宇江佐真理のレビュー一覧
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ネタバレ面白いだけではないどこか哀愁を感じるシリーズです。
『蓮華往生』では文吉と伊三次とは違い、夫婦になることは許されなかった緑川と喜久壽、その二人の仲を思い悩み寺へ通い詰める緑川の妻、その寺での不思議な出来事に事件性が…という話。
真相を突き止めるために自ら危険な囮となる緑川ですが、喜久壽の心配をよそに緑川が選んだのは妻で、それを目の当たりにした喜久壽はショックだったでしょうね。
『畏れ入谷の』もまた切ない話でした。自分の妻が家計の為に大奥にあがり、将軍に見初められてしまったために別れなければならず、共に想い合っているだけにやり場のない思いがします。
『月に霞はどでごんす』ではお文と伊三次に待望の -
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シリーズ11作め。
作者はデビュー20周年だったそうです。
廻り髪結いの伊三次は、町方同心の不破親子の手伝いもつとめているため、捕物にも関わっています。
だんだん、若い世代の話が増えていましたが。
今回は伊三次の出番が続き、女房で芸者のお文姐さんのいいシーンもあって、古くからのファンも満足する短編連作となっています。
「あやめ供養」
伊三次が髪結いに行ったことのある町医者の家族に事件が起こり、容疑者として直次郎の名が。
久々の再会に驚く伊三次。
直次郎はすっかり良い父親になっているようなのだが?
「赤い花」
魚問屋の末娘は、大柄な男勝りで店にも出て働いている。
そんな娘に、縁談が‥?
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Posted by ブクログ
デビュー作とは思えない安定感。
人物描写が丁寧で生き生きしていて、人情噺でほろっときたりクスッとしたり。
作者の逸材ぶりがうかがえます。
読み終わった時すでに書店の開いている時刻ではなかったのですが、今すぐこのシリーズの先が読みたくてうずうずしてしまいました。
明日 朝イチで買いに行こうかな。
ただ何気なしにこのシリーズのことを調べていたら、この先の話で伊三次に殺人の疑惑がかかった時、信頼していた不破友之進が信じてくれなかった、とか、想い人の文吉と別れる、ということを知ってしまい(その後 よりを戻したり仲直りするようですが)、ちょっと読むのを躊躇っています。
信じている人に裏切られる話は苦