あらすじ
惚れた女を救うため、負った八十八の刀傷。江戸・呉服町で仕立て屋を営む男は、その傷から「斬られ権佐」と呼ばれていた。権佐は、救った女と結ばれ、兄貴分で八丁堀の与力・数馬の捕り物を手伝うようになる。押し込み、付け火、人殺し。権佐は下手人が持つ弱さと、その哀しみに触れていく。だが、体は不穏な兆しを見せ始めて――。一途に人を思い、懸命に生きる男の姿を描いた、切なくも温かい時代小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
惚れた女を助ける為に全身に醜い刀傷を負った男の物語。命がけで惚れられた女は権佐の妻となり、権佐は与力の小者となって捕り物に励む。捕物帖というよりは、権佐と家族、その周辺を暖かく描きだした人情時代小説と言えるかな。最後はしんみりホロリとなってしまったが、しみじみ読めて良かったな…と思える話だった。
Posted by ブクログ
はっきり申しましょう。
この本は危険ですっ
半分くらいまでは家で読みました。
その後通勤電車で読んでいたのですが
後半はもう・・・もう・・・涙を堪えるので必死でした。
途中本編の回想シーンとか出てきて
少し戸惑うこともありましたが
読み終わるとそれは自然の流れのような。
最後は・・・・
お蘭の一言一言がただただ泣けました。
読み終わって数時間経つというのに
思い出しただけで泣けてくる・・・
Posted by ブクログ
主人公権佐とその女房あさみが、髪結い伊左次と文吉とキャラ的にもかぶる。宇江佐先生の長編でもなく短編でもないこの構成は好き。この登場人物たちをもう少しゆっくり見ていたいと思う一冊でした。
Posted by ブクログ
体中に傷がある権左が、岡っ引きをつとめて江戸の町と家族をまもる時代小説。医者でもある妻のあさみがいい感じ。体の傷は、かつてあさみを助けるために侍たちに斬られたものだが、命をとりとめたものの傷が原因で作中後半に床に伏せるようになり、身を挺して娘を助けて死ぬ。結構面白かった。
Posted by ブクログ
権佐は医者のあさみを助けるため全身八十八ヶ所に傷が。権佐とあさみは夫婦になりお蘭5歳との暮らしが。お蘭が攫われ、権佐は今度は娘を庇ってとうとう命の火が消えてしまう。切ない物語。宇江佐真理「斬られ権佐」、連作6話、2002.5刊行、2005.4文庫。
Posted by ブクログ
2021/4/9
残りが限られてるとわかってるから読むのが慎重になっちゃう。
とは言え私だっていつどうなるかわからんのやし、読むべきやな。よし。
権佐かっこいいんだけど痛々しくって。
近々死ぬと悟った姿、家族もみんなせつない。
やすのおっちゃんどこ行ってんねん。全く。
江戸言葉が相変わらず素敵です。
おっこちきれた(=ぞっこん惚れた)とかお馴染みの滅法界とか。
Posted by ブクログ
権佐のキャラクターが魅力的だった。
惚れた女を助けて、88か所の刀傷を負った時のセリフ、
「縁もゆかりもあらァな。おれはよう、おれは、あさみ様におっこちきれたからよう」(P-46)
(おっこちきれたは、流行していたセリフで”ぞっこん惚れた”という意味)
死ぬ間際、娘に言ったセリフ、
「お蘭、さっき、おれが言ったこと忘れんなよ」(P-290)
かっこよかった。
事件の謎解きも面白かった。
兄の権佐の事が大好きな弟の、その後がかわいそうだったな。
Posted by ブクログ
江戸時代の町並み、空気感、人々の暮らしが温かく描かれています。
ただ、引っ掛かった点がひとつ。
権佐が娘に「母親のそばにずっといてやってくれ」と頼んだことで、娘の将来を縛ってしまったんじゃないかな。
女性が自由に生き方を決められる時代ではなかっただろうけど、それでも、お蘭にはもっと違う道や夢があったかもしれない。お蘭の耳に残っている言葉は、彼女を束縛し続けたように思ってしまいました。
Posted by ブクログ
惚れた女を救うため夢中になって負った刀傷が八十八。相手がよほど鈍らのへたくそだったんだねぇ。秋山小兵衛みたいだったらもうそれでお話が終わってます。深川八丁堀が舞台のはずなのに、そんな風にぼろぼろになってしまった体はちゃきちゃきとはいかず、人間健康が一番だと妙に納得してしまう色を持っている。そんな「江戸っ子でい!」とはとても言えない薄暗い雰囲気が最後に生きてきて、死をもって終わっても読後感はさわやかである。
Posted by ブクログ
