違い、夫婦になることは許されなかった緑川と喜久壽、その二人の仲を思い悩み寺へ通い詰める緑川の妻、その寺での不思議な出来事に事件性が…という話。
    真相を突き止めるために自ら危険な囮となる緑川ですが、喜久壽の心配をよそに緑川が選んだのは妻で、それを目の当たりにした喜久壽はショックだったでしょうね。
    『畏れ入谷の』もまた切ない話でした。自分の妻が家計の為に大奥にあがり、将軍に見初められてしまったために別れなければならず、共に想い合っているだけにやり場のない思いがします。
    『月に霞はどでごんす』ではお文と伊三次に待望の

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    2017年10月25日
  • 明日のことは知らず 髪結い伊三次捕物余話

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    シリーズ11作め。
    作者はデビュー20周年だったそうです。

    廻り髪結いの伊三次は、町方同心の不破親子の手伝いもつとめているため、捕物にも関わっています。
    だんだん、若い世代の話が増えていましたが。
    今回は伊三次の出番が続き、女房で芸者のお文姐さんのいいシーンもあって、古くからのファンも満足する短編連作となっています。

    「あやめ供養」
    伊三次が髪結いに行ったことのある町医者の家族に事件が起こり、容疑者として直次郎の名が。
    久々の再会に驚く伊三次。
    直次郎はすっかり良い父親になっているようなのだが?

    「赤い花」
    魚問屋の末娘は、大柄な男勝りで店にも出て働いている。
    そんな娘に、縁談が‥?

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    2017年09月24日
  • 擬宝珠のある橋 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    ああ、終わってしまった。
    きちんと収まるところに収まった気もするし、伏線のままになってしまったこともあるのだけど。まるで連れ添った夫が、はたりといなくなったよう。

    いや別に所帯じみているわけじゃないのだが。市井の暮らしを細やかに書いているからか…。ゆれる伊三次さんだけでなく、お文さんの気持ちも私は読みたかった。

    女って。男って。
    人に惚れて添うってなんだろうってことや…。時代小説の面白さを教えてくれたシリーズでした。読めてよかった。

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    2019年09月18日
  • 名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話

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    宇江佐さんがデビュー以来書き続けた伊三次シリーズの十三冊目。伊三次の子どもたちが主役になる物語が中心。
    息子の伊予太は新しい絵師の師匠の元へ、娘のお吉は女髪結い師を目指して修行中。不破の娘・茜は松前藩のお家騒動に巻き込まれる。シリーズ内では第三世代にあたる彼らが一歩ずつ大人の階段を上っていくのが、頼もしくもあり心配でもあり。宇江佐さんが亡くなった為、物語もあと僅か。噛みしめるように読んでいきたい。

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    2017年01月09日
  • 昨日のまこと、今日のうそ 髪結い伊三次捕物余話

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    201612/今回は特に、老若男女どのキャラの視点も感情も染み入ってきて、読んでて目が熱くなることがしばしば。

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    2017年01月01日
  • 明日のことは知らず 髪結い伊三次捕物余話

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    明日のことは誰にもわからない。思いもよらず幸せが訪れたり、突然の災難にあったり。そんな人生の機微を人情味たっぷりに描く人気シリーズ。
    四十の声を聞き、伊三次の性格も丸くなって涙脆くなってきた。自身の子供の成長に親ながら驚き、親しい人物の訃報に嘆く。時代は違うといえども、この年齢になると思うところは一緒なんだなあと思う。

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    2016年12月28日
  • 幻の声 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    宇江佐さんの本は『雷桜』に次いで2冊目です。デビュー作ということですが、素晴らしいです。
    髪結いの本業の傍ら、町方同心の手先をつとめる伊三次。そして伊三次と“いい仲”の芸者のお文。二人の周りで起きた事件はどれも切ないです。特に『赤い闇』『備後表』は胸が痛くなりました。『星の降る夜』も不運の伊三次にとっては厳しい結末だったかもしれません。でも「銭で済むことなら…」という同心不破の妻いなみの言葉に私も伊三次同様、はっとさせられました。そういう人間の深みを感じさせる物語を淡々とした文章で綴られる宇江佐さんに感嘆!

