宇江佐真理のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2022年5月15日
初期の作品なのかな。
男まさりの知佐が騙し討ちのように江戸の祝言にやって来て、故郷に帰るすべもなく、居残りするほかない。
そこでうまれる情。
大女の大滝。容姿に似合わない女らしさ。
幸せを掴むのに臆病な人たち。
今現在も通じる心の機微。
その世界で幸せ者が増えて嬉しい。
武家ものの2篇は読みづらくて最後までは
読んでいない。
参考文献も書いてあり、解説にあった通り,実験的な作品なのだろう。
かたくて、説明的で。
町民と武士の違いなのか、町民の話の方が好き。
2023年9月9日
再読
梅匂う、大女の大滝
余寒の雪 男まさりの知沙
で既視感。
やはり読んでいたのね。
やは -
Posted by ブクログ
昨年夏に、16冊(うち1冊はシリーズとは別の10年を描いた文庫書下ろしの長編とのこと)あるシリーズものと知りながら、手を出してしまった。シリーズものなので、一気に揃えて一気に読むのも1つなのだが、読みたい本が山積みで、シリーズ2冊目、ようやく読んでみた。前作から半年くらいたってしまったな、、、先は長そうだ(苦笑)
今回は、始まって早々に、伊三次とお文が別れてしまうのか、とひやひやしたり、伊三次の子供の頃からの知り合いが亡くなったり、おみつが事件に巻き込まれたり。てんこ盛りと言うのか、せわしないと言うのか。
でも、結婚ってなんなのだろう、お金ってどれくらいあれば人は安心できるのだろう、仕事とか -
Posted by ブクログ
前から勧められていた、髪結い伊三次シリーズ。
ようやく第1巻にいきあった。
髪結いとしての確かな腕はありながら、師匠との諍いで店を飛び出した伊三次は、髪結い道具を持って客先で仕事をする廻り髪結い。
深川芸者のお文とは良い仲だが、お文と所帯を持つまでの蓄えはまだない。
髪結いのかたわら、同心の不破の手先として、市井の事件に関わる情報を集めている。
現代風にいえば、地取り捜査と情報屋を兼ねている伊三次の物語には派手な立ち回りはなく、実際の捕物は同心の役回り。
だからこそ、『捕物余話』なのだろう。
宇江佐真理さんの他の短編集は読んだことがあったけど、シリーズもののせいか、物語の本筋よりも市井 -
Posted by ブクログ
純粋に(?)時代小説を手に取るのは、生まれて初めてだった。
少年時代に好きだった漫画の原作ということで読んだ隆慶一郎(「一夢庵風流記」ほか)は、時代劇というより一種の冒険活劇。少年漫画のまんまの世界観だった。
映画の原作だった「たそがれ清兵衛」(藤沢周作?山本正五郎?)は、筆者名すら自信をもって挙げられない。
好きな作家が書いた時代劇、宮部みゆきやら佐々木譲やら百田直樹やらは当然面白かったけれども。
時代小説を時代小説として選んで、購入したのは初めてだった。
古書店の百円本コーナーで探し、なんとなくあらすじに曳かれただけで買った一冊だったが、思いのほか楽しく読めた。
権佐の精々しい -
Posted by ブクログ
遠山の金さんのおとしだね。
常磐津の死傷をしていた母の父なしごである英助は、亡くなる母親から、その証拠である守刀と印籠を持たされる。だが商家の手代となって、武家にはならない意思を持った英助は、一目だけ会いたいという夢だけ持つ。
片足の障害を持ち出戻りとなった商家の娘。前から狩る愚痴を言い合える仲良しだった。真面目な仕事ぶりと、娘に対して偏見もなく、大事に思う英助を店主は出店を持たせてやろうとする。そこで娘は夢だけで終えるはずだった栄輔の望みを思わぬ方法で叶える。
葛飾北斎が関係する2篇。
筆屋の娘の恋心。
北斎の娘の話。
松前藩の家老でもある絵師の話など。。。
情けが通う短編集。 -
Posted by ブクログ
隅田川に女の水死体が上がった。これは自殺か、それとも・・・? 「死人はただ死に顔を晒しているだけじゃねェんだぜ。ちゃんとな、手前ェはこんなふうに死にましたと言っているのよ」 ・・・そう嘯くのは、容貌魁偉だがどことなく愛嬌のある江戸八丁堀の検屍医、人呼んで“おろく医者”美馬正哲。産婆の女房・お杏とともに殺しの痕跡を解き明かす!
*
なんてね、久しぶりに虚構を読みましたな。
山で死んだ人を“おろく”というのはなぜ・・・なんてぇことを調べているうちにたまたま行き当たった本なんでござんすが、なかなか面白うござんしたよ。人物も立ってますし、時代の風俗や検屍の目のつけどころなんかもしっかと描かれており -
Posted by ブクログ
ネタバレ髪結い伊三次シリーズ。
前作から一気に10年後に「ワープ」した物語。
その理由は、作者あとがき参照。
ワープという言葉も、既にやや古びてしまって、今の若者には通じないかもしれないと思いつつ…
最近は伊三次やお文、不破友之進といなみの世代から、すっかりジュニア世代の龍之進たちが主役になって、フレッシュな読み心地になったと思っていたら…
あんなに清々しく青少年をしていた龍之進が、茶屋に入り浸って若い芸者といい仲になっているとは!!!
伊三次はすっかり大人の風格で、龍之進からは初めから仕事もできて美人の妻と可愛い子供達がいて、カッコイイ大人に見えているようだけれど、いやいや〜、シリーズが始まっ -
Posted by ブクログ
安政3年、肥前長崎。出島で働く父から英語や仏語を習う10歳のお柳。「うち、お父ちゃんのように通詞になりたかとよ」。女人禁制の職に憧れる幼いお柳の運命は、釜次郎、のちの榎本武揚との出会いによって大きく変わっていく。攘夷運動、大政奉還から戊辰戦争へ。激動の時代に消えた1人の「男装」の通詞。
ラジオ(BOOK BAR)で紹介されていて、気になったので読んでみた。
時代が大きく変わる中で、フランス語の通訳として男たちを支えた女性の話。
1つの秀でた才能、自分の武器と言えるものがある人は強いと思う。
歴史に疎いので、細かな情勢の描写はすっ飛ばして読んだが、それでも十分楽しめた。
長崎に縁があるので、