身体に八十八か所の刀傷を持つ、本業は仕立て屋で裏では小者を務める「斬られの権佐」が主人公の、連作短編集っぽい長編。いきなり傷だらけで登場。小者稼業で活躍しつつも、後遺症ですでにあっちこっち弱まってます。んで、後半はほとんどヨレヨレ。ある意味、斬新なキャラの主人公ではあります。
Posted by ブクログ
さいしょっからさいごまで
きもちわるくならない、いいほんでした。
ひとついうとしたら
としをとったあさみさんがシャキっとかんがへっていたのが
かなしかったかな。
まぁあたりまえなのかな。
えどにんじょう。だいすきです。
なにかじだいせっていにぎもんにおもったところがあったんだけど
どこだったっけ、わすれちゃった。
Posted by ブクログ
良かったです。
しっとりした情緒を感じさせる作品です。途中、数馬があさみに言い寄るシーンがあって、ちょっと生臭くなるのですが、美味くリカバーしてます。でも元々不要ではなかったかな。
暫く宇江佐さんの作品から離れていたのですが、これなら良いなと。どうも男性を主人公にした作品のほうが波長が合うようです。
===ここからネタバレ===
主人公の権佐。なかなか味があります。
最後には傷の後遺症から死んでしまうのですが、そのせいでしょうね。どこか切ない雰囲気を持った作品です。
Posted by ブクログ
最近、時代小説を好むようになった。
年を経っている事をつくづく実感する。まだ20代なんですがね。(*゚∀゚)・∵.
若い役者さん達の間でも、時代劇の出演に抵抗を感じない人が多いそうだが、これも時代の流れと言うものだろうか。
私の時代小説好きも、その流れに乗っかっているもの・・・と思う事にする。(苦笑)
宇江佐真理さんの本はほぼ読破しているはずだが、読む毎に思う事がある。
1作1作、情緒深い作品を書く方だと思う。
そして、粋な江戸言葉を教えて下さる方だとも思う。
今回出てくるのは「おっこちきれた」と言う言葉だが、意味は「ぞっこん惚れた」で、元の言葉は「遠近(オチコチ)きれた」が江戸風に訛ったものらしい。
悪いが今の今まで・・・そんな人はいないのだが。(笑)
ただ、何となく居心地がいいからで付き合う事が多く、別れ際にみっともない事をした覚えもない。。。
安定を好む私は、あまり燃え上がらない性質のようだが、一度でいいから、「おっこちきれた」と言えるほどの恋愛をしてみたいものだと思う。
Posted by ブクログ
純粋に(?)時代小説を手に取るのは、生まれて初めてだった。
少年時代に好きだった漫画の原作ということで読んだ隆慶一郎(「一夢庵風流記」ほか)は、時代劇というより一種の冒険活劇。少年漫画のまんまの世界観だった。
映画の原作だった「たそがれ清兵衛」(藤沢周作?山本正五郎?)は、筆者名すら自信をもって挙げられない。
好きな作家が書いた時代劇、宮部みゆきやら佐々木譲やら百田直樹やらは当然面白かったけれども。
時代小説を時代小説として選んで、購入したのは初めてだった。
古書店の百円本コーナーで探し、なんとなくあらすじに曳かれただけで買った一冊だったが、思いのほか楽しく読めた。
権佐の精々しいまでの愛、
彼に心底惚れたあさみ、
父の無念と愛情を信じ最期の言葉を胸に秘めて育ったお蘭、
あさみに横恋慕しつつも一線を越えることなく見守り殉じた数馬、
みな、いとおしい。
★3つ、7ポイント。
2019.12.02.古。
※ただしやっぱり、主人公の死で幕を閉じる物語は、手放しで「好き」とは言えない、幼い自分(苦笑)。
※買った本書は、百円本コーナーであるので当然だが、ぼろぼろな一冊。
もちろん、時代小説に疎い身には筆者名にも見覚えなし。
だけれど、先日書店で気まぐれに宇江佐さんの名を探してみたら、10冊近くの著作が並んでいて、本書もそのうちの1つに含まれていた。わりと人気のある作家さんだったのね。
時代小説初体験にしては、当たりを引けたらしい♪
Posted by ブクログ
刀傷を背負い、不自由な体で与力の小者をつとめる権佐。
女房のあさみは女医師。
事件が起きれば権佐が悪を追い、
あさみが消えゆく命を助ける。
江戸・八丁堀を舞台に描く人情味あふれる連作集。
Posted by ブクログ
まあまあ面白い。
異形の男を主軸に据え、短編の連作を紡いだ上で、主人公の死をもって物語を昇華させる。なかなかの腕だと思う。
ただのめり込むほど面白いかと言われると???
この曖昧感こそこの作家が今一つ突き抜けていない理由ではないかと感じる次第。