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    2016年12月04日
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話

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    2016.9.17
    昔語り。
    お文と父親との交流が切ない。
    火事見舞いに大枚を渡してくれた。
    互いに名乗りあわずとも心通う。

    味噌屋の事件が腹立たしい。下手人の悪どさにいたたまれない。真相がわかって良かった。

    次郎衛と龍之進の不思議な友情にほっこりした。次郎衛は龍之進の小者になって近い将来、大事件を解決していくその伏線かも…

    2025年3月18日
    再読

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    2016年09月18日
  • 雪まろげ―古手屋喜十 為事覚え―

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    浅草で小さな古着屋を営む喜十。店先に捨てられた赤子を養子にすることになり、新しい家族で新たな春夏秋冬の一年を過ごすことになる。ほんとうの人生が見えてくる連作人情シリーズの第二弾。
    昨年11月に亡くなった作者のシリーズ物の一作。残念ながら続きを知ることは出来ないが、恐らくレギュラーメンバーが増えて、賑やかで楽しいシリーズになったことだろう。宇江佐さんの作品は常に人間の『心のなかの鬼』をテーマにしている。本作のなかでも背筋が凍るようなエピソードがある。単純な人間讃歌でない人情ものが、もう新作がないと思うと寂しく感じる。

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    2016年09月04日
  • 擬宝珠のある橋 髪結い伊三次捕物余話

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    表題作が好き
    お年寄りが幸せになる話は、読んでる方も幸せになる

    この後皆どうなるのか、どう成長するのかが読めないのが
    本当に残念

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    2016年08月31日
  • 黒く塗れ 髪結い伊三次捕物余話

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    髪結い伊三次捕物余話、第5巻。
    捕物のストーリーも良く練られているし、第1巻から続く登場人物のキャラクターも魅力的で、読後感も良く、安心して読める本。
    ずっと気になっていた直次郎がでてきて、こればっかりは取り返しのつかない方向へ行くのではないかと、本当ハラハラして読みました。
    良かった、ホント、良かった。

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    2016年08月21日
  • 幻の声 髪結い伊三次捕物余話

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    デビュー作とは思えない安定感。
    人物描写が丁寧で生き生きしていて、人情噺でほろっときたりクスッとしたり。
    作者の逸材ぶりがうかがえます。

    読み終わった時すでに書店の開いている時刻ではなかったのですが、今すぐこのシリーズの先が読みたくてうずうずしてしまいました。
    明日 朝イチで買いに行こうかな。

    ただ何気なしにこのシリーズのことを調べていたら、この先の話で伊三次に殺人の疑惑がかかった時、信頼していた不破友之進が信じてくれなかった、とか、想い人の文吉と別れる、ということを知ってしまい(その後 よりを戻したり仲直りするようですが)、ちょっと読むのを躊躇っています。
    信じている人に裏切られる話は苦

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    2016年08月03日
  • 心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話

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    シリーズものなんだけど、前後して読んでいる。だけど、すんなり入っていけるのは宇江佐ワールドです。
    今回も親子の情みたいなものがあちこちに盛り込まれていて良かった。

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    2016年07月30日
  • さらば深川 髪結い伊三次捕物余話

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    今回も伊三次の活躍とお文の掛け合いがとても楽しく読めた。おこなの登場でいろいろあったけど、変化もあって良かった。

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    2016年07月26日
  • 雪まろげ―古手屋喜十 為事覚え―

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    著者自身としては、このシリーズ、まだまだ続けたい意向だったろう。
    しかし、最終話『再びの秋』の最終行、「冬の季節にも拘らず、喜十の気持ちは存外、温かく満たされていた。」などを読むと、これで完結かのような終わり方。
    著者は、予感していたのでは・・・邪推かな。合掌。

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    2016年07月23日
  • 糸車

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    ネタバレ

    松前藩江戸家老の夫を亡くし、行方不明の息子を探すため江戸小間物の行商をしながら暮らすお絹。様々な人と助け合いながら暮らすお絹。ひたすらに息子を思って、自分を思ってくれる同心の持田を時には邪険にしてしまうお絹が切ない。息子が見つかり藩に戻ることが決まったなら、持田と一緒になって幸せになってほしかったなぁ。

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    2016年07月22日
  • 名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話

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    このシリーズは前にも読んでいるのだけど、子供たちがこんなに成長していたとは・・・
    宇江佐さんの作品は大好きなので残念ですが、なるべく多く読みたいと思います。

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    2016年07月19日
  • 古手屋喜十 為事覚え

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    古着屋を営んでいる主が主人公というユニークな新シリーズ。
    ちょっととぼけた感がある古着屋喜十と、彼に捕り物の手伝いを依頼する隠密廻り同心上遠野平蔵との、間合いが微妙で、何とも面白く、まだまだ続けてほしかった。
    著者の急逝により、次回作『雪まろげ』以降はなく、残念・・・合掌。

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    2016年07月18日
  • 卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし

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    ネタバレ

    きっかけ:たまたま本屋で手に取った。
    感想:気になる終わり方。もどかしい!
    食いしん坊の義父やいっけんがさつな義母とはうまくいっているが、夫婦仲は微妙。離縁を切り出し、親戚の料亭に移る妻。離縁はあいまいなままの別居をつつけるが、事件をきっかけに関係が変わっていく。
    読んでいるともどかしくて物語なのに口を出したくなる。
    失った(かもしれない)ものがあって、得たものがある。
    切ないが、読み応えのある一冊。
    この一冊から宇江佐さんのシリーズを読むようになった。

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    2016年07月09日